異世界でも自由生活~とりま必要なのは奴隷であってる?!~

咲楽桔梗

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ギルドの仕事をしてみる

商業ギルドへ行こう(3)

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 三人で商業ギルドを目指す。女性が居ないので昨日より早足だが、街中なので限度がある。
「今日は馬車買って、乗って帰れるかな」
「効率よく廻れれば可能かもしれません」
 断言できないよな、うん。面倒ごとにならないと良いけど。そんなことを考えているとアルが言う。
「訊かれないのですか」
「う~ん、そうね。アルがオレ達に話したいことがあるのなら聞くけど、オレから尋ねることはないよ。アルの中で決着が付けば良いんだ」
「そう……ですか」
 難しい顔をしている。事を荒立ててアルやキャロルの隷属魔法が合法的に解けるのならば、オレも少しは助力するけれど、この世界は甘くないのだと思っている。
「信じるのに不安だったんだろ?これからも信じてやれば良い」
 父親を信じ続けたかったアルへ、それだけは伝えた。
「はい」
 アルは応えた。リンは黙ってオレ達の会話を聞いていた。

「こんにちは、マルコイディスさんいらっしゃいますか?約束していないのですがアマネと申します」
 案内嬢にギルドカードを提示して、マルコイディスさんを呼んで貰う。待っている間に、リンが書簡をしたためデンメル商館へと使いを依頼していた。前回のチップが功を奏して嫌な顔1つ見せずに受けてくれた。もちろん今回も正規の料金に上乗せして払った、心付けチップ大事。商館の方では書簡の内容に合わせて奴隷をピックアップしてくれるはず。今度もいい人に巡り会えると良いな。
 しばらく待たされたが、こちらは飛び込み客なので文句など言えない。逆に忙しいところ申し訳ないって感じだよ。
「お待たせ致しました。ただいま商談室へご案内いたします」
 案内嬢がそういって誘導してくれた。先ほどまで使用していたばかりだろう商談室に商業ギルドの多忙さを実感した。
「いらっしゃいませ、今日のご用件はどのような」
 本気で忙しいんだな。入ってきた途端の話題の切り出しに面食らってしまったが、こちらも時間に余裕があるわけではないので用件を伝えることにした。
「邸の件なのですが」
 この話題は予想の範疇だったのか嫌な顔を一瞬見せて、一所懸命取り繕っている。
「同じ金額では買い取れませんよ」
 ああ、そっちになるよね。誰も中に入れなかったのだから。
「違いますよ、安心してください。きちんと寝泊まりできてます。売ったりしませんよ。
 それで隠し部屋見つけまして、そちらの管理販売をおねがいしたく参りました。契約上は邸の中のモノはすべて私のモノになると思うのですが、そうすることが問題なモノもありそうですので。
 こちらは目録となります」
 午前中、オレがテイムや製薬をしている間にリンが作成してくれていた。
「同じ物を、こちらも一緒に出てきた書類と一緒に衛兵詰め所に提出いたしますので、そちら方面から徴収されるモノは素直に提出していただき、そのほかは売りさばいていただきたい。その管理販売の委託依頼で来たのです」
「え?寝泊まりができた?隠し部屋を見つけた??」
 マルコイディスさんパニクっちゃったな。
「家妖精ブラウニーですよ。うちにはリンが居ますので見えるし意思疎通ができたのです」
 半分しか本当を言わない。オレのことはできうる限り秘密だ。まあ、一応。
「ああ、そうだったのですね。そちらは考えもつきませんでした。呪術師などには御願いしてみたこともあったのですが」
 理由が分かって随分落ち着かれたみたいだ、良かった。
「それで、品を預けたいのですが良いでしょうか」
「わかりました。目録こちらを見る限り、なかなかの数ですので場所を移動して頂いてもよろしいでしょうか」
 その後、倉庫と思われる場所で数人の商業ギルド職員に受け取り確認して貰った。マルコイディスさんとは売り上げの四割を委託料とする旨の契約を結んだ。たんなる委託販売ならぼったくりも良いところだが、今回は国や領主とも関わってくることもあるので大変な仕事を丸投げした形だ。元が只で手に入れた品々なので高い金額とは思わなかった。
「あ、別件なのですが馬車を販売する店を紹介して頂けますか」
「わかりました。お待ちくださいね」
 今回は大きな取引の後なので、紹介料はサービスして貰えた。やったね!
 次はアポ取りするように心がけます。思いつきで動いているのでお約束できませんが、今後ともよろしくお願いしますね。

 目録のおかげで結構時間を無駄にしなくて済んだかもしれない。が、次は衛兵詰め所だ。たらい回しとかされないと良いな。
 中央詰め所は預かり金の受け取りで一度来ている。その時は最初の窓口でサクッと手続きが終わったのだが、今回はそうもいかなかった。
 邸を購入したこと、そこで隠し部屋を発見したので、そこで見つけた怪しそうな書類などを届けに来た旨を伝えると奥へと通された。
 悪い対応でないのが唯一の救いだろう。が、アルに対しては少し違和感がある対応で、アルがどのような立場なのか衛兵達は知っているようだった。
 通された部屋でオレだけ座って待っていた。リンとアルはオレの後ろで立って居る。好きじゃ無いけど仕方が無い。入ってきた人の顔に見覚えがあった。
「あ、その節はありがとうございました」
 オレが起立して役人に礼をする。
「やあ、無事に身分証明手に入れたみたいだね。座ってください」
 街門でお世話になった役人さんだった。
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