悪役令嬢はゴブリンに愛される

ほのじー

文字の大きさ
19 / 23
メラニーの花嫁修業!!

使用人として

しおりを挟む
「じゃあ、あなたはここの掃除をお願いしますね」
「は、はい・・・」



メラニアは王城の廊下の掃除をメイド長に任された。一度は婚約破棄で平民に落とされたが貴族であるメラニアに掃除をさせるなんて侮辱されたようなものであるが、前世の記憶もあるし、平民を経験してるので掃除もお手のものだ。



「ふぅ、綺麗になったんじゃないかしら」




メラニアは終わった旨を伝えようと歩いていると使用人二人が廊下でおしゃべりをしていた。



「あら、メラニアさん、もう終わったの?」
「はい、終わりました」
「じゃあここもやっといてもらえるかしら」
「で、でも・・・」
「何、文句あんの??新人でしょ?」
「いえ・・・やります」



メラニアは嫌々ながらも反抗できずに、その場を掃除し始めた。やっと終わりメイド長が確認をしに来た。



「とても綺麗に掃除できていますよ」
「ありがとうございます」



先ほどの使用人の一人が悪びれもなく自分が掃除したように振る舞った。メイド長は満足した様子でメラニアの担当した廊下に進んだ。




(な、なんで・・・!?)



メラニアが掃除した廊下は誰かが泥まみれの靴で歩いたように汚れていた。



「メラニアさん・・・これは?」
「ちゃんと綺麗に掃除しましたけど、誰かがその後汚したみたいです・・・」
「はぁ・・・ではもう一度掃除をお願いします」


メイド長は面倒くさそうにため息をつき、去っていった。



「あら、まだここ掃除してるの?とろくさいわね」
「ふふふ、これだから貴族様は何もできないのね」



サボっていた使用人がニヤニヤしながらメラニアに近づいてくる。さすがにメラニアはムッとした。



(絶対こいつらがやったんだわ)



メラニアは二人を睨み付ける。



「あらやだ、怖~い」
「先輩に対して態度悪いんじゃないの?」



(こんな人たちに構ってもしょうがないわ)



怒りを沈め、再び掃除をしてメイド長に今回は合格をもらった。




メラニアはそれから毎日水掃除をして手もあかぎれてしまった。嫌がらせは始めは何度かあったが、何もリアクションしないメラニアに飽きたのか、平和に仕事をすることができた。メラニアは毎日真面目に仕事を完璧にこなしていたからかメイド長の態度や他の使用人の態度も少し柔らかくなった。




「使用人の皆さん、今日は国王の妹ラン様お誕生日会なのですがシェフ長を含め数人が感染症にかかってしまい料理人が足りていません。メラニアさん、ステフさん、キャシーさん、あなたたちが応援に行ってあげてください」
「はい!」



ステフとキャシーは初日に仕事を押し付けてきた二人だ。厨房ではあたふたと料理人たちが困っている様子だった。



「肉も焼けてねえ、スープもデザートもまだ出来てないし、どうしよって言うんだ!!」
「こちら三人応援に参りました!」
「ありがてぇ・・・料理得意な人いるか?」



一緒に応援に来た使用人二人はあまり自信がなさそうで、気まずそうに目線をそらす。メラニアは前に出た。



「私一応できますが・・・」
「ありがたい、どんなスープでもいいから作ってくれ」



(スープ・・・スープといったら・・・ウィルといつも一緒に作ったあのスープにしましょう)



メラニアは料理人に食材の場所などを教えてもらい、三人は野菜を次々と切った。



「メラニアさん、これは?」
「三センチ幅で切ってください」
「メラニアさん、鍋の水が沸騰しましたよ」
「ありがとうございます、ステフさん」



三人は分担してテキパキとスープを作っていった。煮込み時間で手が空いた際にデザートなどもメラニアは手伝い、料理人にならないかと勧誘された程だった。



「こんなに野菜切ったの初めて・・・手が痛~い」
「私もよ・・・」


使用人のキャシーとステフが音を上げる。しかし食事の時間まであと少し。手を止めている暇はないのだ。



『できたぁ~』
『こっちもできたぞ!』



使用人と料理人たちはなんとか時間内にホッと一息ついた。


「支給さん、後は宜しく!」


料理人がそう伝えると食事の支給係が次々と食事を持っていった。


「ありがとよ!嬢ちゃんたち!本当に助かったぜ」


料理人たちは三人に感謝を述べた。また宜しくと言われたが、もうしばらく厨房の手伝いは遠慮願いたい。



「はぁ~終わったわ・・・」
「二人とも、お疲れさま」
「お疲れさま。あ~メラニアさんの雑草みたいな精神には感服するわ」



ステフとキャシーはヘトヘトで休憩室の机に顔を伏せた。そんな二人にメラニアはお茶を入れてあげた。



「ありがとう、メラニアさん。私たちあなたは美人なだけで何も出来やしないだろう、すぐに逃げ出すだろうって思ってたけど、間違いだったわ」
「今日なんてほとんどメラニアさんが料理完成させてたじゃない。私たち初日に酷いことしてしまったわ・・・ごめんなさい」


ステフとキャシーはメラニアに謝罪した。


「いえ・・・!今日は大変でしたけど、一緒に仕事できて良かったです・・・」
「そうだ!今日はメラニアさんの歓迎会も兼ねてご飯行かない?」
「そうしましょ!」
「はい・・・!」



メラニアは二人とご飯に行くことになった。メラニアは王城で初めての友人を得ることになる。








しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です

ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」 「では、契約結婚といたしましょう」 そうして今の夫と結婚したシドローネ。 夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。 彼には愛するひとがいる。 それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

処理中です...