異世界でも自由生活~とりま必要なのは奴隷であってる?!~

咲楽桔梗

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ギルドの仕事をしてみる

ドイル兄妹

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 四日目になりました『うさぎ屋』さんです。
 初日に朝食付き十日分払ったままでバイト代クリーンで一泊追加だろ。なんだけど、初日と二日目がオレ一人で昨日はリンと二人、今日がアル達兄妹もだから四人。
 11-1-1-2-4=3。今日泊まってもおつり来るわ、大丈夫。
 カランとドアベル鳴らして宿へと入ると、今日は受付に女将さんが居た。
「おかえり……なさい」
 アルとキャロルに気がついたのか、怪訝そうにオレを見る。宿屋やってるならスルー認定試験合格してからにして欲しい。さすがに今朝の件もあって笑顔でいられなくなったよ、オレもまだ青いね。
「二人部屋を1つ追加でおねがい」
 オレの感情の入らない声に気がついたのか、速やかに2本の鍵を渡してくれた。昨日と同じ301号室と隣の302号室。空き部屋有りすぎると突っ込みたい、マーケティングとか教えたい、やらないけどさ。
 いったん階段に足を向けたから、そうだと振り返る。
「オレ、商売とか冒険するから仲間集めてるんですよ。期待に添えなくてごめんね」
 何を期待していたのかは知らないけどね。たぶん、実際夕べは期待されてることしちゃってたんだけどね、声どころか何の音も廊下に漏れてなかったよね、重ねてごめんなさい。
 女将さんは顔を真っ赤にさせているが、知らんふりで階段を上がる。明日は絶対即日入居のをゲットしてやるからな!
「言い過ぎですよ」
 リンにたしなめられたけど後悔はない。ほんのちょっとゴメンって思ってるけど。

 四人で301号室に入る。キャロルが部屋に入る前にトイレ方面へチラリと視線を向けていたことには気がついていた。そっち方面の趣味があるわけじゃないから説明すっ飛ばして301号室内に結界を張ると速攻全員で異空間ルームへ転移した。ますます使い勝手が良くなる。
 キャロルを手招きでトイレへと誘い、使い方をレクチャーして場所を明け渡す。いろんなことに驚きながらも、相当我慢していたのか礼もそこそこで中に入っていった。
 だから、そういう趣味はないんだ。オレだってすぐにリビングへ戻ったよ。
 アルはキャロルだけどこかへ連れて行かれたのを心配していたらしいが、オレが説明していた声などが聞こえていたっぽく「ありがとうございます」と戻ってきたオレに頭を下げていた。
 リンはキッチンに居る。IHもどきの使い方も覚えたのでお茶を入れてくれるようだ、茶葉は商業ギルドの売店で見つけてきたらしい。支払いはオレがしたよ。
 落ち着かないアルにソファを勧め、オレは対面に腰を落とした。遠慮がちに座るアルに
「みんな揃ったらきちんと話すからね」
 というと頷いた。
 女性が何かと時間がかかるのは仕方のないこと。リンがティーセットを運んできて、一緒にある蒸らし時間を計る砂時計に四刻砂時計があるのだから、お茶用があっても不思議はないかと茶葉の購入時に思ったなと思い出してみたり、やっぱりアルはカッコイイ枠だなとか思ったり、リンは美人だなとか沈黙の中、時間潰してみたけれど大丈夫か?サニタリールーム方でキャッキャウフフと勝手にルームツアーしている声が聞こえるのは気のせいか?女の子女性だから理解できないのか、キャロルだからなのかも分からない。
 アルがしびれを切らして、オレに一言断ると迎えに行った。うん、今じゃないと思うんだよキャロル。アルが相当怖かったのか泣きそうな顔して戻ってきた。
 リンはしれっとお茶のおかわりを入れてくれていた。

