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二章:思春期~新成人
パーティー
しおりを挟む『マクウェル伯爵カイル・ザッチャー、同伴リリス・ファーサー』
──ザワザワ──
会場がざわつき始める。カイルとリリィに無数の視線が突き刺さる。リリィはカイルに言われたとおり前を向いて堂々と歩く。
(ちゃんと、できてるかな)
カイルは小声で「その調子」と言ってくれている。カイルはリリィに優しく微笑みながら気を使ってくれていた。
+
+
+
「本日はお招きありがとうございます」
国王への挨拶でリリィは右足に重心を載せスカートを摘まんでお辞儀をする。慣れないカーテシーはきちんと出来ていただろうか。そんなことを考えていると、国王はリリィに話しかけた。
「君が兵器に守られた娘か。なかなか美しい娘じゃないか」
じろじろと値踏みするような瞳に逃げ出したい気持ちをぐっと我慢させていた。
(ヴィーは兵器なんて名前じゃない)
ヴィンセントを兵器と呼ぶのにも気に食わない。そんなことを考えていると、国王はボソリとリリィに呟いた。
「後で、我の部屋に来るが良い」
「っ・・・」
国王は気に入った女性を部屋に呼び、無理やり抱くという噂がある。目をつけられた女性は泣き寝入りすることも多く、平民の女性に子供が出来た場合は無理やり中絶させるそうだ。
「国王、彼女はまだ女学校を卒業していない年齢です。まだ成熟していないのでまたの機会が宜しいかと」
カイルがとっさに国王に言い訳をする。国王は何か考えた様子であったが、「確かに、もう少し待つとするか」と言って見逃してくれた。
「はぁ・・・良かったぁ。まさか国王」がリリィちゃんに目をつけるなんて。どんだけ元気なんだよ」
「カイル・・・ありがとう」
カイルはリリィにカクテルを手渡す。カイルもワインをグイッと飲み干し、はぁ、と心を落ち着かせていた。
「リリィちゃんに何かあったら、僕もヴィンセントもきっとすぐにでも手を出してしまうからね。まだその時じゃないからなぁ」
(その言い方、時が来れば国王に歯向かうって言ってるみたい)
誰かに聞かれたらまずいと思い見回したが、側には今誰もいないようだった。リリィはカイルに手を出され、ダンスに誘われる。リリィはカイルの手をとりダンスの群れに混じった。小さい頃いつもヴィンセントやカイルはリリィと躍りの練習をしたがったので、カイルと踊るのは慣れているのだ。
「いつもリリィちゃんのデビューで踊るのは自分だってヴィンセントとよく喧嘩してたなぁ」
「ふふふ、あの時は手が引きちぎれるかと思ったんだから」
女学生でダンスのクラスがあり、ヴィンセントとカイルがいつもリリィとの練習相手として誰が踊るか喧嘩していたのだ。
(ヴィー、どこにいるんだろ)
「リリィちゃん、余所見してたら転んじゃうよ。ほら、僕だけに集中して」
「きゃっ!カイルったら」
カイルはリリィにターンを促す。リリィも負けじと付いていき、カイルと楽しい一時を過ごすことができた。
「もうすぐ表彰が始まるから行かなきゃ。リリィちゃん、すぐ戻るからここから離れたらダメだからね」
「う、うん」
(ヴィーだ・・・)
リリィは端に座り、表彰が始まるのを見ていた。ヴィンセントやカイルが次々と呼ばれ、今回の功績を称えた。ヴィンセントはいつもと違い赤い髪を後ろに流し、いつもより数倍かっこよくみえた。
(ヴィー・・・)
ヴィンセントとカイルが舞台から降りる様子を見ていると、誰かが自分をじっと見つめているのに気づいた。他の者たちのような好奇心の目ではない。
『巫女・・・様?』
リリィが声のした方向に顔を上げると、そこには東の国の正式な服を纏った男性が立っていた。リリィを見て驚いているようだった。その様子を見てリリィも体を硬直させる。
『巫女様・・・ご無事で・・』
「あなたはどなたでしょうか」
カイルが戻ってきたようで、その男に話しかけた。
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