秘密の師弟関係

第一章:再会

茶会の裏側おまけSide:エドアルド

バロック公爵が自白を始めたことで、次々と従っていた貴族や商家などが逮捕されていった。侍女に限らず騎士や文官まで逮捕されていったのだが、証拠集めに貢献したのがミリアの双子の弟、エドアルドである。

彼は昔から年上に好かれるタイプである。そしてその人懐っこい顔をして権力者や貴族の妻の懐に入り込み情報を収集していた。(エドアルドがたまに酒の匂いや香水の匂いをさせて夜中に帰ってくるのはそのせいである)

特にエドアルドを可愛がってくれている人物は正妃ベラである。男嫌いの変わった人物と言われている妃が王城の廊下を歩いていたとき珍しく男であるエドアルドに声をかけた。彼女に「あなた、ちょっと来なさい」と言われ、ついていったエドアルドは侍女らに服を剥がされ(襲われるかと思った)可愛らしいドレスに着替えさせられ、「あぁ・・・絵になるわ!イケるわ!」とキャハハウフフと盛り上がって、一通り満足すると帰された。それからミリア周辺人物の情報を交換条件に女装をさせようと侍女が迎えにくるようになったのだ。幼少期からミリアと服を交換していたので、女装は慣れっこであるのであまり抵抗なのないエドアルドだ。

そんな中ある日ミリアが先輩侍女とご飯を食べに行くという。そんな時ベラの使いから危険を知らされ、今やがらんと空いている側室用の部屋に匿われた。(もちろん女装で)
朝も茶会の準備を手伝わされ、ベラに都合よく使われている気がしなくもないが、仕事の時間までには帰してくれた。

そんな中、バロック公爵の話を聞いたエドアルドは、押収されたバロック公爵の契約書や会計書、あらゆる書類を調べあげ、不振なものをすべて洗いだし、第二王女を陥れようとしていた人物を特定していったのだ。

その日ミリアは「ぅうエドぉ～～」と号泣しながらエドアルドに抱きついて一日中離れてくれず夜も二人同じベッドで昔のように手を繋いで寝た。もうエドアルドに内緒事はしないと約束も取り付けた。危険な仕事はしてほしくないが、侍女の仕事が気に入っているミリアに辞めろとは言えないので、また情報を仕入れながら見守ろうと決めた。

(ふぅ、これでミリ姉も安心して仕事できるだろ)


頭脳よし、仕事もできるエドアルドである。ミリアからの「世界一頼りになるエド!」の称号はまだ誰にも譲るつもりはない。

(今日はミリ姉の好きな子羊入りのポトフにしよう)

シスコンっぷりを各方面で発揮するエドアルドであった。