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心の変化
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「ん・・・あれ・・・」
「お嬢様・・・起きましたか!」
エリザベスは気がつくと自分の部屋のベッドに寝ていた。マニーは涙ぐみながらエリザベスの世話をしてくれていた。
「あれから熱が出て1日ずっと眠っていたのですよ」
「私・・・どうやってここに?」
「第三王子が協力してくださって、お医者様に体を見てもらってから、秘密裏に馬車でこちらに搬送していただいたんです」
この事件が公になれば、被害者であるエリザベスにも醜態が付きまとってしまうだろう。第三王子シュバルツは他の人にバレないように協力してくれたようだ。
ーバン!
「姉上!」
「フィル・・・」
扉が開かれ、フィルが部屋に入ってくる。エリザベスの涙が再び溢れだしてしまう。
「フィル・・・ごめんなさい、あなたの忠告ちゃんと聞いとけばよかったのに・・・」
「いいんですよ、姉上。あいつは裏の顔を巧妙に隠してましたからしかたありませんでした」
「それで、ザック様は・・・どうなったの?」
エリザベスはあの時の光景を思い出してしまい、恐怖で手が震える。フィルはその手を大きな手で包みこむ。
「姉上はもうあいつの事は忘れていいです・・・もう姉上の前には絶対に現れないようにするから」
「でも・・・」
「ほら・・・泣かないで姉上」
フィルは手のひらでエリザベスの涙を拭った。しばらくして王族専用の女性のお医者様がわざわざ訪問してくれエリザベスを診察した。
「安心してください。毎日この塗り薬を塗って寝れば傷は残らないはずですよ」
「よかったですね、お嬢様」
「ええ・・・」
マニーはホッと安心しているようだが、エリザベスは傷のことなどどうでも良かった。あの優しかったザックがあのように豹変するのだ。男性と結婚なんて到底できそうにない。エリザベスは仕事を見つけるか、修道院に行くことにしようとその時決意したのだった。
+
+
+
「姉上、姉上・・・起きてください」
「・・・フィル?」
フィルがエリザベスの部屋にいる。彼は今日はホテルには泊まっていないようだ。
「どうしたの?」
「僕の部屋に姉上が魘されてるのが聞こえてきて、辛そうだったんで起こしました」
「・・・ダメだわね・・・どうしてもあの時のこと夢で見てしまうの」
傷はほとんど治りかけている。王族の素晴らしい医者の塗り薬のお陰だ。しかしあれからしばらく、悪夢で目が覚めてしまい、寝不足が続いていた。父もゆっくり休めば良いとエリザベスを外出させなくなった。
「僕が側にいてますから、安心して寝てください」
「ありがとう、フィル。ダメな姉でごめんね・・・」
ーーー
(またこの夢だわ・・・)
ーパシン!!
(やめて!!痛いわ!!)
ーパシン!!
(助けて・・・)
誰かがエリザベスの手を握る感触がした。
「大丈夫・・・大丈夫ですよ・・・」
(・・・フィル?)
するとフィルが助けてくれる光景が浮かび上がる。体の痛みもなくなり、深い眠りへと誘われた。
+
+
+
「おはようございます、お父様、フィル」
「おはよう、エリザベス。今日は顔色が良いな」
「ええ、昨日はぐっすり寝れました」
「それは良かった」
朝食の席で父は久々に娘の笑顔が見れて嬉しそうだ。フィルは何も知らぬ素振りで朝食を進めている。
(いつも知らん顔なんだから・・・)
エリザベスに冷たい言葉を投げかけて突き放していると感じていた。フィルはエリザベスが嫌いなのだと思っていたが、何かと気にかけてくれているようだ。昨晩も優しい言葉をくれてエリザベスが寝るまで一緒にいてくれた。
(何を考えてるの・・・フィル)
フィルは最近仕事が忙しいのか、出掛けていくことが増えた。その日エリザベスは外出を禁止されているので体が鈍ってきたと感じ、マニーと庭を散歩することにした。
「お嬢様・・・起きましたか!」
エリザベスは気がつくと自分の部屋のベッドに寝ていた。マニーは涙ぐみながらエリザベスの世話をしてくれていた。
「あれから熱が出て1日ずっと眠っていたのですよ」
「私・・・どうやってここに?」
「第三王子が協力してくださって、お医者様に体を見てもらってから、秘密裏に馬車でこちらに搬送していただいたんです」
この事件が公になれば、被害者であるエリザベスにも醜態が付きまとってしまうだろう。第三王子シュバルツは他の人にバレないように協力してくれたようだ。
ーバン!
