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Sideフィル
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※パーティーからのフィル視点です
(皆姉上に注目してるな)
パーティー会場に到着するとエリザベスの回りに男が群がり、ダンスの申し込みをしていた。フィルは彼女が気になっていたが、目の前にいる女性二人に邪魔をされた。
「フィル様・・・お久しぶりですね」
「いつぶりかしら・・・」
「お久しぶりです、モニカ嬢、ヘレン嬢。今日はお二人ともスミレの花のような美しさですね」
「うふふ、ありがとう」
この二人は姉妹で学生時代「伯爵家といっても養子でしょ」とフィルを見下していた子爵家の令嬢だ。
「ところでフィル様、今日は国王から表彰されるんですって?将来安泰ですわね」
「ご褒美はおいくらいただけるのかしらね」
(まったく、金と名声にしか興味のない貴族ばかりだな)
フィルを養子だと見下していた貴族たちからもフィルと関係を持とうとする人が最近増えた。姉妹の一人がフィルに耳打ちする。
「ねえ、今度うちに遊びにこない?私たち二人であなたを喜ばしてあげる」
彼女は妖艶な笑みをフィルに向けている。
「僕もお二人を存分に喜ばしてさしあげたいのですが・・・仕事が忙しいのでまたいずれ」
「あら、待ってますことよ」
フィルが再びエリザベスに目を向けると、彼女はザックとダンスを踊っているようだった。エリザベスを上手にリードしているようだったが、わざとリードを崩したのかエリザベスはバランスを崩した。
(あいつわざと・・・しかも手が胸に当たってるじゃないか!)
エリザベスを支えるふりをして背中に回した手をさりげなく胸に当たるように触っていた。
(このやろ・・・)
「おい、フィル。もうすぐ国王の挨拶が始まるぞ。前の方にスタンバイしとけよ」
「あ、ああ」
エリザベスが心配だがしかたない。フィルは脇に控え、国王に呼ばれ舞台に立った。国王から感謝の言葉を貰い表彰され、ご褒美として個人口座にかなりの額も振り込まれることとなった。無事表彰が終わりフィルは舞台を降りた。
(あれ・・・姉上がいない・・・あいつもだ)
「おい、ザック様がどこに行ったか知ってるか?」
「いや、しらねえよ」
先ほどザックと話していた子爵家の男に聞いたが知らないと言う。他の者にも聞いたが、誰も知らないそうだ。
「どうした、フィル?」
「シュバルツ・・・エリザベスとザック様がいないんだよ」
「なんだって?」
シュバルツも同じく探してくれ、エリザベスが足を捻ったのか足を引きずりながらゲストルームの方へと向かっていたと誰かが証言していた。
(使用人に聞いても、誰も知らないなんて・・・ありえないだろ)
ふと挙動不審の使用人の女が目にはいった。フィルを見てそそくさと逃げるように逆方向へ向かっていた。
ードン!
「おい!お前、なんで逃げた!」
「も、も、も、申し訳ございません!!」
フィルはギリギリと脅すように使用人に迫った。恐怖に震えた使用人はついに吐いた。その使用人が言うには、ザックに救急箱を取りに行くように言われ、その部屋に入ったことは黙っておくようにと、多額のチップをもらったそうだ。
「はやくそこに案内しろ!!」
二階の奥にあるゲストルームは死角にあり、隠し事に良い部屋となっている。そこに二人は入っていったそうだ。
「姉上!!」
鍵がかかっていたのでドアを足でぶち破り、中に入ると裸で縛られているエリザベスが見えた。ザックは下半身を晒しているようだ。エリザベスの体を見ると、まるで鞭で打たれたような傷が胸元や体に浮かび上がっている。
(なっ・・・!!)
フィルは上着を脱ぎエリザベスの体が見えないように隠した。
「フィル!!フィル!!こわかった!!」
「姉上・・・もう大丈夫です」
相当なショックがあったのだろう、エリザベスは顔が真っ青になり気を失ってしまった。
ーバン!!
「・・・おい、てめえ殺してやる!」
フィルはザックに殴りかかった。一度殴るだけでは気がすまない。もう一度ザックを殴に殴りつける。
「おい、フィルそれくらいにしとけ」
「彼女に何をしたんだ・・・全部吐け!!」
ザックは殴られた顔をさすりながらポツポツと話しだした。
「いやぁ、彼女、足を挫いたって言うから手当てしたんですよ。そしたら彼女が縛ってほしいって言うからお望みどおり縛ってさしあげたんです。そしたらベルトで打ってほしいって言うんでねぇ、そりゃ僕もびっくりしましたよ。でも断るのも悪かったんで、打ってさしあげました」
ーバン!!
