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地下へと続く闇の階段
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渓谷の霧を抜け、暗黒の階段を見つけたリクトたちは、一列になって慎重に降りていった。足元は石でできており、湿気を帯びて滑りやすい。階段を照らす光はアークが持つランタンだけで、その明かりが壁に怪しい影を映し出す。
リクトは先頭を歩きながら周囲に注意を払い続けた。石壁には古い文字が刻まれているが、それを読む余裕はない。ただ、進むほどに空気が重くなり、冷たさが増していくのを感じていた。
「ずいぶん深くまで続いているわね……これ、どこまで降りるんだろう」
アイシャの声が緊張でやや震えていた。
「気にするな。足を滑らせたらおしまいだ。集中して進め」
ガロンが後ろから低い声で応える。
降り続けてどれほどの時間が経っただろうか。ついに階段が平らな通路へと変わり、その先に大きな空間が広がっていた。リクトたちは息を呑む。そこには信じられないほど巨大な地下遺跡が広がっていたのだ。
遺跡の中央には円形の祭壇があり、その周囲を囲むようにして幾何学模様の床が描かれている。天井には無数の結晶が輝き、弱い光を放っていた。それが幻想的な雰囲気を醸し出しているが、不気味さも伴っている。
「こんな場所が地底にあったなんて……」
リナが感嘆の声を漏らした。
「ここはただの遺跡じゃないな。何かがこの場所を守っている……その気配を感じる」
アークが鋭い目つきで周囲を見渡す。
リクトは中央の祭壇に歩み寄り、その上に置かれている古びた本を見つけた。分厚いその本は、表紙が革で覆われており、中央には不気味な紋章が刻まれている。
「これが何かの手がかりかもしれない」
リクトが本を開こうとすると、突然祭壇が震え始めた。
遺跡全体が揺れ動き、天井の結晶が共鳴するように光を放つ。リクトたちは慌てて武器を構えた。祭壇の光が強くなり、そこから現れたのは、岩と金属が融合したような巨大な守護者だった。その目は赤く輝き、リクトたちを見据えている。
「また出たな……守護者ってやつか!」
ガロンが斧を構え、前に出る。
「普通の攻撃じゃ通じないかもしれない。祭壇の力が関係しているんじゃないかしら?」
リナが指摘する。
「俺が囮になる。その間に祭壇を調べろ!」
リクトが叫び、守護者に向かって剣を構えた。
守護者は巨大な腕を振り上げ、リクトに向かって振り下ろした。リクトはそれをギリギリでかわし、剣で反撃を試みるが、刃は硬い装甲に弾かれる。アイシャが矢を放ち、アークが剣で関節部を狙うが、いずれも致命傷にはならなかった。
「これじゃ埒が明かない……!」
アークが苦々しく言った。
その間にリナが祭壇を調べ、古びた本の中に描かれている模様と、床の幾何学模様が一致していることに気づいた。
「この模様、何か意味があるはず……もしかして、これを動かせば守護者を止められるんじゃない?」
リナが叫ぶ。
「分かった!俺たちが時間を稼ぐ!」
リクトが叫び、再び守護者の注意を引きつけた。
リナは本に描かれた模様を頼りに、床の上を走り回りながらその形を辿る。模様は円環状になっており、その一部が欠けているように見えた。
「ここだ……!この欠けた部分を埋めればいいのね!」
リナは腰袋から小さな光る石を取り出し、それを模様の中にはめ込んだ。
その瞬間、遺跡全体が眩い光に包まれた。守護者が苦しむような音を上げ、その動きが止まる。
「やったか……?」
リクトが剣を構えたまま警戒する。
守護者は崩れ落ち、ただの岩の塊となって動かなくなった。遺跡の震動も収まり、静寂が戻る。
「リナ、よくやったな」
リクトが息をつきながらリナに声をかける。
「まさかこんな仕掛けがあるなんてね……でも、この遺跡にはまだ何か隠されている気がする」
リナが本を抱えながら言った。
「俺たち、どうする?これ以上奥に進むのか?」
ガロンが尋ねる。
「もちろんだ。この遺跡が災厄の手がかりなら、最後まで調べる必要がある」
リクトの言葉に全員が頷き、再び奥へと進む準備を整えた。
リクトは先頭を歩きながら周囲に注意を払い続けた。石壁には古い文字が刻まれているが、それを読む余裕はない。ただ、進むほどに空気が重くなり、冷たさが増していくのを感じていた。
「ずいぶん深くまで続いているわね……これ、どこまで降りるんだろう」
アイシャの声が緊張でやや震えていた。
「気にするな。足を滑らせたらおしまいだ。集中して進め」
ガロンが後ろから低い声で応える。
降り続けてどれほどの時間が経っただろうか。ついに階段が平らな通路へと変わり、その先に大きな空間が広がっていた。リクトたちは息を呑む。そこには信じられないほど巨大な地下遺跡が広がっていたのだ。
遺跡の中央には円形の祭壇があり、その周囲を囲むようにして幾何学模様の床が描かれている。天井には無数の結晶が輝き、弱い光を放っていた。それが幻想的な雰囲気を醸し出しているが、不気味さも伴っている。
「こんな場所が地底にあったなんて……」
リナが感嘆の声を漏らした。
「ここはただの遺跡じゃないな。何かがこの場所を守っている……その気配を感じる」
アークが鋭い目つきで周囲を見渡す。
リクトは中央の祭壇に歩み寄り、その上に置かれている古びた本を見つけた。分厚いその本は、表紙が革で覆われており、中央には不気味な紋章が刻まれている。
「これが何かの手がかりかもしれない」
リクトが本を開こうとすると、突然祭壇が震え始めた。
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「また出たな……守護者ってやつか!」
ガロンが斧を構え、前に出る。
「普通の攻撃じゃ通じないかもしれない。祭壇の力が関係しているんじゃないかしら?」
リナが指摘する。
「俺が囮になる。その間に祭壇を調べろ!」
リクトが叫び、守護者に向かって剣を構えた。
守護者は巨大な腕を振り上げ、リクトに向かって振り下ろした。リクトはそれをギリギリでかわし、剣で反撃を試みるが、刃は硬い装甲に弾かれる。アイシャが矢を放ち、アークが剣で関節部を狙うが、いずれも致命傷にはならなかった。
「これじゃ埒が明かない……!」
アークが苦々しく言った。
その間にリナが祭壇を調べ、古びた本の中に描かれている模様と、床の幾何学模様が一致していることに気づいた。
「この模様、何か意味があるはず……もしかして、これを動かせば守護者を止められるんじゃない?」
リナが叫ぶ。
「分かった!俺たちが時間を稼ぐ!」
リクトが叫び、再び守護者の注意を引きつけた。
リナは本に描かれた模様を頼りに、床の上を走り回りながらその形を辿る。模様は円環状になっており、その一部が欠けているように見えた。
「ここだ……!この欠けた部分を埋めればいいのね!」
リナは腰袋から小さな光る石を取り出し、それを模様の中にはめ込んだ。
その瞬間、遺跡全体が眩い光に包まれた。守護者が苦しむような音を上げ、その動きが止まる。
「やったか……?」
リクトが剣を構えたまま警戒する。
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リクトの言葉に全員が頷き、再び奥へと進む準備を整えた。
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