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メラニーの花嫁修業!!
王城へ
しおりを挟むウィリアムがメラニアにプロポーズをした一ヶ月後、メラニアはウィリアムの婚約者として王城に移り住むことになった。
「じゃあ、皆・・・行ってくるわね。また遊びにくるわ」
「本当に行っちゃうの?」
「寂しくなるぜ・・・」
「グゴーーーーー!!」
旧地獄の森、現平和の森の皆がお別れに駆けつけてくれた。皆メラニアを慕い、一つ目のピピとポポはその大きな一つ目から涙を流して悲しんでいる。竜もバタバタと羽を上下に動かし、一緒に行きたそうにしている。
「じゃーねー!!皆!!」
メラニアは馬車に乗り込み、皆が見えなくなるまで手を振った。
ーゴトンゴトンゴトン
(ウィルと一緒になれるのは嬉しいけど、やっぱあの森を離れるのは寂しいわ)
メラニアは一粒涙を流したが、手のひらで拭った。
(これから花嫁修業なんだもの。しんみりしてる暇なんてないわね)
自身の顔をパンッと叩き、気合いをいれた。
「ごほっ・・・ごほっ・・・」
(な、なによここ)
王城に着き、メイド長に連れてこられたのは何十年も使っていないような狭い物置のような部屋であった。
「あのぉ・・・何か間違いなんじゃ・・・」
メラニアは恐る恐るつり目のメイド長に尋ねた。
「いえ、間違いなく私はメラニア様をこちらにお通しするようと言われています」
「そ、そうですか・・・」
「掃除されるのであればそこにホウキなどありますので。ではこれで失礼します」
「ちょ、ちょっと待っ・・・」
彼女はそそくさと出ていってしまった。
(なにかの嫌がらせかしら・・・)
メラニアは首をかしげたが、とりあえず小さな小窓を開けてホコリの被った部屋を掃除することにした。
「ごほっ・・・」
(うわぁ・・・すごいホコリね)
メラニアはマフラーを口に巻き付けて一日中掃除をして過ごした。
「はぁ・・・疲れた・・・」
お風呂に入ろうと思い、違う使用人に風呂の場所を聞くも誰も答えてくれない。メラニアは仕方なく外の井戸の水を汲みタオルで体を拭いた。
(ウィルにはいつ会えるのかしら・・・)
ベッドは固くギシギシと音がなる。森で暮らしていた時のベッドの方がよっぽど快適であった。
(おやすみなさい、ウィル・・・)
こんなベッドで寝れるか不安はあったが、馬車の旅と掃除の疲れですぐに寝入ってしまった。
「ぅうん・・・」
目を開けるとそこはやはり物置のような部屋だった。
(夢じゃなかったのね・・・)
着替えようと立ち上がったメラニアは、服がなくなっていることに気づいた。その代わりに置いてあったのは使用人の服である。
(な、なんで・・・)
メラニアは不思議に思うもその服しかないので使用人の服に着替えた。すぐに部屋を出て、メイド長を捕まえる。
「ちょ、ちょっと!私の服がないのだけど」
「ああ、あんな流行りものの服は捨てました。あなたにはその服がぴったりだと上の者が言っておりますので」
「上の者って・・・?」
「カイヤ様とユナ様です」
カイヤはウィリアムの叔母にあたり、ユナはその娘である。その二人がなぜメラニアにこのような対応をとったのか。
(私がウィルと一緒になることを反対してるの?)
「では、あなたにも使用人の仕事をさせるように言われてますので、こちらへ」
「・・・」
あきらかに嫌がらせのような対応である。他の使用人もメラニアを歓迎していない雰囲気が充満しているように感じた。
(とりあえず・・・ここで働くしかなさそうね・・・)
メラニアの花嫁修業は・・・まだ始まったばかりである。
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