異世界でも自由生活~とりま必要なのは奴隷であってる?!~

咲楽桔梗

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ギルドの仕事をしてみる

一国一城の主!!ウソです(2)

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 いったん、マルコイディスさんとはギルドで別れ、ケイトさんに案内をおねがいする。
 一ヶ所目は大通り裏、といってもうさぎ屋とは道を挟んで逆の裏通りなのだが、ギルド街にも近い商業地区。庭はないが部屋数は多い。一階部分の空き店舗は元は小売もする生地問屋だったそうで油汚れなどもなく良い物件だと商業ギルドも太鼓判だ。オレ達が住むのではなく、経営する店舗の1つにと思い付いた物だった。マルコイディスさんも、きっとそのつもりで紹介したのだろう。
 ここは近場なので、そのまま徒歩で内見に向かう。外観は他の商店と大差なく、街並みに溶け込んでいる。大きな変更は悪目立ちしそうだなと今後の展望まで浮かんでくるので買い物件だろう。
 しかし、問題は別にあった。看板は下ろされているが、閉め切った店内にはそのままの商品が置かれたままであった。それどころか人が生活している。聞いてないよ?
「説明を受けていませんが、なにかの手違いでしょうか」
 リンがケイトさんに詰問する。リンから発せられる圧に負けまいと必死にケイトさんが答える。
「説明するより先に見て頂いた方が早いと判断いたしました。こちらの店主が病に倒れたのが先週のことです。少し落ち着いてから、残されたご家族が当ギルドへ今後の相談をしにいらっしゃったのが昨日です。残念ながら残されたご家族に商売に関するスキルが無く、雇いの従業員達も経営は無理だということで他のどなたかに売り渡したいと」
 重いな、凄く重い。
 スキルは才能だから、努力して生える物でも無いと教わった。ようするに、どんなに努力しても生えないのであれば見込みが無いと言うことになってしまう。なかなかにシビアだ。
「買い取り金とギルドへの預かり金の返金で、ご家族は引っ越しされることになります。従業員はそれぞれ商業ギルドの雇用相談を受けてもらっています。購入金額はこちらにある商品込みの値段ですのでお値打ちだと思います、是非ご一考ください」
 ケイトさんがそう続けた。昨日の今日では、他に紹介せずに話を廻してきたのだろう。なんでオレなのかな?商品の布に目をやれば、そうね、このままより加工したいよね。服も良いし鞄も良いし、やってみたいことが浮かんでくる。そしたら人が必要だから雇うよね、仕事探している人が居るらしいよ。
 あれ~偶然かな?残された家族は、とりあえず先に引っ越すということができない経済状況っぽいよね。どこに引っ越すのかな?どんな仕事できるのかな?あれ~?うん、茶番である。
「リンはどう思う?」
 参謀に意見聞かないと、オレってば常識ないし。リンは呆れたのか苦笑しながら言う。
「まずご家族におあいしましょう」
 アルも困惑している。意見あるなら話して良いんだよ、と促してみた。
「何故そこまで肩入れしているのでしょうか」
 オレにではなくケイトさんへの質問だった。ケイトさんは頭を下げながら
「……亡くなったご主人は、私が初めて専属担当としてつかせて頂いた方なのです」
 とても簡単で、わかりやすい答えだった。たいそうな理由があるわけじゃない、ただそれだけ。でも、そういういの嫌いじゃない。
 その後、未亡人となった奥方と18歳を筆頭に15歳14歳の子供達と面会した。コッソリ天眼で見てみると、生産系に才能が偏っている親子だった。旦那さんの才能は微かに末っ子が受け継いだかな。
 賃貸料は貰うがこのままここで暮らして良いこと。店は改装させて貰い売り物はこちらで卸すこと。その中には布で作る製品も用意したいので、制作を手伝って欲しいこと。他にやりたいことがあるならそちらに進んで構わないことなど話した。家族四人は相当不安を抱えていたのか、涙を流して頭を下げて来た。
 こちらにも準備が諸々あるので、仕事は二週間後から始めることにして、その間はゆっくり家族で旦那さんを偲んでくださいと今日はその場を後にした。ケイトさんも喜んでくれているようだった。
 従業員は体裁が整ったときに募集をかけるので、その時に縁があれば雇うことになるだろう。

