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第16話 炎の中で笑う鬼
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それなりにいい宿に泊まるのはよく考えたら初めての事だった。
朝晩の食事付きにちゃんとベッドが2つある2人部屋。
値段はウィルティアで泊まっていた宿の5倍だが、初日くらいはと贅沢をしてしまった。
どうにもお金を持っていると使いすぎてしまうな。
クロスロードでもいきなり武器を買ってしまっていた事を思い出し、お金を持つというのは改めて恐ろしいものだと実感した。
俺は体を起こすと伸びをする。
本来あまりゆっくりできる立場ではないのかもしれないが、とりあえず追い掛けている相手と同じ方向に進んでいるという安心感からか、多少の気の緩みはあったと思う。
でも、それでぐっすり眠れたのだから悪い事ばかりではないだろう。
今日はまず酒場に行って、レアンドロ達の動向を探り目的地を決めよう。
王都に向かったのならそのまま王都に向かえばいいし、ティアシーズに向かったならそちらに向かえばいい。
だが、まずは情報だ。
連中のこの町での動きを知ればこの後の行動も自ずと決められるというものである。
「うーん」
ふと、布団の中から何やらうめき声が聞こえた。
俺は視線を下に移した後、すぐに隣のベッドに目を向ける。
先にも述べたが、ここは二人部屋だ。
高かったのだ。
俺もレイラも、ゆっくり疲れを取る為に初日くらいはと奮発したのである。
布団をめくる。
そこには居たのは、俺の腰の辺りで丸くなっている下着姿の獣人族の少女であった。
「……はあ」
俺は全てを諦めた気持ちになってレイラの体を揺すって起こす。
明日からはベッド一つだけの部屋に質を落とそうと心に決めた。
朝食の後はレイラと共に酒場に向かう。
本来であれば、レイラが獣人族と認識されてしまう危険性を危惧して宿屋に残すべきであったのだが、留守番を頼んだ際に「ヤダ」と断られてしまったからだ。
それにしても、最近レイラの我が儘が目立つような気がする。
ウィルティアにいた頃は俺の言う事をなんでも聞く素直な子だった筈だが、クロスロードで姉さんに言葉を教わってからこういった行動が目立つようになった事を考えると、ひょっとしたらこちらが元々の性格だったのか、とは思うが。
とは言え、ここで無理に言う事を聞かせた所でガルニア風穴の時のように勝手についてきてしまうのがオチだ。
俺はレイラの手を引きながら酒場までの道を進んでいく。
ギルティアの町はフレイランドとの国境に近い町ではあったが、そもそもフレイランドからキリスティア王国への主要街道は既にこの町を経由するものではなくなっている為、人通りはそれ程多くはない。
かつては王都までの中継点であった為、ウィルティアのような装いを見せていたが、活気のない今の状況ではまるでゴーストタウンだ。
特に、ここに来る前は沢山の人々で賑わっていたクロスロードに居ただけに余計そう感じた。
ただ、王都から派遣されてきたであろう兵士が町の所々にいるように思えるのは、件の王都襲撃事件の影響だろう。
幾ら王都の西側に襲撃犯が向かっていないといといった所で、今回の俺達のようにどういうルートで入る込むかはわからないだろうから当然の処置と言えるだろう。
町外れの酒場までたどり着くと、俺とレイラは中へと足を踏み入れる。
ある程度予想していたことではあったが、所々に数名の冒険者と思われる旅人がいるだけで、とても賑わっているとは言い難い状況だった。
俺はカウンターまで進むと、店主にフルーツジュースとミルクを注文する。
カウンター席で俺の足にしがみついていたレイラを席に座らせると、俺はその隣に腰を落ち着ける。
しばらくソワソワと席を立とうとするレイラを席に押し込める……というもみ合いを続けていた俺達だったが、店主が飲み物を持ってきた所で終戦となる。
ミルクの入ったグラスをレイラにわたすと、渋々ながら飲み始める。最近レイラを大人しくさせるには、口に何かを入れるのが良いとわかってきた俺だった。
「すみません。ちょっとお聞きしたい事があるんですが、いいですか?」
「何だ?」
俺達に飲み物を出した後、椅子に座って本を読み始めてしまった店主に話しかける。
話しかけられ、初めはぶっきらぼうに答えた店主だったが、俺がこの町で探し人がいる事を説明すると、右手で顎を撫でながら、何やら考えるような仕草をした。
「獣人を連れた怪しげな集団……ねえ」
「ひょっとしたら獣人という事は隠していたかもしれませんから、何か、変な集団がいなかったか教えてもらいたくて」
「最近この町にはあまり人は来ないんだが、旅慣れた集団が来る事はたまになるからなぁ……お前さんがどの集団の事を言っているかはわからんな」
「一人は凄腕の魔術師なんですが」
「護衛に魔術師なんざそれこそ珍しくねぇだろ」
俺の問いかけに尽く首を傾げる主人に対して、俺は心の中で肩を落とす。
十人以上の獣人族を連れた集団である。
それだけ目立つのだからどの町に立ち寄ろうがすぐに噂になるかと思っていたのだが、どうやらそうでもないようだった。
もしかしたら、町に入る時には獣人達はどこかに隠して、少ない人数のみが町の中で用事を済ませているという事も考えられる。
レアンドロあたりならその辺の事を考慮に入れて動いていてもおかしくなかった。
あるいは、エルネストのようにこの町は殆どスルーして、次の町に向かってしまったかだ。
もしそうなら、この町での情報は期待でそうもない。
「ああ、でも、何だか王都からきた連中が怪しい奴を捕まえたとかって話なら聞いたなぁ」
「怪しい奴?」
店主の言葉に反応した俺に対して、主人は頷く。
「ああ。お前の言うようにゾロゾロ引き連れてたってわけじゃなかったらしいが、なんでも、首輪を付けた子供を数人がかりで取り押さえて連れてったって話だ」
「首輪を付けた子供?」
首輪と聞いて思い出すのは、クロスロードでの獣人達だ。
だが、姉さんの話ではこの国では首輪を付けた獣人を攫ったり危害を加えるのは重罪ではなかったのか?
