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26話 大幅強化! クエストがもたらした成果
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俺はアルフレッドさんから受け取った地図を両手でテーブルに広げた。地図はところどころが使い古されたように擦り切れている。地図も色あせているのか、インクが滲んでいて、判別しづらいが、目を細めれば問題は無さそうだ。そこには、フェルム村と王都までの道が記されていて、川と、森、そして王都が記されている。ここに記されている川は、リト君と初めて会った場所の川の事だろう。向こう側に渡れば、森が広範囲に広がっているようだ。この地図の通りだとかなりの距離を歩かないといけなくなりそうだな。
アルフレッドさんが腕を組みながら、少し得意げな表情を浮かべた。
「少し、見づらいだろうが……まぁ、無いよりはマシだろ」
「すごぉい! これが地図かぁ」
リト君は何度もテーブルに手をついて、ぴょんぴょんと跳ねあがる。興奮するリト君はとても危なっかしい。俺は椅子から、立ち上がると、リト君の両脇を抱えて、椅子にちょこんと座らせた。
「この地図にある、村のようなのがここフェルム村で……このお城のようなのが王都ですね」
俺が地図の上を指で示しながら、呟くように話す。アルフレッドさんは、まるで昨日王都に行ってきたかのように話を始める。
「王都はこの村とは比べ物にならねぇぐらい広大だぞ。武器屋も宿も、なんなら娯楽だって比じゃねぇ。驚いて心臓止まらねぇようにな」
「そんなデカいんですか?」
アルフレッドさんがニヤついた顔で脅してくるもんだから、俺もちょっと身構えてしまう。俺にとってはこの村も十分な広さを持っているように見えるが、この村に住んでいるアルフレッドさんが言うんだ。広大な土地が広がっている違いない。
「それで、どうするんだ? 村から王都までは少なくとも1日はかかっちまうぞ?」
1日……か。まぁ、それぐらいは許容範囲だな。拠点に戻って、旅に必要な食料と道具を一通り持っていけば大丈夫なはず。俺は小さく何度も頷き、アルフレッドさんの問いに答えた。
「あぁ、一日ぐらいなら、どこかに寝床を作ればなんとか大丈夫で――」
「寝ずに……だ」
……ん? 俺は一瞬思考が停止する。今、アルフレッドさんはなんと言った? 寝ずに……?
……!?
「寝ずに!?」
俺は目を見開き、呆然と立ち尽くした。アルフレッドさんは俺が驚いた顔に反射的にビクッと反応した後、心臓に手を当てながら答える。
「あぁ、寝ずに歩き続けて丸1日」
ってことは、少なくとも、夜に道を歩かないといけなくなるという事じゃないのか!? それはつまり……――
――モンスター達と戦闘をしなくてはいけなくなるという事。
現状の装備ではとても勝てそうにないぞ。鉄の剣は確かに心強いが、せめて防具の1つでも調達しておかないとな。あとで、ハンクさんにおねだりでもするか。
「う~ん、まぁ、何とかするしかないですよね」
俺は苦笑いを浮かべながら、地図をクルクルと巻くと、インベントリにしまい込む。とにかく、ドラゴンの情報は王都に行くほか集まりそうにない。そうと決まれば、王都に向かう前に旅の支度をしないといけないな。インベントリも整理して、スキルやステータスも強化しておかないと――
「ねぇ、ユウタおじさん、いなくなっちゃうの?」
椅子に座っているリト君がこちらを見上げ、悲しそうな表情を浮かべている。もしかしたらリト君は俺が居なくなると思っているのかもしれない。次第にリト君の目には薄っすらと涙が滲み出していた。俺は優しく微笑むと、リト君の頭にポンと手を置いた。
