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異世界で魔王になった。
01
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俺がこの世界に転生したのはもうずっと前だ。俺もハッキリと覚えているわけではないが、だいたい700年ほど前だ。
その日学校をサボって家でごろごろしていたら、まるで天罰かのように地震が発生。俺は瓦礫の下敷きになった。その後のことはあんまり覚えていない。ただ、痛くてずっと呻いていたことは知っている。あまり実感はないのだ。前世のことだしあんまり覚えていなくても仕方ないだろう。
目を開けた時にまず最初に見えたのは闇。いや、真っ暗な部屋だ。目を開けてから一呼吸する間に火がついた。俺の両側の壁に付けられていたロウソクに火が灯り、そこに近い別のロウソクにも火が灯る。
あっという間に部屋中を照らした。
「お待ちしておりました。我らの王よ」
天井から落ちてきた人影にビクッとする。
まるで重力がないかのようにふわりと着地した影。
影は一瞬で少女へと姿を変える。意味のわからない光景。恐怖に少し後ろに下がろうとすると、背中が固いものにぶつかった。
どうやら俺はイスに座っているらしい。石で作られたイス。特にこれといった飾りのない単純な造形だ。
自分の状況がわからない。おそらく今怯えてひきつった顔をしているだろう。
マジでここはどこなんだ?
それにこの少女は人間ではないだろう。人間だとしたらどんなマジックなんだ。
変な表情を浮かべているであろう俺の前で少女は膝を床につける。
「貴方が現れるのを我等はお待ちしておりました。どうか我等をお導きください」
そのまま祈るように手を合わせ、涙をながす。
「あ、あの」
「はい、何でしょうか?」
「よく状況がわからないんですが」
少しビビりながらも話しかける。俺が臆病なわけじゃない。誰だってこの状況にはビビるはずだ。そうやって言い聞かせて自分を慰める。俺が自分でしていてあれだが、結構パニックになってるな。
「はい、王よ。貴方は生まれたばかりです。この私から説明させていただきます」
少女は優しく微笑む。簡単な男だとは思うが落ち着いてきた。それだけ美少女の笑顔には力がある。
「ここは魔界です」
「魔界?」
魔界というとあれか。悪魔や魔物が住んでそうな場所のことだろうか?
「この世界には魔界、人間界、天界の3つの世界があります」
「それぞれ魔族、人間、天使が住んでるんだろう?」
「さすが我等の王!生まれたばかりなのに聡明でいらっしゃる!」
日本に生まれていた人なら大体想像できることである。別に凄くない。
しかし、俺は今さっき生まれたばかりのようだ。そこを考えると聡明すぎる。何があるかわからないし、余計なことは言わないように注意しておこう。
「もしや我等の王、魔王様。貴方はご自分の生まれた意味もお分かり何でしょうか?」
「うむ、人間を滅ぼすのであろう?」
「素晴らしいです!」
ここまで来たら嫌でもわかる。テンプレ展開。どうやら俺は魔王に転生したようだ。昔読んだ小説を思い出す。
ちょっと話し方も魔王っぽくしてみた。ここまでテンプレ展開ならこの少女も配下の魔族なのだろう。なら、そこまで警戒しなくても大丈夫だ。魔王が最強ってのがよくあるし。
いや、ここは小説じゃないんだから最強ではないかもしれないが。
「それで、人間はどこにいる?今すぐにでも滅ぼしてやろう」
異世界に人間の知り合いなんていないから滅んでもいいや。この体の能力も確かめたいしな。
俺は椅子から立ち上がる。気のせいか人間だったころより体が軽い気がした。
「お、お待ちください」
「ん?どうした?」
調子に乗っていた俺を慌てた声が引き留める。
「魔王様、知識が1つ抜けております」
「なんだ?」
「人間を殲滅すると魔族も殲滅されます」
「……はあ?」
どういうこと?
その日学校をサボって家でごろごろしていたら、まるで天罰かのように地震が発生。俺は瓦礫の下敷きになった。その後のことはあんまり覚えていない。ただ、痛くてずっと呻いていたことは知っている。あまり実感はないのだ。前世のことだしあんまり覚えていなくても仕方ないだろう。
目を開けた時にまず最初に見えたのは闇。いや、真っ暗な部屋だ。目を開けてから一呼吸する間に火がついた。俺の両側の壁に付けられていたロウソクに火が灯り、そこに近い別のロウソクにも火が灯る。
あっという間に部屋中を照らした。
「お待ちしておりました。我らの王よ」
天井から落ちてきた人影にビクッとする。
まるで重力がないかのようにふわりと着地した影。
影は一瞬で少女へと姿を変える。意味のわからない光景。恐怖に少し後ろに下がろうとすると、背中が固いものにぶつかった。
どうやら俺はイスに座っているらしい。石で作られたイス。特にこれといった飾りのない単純な造形だ。
自分の状況がわからない。おそらく今怯えてひきつった顔をしているだろう。
マジでここはどこなんだ?
それにこの少女は人間ではないだろう。人間だとしたらどんなマジックなんだ。
変な表情を浮かべているであろう俺の前で少女は膝を床につける。
「貴方が現れるのを我等はお待ちしておりました。どうか我等をお導きください」
そのまま祈るように手を合わせ、涙をながす。
「あ、あの」
「はい、何でしょうか?」
「よく状況がわからないんですが」
少しビビりながらも話しかける。俺が臆病なわけじゃない。誰だってこの状況にはビビるはずだ。そうやって言い聞かせて自分を慰める。俺が自分でしていてあれだが、結構パニックになってるな。
「はい、王よ。貴方は生まれたばかりです。この私から説明させていただきます」
少女は優しく微笑む。簡単な男だとは思うが落ち着いてきた。それだけ美少女の笑顔には力がある。
「ここは魔界です」
「魔界?」
魔界というとあれか。悪魔や魔物が住んでそうな場所のことだろうか?
「この世界には魔界、人間界、天界の3つの世界があります」
「それぞれ魔族、人間、天使が住んでるんだろう?」
「さすが我等の王!生まれたばかりなのに聡明でいらっしゃる!」
日本に生まれていた人なら大体想像できることである。別に凄くない。
しかし、俺は今さっき生まれたばかりのようだ。そこを考えると聡明すぎる。何があるかわからないし、余計なことは言わないように注意しておこう。
「もしや我等の王、魔王様。貴方はご自分の生まれた意味もお分かり何でしょうか?」
「うむ、人間を滅ぼすのであろう?」
「素晴らしいです!」
ここまで来たら嫌でもわかる。テンプレ展開。どうやら俺は魔王に転生したようだ。昔読んだ小説を思い出す。
ちょっと話し方も魔王っぽくしてみた。ここまでテンプレ展開ならこの少女も配下の魔族なのだろう。なら、そこまで警戒しなくても大丈夫だ。魔王が最強ってのがよくあるし。
いや、ここは小説じゃないんだから最強ではないかもしれないが。
「それで、人間はどこにいる?今すぐにでも滅ぼしてやろう」
異世界に人間の知り合いなんていないから滅んでもいいや。この体の能力も確かめたいしな。
俺は椅子から立ち上がる。気のせいか人間だったころより体が軽い気がした。
「お、お待ちください」
「ん?どうした?」
調子に乗っていた俺を慌てた声が引き留める。
「魔王様、知識が1つ抜けております」
「なんだ?」
「人間を殲滅すると魔族も殲滅されます」
「……はあ?」
どういうこと?
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