「そろったところで話をしよう。
 俺の名前は黒崎周くろさきあまね、享年52歳です。異世界の日本って国から転生転移してやってきました、現在22歳設定ですが不老です。創造神の加護とかいろいろ貰ってます」
 それを聞いてリンがクスクス笑い出した。昨日と全く同じに言ったから定型文だと思ってくれ。
 アルは言葉も出せないのか驚きの表情で凝視してくる。キャロルは楽しそうだ、キミのキャラは大体分かったよ。
「信じられないだろうけど事実です。オレがこの世界に来て四日になります。
 『成金が奴隷買いあさってはべらせてる』みたいに見られがちですが、なかなかに切羽詰まって奴隷商に行ったんだよね。オレはこの世界で常識無いし、身を守るすべを知らないから」
 少しでも早く話を理解しようと難しい顔をしているアルに真面目な奴だなと思う。キャロルはそこに居れば良いよ。
「みんなの奴隷としての価値って高いんでしょ?所持スキルの数とか一般レベルより多いんだよね、サイ様が、あ、オレの神様なんだけど普通はそれほどスキルを持っていないって言っていたんだよね。美醜も関係してくるだろうけど、やっぱり能力の違いでしょ。
 前の世界には奴隷制度は廃れていてね、オレが生きている時代は歴史で習ったり、物語で出てくる物だから正直君たちの扱いが変でも気にしないで貰いたい。
 簡単に君たちに決めたように見えるかもしれないけど、スキルを吟味したりきちんと選んだつもりだよ。
 オレはなんでもオレの言うことをきく御用聞きでなく、オレと一緒に仲間として意見を言ってくれる家族が欲しいんだ。最初はお金で買った関係かもしれないけど、あくまでも縁の1つと思って欲しい」
 一番伝えておきたかったことを言っておく。あとはおまけの話である。
「キャロルが気にしていた『カップノワール』は異世界の俺がいた国とは違う言葉で『黒崎』を現した物なんだ。異世界のこと言えないからもったいぶってごめんな」
「名前の意味があるのですか?」
 知識欲の高いリンが食いついた。
「そうだな、オレの名前はクロサキアマネで7音だけど、文字にすると黒崎周と3文字になる。クロとサキとアマネに分かれるんだ」
 メモ帳に書き出して説明する。
「それぞれの文字に意味があって黒色、岬、周り・周囲なんてなる。そこで他国の言葉で黒色と岬を調べると今回のはフランスという国の言葉でノワールとカップとなる。このままだと響が好きじゃないからカップノワール。ダサくてすまん」
 結局細かい説明させられた。音の響だけで誤魔化せると思ったんだけどな。
「ダサいなんて思いません。言語理解スキルのおかげでこれの意味も分かります」
 メモに有る黒崎周の3文字を愛おしそうになぞる。喜んでくれて良かった。
「あとはなに説明しようか、気にしていた夜伽の件は忘れてくれて大丈夫だから」
 といったら、リンからダメ出し食らった。えー意見言って欲しいって言ったけど、恋人になったよね。なんで他を世話しようと思うの、身体がツラいならオレ我慢するよ。とか思って居たら睨まれた。あれ?
あるじの意に背くことはありません。そちらの方面はしばらく私にお任せください」
 嫌みでなく、専門家ですからね。良い意味でって付ければ許されるやつ。師匠にお任せしますよ。ちょっとささくれ立ってしまった心をキャロルの笑顔で癒やす。
「気を取り直して、今更なんだけどここは異空間ルームっていってオレのスキルです。現在設置されている物は生前暮らしていた部屋をサイ様に再現して貰った物になるんだけど、今後はオレの能力次第で変化していく空間になるから。
 風呂とか気持ちいいから是非利用して。トイレもキャロルには説明したけどスライムとか居ないけど、清潔だから遠慮せずに使って。流してしまった物は戻ってこないから気をつけてね、錬金の能力上がったらちょっといじってみるよ」
 それからは質問に答える形でオレの話をした。アルとキャロルの話も聞いた。
 無限収納から昨日食べそびれた夕食や買い込んでおいた屋台飯をダイニングテーブルに広げてみんなで食べた。会話しながらの食事は美味しく感じる。絶対調味料作るけど。
 夜遅くまで話して、順番に風呂に入った。オレが入っている間にリンとアルが何か話していたらしいが内容は教えて貰えなかった。キャロルは一番に風呂に入って宿の301号室で寝ている。結界張ってあるし、こっちのリビングからは見えているのでアルも安心していた。
 オレも私室のベッドへ向かいリンを待つつもりだったが、二人の話はまだ続くようで眠ってしまう方が先だった。目を覚ましたときにリンが腕の中で寝息を立てていたので嬉しかった。
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