「いなくならないよ、ただ、しばらく会えなくなるかもしれないけど、必ず戻ってくるさ」
「どのくらい?」
「う~ん、とりあえず2週間ちょっとかな?」
俺は上を向いて、ざっと帰ってくる計算をして答える。話を聞いたリト君は表情がパッと明るくなり、椅子から勢いをつけて地面にピョンと着地した。
「わかった、絶対だよ!? 帰ってきたら王都の話を聞かせてね?」
「うん、約束するよ」
俺は小指をリト君にスッと差し出した。首を傾げるリト君に俺は優しく伝える。
「これはね”指切り”って言って、俺のいた世界ではこうやって、互いの小指と小指を絡めるんだ。『絶対に言ったことを守る』って意味合いでね。ちょっとだけ特別な約束の仕方って言ったらいいのかな?」
リト君はそう言うと、小指を出してきた。……が、向きが俺と同じで、まるでハイタッチでもしようとしているみたいだ。指切りの仕方がわかっていないらしく、首をかしげながら俺の手をじっと見つめてくる。俺は思わず笑って、リト君の反対の手を優しく取り、自分の小指に絡めてあげた。
「こうして、絡めたら、おまじないの言葉を言うんだ。『指切りしましょ、嘘ついたら針千本の~ます、指切った』そしたら指を離す、これで大事な約束になったよ」
受付の奥で、アルフレッドさんが怪訝な顔でこちらを見つめている。
「針千本飲ますっておっかねぇな。どんなおまじないだよ……」
しかし、アルフレッドさんの反応とは真逆で、リト君は物凄く嬉しそうな表情を浮かべている。余程、この指切りが気に入ったのか、リト君は目をキラキラさせて、両手を胸元でギュッと握りしめると、笑顔を浮かべた。まるで世界に一つだけの宝物をもらったかのような、そんな表情だった。
「ユウタおじさん、気をつけてね?」
リト君はそう言い残すと、小さな足音を響かせて受付奥の部屋へと消えていった。あの軽やかな背中は、まるで俺に“いってらっしゃい”と全力で伝えてくれているようだった。
俺は視線を受付に戻して、カウンター越しにアルフレッドさんを見上げる。
「ねぇ、アルフレッドさん……その王都の名前って――」
一拍の間が流れた。アルフレッドさんは両手を腰に当て、ゆっくりと顔を上げると、いつになく真剣な目で俺を見つめた。
「――ベルナールだ。王都ベルナール」
その名前を聞いた瞬間、心の奥底に灯った火が、ぽっと少しだけ大きくなった気がした。【王都ベルナール】……一体どんな場所なんだろうか。俺はゆっくりと頭を下げて、宿を後にした――
――宿を出た俺は、再び武器屋に向かい、ハンクさんに格安で防具を売ってもらった。銀貨を2枚使うことになってしまったが、皮でできた兜、鎧、そして木製の盾を装備することができたのは今日一番の収穫と言っていいだろう。武器屋を出る時のハンクさんが「旅に危険はつきものだ、絶対無理をするんじゃないぞ?」と励ましてくれた時は背中を押されたな。結局、装備を一式揃えさせてもらったハンクさんには感謝しかない。
俺はそのままの足で拠点に戻り、保管箱に向かうと、荷物の整理を始めた。初めての旅だからこそ、慎重に行く必要がある。野宿をすることを計算に入れての数日間の食料、何かあった時の為の木材と回復薬を作るためのすり鉢、必須の地図、辺りを照らす松明と火打石、そして戦闘用の装備一式……。念入りにチェックを重ねていると、いつの間にか日は沈んでいた。
〈インベントリ〉
パン:12
木材:32
松明:32
火打石:1
すり鉢:1
ベルナールの地図:1
〈装備〉
右手 鉄の剣:100/100
左手 木の盾:10/10