 一カ所目で相当疲れました。腹が減ったのでケイトさんお勧めの定食屋に入って昼にした。感想はない。
 二ヶ所目は外門近くにある元騎獣屋跡地だ。ギルドで用意しておいてくれた馬車に乗り込み現地に向かう。
 違法売買とかで摘発され没収払下げの曰く付きだが、騎獣のためにあった土地なので広くて日当たり抜群。糞尿の臭いなどマイナスだがクリーンと浄化でどうにかできるだろう。それに肥料と考えれば良い土ができあがっているはず。
「キャロル、お前の管理する土地にしようと思う」
 いきなりの指名に目を見開く彼女だが、ゆっくりと降り立った大地を見渡して「はい。お任せを」としっかりと頷いた。
 キャロルは水魔法、土魔法に生育スキルを持っている。今後は製薬も生えてきそうなので適任なのだ。農奴を雇ったりして、ゆっくり頑張って欲しい。

 本日のメインイベント、三カ所目です。
 高級住宅街にある事故物件。謀反を興した貴族の別荘だったものらしいが賠償金補賃のため売却された財産の一部らしい。謀反ってなんか聞いたばかりな気がします。
「アル、気になるか」
「ならないと言えば嘘です。でも嫌悪があるとかではないです」
「そうか、まあ買い取ったら改造しまくるから中身は別物になると思うよ」
 ギルドに居たときから、ここは絶対買おうと決めていたけれど、ここまで来てますます手に入れたくなった。
「リンには見えてる?」
「はい、久々に目にします。素敵な物件ですね、私も気に入りました」
「だよね、うん。ケイトさん、今日からここに住みたいんだけど」
「え?ここは中に入ると物が飛んできたりするんですよ。中に入れないので荒れ放題ですし」
「気にしない、大丈夫。早くギルドに戻って手続きしよう」
「本当に三軒とも購入されるのですか?15億エルですよ、すべてなんだかんだとマイナス査定付いている物件ですからお買い得ではありますが……」
「さすがに散財だけど、初期投資だから仕方ないよね。早く地盤固めて仕事しなきゃだよ。頼むねリン」
「了解です」
 早くここに戻ってきてやることたくさんあるんだから、サクサク契約しちゃうよ。追い立てるようにみんなを馬車へと戻し商業ギルドへ帰ってきた。

「おつかれさまでした。気に入る物件はございましたか」
 マルコイディスさんに元いた個室で出迎えてもらって尋ねられた。
「はい、全部買います」
「全部でございますか」
「はい、邸には今日から住む予定です。準備しないとなので早く契約しちゃいましょう」
 楽しみが待っているので気がせいてしまう。
 大きな買い物3つなので必要書類がたくさんあった。サインするのも一苦労。
 今更な無限収納から出す白金貨の数に誰もが息をのむ。オレもハイテンションで思わずヘラっと笑ってしまう。
 1枚で100万だから、10枚で1,000万。100枚で1億、1,000枚で10億。1,500枚で15億エル。全員で必死に数える。こんなの普通は持ち歩けないけどどうするんだろう。江戸時代の千両箱みたいのあるのかな。
 今まで父さんや爺さんが、なんで売れる土地ばかり持っていたのか不思議だったんだけど今日なんとなくわかった。今ここを買わなきゃって漠然とひらめくのだ。
 五の輪の特需だったり、新駅だとかショッピングモール込みのニュータウンとか、最後はタワマン。子供の頃はオレの家族は土地転がしとかしているやばい人かと思って悩んだりもしたけれど、めちゃ勘が働く変な家系だったんだな。先祖の皆さんのおかげで、こちらの世界の土地買えます、ありがとうございます。
 そんな白い目でみないでください。
 マルコイディスさんも大見得切っているだけかと思いました?信用してくださいね。
 受領書も書類もそろい、すべての権利書を手に入れて必要な鍵の束も受け取った。今日からやっと邸持ちだぞ。
 今後は馬車も買わないと、御者できるやつも必要だし、世話する人も必要だ。
 まずは今日の寝床。うさぎ屋で予約をキャンセルしないと。返金は必要ないから、アルに行ってきて貰う。苦手意識強くなってしまったから、申し訳ないけどオレは会わない方がいいと思うんだ。
 あとは、服屋や材木屋、金物屋なんかに寄りつつオレ達の家へと帰る。
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