上 下
17 / 43
そうだ!奴隷を買おう

第一奴隷:リン(*)

しおりを挟む
「まずは夕飯にしない……よね。分かった、話をしよう」
 持ってきた夕飯セットは全て無限収納へ送る。時間停止なのであとでも暖かく食べられるだろう。
 それどころでは無いだろうと一睨みされたのでリビングへと誘導する。いったん落ち着いたリンはまたもやキョロキョロでカワイイ。クールビューティーとのギャップ萌えである。
 自慢のソファへと腰を落とすと、彼は迷わずオレの隣に腰掛けた。必要以上に近づいてますよね?話し難いよ、リンさん。
 オレの腕を取って、自分の腰へ廻すのはどのような意図なのでしょう。魅了魔法は効かないって分かってるだろうに再挑戦かましてくる。
「そんなことしても無駄だよ、そのことも逃げないで説明するから話を聴いて」
「わかりました、話してください」
 露骨に不満だと表情に出し、丁寧な言葉で応じてくる。
「そのしゃべり方はわざとなの、面倒くさいなら普通に戻してくれていいんだけど」
「そうですね、奴隷落ちとなってしまってから抵抗の意味で使い始めました。50年近く使っていますので面倒ということは無いです。むしろ性格に合っている気がしていますよ」
 ああ、インテリっぽいもんね。サラッと人生の半分奴隷だと言ってるし……苦じゃ無いなら好きにすれば良い。
「ん、自由にしてくれて良いよ。では自己紹介からするから、全部聴いてから質問受け付けることにしよう。オレ自身もツッコミどころ多いと思っているからね、遠慮無くどうぞ。その後はリンのこと教えてね」
 興味津々と目を輝かせるのを見ていると、自然と笑顔になってしまう。独りじゃ無いって実感する。
「奴隷契約は守秘義務があるんだよね、口止めされたわけじゃ無いけどバレると面倒ことが起きそうだからオレはリンを買ったんだ。秘密にしてくれ」
 コクンと頷くのを確認してから続ける。
「俺の名前は黒崎周くろさきあまね、享年52歳です。異世界の日本って国から転生転移してやってきました、現在22歳設定ですが不老です。創造神の加護とかいろいろ貰ってます」
 リンの表情がコロコロ変わるのが楽しい。訊きたいのに訊けないとウズウズしている。
「こちらの世界に来て3日経ちました。オレね、なにも分からないの。神様、サイ様って言うんだけど、それも偽名って言うかいくつかある名前の1つだと思うんだけど、サイ様にいろいろ聞かされて役に立つだろうスキル貰って転生してみたらなんか違くて。サイ様は神様だから時代の流れとか人間の機微なんてのは把握してなかったみたいでさ」
 言っていて気がついた。結構カルチャーショック受けていたみたいだ。
「生活魔法は誰でも使える基本魔法だっていうから、気軽に使ってみたらそんな魔法知らないって言われるし。製薬スキルで商売できると思ったら免許制だったし。まあ、薬は命に関わるものだから当然なんだけど、そういうこと知らないの。今後もね、オレが必要だと思ったら魔法もスキルも生えるんだ、凄いよな」
 ちょっと気持ちが落ちてきた。せっかくそこにあるのでリンの肩にもたれ掛かってみる。リンは何も言わない。
「それで、考えて、結果がリン。オレのこと助けて、それで仲間になって。信頼できる人が欲しいんだ」
 質問どうぞと促すと
「予想以上にハードな秘密を持った主ですね。
 私の前の主は奴隷商館の主人でした。彼は私の無意識に発してしまった魅了魔法に罹り商売道具である私を身請けしました。人族とクオーターであってもエルフとでは時間の流れが違います。自分だけ老いていくことに気を狂わせ、私が彼の死後に自由になることを良しとしなかった彼は私を商館に縛り付けることにしました。
 私を性奴隷としてでは無く必要として、1億エル以上の値を付けた者にだけ購入の権利を与える。権利を施行するにはその倍の金額を提示されても購入する者とする。購入時には商館はおまけでつける」
 本当に狂った話ですよね。と続けてからオレの頬に手を伸ばして目を合わせてくる。
「貴方は私をあの檻から救い出してくれました。だから、私も貴方を助けたい。主が不老だということは、私が置いて行かれることがないのですね」
 嬉しそうに笑みを見せる美人に思わず反応してしまう。
「やっと魅了魔法が通じましたか」
 さらに嬉しそうにして、空いていた方の手をオレの股間に伸ばそうとするので必死に止めた。
「マジでやめて、おねがい。ちゃんと話すから。
 それよりリンはあそこを出たかったんでしょ、なんで魅了魔法飛ばしてたの?それでオレがその気になったら契約できないじゃない」
 美人さんがブー垂れてます。
「私の魔法に罹るような主は要りません」
 なんて矛盾を平気で言うのか、頭が痛くなってくる。
「それに、貴方は同性との性交を意識されていないようでしたので意識した上でも同じ反応か知りたかったのです」
「あーそう。で、今はなんでそんなに積極的なんでしょうか。あと、オレのことはアマネって呼んで」
「主を名前呼びなど……」
「オレは仲間で相棒で信頼できる人が欲しいの。立場は主人と奴隷でも家族が欲しいの」
 リンが逡巡して渋々了解してくれた。
「私は男妾奴隷です。アマネには見えたのでしょ、称号にある床上手は一種の呪いです。意識した男性に抱いて欲しくてカラダが勝手に疼くのです。私が欲しいと10億ものお金をポンと出してくれる好みの男性を意識しない方がおかしいです。
 なぜダメなのですか?私が男だからですか?奴隷だからですか?他の男に抱かれまくってきたから汚い」
 そこまで言わせてしまって、オレは慌ててリンを胸の中に抱きしめた。頭と腰を抱き込んでそれ以上を言わせないようにした。
 密着した身体は下半身も例外では無く、固くなってしまったモノがズボン越しにリンに当たる。
「1つずつ説明というか弁明させて。オレは52歳まで生きましたが童貞です。男だとか女だとかの前に誰も抱いたことがないんだ。だから女性の方がとか男性の方がとかは無いです。同性を対象にすることを意識していなかっただけで嫌悪があるわけでは無いです、これは分かってくれた?」
 腕の中で頷かれる。
「次は奴隷だっけ?それはいっさい無いよ、犯罪奴隷じゃ無いでしょ。今度いろいろ聞かせて」
 はい、と微かに聞こえた。
「男性遍歴は嫉妬こそすれ汚いとかはあるわけないよ。今のリンがあるのは過去があったからでしょ、その辺はオレこう見えておっさんだから分別は付くよ」
「嫉妬?」
 リンさん、そこは聞き逃してくれませんね。
「性癖どうのの前に、オレってばリンの顔に一目惚れしてますよ。自分に自信が無いから恋愛って意味で無意識に排除してましたけど、好みドンピシャのお顔ですよ。好みでない相手に10億出せませんよ」
「それならなんで」
 リンさん、それ撫でないでください。
「触ってて分かるでしょ?オレの大きいんだよ。こっちの世界の平均知らないけど、向こうでは超特大なの。ある程度大きいなら自慢になるけど、オレのは凶器。
 童貞だけどモテなかったわけじゃ無いんだぜ、それなりに良い雰囲気にもなったし。痛いって泣かれるんだ、キモいって避けられるんだ。自信無くすどころの話じゃ無い、オレ自身全部を否定されているような気持ちになって人生の後半は交際するのも怖くなった。
 サイ様に小さくって頼むのが遅くって同じサイズで転生しちゃって、今度も童貞のまま仙人でもなるかなとか覚悟決めてた処なの。
 リンはキモいって思わないでくれる?」
 情けないけど、ずっと抱えてきたオレのトラウマ。