頭 皮の兜:50/50
体 皮の鎧:50/50
うん、いい感じ。見た目は新米の冒険者っぽいがそこは仕方ない、今後もっといい武器や装備が手に入れば貫禄も出てくるだろう。回復薬は道中で森に入るから、そこで調達しよう。道具屋で購入も考えたが、既に銀貨を全て消費してしまってるし、ベルナールで、資金が無くなってしまうのは絶対に困る。次はステータスの振り分けか……。今回のクエストはドラゴンの討伐、戦闘が必須となる以上、強化をしないわけにはいかない。まずは戦闘に直結するであろう、体力、筋力、敏捷を20ずつに強化。残りは感性と魅力に万遍なく振り分ける。
スキルは戦闘系、探索系、パッシブ系のスキルを優先的に獲得していこう。特に必要なスキルは攻撃力が純粋に上がったり、夜でも視界が確保できたりするものがいいな。俺はスキルタブを開き、熟考の末、スキルポイントを全部使い切った。
【中島佑太】
レベル:20 スキルポイント:0(42→0) 能力値振り分け:0(46→0)
体力:20(10→20)
筋力:20(7→20)
敏捷:20(5→20)
技術:10
感性:9(5→9)
魅力:9(5→9)
経験値:195/210(Lv21まで残り15)
▮▮▮▮▮▮▮▮▮▯
金貨:0 銀貨:0 銅貨:170
〈スキル〉所有:16個
[戦闘]攻撃力強化Lv2、動体視力+、
[採集]選別眼、発見Lv1
[生活]体調管理、空腹減少、応急処置
[クラフト]クラフトLv2
[探索]水中呼吸Lv1、暗視Lv1、索敵Lv1、危険察知
[パッシブ]炎耐性、火傷無効、感染耐性、ストックLv1
我ながら、完璧だろ。特にドラゴンが戦いで使ってくるであろう、炎への対策はバッチリだ。アルフレッドさんから、ドラゴンの話を聞いておいて正解だったかもしれないな。王都までの旅への準備も万端、戦闘スキルも抜かりはない。とはいえ、これでドラゴンを倒せるかどうかは、正直のところわからない。なにせ、伝説の生き物だ、これだけ強化しても歯が立たない可能性だってある。
危ない橋を渡りたくはないが、目の前に全ての男の子が夢に描いたであろう生き物が存在するのなら、会ってみたいと思うのが性ってもんだろ。たとえそれが、どんなに危険だったとしても好奇心に勝るものはない。
「まぁ、危なかったら普通に諦めるけどな……」
俺はフッと鼻で笑った。35歳ですから……、立派な大人なんだよな。好奇心よりも理性が働くから……。自分で自分にツッコミを入れて、俺はベッドに横たわった。今日はすでに日も暮れてる。外にはゾンビがうろついていることだろう。わざわざ今から外に出て旅をする必要もない。出発は明日の朝にし、ゆっくりと瞼を閉じた――
――朝になり、朝日が森に差し込む中、俺は拠点で出発の準備をしていた。地図を片手に、武器を持って、拠点の扉を開ける。まるでこれからの新たな門出を祝うかのように、太陽の光は森全体に優しく平等に降り注いだ。俺は首を左右に傾け骨を鳴らすと、大きく深呼吸をする。
「よし……行くか」
決意を固め、俺は王都ベルナールへ、足を進めた――
――――――――――
※今回獲得したスキル説明(読みたくない人はスルーしてくださいね)
〈攻撃力強化Lv2〉
消費ポイント:8(攻撃力強化Lv1のポイントを合算してます)
効果:攻撃力+10%
〈動体視力+〉
消費ポイント:5
効果:動体視力+10%向上
〈空腹減少〉
消費ポイント:2
効果:スタミナ消費-10%減少
〈応急処置〉
消費ポイント:5
効果:簡単な傷を治せるようになる。
〈水中呼吸Lv1〉
消費ポイント:3
効果:水中での呼吸+10秒
〈暗視Lv1〉