いくら王都の兵士だからといって犯罪を犯すとは思えないが……。
「ちなみに、その捉えられた子供ってのはどこに連れて行かれたかわかりますか?」
半ば何をしようか決めていた俺の言葉に、店主は少し考える素振りを見せた後、「多分だが」と前置きした上で答える。
「ここから南の森の中にある見張り小屋だと思う」
店主に教えられた森は街道を歩いて20分ほど南下した辺りで発見した。
森が街道に半ば突き出すように群生し、道が迂回している場所だという話だったので、ほぼ間違いないだろう。
ちなみに、そんな森の中に見張り小屋がある理由だが、元々街道は森を突っ切る形で存在していたらしい。
それが、猛獣や害獣の被害が後を経たず、丁度森の中間地点に兵士の詰所を作ったのが最初だとか。
結局、殆ど改善されず、森の中の街道は通行止め。新たに迂回するように街道が作られたということだが、建物自体はそのまま残り、何かあった際の兵士の拠点として利用されているという事だった。
その言葉通り、森に入ってからも荒れてはいたが人工的な整備をされていたと思われる道は続き、目的の小屋もすぐに発見することが出来た。
小屋と聞いて俺は小さなあばら屋をを想像していたのだが、意外と大きくしっかりした作りだった。
木造で素朴な平屋ではあったが、小屋の周りを柵が取り囲み、入口には鎧を着た兵士が2人見張りとして立っている。
俺はレイラを連れて一度森の奥へと歩を進めると、回り込むように裏から小屋に近づいた。
裏には兵士はいない。が、柵はある。
俺はナイフを取り出し柵の一部に突きたてた後引き抜くと、出来た隙間から中を覗く。
どうやら、柵の中にも見張りはいないようで、俺はゲルガーに意識を繋げたあと、柵をナイフで人が通れる位の大きさに切り裂いた。
この国で首輪をつける人間と言ったら、俺には獣人族しか思い浮かばない。
しかも、このタイミングで捕らえられたと言うのだから、何か訳ありなのはバレバレだ。
例えば、俺がレアンドロなら捕らえた獣人族には首輪をつけて自分の所有物を主張するだろう。
だが、この国の兵士がその悪行を掴んでいたとしたら?
奴に捕まっている獣人族を捕まえて、おびき出して一網打尽……位は考えるのではないか?
これは俺の妄想だが、考えられない話でもない。
ならば、レイラの事を正直に兵士達に離して協力を仰ぐのが一番ベストな方法なのかもしれないが、もしも違った場合、レイラが獣人族ということであらぬ疑いをかけられてしまうかもしれない。
例えば、捕まった獣人族が犯罪者であった場合……等だ。
だから、俺はとりあえず捕まっている獣人族とコンタクトをとって、王国兵に協力を仰ぐかどうかを決めようとしたわけだ。
俺はレイラがちゃんとついてきているかを確認すると、壁伝いをゆっくり歩く。
時折ある窓から中を覗くが、誰かが囚われている部屋はない。
精々、王国兵と思われる男たちが、談笑に耽っているくらいだ。
……本当にここに獣人族が捕まっているのか?
