復讐者は禁断魔術師~沈黙の聖戦~

黒い乙さん

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第34話 平穏を乱す足音

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「お兄ちゃーん!」

 過ごしやすかった春が過ぎ、初夏に差し掛かってくると日中の晴天というものは運動をする上ではあまり適していない陽気となる。
 そんな青空に吸い込まれるような元気な声に、俺は体ごと向きを変えるとその発生源へと視線を向けた。

 所々に丁寧に世話された木々が伸びているものの、その大部分が草原と言っても決して言い過ぎでは無いこの広大な“庭”をこちらに向かって駆けてくるのは一人の少女。
 水色を基調としたサイレントの民族衣装に身を包み、足を踏み出す度に頭の耳とお尻から生えた尻尾がフリフリと揺れている。
 あの服は基本的に上下が一体化しているこの地方ならではの特殊なものだが、下半身の部分は布を合わせるように着込んでいるので、尻尾を出すにはちょうど良いらしい。
 そんな少女が笑顔でこちらに手を振りながら近づいてくる様はとても可愛らしいのだが、その両手に嵌めているのは通称ソウルクラッシュと呼ばれる魔道具で、達人が魔力を込めれば肉体を持たない存在さえも跡形もなく砕くと呼ばれる凶悪な武器のレプリカである。
 もしもこの光景を見ている人間がその事実を知っていたのならば、とても微笑ましくは見えなかっただろう。

「お帰り!」
「ああ。ただいまレイラ」

 走ってきた勢いそのままで抱きついてきたレイラを受け止めた後、俺はそのまま右手で頭を撫でてあげる。
 特に隠すでもなく露出された耳も一緒に撫でているのだが、特に気にするでもなくレイラはそのまま甘えるように自らの頬を俺の腹へと擦りつけていた。

「お帰りなさい」

 そんな俺達に向かって、先程レイラがかけてきた方から一人の少女が歩み寄りつつ声を掛けてくる。
 白を基調とした民族衣装に身を包んだその姿は、パッと見るとレイラの姉妹のようだが、彼女の頭に耳はついていないし、尻尾も生えていない。
 髪と瞳は夏の草原を思わせる鮮やかな緑色で、その容姿と雰囲気はどこか人間離れしているように感じた。
 それもその筈。
 彼女はこのサイレントの姫であると同時に、その半分は森の精霊ドライアドなのだから。

「ああ、ただいま。レイラはいい子にしてたかな」

 レイラの頭を撫でながら訊ねた俺に向かって、ドリスは口元に右手を当てながらクスクスと笑った。

「ええ。とても。レイラちゃん。お兄ちゃんに見せたい事があるのではないですか?」

 俺の腹に顔を押し付けてゴロゴロと喉を鳴らしていたレイラだったが、ドリスの言葉に耳をぴくりと動かすと、俺から離れて両手を一杯に広げた。

「そうだった! お兄ちゃん、よく見てて!」

 言った後、レイラの表情がさっきまでの笑顔から真剣なものへと変化する。
 両手を握り、少しずつ締めるように前方に移動していく間に、ザワザワと髪の毛がハリネズミのように逆立った。
 両の眼は黄金色に輝き、両手に嵌められたグローブの宝玉は赤く光り、しっかりと魔力が込められている事を主張していた。

「おお……。ついに魔力を自在に操れるようになったのか」

 思わず感嘆の声を漏らす俺に対して、レイラは魔力を解くと、すぐに先程のように俺の胸に飛び込んできた。

「どう!? すごい!?」
「ああ、すごいよレイラ」
「じゃあ、褒めて!」

 ギュッと抱きついておねだりしてくるレイラに「偉い偉い」と言いながらなでると、レイラも「えへへ」と言いながら頬をスリスリと擦りつけてきた。
 そんな俺達の様子を見ながらドリスが優しく微笑む。
 それはここ最近の俺達の日常の一部となっている。




 あの時、レアンドロの追跡を中断し、フィリスと先生の元を逃げ出してから既に3年の月日が流れていた。




 3年という年月は短いようで俺達の近況を変えるくらいには長く感じるものだったと思う。
 まず、俺の立場は大きく変わった。
 これまでは旅をする上で必要最低限の収入さえあれば良いという立場上、冒険者の仕事を必要な時だけ受けていれば良かったが、キリスティアまでの旅で尽きかけた資金と戦力としては大きく力を落としたリディアと、まだ小さなレイラを抱えて冒険者の仕事をしていた所で、生活に追われて己を鍛えるどころでは無かっただろう。
 それに、キリスティアで起こっていた獣人消失がここサイレントでも起こらないとは言えなかった。
 その為、俺の不在時にレイラを預ける場所もネックになってしまった。
 
