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転生したからの仲間集めよう
森の中で冒険者さんに出会った
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「驚かせてごめんな」
木々の切れ目から手を振りながら声をかけた。
相手はやはり冒険者なのだろう、二十歳に届いて居なさそうな男性三人、女性二人のグループでこちらを警戒している。軽鎧に西洋剣を腰に差している男性が訝しげに
「一人か?」
と問いかけてきたので、あまりこの辺りを単独行動する奴は居ないのだろうと察した。
「ああ。旅の途中なのだが、つい採取に夢中になっていたら奥まで入ってしまったみたいだ」
「手ぶらに見えるが?」
ここは日本ではない。簡単に信じてはもらえない。
斜めがけしたボディバッグを背中側から前側へと移動してポンポン叩き、内緒だよと人差し指を口元に立てた。仕草の意味は共通だったようで納得してくれたようだ。
サイ様特製アイテムバッグ容量中。【収納】のスキルを悪用するために誘拐されることがあるらしいので、カモフラージュ的に用意してくれた物だ。そのほか、黒や濃紺ベースで衣服は整えられている。ゲームにあるような貫頭衣で放り出されるようなことはなかった。
「初心者の森と言われてるけど、軽率過ぎだぜ。兄さん」
近所のお姉様方や、飲み屋の女将くらいにしか最近読んでもらえてなかった敬称にちょっと感動。今のオレ22歳だった。
「ホントだよな、夢中になったら周りが見えなくなっちまうから毎回反省してる。しているだけだから繰り返してしまうんだけど。オレはアマネっていうんだ、街まで戻るならご一緒してくれないか?」
MAPの広範囲表示で青い点が集合体として大きい丸になっている場所をみつけてあるので、断られても構いはしなかったのだけれど、会話の糸口として訊いてみた。
「少し待ってくれ」
剣を携えている彼がリーダーなのだろう、オレとの会話は彼だけなのだが決定権は相談してからというスタンスに微笑ましさを感じた。ただ一人、話し合いに参加させてもらえない少年がいるのが不思議だった。
「飲み水を分けてもらるなら」
ダンと名乗ったリーダー格の男が出した条件は、とても簡単なことだった。サイ様は生活魔法は誰でも使えると言っていたのだから。
後に紹介して貰ったのだが斥候で弓使いの男性エルマ、女性二人は魔法士のタユラと狩人のサエ、ダンは予想通り剣士で四人でパーティーを組んでいるそうだ。残りの十代半ばにも満たなさそうな少年の紹介を待っていると、
「こいつはポーターで雇ったやつだよ。駆け出し冒険者の俺たちは、アマネみたいな良いバッグ持てないからな、冒険者ギルドが奴隷を買い取って俺たちに安く貸し出すんだ」
少年は無表情のままだった。奴隷制度やっぱり有るんだな。
物語で普通に読んでいたけれど、目の前に本物が現れるとなんとも言えない気持ちになった。可哀想とか簡単に言えることではないし、人権侵害だと憤るような気概もない。あるがままに受け入れるしかない。
オレは五人全員の水袋を生活魔法の飲料水で満タンに満たしてやった。ついでに自分でも口にそのまま噴射して飲む。
ポーターの子は自分まで良いのかと瞳を見開き驚いていたが、そこは元は日本人でおっさんだ。区別も差別もしないぞ、子供への贔屓はするぞ、遠慮無く飲んでくれ。水分なんて空気中にたんまり有るのだから気にすんな。ニカッって感じで笑いかけてやるとぺこりと頭を下げる少年。こんくらいしか出来ない、逆にごめんな。
ダン達はダン達で、こんなに水を出して魔力切れ大丈夫なのかと心配してきた。
彼らはゴブリンの集団に遭遇してしまい、戦闘自体は問題なく終えることが出来たのだが、体力の消耗が著しく持参した水を飲み干してしまったそうだ。ここでいったん休憩して水場でも探そうと話し合っていたらしい。
「生活魔法だから魔力はそんな使わないよ、みんなは魔力温存で使ってないのか?」
もともとオレの魔力量は多いっぽい。数値化できてないけど、サイ様監修のオレの身体はその辺も優秀なのである。だけど生活魔法は魔力が少ない人でも使える魔法だと教わった。違うのか?