消費ポイント:3
効果:暗闇での視野+10%
〈索敵Lv1〉
消費ポイント:3
効果:10m以内のモンスターを探知しやすくなる。
〈危険察知〉
消費ポイント:3
効果:5m以内の危険を察知しやすくなる。
〈炎耐性〉
消費ポイント:5
効果:炎のダメージ-50%
〈火傷無効〉
消費ポイント:5
効果:火傷をしなくなる。
アルフレッドさんが腕を組みながら、少し得意げな表情を浮かべた。
「少し、見づらいだろうが……まぁ、無いよりはマシだろ」
「すごぉい! これが地図かぁ」
リト君は何度もテーブルに手をついて、ぴょんぴょんと跳ねあがる。興奮するリト君はとても危なっかしい。俺は椅子から、立ち上がると、リト君の両脇を抱えて、椅子にちょこんと座らせた。
「この地図にある、村のようなのがここフェルム村で……このお城のようなのが王都ですね」
俺が地図の上を指で示しながら、呟くように話す。アルフレッドさんは、まるで昨日王都に行ってきたかのように話を始める。
「王都はこの村とは比べ物にならねぇぐらい広大だぞ。武器屋も宿も、なんなら娯楽だって比じゃねぇ。驚いて心臓止まらねぇようにな」
「そんなデカいんですか?」
アルフレッドさんがニヤついた顔で脅してくるもんだから、俺もちょっと身構えてしまう。俺にとってはこの村も十分な広さを持っているように見えるが、この村に住んでいるアルフレッドさんが言うんだ。広大な土地が広がっている違いない。
「それで、どうするんだ? 村から王都までは少なくとも1日はかかっちまうぞ?」
1日……か。まぁ、それぐらいは許容範囲だな。拠点に戻って、旅に必要な食料と道具を一通り持っていけば大丈夫なはず。俺は小さく何度も頷き、アルフレッドさんの問いに答えた。
「あぁ、一日ぐらいなら、どこかに寝床を作ればなんとか大丈夫で――」
「寝ずに……だ」
……ん? 俺は一瞬思考が停止する。今、アルフレッドさんはなんと言った? 寝ずに……?
……!?
「寝ずに!?」
俺は目を見開き、呆然と立ち尽くした。アルフレッドさんは俺が驚いた顔に反射的にビクッと反応した後、心臓に手を当てながら答える。
「あぁ、寝ずに歩き続けて丸1日」
ってことは、少なくとも、夜に道を歩かないといけなくなるという事じゃないのか!? それはつまり……――
――モンスター達と戦闘をしなくてはいけなくなるという事。
現状の装備ではとても勝てそうにないぞ。鉄の剣は確かに心強いが、せめて防具の1つでも調達しておかないとな。あとで、ハンクさんにおねだりでもするか。
「う~ん、まぁ、何とかするしかないですよね」
俺は苦笑いを浮かべながら、地図をクルクルと巻くと、インベントリにしまい込む。とにかく、ドラゴンの情報は王都に行くほか集まりそうにない。そうと決まれば、王都に向かう前に旅の支度をしないといけないな。インベントリも整理して、スキルやステータスも強化しておかないと――
「ねぇ、ユウタおじさん、いなくなっちゃうの?」
椅子に座っているリト君がこちらを見上げ、悲しそうな表情を浮かべている。もしかしたらリト君は俺が居なくなると思っているのかもしれない。次第にリト君の目には薄っすらと涙が滲み出していた。俺は優しく微笑むと、リト君の頭にポンと手を置いた。
「いなくならないよ、ただ、しばらく会えなくなるかもしれないけど、必ず戻ってくるさ」
「どのくらい?」
「う~ん、とりあえず2週間ちょっとかな?」
俺は上を向いて、ざっと帰ってくる計算をして答える。話を聞いたリト君は表情がパッと明るくなり、椅子から勢いをつけて地面にピョンと着地した。
「わかった、絶対だよ!? 帰ってきたら王都の話を聞かせてね?」
