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休暇
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「ああ良かった。起きましたか、ジュリアのお嬢ちゃん」
「ランプ医師・・・」
辺りを見回すとそこは王城の医務室であった。騎士に成りたての際はよくケガをして世話になったものだ。
「点滴をして自白剤の薬を完全に抜いて怪我の治療もおこなったのですが、二日起きなかったので心配しましたよ」
「そう、ですか・・・痛っ」
「まだ起きてはいけませんよ。これだけ傷が残っているんですから」
身体中に巻かれた包帯にジュリアは気がついた。顔にもふわりとしたガーゼの感触を感じる。
「傷は残らないように治療を継続していきますが、少しは残ってしまうでしょうね」
「そう、ですか・・・」
(もう傷物として扱われるんだ、結婚もできないだろうし傷が残ろうと、関係ない・・・)
──ツキン──
本当はサイラスに愛されたい、ずっと彼の傍にいたい。でもそれは叶わないのだろう。
「おいジュリア、大丈夫か?」
「ジュリアちゃん・・・起きたんだね」
「ウルフ団長、フィン副団長、ご心配おかけしました」
ウルフとフィンは仕事の合間に見舞いに来てくれたようだ。二人ともげっそりと疲れて目の下に隈を作っている。フィンがヘナヘナとベッドの前で膝まずいた。
「こんなに傷ついて・・・可哀想に・・・でもっ・・生きてくれていて良かった」
フィンは大丈夫そうなジュリアを見て安心したのか気の張っていた力が抜けたようだ。ジュリアは二人に会って一番知りたい大事なことを聞いた。
「・・フランソワ様は、無事ですか?」
「ああ、第三騎士団に無事保護されたよ」
「よかった・・・」
ウルフによると、生き残って逃れた騎士は王城に向かわずに数キロ逆方向にある比較的大きな街の警備隊に助けを求めた。すぐに王城へ派遣を要請しに行ってくれたそうで、他の警備隊は現場に急行した。そこは無残な状況で十人いた騎士の半分は亡くなっていた。生き残った騎士も重症だったが、証言によると誘拐した人物たちは、逃げた王女の居場所を推測するのが速かったようで、このあたりの土地勘に優れているようだったと言っていたそうだ。
「騎士の判断は正しかった。あそこの警備隊は優秀だからな」
現場の状況を把握した警備隊は森を捜索した。すると足に怪我をして必死に歩いている王女と侍女を発見したそうだ。
「王女が確保されたとこちらにも報告が来て安心したのだが、ジュリア、お前が囮になったと聞いてサイラスが最優先事項として第一騎士団と第二騎士団に最大限の人員を裂いて探しだすよう命令したんだ」
(そんな事が・・・なんだか申し訳ないな)
「生き残った騎士の証言が役にたった。あの地域の子爵家は純粋な血が流れるものが国王に相応しいと言っていたからな。子爵家の手下が手助けをしているとサイラスは勘づいたようだ」
ウルフはポンポンとジュリアの頭を軽く叩いた。
「そんなこんなで、お前のことを危機一髪で見つけることができたんだ」
「そうでしたか・・・」
「まあ、ジュリア。お前はしばらく療養すればいい。ランプ医師によると最低数週間は安静だそうだ」
「そんなに!?私は大丈夫でっ・・・うっ」
起き上がろうとするもジュリアの胸元が傷んだ。ウルフはジュリアを嗜める。
「言わんこっちゃない、これは命令だ。お前はゆっくり休め」
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