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異世界で魔王になった。
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「……人間を滅ぼしちゃダメなのか?」
「はい、ダメです」
ハッキリ言ってきた。その言葉は力強く、絶対に止めるという意志が伝わってくる。
せっかく魔王に転生したのだから人間と敵対したいと思っていた。元々親しい人間以外は興味はなかった。しかもここは異世界だ。親しい人間なんているわけがない。
「絶対にダメか?」
「絶対にダメです」
「……理由を聞こう」
「はい」
少女は頭を下げる。
「申し訳ありません!人間などという家畜で、ゴミである存在を滅ぼしたいお気持ちはよくわかります。しかし、それでは我等も生活出来なくなるのです!」
この人、人間と何があったんだろうか?
直角か!ってくらい腰を曲げている。しかも全身が力んで震えている。表情はわからないけど、たぶん凄い顔をしているだろう。
俺は興味が薄いだけで嫌いではないんだが。まだこの世界の人間に出会ったことないし、嫌悪する理由はまだない。
まあ人間に対して、同族に感じるような仲間意識もないんだが。
そんな俺の気持ちを知らない少女は震えながら話を続ける。
「魔王様、貴方はまだご存知ないでしょう。いいですか、人間は食料です」
俺に衝撃が走る。
そうか、この世界の魔族は人間を食べちゃうのか。うん、魔族だしな。しかし、ネットで小説を読んでいた俺にとっては衝撃的だ。
いや、この世界は小説じゃない。現実だ。もう何回も自分に言い聞かせているが、もう一度言い聞かせる。
「お、美味しいのか?」
何を聞いているんだ俺は。いくら人間に興味ない俺でも元同族を食うというのはあんまり考えたくない。動揺してしまった。
俺の言葉を聞いて少女は頭を上げた。意思の強そうな目と俺の目が見つめ合う。
部屋から音が消える。
「魔王様」
「はい」
「人間はクッソまずいです」
「まずいのか」
「はい、まずいです」
じゃあ食うなよ。一気に力が抜けた。それを見た少女は焦りだす。
「私もまずいし、気持ち悪いので食べたくありません!しかし、食べなければ死にます」
「人間しか食べられないのか?」
「いいえ、食べられます。しかし、人間からしか得られない栄養素があります」
栄養か。それは仕方ない。だが納得したくない。
「それは本当に人間からしか取れない栄養素なのか?」
元の世界でも栄養は重要だった。けれど1つの種族からしかとれないなんてことはなかった。もしかしてこの世界でも人間以外で持っている生き物がいるのではないのだろうか。
恐らく人間を食べちゃうのが一番効率がいいだけではないのかと思う。
俺の考えを少女は頷き肯定した。やっぱりそうか。
「他の生き物でもよいのなら人間を滅ぼしても構わないのではないか?確かに栄養素を取りにくくはなるが」
「いいえ、それは難しいかと」
「何故だ?」
嫌な予感がする。
「魔素は人間以外でも生き物ならどんな者でも保有しています。しかし、人間一人と同じだけの魔素を取るには10000の生き物が必要です」
「ちなみに1日に必要な魔素の量は?」
「人間2人分です。他の生き物なら1日に20000。全魔族の人数が10人だとしても、1日に殺す生き物の数は20万になります」
「……世界が滅ぶな」
その前に胃袋が壊れそうだけど。そんなに食べれないだろ。
魔素というのは恐らく前の世界で言う、「ビタミン」みたいなものだと思う。とれないとすぐには死なないが、そのうちに栄養不足で死ぬ。
「魔族はずいぶん生きにくいんだな」
「ずっと昔の先祖が人間を主食に進化した影響のようです。人間は弱いわりに栄養価が高いですからね。カスみたいな奴らですけど」
生き物は生きやすくなるために進化する。その過程で一種類の生き物を食べて生きるように進化することもあるのだろう。
ご先祖様はとんでもない道を選んだようだ。
俺は人間を食べて生活しなければならないのだろうか?想像したら吐き気がしてきた。
「ご安心ください!」
少女は近づいてくると、俺手を包み込むように握った。
「魔素、人間や天使は生気とよんでますが、空気か水のような形をしていますので、これを吸うだけで大丈夫です。人間に体の何処かが触れていればいいので人間に触る面積は小さくてすみます。ご安心を」
なんだか吸血鬼みたいだな。実際に食べなくていいと聞いて安心した。生気とか聞くと魔族って感じがするし、テンション上がってきた。
しかし、本当に人間が嫌いなんだな。人間がちょっと触るだけで不快だって顔をしている。
これは元々人間だと言わない方がいいのだろう。言うの怖いし。
しかし、魔王なのに人間を滅ぼせないのはちょっとつまらないな。ギリギリまで人数を減らすなら大丈夫かな?