「うん、約束するよ」
俺は小指をリト君にスッと差し出した。首を傾げるリト君に俺は優しく伝える。
「これはね”指切り”って言って、俺のいた世界ではこうやって、互いの小指と小指を絡めるんだ。『絶対に言ったことを守る』って意味合いでね。ちょっとだけ特別な約束の仕方って言ったらいいのかな?」
リト君はそう言うと、小指を出してきた。……が、向きが俺と同じで、まるでハイタッチでもしようとしているみたいだ。指切りの仕方がわかっていないらしく、首をかしげながら俺の手をじっと見つめてくる。俺は思わず笑って、リト君の反対の手を優しく取り、自分の小指に絡めてあげた。
「こうして、絡めたら、おまじないの言葉を言うんだ。『指切りしましょ、嘘ついたら針千本の~ます、指切った』そしたら指を離す、これで大事な約束になったよ」
受付の奥で、アルフレッドさんが怪訝な顔でこちらを見つめている。
「針千本飲ますっておっかねぇな。どんなおまじないだよ……」
しかし、アルフレッドさんの反応とは真逆で、リト君は物凄く嬉しそうな表情を浮かべている。余程、この指切りが気に入ったのか、リト君は目をキラキラさせて、両手を胸元でギュッと握りしめると、笑顔を浮かべた。まるで世界に一つだけの宝物をもらったかのような、そんな表情だった。
「ユウタおじさん、気をつけてね?」
リト君はそう言い残すと、小さな足音を響かせて受付奥の部屋へと消えていった。あの軽やかな背中は、まるで俺に“いってらっしゃい”と全力で伝えてくれているようだった。
俺は視線を受付に戻して、カウンター越しにアルフレッドさんを見上げる。
「ねぇ、アルフレッドさん……その王都の名前って――」
一拍の間が流れた。アルフレッドさんは両手を腰に当て、ゆっくりと顔を上げると、いつになく真剣な目で俺を見つめた。
「――ベルナールだ。王都ベルナール」
その名前を聞いた瞬間、心の奥底に灯った火が、ぽっと少しだけ大きくなった気がした。【王都ベルナール】……一体どんな場所なんだろうか。俺はゆっくりと頭を下げて、宿を後にした――
――宿を出た俺は、再び武器屋に向かい、ハンクさんに格安で防具を売ってもらった。銀貨を2枚使うことになってしまったが、皮でできた兜、鎧、そして木製の盾を装備することができたのは今日一番の収穫と言っていいだろう。武器屋を出る時のハンクさんが「旅に危険はつきものだ、絶対無理をするんじゃないぞ?」と励ましてくれた時は背中を押されたな。結局、装備を一式揃えさせてもらったハンクさんには感謝しかない。
俺はそのままの足で拠点に戻り、保管箱に向かうと、荷物の整理を始めた。初めての旅だからこそ、慎重に行く必要がある。野宿をすることを計算に入れての数日間の食料、何かあった時の為の木材と回復薬を作るためのすり鉢、必須の地図、辺りを照らす松明と火打石、そして戦闘用の装備一式……。念入りにチェックを重ねていると、いつの間にか日は沈んでいた。
〈インベントリ〉
パン:12
木材:32
松明:32
火打石:1
すり鉢:1
ベルナールの地図:1
〈装備〉
右手 鉄の剣:100/100
左手 木の盾:10/10
頭 皮の兜:50/50
体 皮の鎧:50/50
うん、いい感じ。見た目は新米の冒険者っぽいがそこは仕方ない、今後もっといい武器や装備が手に入れば貫禄も出てくるだろう。回復薬は道中で森に入るから、そこで調達しよう。道具屋で購入も考えたが、既に銀貨を全て消費してしまってるし、ベルナールで、資金が無くなってしまうのは絶対に困る。次はステータスの振り分けか……。今回のクエストはドラゴンの討伐、戦闘が必須となる以上、強化をしないわけにはいかない。まずは戦闘に直結するであろう、体力、筋力、敏捷を20ずつに強化。残りは感性と魅力に万遍なく振り分ける。