「その鞄があるから少しでも分けてもらえればと思っただけなんだ。生活魔法なんて聞いたことないぜ、タユラ知ってたか?」
ダンは魔法士であるタユラに話を向けるけれども、彼女は首を横に振る。
「知らない。私は水魔法の特性ないから、そんなのがあるなら凄く知りたい」
無口っぽいのに必死で訴え掛けてきた。たまたま今日会っただけの人間に魔法教えるのは難しい。
「オレに教えてくれた魔法使いはよっぽど天才だったんだろうな、さすがにオレは他人に教えられるだけの技術ないし時間も無いし、ごめんな」
タユラは恨めしそうな眼でこちらを見つつ、諦めてくれた。
「そろそろ太陽が引き返せっていってるぜ。街までは二刻くらいかかるからな、アマネ」
「了解。足手纏いにならないようがんばるよ」
街までの帰り道、ホーンラビットが二羽とゴブリン三匹と遭遇したが危なげなく外門までたどり着いた。オレはポーターの仕事は手伝わなかったよ、次に繋がれば稼ぎになるからな。
「ありがとう。オレは手続きとか長そうだからここまでで。また機会があったらよろしく」
そう言うと、彼らは「またな」と冒険者専用門へと足を向けていった。ギルドカードでストレスなく出入りできるのだそうだ。
さてと、このロランディアという街で良い出会いがあると良いな。
その前に、門で足止め食らわないよう真摯に対応しないとな。
木々の切れ目から手を振りながら声をかけた。
相手はやはり冒険者なのだろう、二十歳に届いて居なさそうな男性三人、女性二人のグループでこちらを警戒している。軽鎧に西洋剣を腰に差している男性が訝しげに
「一人か?」
と問いかけてきたので、あまりこの辺りを単独行動する奴は居ないのだろうと察した。
「ああ。旅の途中なのだが、つい採取に夢中になっていたら奥まで入ってしまったみたいだ」
「手ぶらに見えるが?」
ここは日本ではない。簡単に信じてはもらえない。
斜めがけしたボディバッグを背中側から前側へと移動してポンポン叩き、内緒だよと人差し指を口元に立てた。仕草の意味は共通だったようで納得してくれたようだ。
サイ様特製アイテムバッグ容量中。【収納】のスキルを悪用するために誘拐されることがあるらしいので、カモフラージュ的に用意してくれた物だ。そのほか、黒や濃紺ベースで衣服は整えられている。ゲームにあるような貫頭衣で放り出されるようなことはなかった。
「初心者の森と言われてるけど、軽率過ぎだぜ。兄さん」
近所のお姉様方や、飲み屋の女将くらいにしか最近読んでもらえてなかった敬称にちょっと感動。今のオレ22歳だった。
「ホントだよな、夢中になったら周りが見えなくなっちまうから毎回反省してる。しているだけだから繰り返してしまうんだけど。オレはアマネっていうんだ、街まで戻るならご一緒してくれないか?」
MAPの広範囲表示で青い点が集合体として大きい丸になっている場所をみつけてあるので、断られても構いはしなかったのだけれど、会話の糸口として訊いてみた。
「少し待ってくれ」
剣を携えている彼がリーダーなのだろう、オレとの会話は彼だけなのだが決定権は相談してからというスタンスに微笑ましさを感じた。ただ一人、話し合いに参加させてもらえない少年がいるのが不思議だった。
「飲み水を分けてもらるなら」
ダンと名乗ったリーダー格の男が出した条件は、とても簡単なことだった。サイ様は生活魔法は誰でも使えると言っていたのだから。
後に紹介して貰ったのだが斥候で弓使いの男性エルマ、女性二人は魔法士のタユラと狩人のサエ、ダンは予想通り剣士で四人でパーティーを組んでいるそうだ。残りの十代半ばにも満たなさそうな少年の紹介を待っていると、
「こいつはポーターで雇ったやつだよ。駆け出し冒険者の俺たちは、アマネみたいな良いバッグ持てないからな、冒険者ギルドが奴隷を買い取って俺たちに安く貸し出すんだ」
少年は無表情のままだった。奴隷制度やっぱり有るんだな。
物語で普通に読んでいたけれど、目の前に本物が現れるとなんとも言えない気持ちになった。可哀想とか簡単に言えることではないし、人権侵害だと憤るような気概もない。あるがままに受け入れるしかない。
オレは五人全員の水袋を生活魔法の飲料水で満タンに満たしてやった。ついでに自分でも口にそのまま噴射して飲む。
ポーターの子は自分まで良いのかと瞳を見開き驚いていたが、そこは元は日本人でおっさんだ。区別も差別もしないぞ、子供への贔屓はするぞ、遠慮無く飲んでくれ。水分なんて空気中にたんまり有るのだから気にすんな。ニカッって感じで笑いかけてやるとぺこりと頭を下げる少年。こんくらいしか出来ない、逆にごめんな。
ダン達はダン達で、こんなに水を出して魔力切れ大丈夫なのかと心配してきた。
彼らはゴブリンの集団に遭遇してしまい、戦闘自体は問題なく終えることが出来たのだが、体力の消耗が著しく持参した水を飲み干してしまったそうだ。ここでいったん休憩して水場でも探そうと話し合っていたらしい。
「生活魔法だから魔力はそんな使わないよ、みんなは魔力温存で使ってないのか?」
もともとオレの魔力量は多いっぽい。数値化できてないけど、サイ様監修のオレの身体はその辺も優秀なのである。だけど生活魔法は魔力が少ない人でも使える魔法だと教わった。違うのか?
「その鞄があるから少しでも分けてもらえればと思っただけなんだ。生活魔法なんて聞いたことないぜ、タユラ知ってたか?」
ダンは魔法士であるタユラに話を向けるけれども、彼女は首を横に振る。
「知らない。私は水魔法の特性ないから、そんなのがあるなら凄く知りたい」
無口っぽいのに必死で訴え掛けてきた。たまたま今日会っただけの人間に魔法教えるのは難しい。
「オレに教えてくれた魔法使いはよっぽど天才だったんだろうな、さすがにオレは他人に教えられるだけの技術ないし時間も無いし、ごめんな」
タユラは恨めしそうな眼でこちらを見つつ、諦めてくれた。
「そろそろ太陽が引き返せっていってるぜ。街までは二刻くらいかかるからな、アマネ」
「了解。足手纏いにならないようがんばるよ」
街までの帰り道、ホーンラビットが二羽とゴブリン三匹と遭遇したが危なげなく外門までたどり着いた。オレはポーターの仕事は手伝わなかったよ、次に繋がれば稼ぎになるからな。
「ありがとう。オレは手続きとか長そうだからここまでで。また機会があったらよろしく」
そう言うと、彼らは「またな」と冒険者専用門へと足を向けていった。ギルドカードでストレスなく出入りできるのだそうだ。
さてと、このロランディアという街で良い出会いがあると良いな。
その前に、門で足止め食らわないよう真摯に対応しないとな。
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