あまりにもリラックスした兵士達の態度に、俺は少しづつそんな事を考え始める。
そもそも、酒場の主人も自信なさそうな感じではあったし、首輪を付けた子供が兵士に捕らえられた‘らしい’と、人づてに聞いただけのようだった。
まあ、不発なら不発で戻ればいいだけの話だが。
俺は丁度小屋を半周し、南西奥、つまり、入口から見て一番左端の部屋の窓まできた所だった。
今までガラス窓だった部分がポッカリと開き、格子状に指の太さほどの鉄棒が組まれているのが見て取れた。
もしも、本当に捕まった人が居るのなら、捕らえれているのはここだろう。
俺は慎重に格子窓から中を覗く。
中は3m4方の小さな部屋で、格子窓の目の前にはやはり格子の組まれた扉があり、左の壁際には黒い服を着た誰かが座っているようだった。
(いた……)
心の中で呟き、俺はその黒い服の人間を見る。
確かに子供だった。
身長、体格はレイラよりは大きいようだが、俺よりは小さいだろう。
座っていたのではっきりとは言えないが、それはわかる。
しかし、異様だったのはその拘束の仕方だった。
目は黒い布で覆われ、視界を遮るようになっている。よく見ると何やら文字が書いてあるように見えるので、魔道具の類かも知れない。
腕に至っては右手は前、左手は後ろに回され、あれでは身動きを取る事も出来ないだろう。
その扱いは罪人そのものだった。
(あれは酷いな)
罪人どころか凶悪犯罪者を思わせるような扱いに、俺はレアンドロをおびき出すための餌では無いんじゃないかと思い出す。
というよりも、あの子供自体が犯罪者で、王都に送られる直前……とか。
もしそうだとしたら、ノコノコレイラを連れて王国兵に協力を申し出たらその場で捕まってしまうかも知れない。
捕まらないまでも、不審者として見られるのは確実だろう。
そもそも、あの子は本当に獣人族なのか?
首に首輪がしてあるのはここからでもわかる。
しかし、見た所動物らしい特徴は見受けられないし、髪も長い黒髪だ。
着ているのも黒いローブだし、何から何まで獣人族の特徴とは異なる。
これはハズレかも知れない。
そう思い、窓から離れようとした所で、突然黒髪の子供がこちらを向いた。
目隠しをしているから見える訳はない。
見える訳はないのだが、その子は壁に背をつけたままズリズリと窓に向かって移動を始めると、俺が覗いている窓の下で動きを止めた。
俺の位置からは頭頂部しか見えないが、あちらは完全にこちらの気配を感じているようだった。
「ねえ」
小声だったが、その子が掛けてきた声は確実に俺に向けてだった。
何故かって? 格子扉からもっとも遠い位置にわざわざ来て、しかも小声で話しかけるとか窓の外に人がいると確信していない限り出来ない芸当だろう。
「どこの誰だか知らないけど、助けて欲しいんだけど」
姿形から子供という事はわかっていたが、どうも性別は女らしい。
女の子特有の高い声。
ある意味子供なら男でもそんな声が出るかもしれないが……近くに来て改めて体の大きさを見た事と、その話し方から俺と年齢的には大差ないんじゃないかと判断した為だ。
「無視しないでよ」
苛立ったような声を上げ、唯一自由に動く後頭部を壁にぶつけて、不機嫌さを主張する女の子。
犯罪者かもという先入観があった為か、何だか不躾な印象を受けてしまうが、そもそも初めから捕まった子とコンタクトを取る為にここまで侵入してしたのだ。
あちらから話しかけてきている以上、それに乗らない手はない。
「話を聞く前に確認なんだけど」
俺は声を押し殺しながら窓の向こうの女の子にだけ聞こえるように話しかける。
「何よ」
対する少女は尊大だ。
不機嫌さを全く隠そうともせず聞き返す。
この娘本当に俺に助けて欲しいんだよね?
「何だかすごく酷い扱いを受けているみたいに見えるんだけど、君って犯罪者か何か?」
「酷い扱いに見えるなら、つべこべ言わずに助けなさいよ」
こちらの質問に答えてこないばかりか、とにかく助けろの一点張りの黒髪の少女。
もしも、この交渉術で助けてくれる人間が居るのなら見てみたいものである。
そう思いつつしばらく黙っていると、少女は観念したのか深い溜息をついた後、ボソボソと話し始める。
「……犯罪者じゃないよ。何か、どっかの凶悪犯罪者と人相が似てるから捕まえるって」
「凶悪犯罪者って誰よ?」
「あたしが知るわけないでしょ」
ふてくされたような彼女の言葉に、俺は考える。
どうにもおかしな話だが、嘘を言っているようには聞こえない。
どこからどう見ても子供にしか見えないこの娘が凶悪犯罪者に似ているとは。
ひょっとして、親族が凶悪犯だと思われて、その人質に捕らえられたのだろうか?
