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25話 新たなクエスト、その名も《特級クエスト》!?
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清々しい朝、ユラユラと揺らめく松明の火が優しく揺れ、俺はゆっくりとまぶたを開けた。こっちの世界の相場も少しずつ分かってきたし、生活にも慣れてきた。アルフレッドさんの宿で1週間分の食料を銀貨2枚で譲ってもらった。パン、卵、豚肉、どれも生活に欠かせないものばかりで、保管箱に関してもニックさんが切ってきた木材を分けてもらったことで、3つほど拡張することもできた。
俺は譲ってもらったパンをインベントリから取り出し、口に頬張るとそのまま、拠点の扉を開けた。森に差し込む朝日が、これでもかと俺を照らしてくれる。やり切った後の朝は何て気持ちがいいんだろうか。いつものパンも、何倍も美味しく感じてしまう。
「今日はクエストをサボってもいいよな」
あれだけ頑張ってきたんだ、一日ぐらい休暇をもらっても問題は無いだろう。今日はスキルと能力をどう成長させるかに注力を置くとしようか。俺は軽く背伸びをした後、UIを開くと、クエストタブがいつもと違い、勝手に開かれた。視界全体が赤く点滅し、まるで俺に何かを警告しているかのようで、思わず口をポカンと開けて、パンを地面に落とす。
「な、なんだこれ……?」
《特級クエスト発行!》
山に住むドラゴンを討伐しろ!
制限時間:2週間
報酬:経験値+1000、スキルポイント+10、能力値振り分け+10
※このクエスト発行中は他のクエストは進行しません
特級クエスト? なんだこれ……ドラゴンだって!? あの伝説の生き物ってなってるあのドラゴンのことか! しかも、このクエスト中は他のクエストが発行されないなんて。少なくとも2週間は成長の機会が無いってことじゃないのか? 俺は地面に落ちたパンを拾い上げ、土を払い、食べれるところだけをちぎって口に運んだ。
「ったく、せっかくのパンなのに……」
俺はパンをちょっとずつ口に運びながら、目の前の特級クエストをまじまじと眺めた。経験値やスキルポイントは今までのクエストと比べものにならない報酬だ。たった一回で経験値が1000も上がるのは確かに嬉しい……だけど、問題が一つ。
「……山ってどこの山だよ」
そう、情報があまりにも少なすぎる。はっきり言って、今の状況ですら草原や、川が近くにあるだけで、遠くに見えるのは大小さまざまな山々。あの山たちを探索したところで遭遇する確率なんてほとんど0に近いだろう。それに山を見つけるだけじゃない。ドラゴンを討伐しろときた。という事は少なくとも、戦闘が必ず発生する。
「戦いかぁ……今のところ、ゾンビしか相手できてないからな……いきなりボス戦みたいな感じだな」
ゾンビを1体倒しただけの男がいきなりドラゴンを倒すのなんて、かなりハードなんだが……。せめてもう少し戦いを経験してからだなぁ……そう思ったところで思考を止めた。
「……一旦拠点に入るか」
こういう時は、落ち着くに限る。急いては事を仕損じるだ。俺は拠点の扉を開けて中に入ると、ベッドに腰を掛ける。とにかく、今俺に出来ること。それは、情報収集だ。情報があまりにも少なすぎる状況じゃこのクエストは絶対に完遂できないだろうからな。まずは村に向かって、知ってそうな人に片っ端から聞いてみるか――
――「そんなの、ワシが知るわけなかろう」
「ですよね~」
俺はフェルム村を訪れ、ハンクさんに話を聞いていた。山に住むドラゴンの話をしたのだが、やはりハンクさんは知らないようだ。これは、中々に骨が折れそうだな。俺はため息を吐きながら肩を落とす。
「ドラゴンの素材を使った装備がある事は知っているが、それはかなりの強者、こんな辺鄙な村にそもそも素材が来ることもないわい。長年、武器屋を営んでおるが、拝んだことは一度もないのぅ」
なるほど、確かにハンクさんの言うとおり、この村には申し訳ないが、決して栄えているとは言い難い。この村にまで希少な素材が来ること自体が奇跡に近いんだろうな。
「う~ん、しかし、どうしたものでしょうか……」
「それよりも、お前さん、もしドラゴンを討伐にいくなら、武器が必要じゃろ? どうじゃ、防具でもそろえていかんか?」