「てめぇ、殴られ足りないようだな!!」
「僕は本当のことを言ったまでです。証拠でもあるんですか?」
ザックはズボンを穿き、エリザベスを縛っていたネクタイを拾い上げて胸元にしまった。ザックは何事もなかったように部屋を出ていった。
「くそっ!!」
「ザックの言うことは信じられないけど、証拠がないことは確かだ。このまま騒ぎになったらエリザベス嬢も被害を受けてしまうから、とりあえずここは怒りを沈めて、秘密裏にエリザベス嬢を動かそう」
シュバルツは王城の女医を連れてきてくれ、診察を受けた。体の傷はあるが、危機一髪で性行為までには至らなかったようだ。頃を見計らってエリザベスを搬送する。
「フィル、エリザベス嬢が落ち着いたら事情聴取をさせてほしい。他の被害者もいないか調べて訴えるしかない」
「ああ、あいつを二度と表の世界に出れなくしてやる」
(ザックの下心には気づいていたのに守ってやれなかった・・・あいつに加虐趣味があっただなんて・・・)
エリザベスがザックを好んでいたなら何が起こってもフィルは静観する予定でいた。しかしフィルが部屋に入った時のエリザベスのザックに対する恐怖で絶望を覚えた顔を見て、怒りで血が滾った。未だに殴りたりない。
「ぜってーに許さない」
+
+
+
(なんだ・・・)
夜中、部屋でザックの調査報告を読んでいるとエリザベスの部屋から声が聞こえてきた。耳を近づけると、言ってる言葉がはっきりと分かった。
『うううう、やめて・・・!!来ないで・・・』
(うなされてる・・・?)
エリザベスの部屋をノックしたが反応はない。そっと部屋に入るとエリザベスが大量の汗をかいてうなされていた。
(可哀想に・・・)
エリザベスを起こし、安心させる。彼女はしばらくして寝始めたのだが、再び魘されだす。
「姉上・・・大丈夫・・・大丈夫ですよ」
彼女の手を握ると、無意識に握り返してきた。彼女の頭をゆっくりと撫でてあげる。
「姉上・・・好きです。あんな男に姉上を渡すくらいなら、僕が姉上をいただいていいですか?」
フィルは寝ているエリザベスの耳元に呟いた。
(皆姉上に注目してるな)
パーティー会場に到着するとエリザベスの回りに男が群がり、ダンスの申し込みをしていた。フィルは彼女が気になっていたが、目の前にいる女性二人に邪魔をされた。
「フィル様・・・お久しぶりですね」
「いつぶりかしら・・・」
「お久しぶりです、モニカ嬢、ヘレン嬢。今日はお二人ともスミレの花のような美しさですね」
「うふふ、ありがとう」
この二人は姉妹で学生時代「伯爵家といっても養子でしょ」とフィルを見下していた子爵家の令嬢だ。
「ところでフィル様、今日は国王から表彰されるんですって?将来安泰ですわね」
「ご褒美はおいくらいただけるのかしらね」
(まったく、金と名声にしか興味のない貴族ばかりだな)
フィルを養子だと見下していた貴族たちからもフィルと関係を持とうとする人が最近増えた。姉妹の一人がフィルに耳打ちする。
「ねえ、今度うちに遊びにこない?私たち二人であなたを喜ばしてあげる」
彼女は妖艶な笑みをフィルに向けている。
「僕もお二人を存分に喜ばしてさしあげたいのですが・・・仕事が忙しいのでまたいずれ」
「あら、待ってますことよ」
フィルが再びエリザベスに目を向けると、彼女はザックとダンスを踊っているようだった。エリザベスを上手にリードしているようだったが、わざとリードを崩したのかエリザベスはバランスを崩した。
(あいつわざと・・・しかも手が胸に当たってるじゃないか!)
エリザベスを支えるふりをして背中に回した手をさりげなく胸に当たるように触っていた。
(このやろ・・・)
「おい、フィル。もうすぐ国王の挨拶が始まるぞ。前の方にスタンバイしとけよ」
「あ、ああ」
エリザベスが心配だがしかたない。フィルは脇に控え、国王に呼ばれ舞台に立った。国王から感謝の言葉を貰い表彰され、ご褒美として個人口座にかなりの額も振り込まれることとなった。無事表彰が終わりフィルは舞台を降りた。
(あれ・・・姉上がいない・・・あいつもだ)
「おい、ザック様がどこに行ったか知ってるか?」
「いや、しらねえよ」
先ほどザックと話していた子爵家の男に聞いたが知らないと言う。他の者にも聞いたが、誰も知らないそうだ。
「どうした、フィル?」
「シュバルツ・・・エリザベスとザック様がいないんだよ」
「なんだって?」
シュバルツも同じく探してくれ、エリザベスが足を捻ったのか足を引きずりながらゲストルームの方へと向かっていたと誰かが証言していた。
(使用人に聞いても、誰も知らないなんて・・・ありえないだろ)
ふと挙動不審の使用人の女が目にはいった。フィルを見てそそくさと逃げるように逆方向へ向かっていた。
ードン!