ふと……俺はレアンドロが同じ黒髪だったのを思い出した。
「じゃあ、その首輪は?」
「どうでもいいでしょ。しつこい奴ね」
ひょとしたらレアンドロの関係者と間違われたか。
そうだとすると、最初の俺の妄想が現実味を帯びたような気がして聞いた事だったのだが、返ってきたのはつれない返事。
俺、もう見捨ててもいいよね?
そう思い、レイラの手を取ってその場を離れようとしたのだが、再び後頭部をぶつけたと思われる音を聞いて立ち止まる。
「自衛の為よ。これ付けてれば変な事されないと思ったの。……それとあんたさ、気が短い男はモテないよ」
「ほっとけよ」
ボソリと呟いた言葉に思わず返した俺だったが、当初の俺の考えが結構当たっている事に驚いている所だった。
「……やっぱり人間族じゃなかったのか」
「何よ。悪い?」
「いや、悪くはないが」
さて、どうするか。
経緯はどうあれ捕まっている少女が獣人族だとわかった以上、一度レイラと面通しをするのがいいだろうが、残念ながら黒髪の少女の願い通り一度外に出さないと実現できそうも無いらしい。
しかし……。
「早くしなさいよ。いい加減腕が痛いんだけど?」
すっごい助けたくないんだけど。
彼女自分の立場がわかっているんだろうか? 俺は彼女の奴隷でも何でもないのだが。
「……お願いだから。ホントお願いします。生意気だったら謝るから。だから助けて」
……さっきから情緒不安定かこいつ。
あれだけの暴言を吐いていおいて、俺が黙るとヘタれるとか。
まあ、ここに来た目的は捕らえられた獣人族を助ける事だったから、ここは俺の個人的な感情を無視してでも、助けてあげるべきなのかもしれない。
こう見えて、レイラの姉なんて事もあるかも知れないわけで。
「わかったよ。わかったから少し壁から離れてな」
「ん」
俺の言葉に黒い頭が格子窓から見えなくなる。
恐らく、ズリズリと横にずれたのだろう。
俺はゲルガーに意識を繋げると、ナイフを手に一気に3度振ってみせた。
手には抵抗は全く感じない。
感じぬままに、三角型に切り取られた木材が、俺に向かって倒れてくる。
俺はそれを受け止めると、音を立てないように部屋の中に顔を入れる。
すると、丁度先程の少女が穴に向かって顔を突き出している所だった。
「行くよ。着いてきて」
「ちょっと待って。足が」
彼女の主張に足を見てみると、膝を縛り付けるように紐が幾重にも巻かれているのが見えた。
本当に酷い扱いだ。
俺はゆっくり手を伸ばすと、ナイフで紐を断ち切る。
すると、俺が手を引っ込めたと同時に、黒髪の少女が外に這い出してきた。
「はあ、やっと出られた。ねえ、手と目隠しもお願い。早く」
「ちょっと待てって。よっと」
俺は少女を壁の穴から見えない所まで移動させると、巻き付けられた紐を切り落とす。
それは手首を起点として拳が開かないように巻きつけた挙句、右手と左手が前後に回るようにしっかりと固定されていた。
とても、女の子を捉える為の拘束の仕方ではない。
完全に凶悪犯罪者に対するそれである。
「目隠しは自分で取りなよ。とったらすぐにこの場を離れよう。話はそれからだ」
俺は彼女の手の拘束を解いた所でレイラの手を握ると、先程作った壁の穴に向かおうとする。
しかし、レイラが何やらじっと一点を見たまま動かなかったので、もう一度後ろを振り向いた。
そこには1人の少女が立っていた。
黒いローブに背中に流された黒い長髪。
解放された両手を振って、その動きを確認しているようだった。
「おい。早く──」
「……ふ。ふっふっふっふっふっ!」
早くしろ。
そう言いかけた所で、彼女から漏れた不気味な笑いに中断される。
「……ようやく。やっと解放された。いたいけな少女にここまでした事、しっかりと後悔させてやる!」
ゾンッと体に重圧がかかる。
なんの重圧か? 頭で理解する前に体がしっかりと覚えていた。
あの時の恐怖。あの時の絶望。あの時の無力感──
あの時と同じ圧倒的な魔力の重圧を。
「火の海に踊れ!! 『火鼠のダンス』!!」
少女の右手が振り下ろされる。
それと同時に、辺りに散らばった魔力が形作り、目の前の小屋が轟音と共に燃え上がった。
炎の中で兵士達が慌てたように逃げ惑うのが見える。
その姿を見て、狂ったように笑う少女。
彼女は人間族ではなかった。
だが、レイラの家族でも断じてない。
黒い髪に尖った耳。そして、狂気に染まった真っ赤な瞳──
「あたしの名前はリディア! リディア・ファフニール! 人間! あんたの名前は!?」
リディアと名乗ったその少女。
その少女は人間族なんかではなく……。
地上最強の物質魔術師──魔人族だった。
朝晩の食事付きにちゃんとベッドが2つある2人部屋。
値段はウィルティアで泊まっていた宿の5倍だが、初日くらいはと贅沢をしてしまった。
どうにもお金を持っていると使いすぎてしまうな。
クロスロードでもいきなり武器を買ってしまっていた事を思い出し、お金を持つというのは改めて恐ろしいものだと実感した。
俺は体を起こすと伸びをする。
本来あまりゆっくりできる立場ではないのかもしれないが、とりあえず追い掛けている相手と同じ方向に進んでいるという安心感からか、多少の気の緩みはあったと思う。