スキルは戦闘系、探索系、パッシブ系のスキルを優先的に獲得していこう。特に必要なスキルは攻撃力が純粋に上がったり、夜でも視界が確保できたりするものがいいな。俺はスキルタブを開き、熟考の末、スキルポイントを全部使い切った。
【中島佑太】
レベル:20 スキルポイント:0(42→0) 能力値振り分け:0(46→0)
体力:20(10→20)
筋力:20(7→20)
敏捷:20(5→20)
技術:10
感性:9(5→9)
魅力:9(5→9)
経験値:195/210(Lv21まで残り15)
▮▮▮▮▮▮▮▮▮▯
金貨:0 銀貨:0 銅貨:170
〈スキル〉所有:16個
[戦闘]攻撃力強化Lv2、動体視力+、
[採集]選別眼、発見Lv1
[生活]体調管理、空腹減少、応急処置
[クラフト]クラフトLv2
[探索]水中呼吸Lv1、暗視Lv1、索敵Lv1、危険察知
[パッシブ]炎耐性、火傷無効、感染耐性、ストックLv1
我ながら、完璧だろ。特にドラゴンが戦いで使ってくるであろう、炎への対策はバッチリだ。アルフレッドさんから、ドラゴンの話を聞いておいて正解だったかもしれないな。王都までの旅への準備も万端、戦闘スキルも抜かりはない。とはいえ、これでドラゴンを倒せるかどうかは、正直のところわからない。なにせ、伝説の生き物だ、これだけ強化しても歯が立たない可能性だってある。
危ない橋を渡りたくはないが、目の前に全ての男の子が夢に描いたであろう生き物が存在するのなら、会ってみたいと思うのが性ってもんだろ。たとえそれが、どんなに危険だったとしても好奇心に勝るものはない。
「まぁ、危なかったら普通に諦めるけどな……」
俺はフッと鼻で笑った。35歳ですから……、立派な大人なんだよな。好奇心よりも理性が働くから……。自分で自分にツッコミを入れて、俺はベッドに横たわった。今日はすでに日も暮れてる。外にはゾンビがうろついていることだろう。わざわざ今から外に出て旅をする必要もない。出発は明日の朝にし、ゆっくりと瞼を閉じた――
――朝になり、朝日が森に差し込む中、俺は拠点で出発の準備をしていた。地図を片手に、武器を持って、拠点の扉を開ける。まるでこれからの新たな門出を祝うかのように、太陽の光は森全体に優しく平等に降り注いだ。俺は首を左右に傾け骨を鳴らすと、大きく深呼吸をする。
「よし……行くか」
決意を固め、俺は王都ベルナールへ、足を進めた――
――――――――――
※今回獲得したスキル説明(読みたくない人はスルーしてくださいね)
〈攻撃力強化Lv2〉
消費ポイント:8(攻撃力強化Lv1のポイントを合算してます)
効果:攻撃力+10%
〈動体視力+〉
消費ポイント:5
効果:動体視力+10%向上
〈空腹減少〉
消費ポイント:2
効果:スタミナ消費-10%減少
〈応急処置〉
消費ポイント:5
効果:簡単な傷を治せるようになる。
〈水中呼吸Lv1〉
消費ポイント:3
効果:水中での呼吸+10秒
〈暗視Lv1〉
消費ポイント:3
効果:暗闇での視野+10%
〈索敵Lv1〉
消費ポイント:3
効果:10m以内のモンスターを探知しやすくなる。
〈危険察知〉
消費ポイント:3
効果:5m以内の危険を察知しやすくなる。
〈炎耐性〉
消費ポイント:5
効果:炎のダメージ-50%
〈火傷無効〉
消費ポイント:5
効果:火傷をしなくなる。
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