「はい、ダメです」
ハッキリ言ってきた。その言葉は力強く、絶対に止めるという意志が伝わってくる。
せっかく魔王に転生したのだから人間と敵対したいと思っていた。元々親しい人間以外は興味はなかった。しかもここは異世界だ。親しい人間なんているわけがない。
「絶対にダメか?」
「絶対にダメです」
「……理由を聞こう」
「はい」
少女は頭を下げる。
「申し訳ありません!人間などという家畜で、ゴミである存在を滅ぼしたいお気持ちはよくわかります。しかし、それでは我等も生活出来なくなるのです!」
この人、人間と何があったんだろうか?
直角か!ってくらい腰を曲げている。しかも全身が力んで震えている。表情はわからないけど、たぶん凄い顔をしているだろう。
俺は興味が薄いだけで嫌いではないんだが。まだこの世界の人間に出会ったことないし、嫌悪する理由はまだない。
まあ人間に対して、同族に感じるような仲間意識もないんだが。
そんな俺の気持ちを知らない少女は震えながら話を続ける。
「魔王様、貴方はまだご存知ないでしょう。いいですか、人間は食料です」
俺に衝撃が走る。
そうか、この世界の魔族は人間を食べちゃうのか。うん、魔族だしな。しかし、ネットで小説を読んでいた俺にとっては衝撃的だ。
いや、この世界は小説じゃない。現実だ。もう何回も自分に言い聞かせているが、もう一度言い聞かせる。
「お、美味しいのか?」
何を聞いているんだ俺は。いくら人間に興味ない俺でも元同族を食うというのはあんまり考えたくない。動揺してしまった。
俺の言葉を聞いて少女は頭を上げた。意思の強そうな目と俺の目が見つめ合う。
部屋から音が消える。
「魔王様」
「はい」
「人間はクッソまずいです」
「まずいのか」
「はい、まずいです」
じゃあ食うなよ。一気に力が抜けた。それを見た少女は焦りだす。
「私もまずいし、気持ち悪いので食べたくありません!しかし、食べなければ死にます」
「人間しか食べられないのか?」
「いいえ、食べられます。しかし、人間からしか得られない栄養素があります」
栄養か。それは仕方ない。だが納得したくない。
「それは本当に人間からしか取れない栄養素なのか?」
元の世界でも栄養は重要だった。けれど1つの種族からしかとれないなんてことはなかった。もしかしてこの世界でも人間以外で持っている生き物がいるのではないのだろうか。
恐らく人間を食べちゃうのが一番効率がいいだけではないのかと思う。
俺の考えを少女は頷き肯定した。やっぱりそうか。
「他の生き物でもよいのなら人間を滅ぼしても構わないのではないか?確かに栄養素を取りにくくはなるが」
「いいえ、それは難しいかと」
「何故だ?」
嫌な予感がする。
「魔素は人間以外でも生き物ならどんな者でも保有しています。しかし、人間一人と同じだけの魔素を取るには10000の生き物が必要です」
「ちなみに1日に必要な魔素の量は?」
「人間2人分です。他の生き物なら1日に20000。全魔族の人数が10人だとしても、1日に殺す生き物の数は20万になります」
「……世界が滅ぶな」
その前に胃袋が壊れそうだけど。そんなに食べれないだろ。
魔素というのは恐らく前の世界で言う、「ビタミン」みたいなものだと思う。とれないとすぐには死なないが、そのうちに栄養不足で死ぬ。
「魔族はずいぶん生きにくいんだな」
「ずっと昔の先祖が人間を主食に進化した影響のようです。人間は弱いわりに栄養価が高いですからね。カスみたいな奴らですけど」
生き物は生きやすくなるために進化する。その過程で一種類の生き物を食べて生きるように進化することもあるのだろう。
ご先祖様はとんでもない道を選んだようだ。
俺は人間を食べて生活しなければならないのだろうか?想像したら吐き気がしてきた。
「ご安心ください!」
少女は近づいてくると、俺手を包み込むように握った。
「魔素、人間や天使は生気とよんでますが、空気か水のような形をしていますので、これを吸うだけで大丈夫です。人間に体の何処かが触れていればいいので人間に触る面積は小さくてすみます。ご安心を」
なんだか吸血鬼みたいだな。実際に食べなくていいと聞いて安心した。生気とか聞くと魔族って感じがするし、テンション上がってきた。
しかし、本当に人間が嫌いなんだな。人間がちょっと触るだけで不快だって顔をしている。
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しかし、魔王なのに人間を滅ぼせないのはちょっとつまらないな。ギリギリまで人数を減らすなら大丈夫かな?
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