異世界でも自由生活~とりま必要なのは奴隷であってる?!~

咲楽桔梗

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ギルドの仕事をしてみる

冒険者ギルドで仕事する(3)

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 側溝掃除は町内会みたいなところからの依頼。代表の会長さんの前で距離にして500mほどのヘドロごと落ち葉などのゴミをブラックホールへぽいっとした。目視ではいきなり消えたようにしか見えなかっただろう。
 そうそう。落とし物対応でブラックホールへ直送の前に金属フィルターと生物フィルター〈細菌・微生物除く〉をかませることに成功したんだった。
 目の前には数匹のスライムや昆虫など、他によく分からない生き物の集団と過去の落とし物が並んでいた。すかさずアルが剣を抜き、その分からない生き物を一掃していく。
 天眼を発動させてみると、『ヤッケ』という魔物の一種で病原菌みたいな悪さをおこすらしい。見つけ次第、討伐して火葬すべしとある。火魔法はアルも持っているので処理は任せて、会長さんと話す。
「冒険者ギルドには俺たちも報告しますが、会長さんも衛兵さんやギルドに報告入れてください」
「他の場所も退治して行ってはくれないのか?」
「即日の脅威ではないようです。依頼外のことは責任問題関わってきますので」
 リンがフォローを入れてくれる。ここで『申し訳ありません』なんて付けてはいけない、日本みたいに建前は通用しないからな。
 落とし物も引き渡し、サインをして貰って次へと急ぐ。そろそろ昼時なので屋台飯を買い込みながら集積場へと向かった。
 集積場を管理する事務所に顔を出すと、掃除完了してからもう一度声がけしてくれと言われた。数日かかる作業だと思われているから付き合っては居られないだろう。
 ゴミはほとんど雨ざらしの粗大ゴミだった。スライムは柔らかいモノから吸収していくらしく生ゴミなどの臭いが無かったのには安堵した。
 今回もブラックホールへぽいである。ただしいっぺんではなく数回に分けた。クリーンも忘れない。
 お金出てくるし、金具も金属扱いで残っていた。折れた武器なんかもあったけど、たまに見かける一枚板の家具とか分解して無限収納へ移す。分別していたので多少時間はかかったが一刻ほどですべて完了した。
 事務所に戻り報告すると嘘つき呼ばわりされたが、自分の目で確かめろとアルに睨まれ渋々集積場まで着いてきた。ゴミは無くなり残ったのはスライムだけ、臭いもない。ゴミを何処にやったのだと慌てていたが、そう言うスキルなのだと安心させた。
 ぼろ家も解体も近場なのもあって、この流れでサクッと終わらせた。木材などは資材として頂いた。ゴミ屋敷は期限も余裕があるし、どちらかというとオレ達の邸に近い場所なので後日にまわして馬車屋に行く。行くったら行く。
 報告が先?ヤッケの件は報告義務がある?わかったよ、わかりましたよ。オレはドナドナされた。

