秘密の師弟関係

ほのじー

文字の大きさ
74 / 121
終章:師匠との恋

最終決戦!!Side:ランドルフ(後)

しおりを挟む
それからすぐにランドルフの父に婚約を認めるようにお願いをした。シルベスターも手伝ってくれ、父は最終的に交際を認めてくれた。ランドルフが喜びに打ちひしがれていると、殺気を感じる。振り返るとエステルがミリアに剣を向けたのが分かった。



(あいつ・・・!)




ーーーグサッ



ランドルフは、迷いなくミリアを庇い剣をその胸に受けた。ミリアの悲鳴が鳴り響くが、ミリアを安心させようとランドルフは病院へ運ばれる前に笑顔を見せた。







ーーー師匠、早く起きてくださいね・・・もっとあなたに好きだって伝えたいですから



(ああ・・・ミリアの声が聞こえる)



(ミリアの唇の感触だ・・・)



ランドルフは夢の中から少しずつ現実に引き戻された。唇の感触が無くならないようミリアの頭を支え、久々のミリアの口の中を味わった。



(ああ、彼女が目の前にいる・・・)



嬉しさが込み上げてくるが、若い頃からランドルフを診てくれている先生とシルベスターが部屋に入ってきて、ミリアを外に出した。



「ふんっ・・・なんの用だ」
「ランドルフ、お前俺がミリアちゃんエスコートしたからって当たりが強いんじゃないか?俺がミリアちゃんを君に会わせようと気を使ってあげたのに失礼だな」
「・・・それには感謝してるが、もうちょっとやり方があったんじゃないか?」


シルベスターはニコニコとしてランドルフのベッドに近づく。

「いやぁ、この国の女性の地位を上げるためには、やっぱり憧れになる強い女性のヒーローがいないとね。見ただろ?あの憧れで見る女性たちの眼差し。これから彼女のようになろうと目指す女の子が増えるだろうなぁ」
「・・・お前は一石二鳥でも三鳥でも欲しがるような男だもんな」


シルベスターはランドルフに近づき、グリグリと傷口を親指で押し込む


「ぐはぁ・・・!!」
「シルベスター坊っちゃん、そんなにしたら彼の傷口が開いちゃいますよ」



「先生、でもこいつ、あんなひ弱な女の剣避けるのなんて簡単だったはずなんだよ。これはわざと受けた傷だ、そうだろ?ランドルフ」
「ぐっ・・・」



シルベスターは気まずそうなランドルフの顔を拝みながらさらに続ける。



「その証拠に、この急所を綺麗に避けた傷、見てよ。この傷があれば、ミリアちゃんは彼女のせいでランドルフに傷を負わせたって一生罪の意識で君を置いていけなくなる。それとあの危険分子であるエステル嬢の剣を君が受けることで完全に婚約の約束を白紙にすることができる。つまり君こそが一石二鳥でも三鳥でも欲しがる欲望深い男だってことだよね」


先生は「自業自得なので早く治して早く帰っててくださいね」とわざと痛くなるようにランドルフの開いた傷口を縫い直した。




「はい、師匠、あーん」
「ミリアが剥いてくれた林檎美味しいよ」
「食べたらお薬飲んでくださいね」
「俺、薬苦手なんだ。ミリアの口移しなら飲めるかもしれない・・・」
「ぅうう・・・分かりました。お薬苦手なら仕方ありません」


(よし、ミリアにキスできるぞ)



ーーーーパコーン


ランドルフの頭から殴る良い音が鳴った。キースだ。



「おい!団長さんよぉ、ミリちゃんに甘えてないで早く騎士団に戻ってこんかい!!」



上司に酷い仕打ちのキースである。あれからランドルフは父と話し合い、父が引退するまで騎士団長を兼任しながら父の仕事を手伝うことになったのだ。しかし両立は難しいので、ランドルフが辞めるまで騎士団長補佐が就くことになった。ランドルフも信用できる人物だ。いずれキースが団長になった時、彼とは良いパートナーとなるだろう。




「キース・・・」
「なんだよ」

ぶっきらぼうに返事をするキースである。





「ありがとな」
「ふん!感謝してるなら早く退院しな」




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...