ハンクさんは受付の机を何度も軽く叩き、「買っていけ」と言わんばかりに目を輝かせている。現時点の所持金は銀貨2枚と少しばかりの銅貨、これからドラゴンを討伐に行くなら、そうやすやすと買い物するわけにはいかないだろう。俺は愛想笑いを浮かべながら、急いで武器屋を飛び出した――
――「話す相手を間違えてないか?」
「いや、それはそうなんですけど……」
次に向かったのはアルフレッドさんの宿だ。昼時という事もあり、せっかくだから代金を支払って、昼ご飯を食べさせてもらって、話してみたのだが、やはりアルフレッドさんも知らないらしい。俺の話を横で聞いていたリト君は目を輝かせて食い入るように話に入ってくる。
「ねぇねぇ! ユウタおじさんドラゴンを倒しに行くの!?」
「う~ん、倒しに行くというか、なんというか。でも、結局、場所がわからないから、どうすることもできない……って感じかな?」
そう、色んな人に聞いてみたが、進展はゼロ。村を歩く人にも何人か聞いては見たが、誰も知らぬ存ぜぬ。リト君も少しつまらなさそうに口を尖らせて、両手を頭の後ろで組んだ。アルフレッドさんはグラスを布で拭きながら、ため息交じりに話す。
「そもそも、ここは宿屋だ。俺に聞くんじゃなくて、外をほっつき歩いてる、宿泊客に聞けばいいだろ?」
「村の人に何人か聞きましたし、恥を忍んで宿泊客の扉を叩いて聞きましたけど、誰も知らないみたいなんですよね」
「叩いたのかよ……あんたのマナーは一体どこに行ったんだ」
アルフレッドさんは落胆しながら、「厄介ごとはごめんだ」と言わんばかりに顔を睨みつけてきた。俺は水がはいいてないコップを唇で何度も噛み、上を向いて、何か方法はないか模索をした。しかし、いくら考えてもいい案が浮ばない。
「ねぇ、ドラゴンってどんな生き物なんだろう?」
リト君が唐突に呟く。言われてみれば、確かにそうだ。俺のいた世界のドラゴンは、鱗があって、角を生やしていたり、爪があったり炎を吐いたりする空想上の生き物。こっちの世界では違うのかもしれない。
「確かにそうだね。アルフレッドさん、ドラゴンってどんな見た目か知ってるんですか?」
アルフレッドさんは拭き終えたグラスを並べながら、落ち着いた口調で話し始めた。
「まぁ、直接見たわけじゃないが、お客さんから聞いた話しだと、角を生やしたり、全身が鱗に覆われてどんな武器の攻撃も通じない巨大な生物だとかなんとか……それに炎を口から吐くとも聞いたことがあるな。まぁ、あくまで噂だろうがな」
どうやら、こっちの世界でもドラゴンの姿かたちは似ているようだな。その話を聞いたリト君は目をキラキラと輝かせながら、鼻息が荒くなる。
「凄い! いつか見てみたいなぁ……ニンジン食べるのかな?」
リト君の無邪気な発想には時々ほっこりさせられる。ニンジン食べるドラゴンは可愛すぎるだろ。せいぜい子供のドラゴンだろうな食べるとしたら。俺はニコッと笑って、リト君の頭に手を置いた。
「ニンジン食べてくれるぐらい温厚だといいんだけどね」
おそらくドラゴンは獰猛な生き物に違いない。それに高度な知能を持ち、中には人の言葉を理解し、話す生き物の可能性だってある。俺は椅子に腰を深く掛けると、上を向いて軽くため息を吐く。この調子じゃ真実に辿り着くのはいつになるのやら。俺がしばらく思い悩んでいると、アルフレッドさんがコップに水を注ぎながらゆっくりと話始めた。
「いいか……ここは宿屋。ここは泊まる場所だぞ?」
「あぁ、そうですよね。長居してすみません」
俺は頭を下げて、椅子から立ち上がった。どうやら怒らせてしまったみたいだ。まぁ、拠点でゆっくり考えればいいか。
「武器屋は武器を売ったり、作ったりする場所だ」
「??」
アルフレッドさんは続けて話始める。
「村の人間に聞いたところで、わかるわけねぇだろ」
「あの~、アルフレッドさん、何をおっしゃってるのでしょうか?」
アルフレッドさんは頭をポリポリと掻きながら、めんどくさそうに話す。
「目には目を、歯に歯をだ……その道に行くにはその道のプロがいるだろう」
アルフレッドさんは何かを伝えようとしている? 俺は直感的にそう感じ取った。目には目を……、一体どういうことだ。宿屋は寝るところ……武器屋は武器を買う所……。俺は今からドラゴンを討伐しに行く、ドラゴンがどこにいるかを知ってる人間……ドラゴンと戦うのは……!