 まだ夕方には早いので、冒険者ギルド内で報告者の列はできていなかった。それでも朝のようにカリヤさん1人で受付をしているようなことは無く、何処に並ぼうかと悩んでいるとカリヤさんと目が合った。カリヤさんの窓口は避けたいんだけど、これで別を選択するほど心臓は強くない。もともとカリヤさんは何も悪くないんだし、強いて言えば美人過ぎるのが悪いんだ、男の嫉妬は面倒くさい。フォーク並びにしてくれたら悩まなくて良いのに。
「フォーク並びとはどのようなものなのでしょう」
 オレは声を出して居たらしい、リンが興味を持ったようだ。無限収納からノートを出して図解してやる。フォーク列って言う呼び方もあって食事するときのフォークの形に見えるだろと見せれば「便利ですね。今度商会の方で使ってみましょう」と乗り気になっていた。
 オレ達の順番になってカリヤさんの方から
「ヤッケの件が報告上がっています。当事者としてアマネさんのパーティーも報告してください。パーティー名決めました?」
 パーティー名決めろなんて言われた記憶はありませんが、アマネさんのパーティー言うのが面倒になったな。
「報告はアルがします」
 男性職員が別に出てきたので、そちらに任す。ヤッケの危険性がオレには理解できていないので任せた方がスムースだ。
「パーティー名必要です?」
 一応の確認。まあ、リンやアルの名前を呼んでくれるのはカリヤさんだからなのだろう。奴隷の名前なんてと思って居る職員がいても不思議ではない。カリヤさんは困った顔で「できれば」と答えた。
「それでは『シリウス』で登録してください」
 どこから出てきたって?オレの名前は黒崎周、商会はフランス語だけど今回は英語。黒はブラック、ブラックって言ったらそうなるでしょ。分からないならそれで良い。
 星の名前でもあるから、そっちの意味で今後訊かれることがあったら答えようと思う。
「ありがとうございます。それではシリウスの皆さん、今日の完了報告を御願いします」
 リンが四枚のサインが入った指示書と3人分のギルドカードを渡す。
「え?サインの間違いありませんね、4件も一日というか実質半日で」
「得意分野だと言ったじゃないですか」
「言ってましたね、ここまでとは思ってもみませんでした。処理してきます」
 カリヤさんが後ろに下がったので、アルと男性職員の話す内容が聞こえてきた。
「今日は無理だと思います」
「ヤッケなんだぞ」
「今日まで気がつかなかった程度です。明日以降でも大きな違いは無いでしょう」
「衛兵からの応援要請が」
「俺達はFランクですよ、指名依頼の資格なんて無いはずです」
 パンデミックの恐ろしさは知ってるけど、今日は嫌だ。
 そこでギルド内に入ってくる衛兵が視界に入った。ダナー班長だ。
「オレは馬車が欲しいんだよ。買いに行かせてくれよ」
「報酬として幌馬車と馬二頭を渡すぞ」
 自分で選びたかったのに……幌馬車なところがオレの今後の方針に合っているのが難い。馬も二頭なんて大盤振る舞い。それだけ大事おおごとなんだろう。
「今日乗って帰りたいんです」
 無理だと分かっていても抵抗してみる。
「衛兵所の払い下げになるが、すぐに準備しよう。中古が嫌とかないだろう」
 はい、リペアもあるし改造しますので問題ないです。お馬さんもしっかりお世話されていそうですね。
「アル、リン、予定変更みたいだ」
 アル、ギルド職員にオレの気持ちを代弁してくれてありがとう。
 リン、駄々っ子みたいな主でごめんよ。
 2人にだけ聞こえるように伝えると、仕方ないことだと笑ってくれた。
 破格の報酬に見えるが、オレのスキルを使わない場合、何キロになるか分からない側溝のヘドロをかき出し、その中からヤッケを見つけて討伐。ヘドロの処理も必要。その上時間勝負の仕事だ。必要な人件費と処理代はそれを上回るだろうことは明白だった。
「今日は帰れるか分からないから、キャロルに連絡してきて」
 アルに伝えると心配そうな顔をする。
「邸は安全だから」
 そこまで言うとリンが口を挟んできた。
「アルが心配しているのはアマネのことですよ。アルは貴方の護衛です」
「あ、そうだよな。結界あるし、今回はダナー班長が近くに居ると思うから。それに戻ってくるんだろ」
 ちょっとのつもりで軽く考えていた。アルは逡巡したのち「すぐにでも」と駆け足で出て行った。
 リンはすまし顔でカリヤさんから報酬とギルドカードを受け取っている。オレのカードとアルのカード、そして報酬まるごとオレに渡してくる。あとでポイント振り分けよう。
 結局夜中までかかって街中の側溝掃除をした。ライトは魔法具で照らされ、オレに向かってくる以外のヤッケは衛兵が処理した。オレに向かってきたのはアルが対処してくれた、アルの本気走りはめちゃ早だった。リンは記録係、132匹のヤッケを討伐したらしい。
「後日、領主からも褒美があるだろう。今日はありがとう、これが褒美だ。夜目は利かないから気をつけて」
 ダナー班長もお疲れ様でした。今回の指揮官だったみたいですね、領主様の褒美は辞退しても良いですか?白い目で見ないでください。期待してお待ちしております。
 アルに確認すると、ライトの魔法で前方を照らせば操車できるらしい。マジですか、じゃあ帰りましょう、すっげー疲れた。疲れすぎてやばいことになりそうなんだ。早く1人になりたい。
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