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休暇③
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朝目が覚めたジュリアは看護師のエデに連れられ朝食の場へと来ていた。
「セバスチャンさん、あの、サイラス様は?」
「ああ、ジュリア様。坊っちゃんは真夜中にお帰りになったんですが、日も上がらない早朝にもう出勤されました・・・」
(そっか、この家に帰ってたんだ・・・)
ジュリアはあれからサイラスに会っていないので一目でも見たいのだが駄目だったようだ。
「ジュリア様、今日はこちらをお召しくださいな」
マーサがジュリアに着せてくれたのは質の良い黄色のワンピースで、肌に優しい素材を使っているらしい。
「こんな素敵なもの!お高いのでしょう?」
「いいんですよ、坊っちゃんは休みもないのでお金も使い道がないのですよ。綺麗なジュリア様に使っていただけたら本望ですよ」
「でも・・・」
文句を言うにも当人に全く会えていないのだ。ジュリアは文句を飲み込んだ。
「セバスチャンさん、サイラス様にこれを渡したいのだけれど、渡しておいてくれますか。あの、迷惑なら捨てても構わないと仰っておいてください」
「何を仰りますやら、きっと坊っちゃんは大喜びでしょう」
ジュリアは図書室の本を読んだりと時間を過ごしていたのだが、暇を持てあましていた。マーサが裁縫を勧めてくれたので、少しでもサイラスにお礼がしたいと思いサイラスの為にハンカチの刺繍を縫っていたのである。マーサはその刺繍を見て大げさに誉め称えた。
「まあ!!素敵!!これはブルーバードと薔薇の絵ですね」
「ええ、サイラス様のイメージにぴったりだと思って」
「きっと坊っちゃんも、喜びますよ」
ブルーバードは幸運の鳥とされており、サイラスの色にぴったりだと感じた。その周りに思い出の薔薇園の薔薇を刺繍した。
+++
『誰もお通しするなと言われておりますので』
『私を誰だと思っているの、少しだけで良いって言ってるじゃない』
あれから数日経ち、ジュリアもこの暮らしに慣れてきた頃だ。因みにジュリアはまだサイラスに会えていない。
──バーン!!──
グアテル国の王女、フランソワが息を切らしてジュリアの部屋に押し入った。
(フランソワ様・・・)
ジュリアはフランソワに少し罪悪感を覚えていた。フランソワとサイラスは婚約するのにも関わらず、図々しくジュリアは彼の家に留まっているからだ。
(私のこと、とうとう追い出しに来たのね)
ジュリアは十二分にサイラスにはお世話になった。まだ傷は痛むも、歩けなくはないのでジュリアはここを去ろうと決心した。
「セバスチャンさん、あの、サイラス様は?」
「ああ、ジュリア様。坊っちゃんは真夜中にお帰りになったんですが、日も上がらない早朝にもう出勤されました・・・」
(そっか、この家に帰ってたんだ・・・)
ジュリアはあれからサイラスに会っていないので一目でも見たいのだが駄目だったようだ。
「ジュリア様、今日はこちらをお召しくださいな」
マーサがジュリアに着せてくれたのは質の良い黄色のワンピースで、肌に優しい素材を使っているらしい。
「こんな素敵なもの!お高いのでしょう?」
「いいんですよ、坊っちゃんは休みもないのでお金も使い道がないのですよ。綺麗なジュリア様に使っていただけたら本望ですよ」
「でも・・・」
文句を言うにも当人に全く会えていないのだ。ジュリアは文句を飲み込んだ。
「セバスチャンさん、サイラス様にこれを渡したいのだけれど、渡しておいてくれますか。あの、迷惑なら捨てても構わないと仰っておいてください」
「何を仰りますやら、きっと坊っちゃんは大喜びでしょう」
ジュリアは図書室の本を読んだりと時間を過ごしていたのだが、暇を持てあましていた。マーサが裁縫を勧めてくれたので、少しでもサイラスにお礼がしたいと思いサイラスの為にハンカチの刺繍を縫っていたのである。マーサはその刺繍を見て大げさに誉め称えた。
「まあ!!素敵!!これはブルーバードと薔薇の絵ですね」
「ええ、サイラス様のイメージにぴったりだと思って」
「きっと坊っちゃんも、喜びますよ」
ブルーバードは幸運の鳥とされており、サイラスの色にぴったりだと感じた。その周りに思い出の薔薇園の薔薇を刺繍した。
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『誰もお通しするなと言われておりますので』
『私を誰だと思っているの、少しだけで良いって言ってるじゃない』
あれから数日経ち、ジュリアもこの暮らしに慣れてきた頃だ。因みにジュリアはまだサイラスに会えていない。
──バーン!!──
グアテル国の王女、フランソワが息を切らしてジュリアの部屋に押し入った。
(フランソワ様・・・)
ジュリアはフランソワに少し罪悪感を覚えていた。フランソワとサイラスは婚約するのにも関わらず、図々しくジュリアは彼の家に留まっているからだ。
(私のこと、とうとう追い出しに来たのね)
ジュリアは十二分にサイラスにはお世話になった。まだ傷は痛むも、歩けなくはないのでジュリアはここを去ろうと決心した。
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