「あっ! 冒険者!」
アルフレッドさんはニィっと笑うと、受付に肘をついて前のめりに話始める。
「冒険者が集まるところなら知ってるぜ?」
冒険者が集まるところ……そう聞くと、俺の胸が妙に高揚を始める。胸の内がざわざわとするけど、不思議と嫌な気持ちではない。
俺は前のめりになり、アルフレッドさんに顔を近づける。そうだ、冒険者なら、色んな場所やモンスターに精通しているはず。俺がここで悩むより、遥かに効率的に情報も集められるぞ。こんな簡単なことに気づかなかったなんて。俺の視野狭すぎか!
「教えてください、アルフレッドさん!」
「ふん、ちょっと待ってな」
アルフレッドさんはそういうとしばらく厨房に消えた。そして、クルクルと巻いた紙を手に持ってやってきた。リト君は俺よりも興奮しながら、テーブルに身を乗せて、足をバタバタとさせている。
「持っていきな、王都までの地図だ。そこに行って冒険者の集会所ってとこに行けば何かわかるかもしれねぇぞ」
「これが、王都……の地図……?」
俺は興奮する気持ちを抑えながら、アルフレッドさんから、ギュッと握りしめるように地図を受け取った――
俺は譲ってもらったパンをインベントリから取り出し、口に頬張るとそのまま、拠点の扉を開けた。森に差し込む朝日が、これでもかと俺を照らしてくれる。やり切った後の朝は何て気持ちがいいんだろうか。いつものパンも、何倍も美味しく感じてしまう。
「今日はクエストをサボってもいいよな」
あれだけ頑張ってきたんだ、一日ぐらい休暇をもらっても問題は無いだろう。今日はスキルと能力をどう成長させるかに注力を置くとしようか。俺は軽く背伸びをした後、UIを開くと、クエストタブがいつもと違い、勝手に開かれた。視界全体が赤く点滅し、まるで俺に何かを警告しているかのようで、思わず口をポカンと開けて、パンを地面に落とす。
「な、なんだこれ……?」
《特級クエスト発行!》
山に住むドラゴンを討伐しろ!
