悪役令嬢はゴブリンに愛される

ほのじー

文字の大きさ
18 / 23
メラニーの花嫁修業!!

王城へ

しおりを挟む


ウィリアムがメラニアにプロポーズをした一ヶ月後、メラニアはウィリアムの婚約者として王城に移り住むことになった。



「じゃあ、皆・・・行ってくるわね。また遊びにくるわ」
「本当に行っちゃうの?」
「寂しくなるぜ・・・」
「グゴーーーーー!!」


旧地獄の森、現平和の森の皆がお別れに駆けつけてくれた。皆メラニアを慕い、一つ目のピピとポポはその大きな一つ目から涙を流して悲しんでいる。竜もバタバタと羽を上下に動かし、一緒に行きたそうにしている。



「じゃーねー!!皆!!」



メラニアは馬車に乗り込み、皆が見えなくなるまで手を振った。



ーゴトンゴトンゴトン



(ウィルと一緒になれるのは嬉しいけど、やっぱあの森を離れるのは寂しいわ)




メラニアは一粒涙を流したが、手のひらで拭った。



(これから花嫁修業なんだもの。しんみりしてる暇なんてないわね)



自身の顔をパンッと叩き、気合いをいれた。









「ごほっ・・・ごほっ・・・」



(な、なによここ)



王城に着き、メイド長に連れてこられたのは何十年も使っていないような狭い物置のような部屋であった。


「あのぉ・・・何か間違いなんじゃ・・・」



メラニアは恐る恐るつり目のメイド長に尋ねた。



「いえ、間違いなく私はメラニア様をこちらにお通しするようと言われています」
「そ、そうですか・・・」
「掃除されるのであればそこにホウキなどありますので。ではこれで失礼します」
「ちょ、ちょっと待っ・・・」


彼女はそそくさと出ていってしまった。



(なにかの嫌がらせかしら・・・)



メラニアは首をかしげたが、とりあえず小さな小窓を開けてホコリの被った部屋を掃除することにした。


「ごほっ・・・」



(うわぁ・・・すごいホコリね)



メラニアはマフラーを口に巻き付けて一日中掃除をして過ごした。



「はぁ・・・疲れた・・・」



お風呂に入ろうと思い、違う使用人に風呂の場所を聞くも誰も答えてくれない。メラニアは仕方なく外の井戸の水を汲みタオルで体を拭いた。



(ウィルにはいつ会えるのかしら・・・)



ベッドは固くギシギシと音がなる。森で暮らしていた時のベッドの方がよっぽど快適であった。



(おやすみなさい、ウィル・・・)




こんなベッドで寝れるか不安はあったが、馬車の旅と掃除の疲れですぐに寝入ってしまった。








「ぅうん・・・」



目を開けるとそこはやはり物置のような部屋だった。



(夢じゃなかったのね・・・)



着替えようと立ち上がったメラニアは、服がなくなっていることに気づいた。その代わりに置いてあったのは使用人の服である。



(な、なんで・・・)




メラニアは不思議に思うもその服しかないので使用人の服に着替えた。すぐに部屋を出て、メイド長を捕まえる。



「ちょ、ちょっと!私の服がないのだけど」
「ああ、あんな流行りものの服は捨てました。あなたにはその服がぴったりだと上の者が言っておりますので」
「上の者って・・・?」
「カイヤ様とユナ様です」


カイヤはウィリアムの叔母にあたり、ユナはその娘である。その二人がなぜメラニアにこのような対応をとったのか。



(私がウィルと一緒になることを反対してるの?)



「では、あなたにも使用人の仕事をさせるように言われてますので、こちらへ」
「・・・」



あきらかに嫌がらせのような対応である。他の使用人もメラニアを歓迎していない雰囲気が充満しているように感じた。



(とりあえず・・・ここで働くしかなさそうね・・・)




メラニアの花嫁修業は・・・まだ始まったばかりである。





    
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

離宮に隠されるお妃様

agapē【アガペー】
恋愛
私の妃にならないか? 侯爵令嬢であるローゼリアには、婚約者がいた。第一王子のライモンド。ある日、呼び出しを受け向かった先には、女性を膝に乗せ、仲睦まじい様子のライモンドがいた。 「何故呼ばれたか・・・わかるな?」 「何故・・・理由は存じませんが」 「毎日勉強ばかりしているのに頭が悪いのだな」 ローゼリアはライモンドから婚約破棄を言い渡される。 『私の妃にならないか?妻としての役割は求めない。少しばかり政務を手伝ってくれると助かるが、後は離宮でゆっくり過ごしてくれればいい』 愛し愛される関係。そんな幸せは夢物語と諦め、ローゼリアは離宮に隠されるお妃様となった。

〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です

ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」 「では、契約結婚といたしましょう」 そうして今の夫と結婚したシドローネ。 夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。 彼には愛するひとがいる。 それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

処理中です...