でも、それでぐっすり眠れたのだから悪い事ばかりではないだろう。
今日はまず酒場に行って、レアンドロ達の動向を探り目的地を決めよう。
王都に向かったのならそのまま王都に向かえばいいし、ティアシーズに向かったならそちらに向かえばいい。
だが、まずは情報だ。
連中のこの町での動きを知ればこの後の行動も自ずと決められるというものである。
「うーん」
ふと、布団の中から何やらうめき声が聞こえた。
俺は視線を下に移した後、すぐに隣のベッドに目を向ける。
先にも述べたが、ここは二人部屋だ。
高かったのだ。
俺もレイラも、ゆっくり疲れを取る為に初日くらいはと奮発したのである。
布団をめくる。
そこには居たのは、俺の腰の辺りで丸くなっている下着姿の獣人族の少女であった。
「……はあ」
俺は全てを諦めた気持ちになってレイラの体を揺すって起こす。
明日からはベッド一つだけの部屋に質を落とそうと心に決めた。
朝食の後はレイラと共に酒場に向かう。
本来であれば、レイラが獣人族と認識されてしまう危険性を危惧して宿屋に残すべきであったのだが、留守番を頼んだ際に「ヤダ」と断られてしまったからだ。
それにしても、最近レイラの我が儘が目立つような気がする。
ウィルティアにいた頃は俺の言う事をなんでも聞く素直な子だった筈だが、クロスロードで姉さんに言葉を教わってからこういった行動が目立つようになった事を考えると、ひょっとしたらこちらが元々の性格だったのか、とは思うが。
とは言え、ここで無理に言う事を聞かせた所でガルニア風穴の時のように勝手についてきてしまうのがオチだ。
俺はレイラの手を引きながら酒場までの道を進んでいく。
ギルティアの町はフレイランドとの国境に近い町ではあったが、そもそもフレイランドからキリスティア王国への主要街道は既にこの町を経由するものではなくなっている為、人通りはそれ程多くはない。
かつては王都までの中継点であった為、ウィルティアのような装いを見せていたが、活気のない今の状況ではまるでゴーストタウンだ。
特に、ここに来る前は沢山の人々で賑わっていたクロスロードに居ただけに余計そう感じた。
ただ、王都から派遣されてきたであろう兵士が町の所々にいるように思えるのは、件の王都襲撃事件の影響だろう。
幾ら王都の西側に襲撃犯が向かっていないといといった所で、今回の俺達のようにどういうルートで入る込むかはわからないだろうから当然の処置と言えるだろう。
町外れの酒場までたどり着くと、俺とレイラは中へと足を踏み入れる。
ある程度予想していたことではあったが、所々に数名の冒険者と思われる旅人がいるだけで、とても賑わっているとは言い難い状況だった。
俺はカウンターまで進むと、店主にフルーツジュースとミルクを注文する。
カウンター席で俺の足にしがみついていたレイラを席に座らせると、俺はその隣に腰を落ち着ける。
しばらくソワソワと席を立とうとするレイラを席に押し込める……というもみ合いを続けていた俺達だったが、店主が飲み物を持ってきた所で終戦となる。
ミルクの入ったグラスをレイラにわたすと、渋々ながら飲み始める。最近レイラを大人しくさせるには、口に何かを入れるのが良いとわかってきた俺だった。
「すみません。ちょっとお聞きしたい事があるんですが、いいですか?」
「何だ?」
俺達に飲み物を出した後、椅子に座って本を読み始めてしまった店主に話しかける。
話しかけられ、初めはぶっきらぼうに答えた店主だったが、俺がこの町で探し人がいる事を説明すると、右手で顎を撫でながら、何やら考えるような仕草をした。
「獣人を連れた怪しげな集団……ねえ」
「ひょっとしたら獣人という事は隠していたかもしれませんから、何か、変な集団がいなかったか教えてもらいたくて」
「最近この町にはあまり人は来ないんだが、旅慣れた集団が来る事はたまになるからなぁ……お前さんがどの集団の事を言っているかはわからんな」
「一人は凄腕の魔術師なんですが」
「護衛に魔術師なんざそれこそ珍しくねぇだろ」
俺の問いかけに尽く首を傾げる主人に対して、俺は心の中で肩を落とす。
十人以上の獣人族を連れた集団である。
それだけ目立つのだからどの町に立ち寄ろうがすぐに噂になるかと思っていたのだが、どうやらそうでもないようだった。
もしかしたら、町に入る時には獣人達はどこかに隠して、少ない人数のみが町の中で用事を済ませているという事も考えられる。
レアンドロあたりならその辺の事を考慮に入れて動いていてもおかしくなかった。
あるいは、エルネストのようにこの町は殆どスルーして、次の町に向かってしまったかだ。
もしそうなら、この町での情報は期待でそうもない。
「ああ、でも、何だか王都からきた連中が怪しい奴を捕まえたとかって話なら聞いたなぁ」
「怪しい奴?」
店主の言葉に反応した俺に対して、主人は頷く。
「ああ。お前の言うようにゾロゾロ引き連れてたってわけじゃなかったらしいが、なんでも、首輪を付けた子供を数人がかりで取り押さえて連れてったって話だ」
「首輪を付けた子供?」
首輪と聞いて思い出すのは、クロスロードでの獣人達だ。
だが、姉さんの話ではこの国では首輪を付けた獣人を攫ったり危害を加えるのは重罪ではなかったのか?