制限時間:2週間
報酬:経験値+1000、スキルポイント+10、能力値振り分け+10
※このクエスト発行中は他のクエストは進行しません
特級クエスト? なんだこれ……ドラゴンだって!? あの伝説の生き物ってなってるあのドラゴンのことか! しかも、このクエスト中は他のクエストが発行されないなんて。少なくとも2週間は成長の機会が無いってことじゃないのか? 俺は地面に落ちたパンを拾い上げ、土を払い、食べれるところだけをちぎって口に運んだ。
「ったく、せっかくのパンなのに……」
俺はパンをちょっとずつ口に運びながら、目の前の特級クエストをまじまじと眺めた。経験値やスキルポイントは今までのクエストと比べものにならない報酬だ。たった一回で経験値が1000も上がるのは確かに嬉しい……だけど、問題が一つ。
「……山ってどこの山だよ」
そう、情報があまりにも少なすぎる。はっきり言って、今の状況ですら草原や、川が近くにあるだけで、遠くに見えるのは大小さまざまな山々。あの山たちを探索したところで遭遇する確率なんてほとんど0に近いだろう。それに山を見つけるだけじゃない。ドラゴンを討伐しろときた。という事は少なくとも、戦闘が必ず発生する。
「戦いかぁ……今のところ、ゾンビしか相手できてないからな……いきなりボス戦みたいな感じだな」
ゾンビを1体倒しただけの男がいきなりドラゴンを倒すのなんて、かなりハードなんだが……。せめてもう少し戦いを経験してからだなぁ……そう思ったところで思考を止めた。
「……一旦拠点に入るか」
こういう時は、落ち着くに限る。急いては事を仕損じるだ。俺は拠点の扉を開けて中に入ると、ベッドに腰を掛ける。とにかく、今俺に出来ること。それは、情報収集だ。情報があまりにも少なすぎる状況じゃこのクエストは絶対に完遂できないだろうからな。まずは村に向かって、知ってそうな人に片っ端から聞いてみるか――
――「そんなの、ワシが知るわけなかろう」
「ですよね~」
俺はフェルム村を訪れ、ハンクさんに話を聞いていた。山に住むドラゴンの話をしたのだが、やはりハンクさんは知らないようだ。これは、中々に骨が折れそうだな。俺はため息を吐きながら肩を落とす。
「ドラゴンの素材を使った装備がある事は知っているが、それはかなりの強者、こんな辺鄙な村にそもそも素材が来ることもないわい。長年、武器屋を営んでおるが、拝んだことは一度もないのぅ」
なるほど、確かにハンクさんの言うとおり、この村には申し訳ないが、決して栄えているとは言い難い。この村にまで希少な素材が来ること自体が奇跡に近いんだろうな。
「う~ん、しかし、どうしたものでしょうか……」
「それよりも、お前さん、もしドラゴンを討伐にいくなら、武器が必要じゃろ? どうじゃ、防具でもそろえていかんか?」
ハンクさんは受付の机を何度も軽く叩き、「買っていけ」と言わんばかりに目を輝かせている。現時点の所持金は銀貨2枚と少しばかりの銅貨、これからドラゴンを討伐に行くなら、そうやすやすと買い物するわけにはいかないだろう。俺は愛想笑いを浮かべながら、急いで武器屋を飛び出した――
――「話す相手を間違えてないか?」
「いや、それはそうなんですけど……」
次に向かったのはアルフレッドさんの宿だ。昼時という事もあり、せっかくだから代金を支払って、昼ご飯を食べさせてもらって、話してみたのだが、やはりアルフレッドさんも知らないらしい。俺の話を横で聞いていたリト君は目を輝かせて食い入るように話に入ってくる。
「ねぇねぇ! ユウタおじさんドラゴンを倒しに行くの!?」
「う~ん、倒しに行くというか、なんというか。でも、結局、場所がわからないから、どうすることもできない……って感じかな?」
そう、色んな人に聞いてみたが、進展はゼロ。村を歩く人にも何人か聞いては見たが、誰も知らぬ存ぜぬ。リト君も少しつまらなさそうに口を尖らせて、両手を頭の後ろで組んだ。アルフレッドさんはグラスを布で拭きながら、ため息交じりに話す。
「そもそも、ここは宿屋だ。俺に聞くんじゃなくて、外をほっつき歩いてる、宿泊客に聞けばいいだろ?」
「村の人に何人か聞きましたし、恥を忍んで宿泊客の扉を叩いて聞きましたけど、誰も知らないみたいなんですよね」