 オレの力が緩んだタイミングでリンが顔を上げる。目の縁が少し赤い。
「気持ち悪いわけありません、私にとってはご褒美です。覚悟してください――ベッドルームはどちらですか」
 褒美なんだ、それは凄いな。繋いだ手がそれぞれ震えているが、気にしないようにして私室へ誘う。
 本職には適わないまでも、キスはそれなりに経験しているのでリードを任せて貰う。リンには房中術と指導のスキルがあるから翻弄されるのは目に見えているけれど、男(役)の矜持である。
 ベッドの上で一糸まとわぬリンは妖艶で、オレの理性なんてすぐにどこかへ飛んでいった。
 気がつくと、体中が唾液にまみれ赤い斑点の印があらゆる場所に着いていた。それがさらに、リンを美しく魅せる。
 自分でも見たくない下半身が半端なく滾っているのが分かる。腰が重い。
 リンは上半身を起き上がらせると迷い無くオレの下履きを引きずりおろし、今度は自分の番だとそれに唇を寄せた。一瞬腰が引けたが予想していたのか、リンにガッチリ腰を捕まえられていてそのまま至極の奉仕を受けた。
「アマネの過去の恋人達は清純すぎたんじゃないですか?それなりの経験者だったらアマネを傷つけるようなことは言わなかったはずですよ」
 一度リンの口に出したのに、全く収まる気配の無いそれに頬ずりしながら愛おしそうにわらう。「準備しますね」とクリーンを唱えたリンの様子は変わらない。「中を綺麗にしました」不思議に思っているオレの耳元でリンが囁く。我慢できなくてリンの身体を押さえ込みそうになってギリギリ理性が戻ってきた。
 実は製薬失敗した作品の中に性交用ローションと鑑定結果が出たものがあった。オレにとってはゴミだが自家発するときにでも使おうと収納しておいた、レシピもメモってある。そのローションを取り出してリンに見せる。
「鑑定してみて。使って良い?」
 今度はオレがリンの耳元で言う。リンはビクンとなってトロンとした眼で鑑定する。
「何ですかこれ、害はなさそうですね。使ってみましょう」
 こちらにはローション無いのかな、これで商売できるかな。そんなことを考えられたのは一瞬で掌に垂らしたローションを人肌に温めてからリンの中へ流し込んだ。
 グチュグチュ音をさせて、リンの感じる声に興奮したところまでは記憶にあったのだが、次に思い出せるのはリンの中に何度目か分からない吐き出しをしたあとだった。
 童貞喪失の記憶が吹っ飛んでいる、リンはオレの下で意識を手放している。焦って揺り起こそうとしたけれど、リンの顔が満足そうに見えて聞こえる呼吸も寝息に感じたので二人とぐちゃぐちゃのシーツにクリーンをかけて眠りについた。
『リンディーアーノシアがアマネの眷属になりました』『【絶倫】を取得しました』なんか生えた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【完結】大金を手に入れたので奴隷を買った!

BL / 完結 24h.ポイント:120pt お気に入り:323

最愛の推しを殺すモブに転生したので、全力で救いたい!

BL / 完結 24h.ポイント:5,560pt お気に入り:2,134

【完】性依存した末の王子の奴隷は一流

BL / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:54

異世界でいっぱいH!

BL / 連載中 24h.ポイント:205pt お気に入り:240

気が付いたら異世界で奴隷になっていた。

BL / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:163

処理中です...