いくら王都の兵士だからといって犯罪を犯すとは思えないが……。
「ちなみに、その捉えられた子供ってのはどこに連れて行かれたかわかりますか?」
半ば何をしようか決めていた俺の言葉に、店主は少し考える素振りを見せた後、「多分だが」と前置きした上で答える。
「ここから南の森の中にある見張り小屋だと思う」
店主に教えられた森は街道を歩いて20分ほど南下した辺りで発見した。
森が街道に半ば突き出すように群生し、道が迂回している場所だという話だったので、ほぼ間違いないだろう。
ちなみに、そんな森の中に見張り小屋がある理由だが、元々街道は森を突っ切る形で存在していたらしい。
それが、猛獣や害獣の被害が後を経たず、丁度森の中間地点に兵士の詰所を作ったのが最初だとか。
結局、殆ど改善されず、森の中の街道は通行止め。新たに迂回するように街道が作られたということだが、建物自体はそのまま残り、何かあった際の兵士の拠点として利用されているという事だった。
その言葉通り、森に入ってからも荒れてはいたが人工的な整備をされていたと思われる道は続き、目的の小屋もすぐに発見することが出来た。
小屋と聞いて俺は小さなあばら屋をを想像していたのだが、意外と大きくしっかりした作りだった。
木造で素朴な平屋ではあったが、小屋の周りを柵が取り囲み、入口には鎧を着た兵士が2人見張りとして立っている。
俺はレイラを連れて一度森の奥へと歩を進めると、回り込むように裏から小屋に近づいた。
裏には兵士はいない。が、柵はある。
俺はナイフを取り出し柵の一部に突きたてた後引き抜くと、出来た隙間から中を覗く。
どうやら、柵の中にも見張りはいないようで、俺はゲルガーに意識を繋げたあと、柵をナイフで人が通れる位の大きさに切り裂いた。
この国で首輪をつける人間と言ったら、俺には獣人族しか思い浮かばない。
しかも、このタイミングで捕らえられたと言うのだから、何か訳ありなのはバレバレだ。
例えば、俺がレアンドロなら捕らえた獣人族には首輪をつけて自分の所有物を主張するだろう。
だが、この国の兵士がその悪行を掴んでいたとしたら?
奴に捕まっている獣人族を捕まえて、おびき出して一網打尽……位は考えるのではないか?
これは俺の妄想だが、考えられない話でもない。
ならば、レイラの事を正直に兵士達に離して協力を仰ぐのが一番ベストな方法なのかもしれないが、もしも違った場合、レイラが獣人族ということであらぬ疑いをかけられてしまうかもしれない。
例えば、捕まった獣人族が犯罪者であった場合……等だ。
だから、俺はとりあえず捕まっている獣人族とコンタクトをとって、王国兵に協力を仰ぐかどうかを決めようとしたわけだ。
俺はレイラがちゃんとついてきているかを確認すると、壁伝いをゆっくり歩く。
時折ある窓から中を覗くが、誰かが囚われている部屋はない。
精々、王国兵と思われる男たちが、談笑に耽っているくらいだ。
……本当にここに獣人族が捕まっているのか?