「叩いたのかよ……あんたのマナーは一体どこに行ったんだ」
アルフレッドさんは落胆しながら、「厄介ごとはごめんだ」と言わんばかりに顔を睨みつけてきた。俺は水がはいいてないコップを唇で何度も噛み、上を向いて、何か方法はないか模索をした。しかし、いくら考えてもいい案が浮ばない。
「ねぇ、ドラゴンってどんな生き物なんだろう?」
リト君が唐突に呟く。言われてみれば、確かにそうだ。俺のいた世界のドラゴンは、鱗があって、角を生やしていたり、爪があったり炎を吐いたりする空想上の生き物。こっちの世界では違うのかもしれない。
「確かにそうだね。アルフレッドさん、ドラゴンってどんな見た目か知ってるんですか?」
アルフレッドさんは拭き終えたグラスを並べながら、落ち着いた口調で話し始めた。
「まぁ、直接見たわけじゃないが、お客さんから聞いた話しだと、角を生やしたり、全身が鱗に覆われてどんな武器の攻撃も通じない巨大な生物だとかなんとか……それに炎を口から吐くとも聞いたことがあるな。まぁ、あくまで噂だろうがな」
どうやら、こっちの世界でもドラゴンの姿かたちは似ているようだな。その話を聞いたリト君は目をキラキラと輝かせながら、鼻息が荒くなる。
「凄い! いつか見てみたいなぁ……ニンジン食べるのかな?」
リト君の無邪気な発想には時々ほっこりさせられる。ニンジン食べるドラゴンは可愛すぎるだろ。せいぜい子供のドラゴンだろうな食べるとしたら。俺はニコッと笑って、リト君の頭に手を置いた。
「ニンジン食べてくれるぐらい温厚だといいんだけどね」
おそらくドラゴンは獰猛な生き物に違いない。それに高度な知能を持ち、中には人の言葉を理解し、話す生き物の可能性だってある。俺は椅子に腰を深く掛けると、上を向いて軽くため息を吐く。この調子じゃ真実に辿り着くのはいつになるのやら。俺がしばらく思い悩んでいると、アルフレッドさんがコップに水を注ぎながらゆっくりと話始めた。
「いいか……ここは宿屋。ここは泊まる場所だぞ?」
「あぁ、そうですよね。長居してすみません」
俺は頭を下げて、椅子から立ち上がった。どうやら怒らせてしまったみたいだ。まぁ、拠点でゆっくり考えればいいか。
「武器屋は武器を売ったり、作ったりする場所だ」
「??」
アルフレッドさんは続けて話始める。
「村の人間に聞いたところで、わかるわけねぇだろ」
「あの~、アルフレッドさん、何をおっしゃってるのでしょうか?」
アルフレッドさんは頭をポリポリと掻きながら、めんどくさそうに話す。
「目には目を、歯に歯をだ……その道に行くにはその道のプロがいるだろう」
アルフレッドさんは何かを伝えようとしている? 俺は直感的にそう感じ取った。目には目を……、一体どういうことだ。宿屋は寝るところ……武器屋は武器を買う所……。俺は今からドラゴンを討伐しに行く、ドラゴンがどこにいるかを知ってる人間……ドラゴンと戦うのは……!
「あっ! 冒険者!」
アルフレッドさんはニィっと笑うと、受付に肘をついて前のめりに話始める。
「冒険者が集まるところなら知ってるぜ?」
冒険者が集まるところ……そう聞くと、俺の胸が妙に高揚を始める。胸の内がざわざわとするけど、不思議と嫌な気持ちではない。
俺は前のめりになり、アルフレッドさんに顔を近づける。そうだ、冒険者なら、色んな場所やモンスターに精通しているはず。俺がここで悩むより、遥かに効率的に情報も集められるぞ。こんな簡単なことに気づかなかったなんて。俺の視野狭すぎか!
「教えてください、アルフレッドさん!」
「ふん、ちょっと待ってな」
アルフレッドさんはそういうとしばらく厨房に消えた。そして、クルクルと巻いた紙を手に持ってやってきた。リト君は俺よりも興奮しながら、テーブルに身を乗せて、足をバタバタとさせている。
「持っていきな、王都までの地図だ。そこに行って冒険者の集会所ってとこに行けば何かわかるかもしれねぇぞ」
「これが、王都……の地図……?」
俺は興奮する気持ちを抑えながら、アルフレッドさんから、ギュッと握りしめるように地図を受け取った――
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