「姉上!」
「フィル・・・」
扉が開かれ、フィルが部屋に入ってくる。エリザベスの涙が再び溢れだしてしまう。
「フィル・・・ごめんなさい、あなたの忠告ちゃんと聞いとけばよかったのに・・・」
「いいんですよ、姉上。あいつは裏の顔を巧妙に隠してましたからしかたありませんでした」
「それで、ザック様は・・・どうなったの?」
エリザベスはあの時の光景を思い出してしまい、恐怖で手が震える。フィルはその手を大きな手で包みこむ。
「姉上はもうあいつの事は忘れていいです・・・もう姉上の前には絶対に現れないようにするから」
「でも・・・」
「ほら・・・泣かないで姉上」
フィルは手のひらでエリザベスの涙を拭った。しばらくして王族専用の女性のお医者様がわざわざ訪問してくれエリザベスを診察した。
「安心してください。毎日この塗り薬を塗って寝れば傷は残らないはずですよ」
「よかったですね、お嬢様」
「ええ・・・」
マニーはホッと安心しているようだが、エリザベスは傷のことなどどうでも良かった。あの優しかったザックがあのように豹変するのだ。男性と結婚なんて到底できそうにない。エリザベスは仕事を見つけるか、修道院に行くことにしようとその時決意したのだった。
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「姉上、姉上・・・起きてください」
「・・・フィル?」
フィルがエリザベスの部屋にいる。彼は今日はホテルには泊まっていないようだ。
「どうしたの?」
「僕の部屋に姉上が魘されてるのが聞こえてきて、辛そうだったんで起こしました」
「・・・ダメだわね・・・どうしてもあの時のこと夢で見てしまうの」
傷はほとんど治りかけている。王族の素晴らしい医者の塗り薬のお陰だ。しかしあれからしばらく、悪夢で目が覚めてしまい、寝不足が続いていた。父もゆっくり休めば良いとエリザベスを外出させなくなった。
「僕が側にいてますから、安心して寝てください」
「ありがとう、フィル。ダメな姉でごめんね・・・」
ーーー
(またこの夢だわ・・・)
ーパシン!!
(やめて!!痛いわ!!)
ーパシン!!
(助けて・・・)
誰かがエリザベスの手を握る感触がした。
「大丈夫・・・大丈夫ですよ・・・」
(・・・フィル?)
するとフィルが助けてくれる光景が浮かび上がる。体の痛みもなくなり、深い眠りへと誘われた。
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「おはようございます、お父様、フィル」
「おはよう、エリザベス。今日は顔色が良いな」
「ええ、昨日はぐっすり寝れました」
「それは良かった」
朝食の席で父は久々に娘の笑顔が見れて嬉しそうだ。フィルは何も知らぬ素振りで朝食を進めている。
(いつも知らん顔なんだから・・・)
エリザベスに冷たい言葉を投げかけて突き放していると感じていた。フィルはエリザベスが嫌いなのだと思っていたが、何かと気にかけてくれているようだ。昨晩も優しい言葉をくれてエリザベスが寝るまで一緒にいてくれた。
(何を考えてるの・・・フィル)
フィルは最近仕事が忙しいのか、出掛けていくことが増えた。その日エリザベスは外出を禁止されているので体が鈍ってきたと感じ、マニーと庭を散歩することにした。
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