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ギルドの仕事をしてみる

一国一城の主!!ウソです(1)

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 いつまでもリンの寝顔を見ていたかったけれど、そうもいかない。今日も忙しいのだ。
 目覚ましが鳴る前に起きられるのも久々だなと思いながら時計のスイッチに手を伸ばすと、動きに反応したのかリンが目を覚ました。随分と眠そうだが、アルといつまで話していたのだろうか。
 内容は意地でも教えてくれないが、奴隷には順位があるそうでリンは一番奴隷になるらしい。奴隷全員に番号が付くわけでもなく、主人からの重用度や任される仕事の内容で決まるそうだ。一番目に奴隷となった者は信頼度が高めなので、そのまま一番奴隷になることが多いと聞いた。ということで一番奴隷として教えなければならないことがあるのだと言われては任せるしかなかったのだ。
 けど、アルだけになんだよな、キャロルが早々に寝ちゃったからたまたまだよな。時たまアルは顔を赤くしてるんだけど、知らないことにしよう。
「おはようございます」
「うん、おはようさん」
 今日はリンから挨拶してくれた、かなり嬉しい。
 起き抜けにテレビを付けて、番組司会者の「おはようございます」にパン食いながら「おはようございます」と返していたオレはもう居ない。オレの中でア○クサを欲しくなった理由第一位が話し相手だったのは誰にも言えていない。結局買わなかったけどな。
「朝飯食ったら早速、商業ギルド行こうと思うんだけど時間大丈夫かな」
「相手が商売人なので九刻頃から開いてますよ。日雇いの掲示板なんかは朝の六刻には開示されているそうです」
「なるほど、求人なんかも商業ギルドでやってるんだ」
「はい、冒険者ギルドで募集するのとは違う職業ですね。接客系が多いと聞きます。他に生産ギルドなどもありますので、雇用する場合は欲しい人材を見極めて募集するといいそうですよ」
「まだ先だけど、今後考えていこうな」
 雇用をすべて奴隷にするつもりはない。奴隷はその人の衣食住を主が保証しなければならないから、そこまで抱え込むことはできない。
「よし、今日は家だ。楽しみだな」
「はい」
 二人でサニタリールームに向かうと、すでに兄妹は起きていたようで使用した感が出ていた。拭いきれていない水滴だとかに生活感が感じられる。
 少しばかり几帳面なところのあるリンはお気に召さないようで、昨夜付与したエディタスキルを呼び出して何かメモしていた。使ってみて便利さに気を良くしているのがカワイイ。
 朝の支度を調えてダイニングへ顔を出すとキャロルはキッチンで湯を沸かし茶の準備をしていた。アルは姿が見えないので探してみたら、少し顔色が悪いようだが、護衛を意識してなのか宿の扉の横で姿勢良く立っていた。この中は安全だからこっちで座ってて良いんだけどな。二人には異空間ルームの出入り口が開いていれば自由に行き来できるように登録してある。もちろん、リンも。
 アルを招き入れ、朝食にする。もうそろそろ自炊しても良いのだが今日も買い込んである屋台飯だった。時間停止は超便利。
 アルはでかいから、オレの服は貸すことができない。キャロルは女性だし小さいから貸せない。服屋にも行かないとなとリンにスケジュール調整を任せて宿を出る。鍵と一緒に借りていた食器も返す。即日入居ができる邸がなければ、今日もここに帰ってくることになるので昨日のやりとりはスルーして普通に出てきた。

 朝市をひやかしながら商業ギルドに行く。それほど距離はないのに、なんだかたくさん買い物したのは何故なのか。キャロル怖い子。
 商業ギルドの案内スペースには昨日とは別の女性が居たのだが、担当の時間が違うだけだろうと思うことにした。その案内嬢にマルコイディスさんを呼んで貰う。話は通っていたのか、見習いだろうかまだ青年になりきれてない男の子が個室へと案内してくれた。チップが要るのかリンにコソッと確認すると無くても良いけど、銀貨一枚でも渡せばWin-Winにはなるだろうと言われた。皆ハッピーなら渡しておくことにした。オレ達には可愛い笑顔が贈られた。まあ、うん。
「お待たせ致しました」
 しばらく雑談していると、紙束を抱えてマルコイディスさんが部屋へ入ってきた。今日は部下かな、眼鏡をかけた真面目そうな女性を同伴させている。
「こちら不動産部門のケイトです。本日の内覧などを担当します」
「ケイトと申します。よろしくお願い致します」
 丁寧なご挨拶をしていただいたのでオレも返す。
「アマネ=クロサキです。本日はよろしくお願いします」
 その後は準備して貰った物件の資料すべてに目を通した。
 要望に添った物件を選んできてくれているので、そこまで多い数というわけではないが細かく吟味していくのは少しばかり疲れた。
 結局、リフォームは自分でできるのだからと、初心に戻って立地と面積優先で三カ所の内覧をおねがいした。オレが一番気になっている物件はいわゆる事故物件らしく期待が膨らむ。この邸を紹介されたとき、アルがなんだか優れない顔をしていたのだが、大体の予想は付いていた。
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