あまりにもリラックスした兵士達の態度に、俺は少しづつそんな事を考え始める。
そもそも、酒場の主人も自信なさそうな感じではあったし、首輪を付けた子供が兵士に捕らえられた‘らしい’と、人づてに聞いただけのようだった。
まあ、不発なら不発で戻ればいいだけの話だが。
俺は丁度小屋を半周し、南西奥、つまり、入口から見て一番左端の部屋の窓まできた所だった。
今までガラス窓だった部分がポッカリと開き、格子状に指の太さほどの鉄棒が組まれているのが見て取れた。
もしも、本当に捕まった人が居るのなら、捕らえれているのはここだろう。
俺は慎重に格子窓から中を覗く。
中は3m4方の小さな部屋で、格子窓の目の前にはやはり格子の組まれた扉があり、左の壁際には黒い服を着た誰かが座っているようだった。
(いた……)
心の中で呟き、俺はその黒い服の人間を見る。
確かに子供だった。
身長、体格はレイラよりは大きいようだが、俺よりは小さいだろう。
座っていたのではっきりとは言えないが、それはわかる。
しかし、異様だったのはその拘束の仕方だった。
目は黒い布で覆われ、視界を遮るようになっている。よく見ると何やら文字が書いてあるように見えるので、魔道具の類かも知れない。
腕に至っては右手は前、左手は後ろに回され、あれでは身動きを取る事も出来ないだろう。
その扱いは罪人そのものだった。
(あれは酷いな)
罪人どころか凶悪犯罪者を思わせるような扱いに、俺はレアンドロをおびき出すための餌では無いんじゃないかと思い出す。
というよりも、あの子供自体が犯罪者で、王都に送られる直前……とか。
もしそうだとしたら、ノコノコレイラを連れて王国兵に協力を申し出たらその場で捕まってしまうかも知れない。
捕まらないまでも、不審者として見られるのは確実だろう。
そもそも、あの子は本当に獣人族なのか?
首に首輪がしてあるのはここからでもわかる。
しかし、見た所動物らしい特徴は見受けられないし、髪も長い黒髪だ。
着ているのも黒いローブだし、何から何まで獣人族の特徴とは異なる。
これはハズレかも知れない。
そう思い、窓から離れようとした所で、突然黒髪の子供がこちらを向いた。
目隠しをしているから見える訳はない。
見える訳はないのだが、その子は壁に背をつけたままズリズリと窓に向かって移動を始めると、俺が覗いている窓の下で動きを止めた。
俺の位置からは頭頂部しか見えないが、あちらは完全にこちらの気配を感じているようだった。
「ねえ」
小声だったが、その子が掛けてきた声は確実に俺に向けてだった。
何故かって? 格子扉からもっとも遠い位置にわざわざ来て、しかも小声で話しかけるとか窓の外に人がいると確信していない限り出来ない芸当だろう。
「どこの誰だか知らないけど、助けて欲しいんだけど」
姿形から子供という事はわかっていたが、どうも性別は女らしい。
女の子特有の高い声。
ある意味子供なら男でもそんな声が出るかもしれないが……近くに来て改めて体の大きさを見た事と、その話し方から俺と年齢的には大差ないんじゃないかと判断した為だ。
「無視しないでよ」
苛立ったような声を上げ、唯一自由に動く後頭部を壁にぶつけて、不機嫌さを主張する女の子。
犯罪者かもという先入観があった為か、何だか不躾な印象を受けてしまうが、そもそも初めから捕まった子とコンタクトを取る為にここまで侵入してしたのだ。
あちらから話しかけてきている以上、それに乗らない手はない。
「話を聞く前に確認なんだけど」
俺は声を押し殺しながら窓の向こうの女の子にだけ聞こえるように話しかける。
「何よ」
対する少女は尊大だ。
不機嫌さを全く隠そうともせず聞き返す。
この娘本当に俺に助けて欲しいんだよね?
「何だかすごく酷い扱いを受けているみたいに見えるんだけど、君って犯罪者か何か?」
「酷い扱いに見えるなら、つべこべ言わずに助けなさいよ」
こちらの質問に答えてこないばかりか、とにかく助けろの一点張りの黒髪の少女。
もしも、この交渉術で助けてくれる人間が居るのなら見てみたいものである。
そう思いつつしばらく黙っていると、少女は観念したのか深い溜息をついた後、ボソボソと話し始める。
「……犯罪者じゃないよ。何か、どっかの凶悪犯罪者と人相が似てるから捕まえるって」
「凶悪犯罪者って誰よ?」
「あたしが知るわけないでしょ」
ふてくされたような彼女の言葉に、俺は考える。
どうにもおかしな話だが、嘘を言っているようには聞こえない。
どこからどう見ても子供にしか見えないこの娘が凶悪犯罪者に似ているとは。
ひょっとして、親族が凶悪犯だと思われて、その人質に捕らえられたのだろうか?