「おい!お前、なんで逃げた!」
「も、も、も、申し訳ございません!!」
フィルはギリギリと脅すように使用人に迫った。恐怖に震えた使用人はついに吐いた。その使用人が言うには、ザックに救急箱を取りに行くように言われ、その部屋に入ったことは黙っておくようにと、多額のチップをもらったそうだ。
「はやくそこに案内しろ!!」
二階の奥にあるゲストルームは死角にあり、隠し事に良い部屋となっている。そこに二人は入っていったそうだ。
「姉上!!」
鍵がかかっていたのでドアを足でぶち破り、中に入ると裸で縛られているエリザベスが見えた。ザックは下半身を晒しているようだ。エリザベスの体を見ると、まるで鞭で打たれたような傷が胸元や体に浮かび上がっている。
(なっ・・・!!)
フィルは上着を脱ぎエリザベスの体が見えないように隠した。
「フィル!!フィル!!こわかった!!」
「姉上・・・もう大丈夫です」
相当なショックがあったのだろう、エリザベスは顔が真っ青になり気を失ってしまった。
ーバン!!
「・・・おい、てめえ殺してやる!」
フィルはザックに殴りかかった。一度殴るだけでは気がすまない。もう一度ザックを殴に殴りつける。
「おい、フィルそれくらいにしとけ」
「彼女に何をしたんだ・・・全部吐け!!」
ザックは殴られた顔をさすりながらポツポツと話しだした。
「いやぁ、彼女、足を挫いたって言うから手当てしたんですよ。そしたら彼女が縛ってほしいって言うからお望みどおり縛ってさしあげたんです。そしたらベルトで打ってほしいって言うんでねぇ、そりゃ僕もびっくりしましたよ。でも断るのも悪かったんで、打ってさしあげました」
ーバン!!
「てめぇ、殴られ足りないようだな!!」
「僕は本当のことを言ったまでです。証拠でもあるんですか?」
ザックはズボンを穿き、エリザベスを縛っていたネクタイを拾い上げて胸元にしまった。ザックは何事もなかったように部屋を出ていった。
「くそっ!!」
「ザックの言うことは信じられないけど、証拠がないことは確かだ。このまま騒ぎになったらエリザベス嬢も被害を受けてしまうから、とりあえずここは怒りを沈めて、秘密裏にエリザベス嬢を動かそう」
シュバルツは王城の女医を連れてきてくれ、診察を受けた。体の傷はあるが、危機一髪で性行為までには至らなかったようだ。頃を見計らってエリザベスを搬送する。
「フィル、エリザベス嬢が落ち着いたら事情聴取をさせてほしい。他の被害者もいないか調べて訴えるしかない」
「ああ、あいつを二度と表の世界に出れなくしてやる」
(ザックの下心には気づいていたのに守ってやれなかった・・・あいつに加虐趣味があっただなんて・・・)
エリザベスがザックを好んでいたなら何が起こってもフィルは静観する予定でいた。しかしフィルが部屋に入った時のエリザベスのザックに対する恐怖で絶望を覚えた顔を見て、怒りで血が滾った。未だに殴りたりない。
「ぜってーに許さない」
+
+
+
(なんだ・・・)
夜中、部屋でザックの調査報告を読んでいるとエリザベスの部屋から声が聞こえてきた。耳を近づけると、言ってる言葉がはっきりと分かった。
『うううう、やめて・・・!!来ないで・・・』
(うなされてる・・・?)
エリザベスの部屋をノックしたが反応はない。そっと部屋に入るとエリザベスが大量の汗をかいてうなされていた。
(可哀想に・・・)
エリザベスを起こし、安心させる。彼女はしばらくして寝始めたのだが、再び魘されだす。
「姉上・・・大丈夫・・・大丈夫ですよ」
彼女の手を握ると、無意識に握り返してきた。彼女の頭をゆっくりと撫でてあげる。
「姉上・・・好きです。あんな男に姉上を渡すくらいなら、僕が姉上をいただいていいですか?」
フィルは寝ているエリザベスの耳元に呟いた。
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