ふと……俺はレアンドロが同じ黒髪だったのを思い出した。
「じゃあ、その首輪は?」
「どうでもいいでしょ。しつこい奴ね」
ひょとしたらレアンドロの関係者と間違われたか。
そうだとすると、最初の俺の妄想が現実味を帯びたような気がして聞いた事だったのだが、返ってきたのはつれない返事。
俺、もう見捨ててもいいよね?
そう思い、レイラの手を取ってその場を離れようとしたのだが、再び後頭部をぶつけたと思われる音を聞いて立ち止まる。
「自衛の為よ。これ付けてれば変な事されないと思ったの。……それとあんたさ、気が短い男はモテないよ」
「ほっとけよ」
ボソリと呟いた言葉に思わず返した俺だったが、当初の俺の考えが結構当たっている事に驚いている所だった。
「……やっぱり人間族じゃなかったのか」
「何よ。悪い?」
「いや、悪くはないが」
さて、どうするか。
経緯はどうあれ捕まっている少女が獣人族だとわかった以上、一度レイラと面通しをするのがいいだろうが、残念ながら黒髪の少女の願い通り一度外に出さないと実現できそうも無いらしい。
しかし……。
「早くしなさいよ。いい加減腕が痛いんだけど?」
すっごい助けたくないんだけど。
彼女自分の立場がわかっているんだろうか? 俺は彼女の奴隷でも何でもないのだが。
「……お願いだから。ホントお願いします。生意気だったら謝るから。だから助けて」
……さっきから情緒不安定かこいつ。
あれだけの暴言を吐いていおいて、俺が黙るとヘタれるとか。
まあ、ここに来た目的は捕らえられた獣人族を助ける事だったから、ここは俺の個人的な感情を無視してでも、助けてあげるべきなのかもしれない。
こう見えて、レイラの姉なんて事もあるかも知れないわけで。
「わかったよ。わかったから少し壁から離れてな」
「ん」
俺の言葉に黒い頭が格子窓から見えなくなる。
恐らく、ズリズリと横にずれたのだろう。
俺はゲルガーに意識を繋げると、ナイフを手に一気に3度振ってみせた。
手には抵抗は全く感じない。
感じぬままに、三角型に切り取られた木材が、俺に向かって倒れてくる。
俺はそれを受け止めると、音を立てないように部屋の中に顔を入れる。
すると、丁度先程の少女が穴に向かって顔を突き出している所だった。
「行くよ。着いてきて」
「ちょっと待って。足が」
彼女の主張に足を見てみると、膝を縛り付けるように紐が幾重にも巻かれているのが見えた。
本当に酷い扱いだ。
俺はゆっくり手を伸ばすと、ナイフで紐を断ち切る。
すると、俺が手を引っ込めたと同時に、黒髪の少女が外に這い出してきた。
「はあ、やっと出られた。ねえ、手と目隠しもお願い。早く」
「ちょっと待てって。よっと」
俺は少女を壁の穴から見えない所まで移動させると、巻き付けられた紐を切り落とす。
それは手首を起点として拳が開かないように巻きつけた挙句、右手と左手が前後に回るようにしっかりと固定されていた。
とても、女の子を捉える為の拘束の仕方ではない。
完全に凶悪犯罪者に対するそれである。
「目隠しは自分で取りなよ。とったらすぐにこの場を離れよう。話はそれからだ」
俺は彼女の手の拘束を解いた所でレイラの手を握ると、先程作った壁の穴に向かおうとする。
しかし、レイラが何やらじっと一点を見たまま動かなかったので、もう一度後ろを振り向いた。
そこには1人の少女が立っていた。
黒いローブに背中に流された黒い長髪。
解放された両手を振って、その動きを確認しているようだった。
「おい。早く──」
「……ふ。ふっふっふっふっふっ!」
早くしろ。
そう言いかけた所で、彼女から漏れた不気味な笑いに中断される。
「……ようやく。やっと解放された。いたいけな少女にここまでした事、しっかりと後悔させてやる!」
ゾンッと体に重圧がかかる。
なんの重圧か? 頭で理解する前に体がしっかりと覚えていた。
あの時の恐怖。あの時の絶望。あの時の無力感──
あの時と同じ圧倒的な魔力の重圧を。
「火の海に踊れ!! 『火鼠のダンス』!!」
少女の右手が振り下ろされる。
それと同時に、辺りに散らばった魔力が形作り、目の前の小屋が轟音と共に燃え上がった。
炎の中で兵士達が慌てたように逃げ惑うのが見える。
その姿を見て、狂ったように笑う少女。
彼女は人間族ではなかった。
だが、レイラの家族でも断じてない。
黒い髪に尖った耳。そして、狂気に染まった真っ赤な瞳──
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リディアと名乗ったその少女。
その少女は人間族なんかではなく……。
地上最強の物質魔術師──魔人族だった。
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