 そんな俺に救いの手を差し伸べてくれたのがアスラとドリスだった。

 アスラは俺に自分自身の親衛隊のメンバーという職と、訓練する場を与えてくれた。
 ドリスは俺がいない間のレイラの保護と教育を買って出てくれた。
 おかげで俺は生活を気にする事もなく実践と訓練に励む事が出来たし、この3年でレイラは驚く程成長した。
 言語や人間としての常識は勿論の事、先ほど見せてくれた魔力の扱いなどもそれにあたる。
 魔力に関しては魔力の扱いが苦手な獣人族であるだけに半ば諦めていたのだが、まさか自分の意思で操れるようになるとは思わなかっただけにかなり驚いた。
 
 そしてリディア。
 この3年で一番変わったのが彼女かもしれない。
 サイレントに来るまでの間は俺にべったりだったリディアも、あの後からの訓練に関しては俺以上だっただろう。
 俺と同じように親衛隊に入ったリディアだったが、その殆どの行動は俺ではなくアスラと共にしていた。
 親衛隊なのだからそれ自体は別に問題はないのだが、戦闘時に俺の傍にいる事が無くなったのだ。
 本人曰く、「少なくともテオに会った頃くらいの魔術は使えるようになりたい」との事だった。
 それを言われて思い出したが、マーキングをする事で失われるのはその時持っていた構成力のみで、魔力自体が失われるわけではない事。
 そもそも、一人で旅を始めた当初はリディアは回復魔術は得意だったが炎の魔術はそれほど得意ではなかった。
 それを使えるようになったのはその後の訓練によるものだった。
 ならば、炎の魔術の構成力を失った今でも、それ以外の魔術なら……という事らしい。
 それなのに俺が傍にいるとどうしても嘗ての魔術に頼ってしまう為、敢えて離れて訓練をしたいとの本人の意思に従うことにしたのだ。
 その結果かどうかは分からないが、今のリディアは風の魔術をそれなりに扱う事が出来るようになっていた。
 訓練……というよりは実戦だろう。
 ほぼ毎日のようにアスラと共に遺跡に赴き幻獣と剣を交えているというのだから、本人の強くなりたいという意思は俺を遥かに上回るのかもしれない。

 俺はというと、アスラの名代として各地を転戦する事もあれば、冒険者まがいの事をする事もある。
 親衛隊と名乗ってはいても、実際にはあまりアスラの傍には控えていない。
 偶にアスラがリディアの為の休息日を作る時に庭で稽古をつけてもらうくらいだ。
 そのかいあって3年前に比べれば実力は上がったと思う。
 しかし、3年前の俺に比べてレアンドロに対する想いはどうだろうか。
 あれ程までに追い求めた相手に、現状の俺はかつてと同じような気持ちをぶつける事が出来るのだろうか?
 この穏やかな日常が続いてしまった事で、俺の中の何かが失われてしまったのではないかと、最近はふとそんな事を感じるのだ。

 俺は推定10歳になって随分大きくなったレイラを抱き上げると、屋敷に向かって歩き出した。
 そんな俺の斜め後ろをドリスが黙ってついてくるのは、ここに来て俺が帰ってくる度に見られる光景だが、俺自身こんな今の生活をもう崩したく無くなっているのかもしれない。

 しかし。

 そんな平穏な日常がいつまでも続くわけがないという事実を、俺はこの後アスラに会うまですっかり忘れていた。





「申し訳ありませんが、もう一度言ってもらってもいいですか?」

 サイレント城奥にあるアスラの部屋は広いながらも質素で、主の人柄をよく表した部屋だと思う。
 普段殆ど部屋に居着くことがないからだと本人は言っていたが、それにしてもベッドとクローゼットがあるだけで、他には来客があった時のみ出されるテーブルのみという構図はどう考えてもそれだけが理由ではない。
 そんな質素極まりない部屋に現在は大きめの四角いテーブルが1つ置かれており、ちょうど向かい合うように2人ずつ座っている所だった。

 入室して奥側の席に座っているのはアスラとリディアだ。
 腕を組んで顰めっ面をしているアスラとは対照的に、少し心配そうな表情でリディアは俺とアスラを交互に見ている。
 真っ赤な鎧姿のアスラとは違い、緑色のローブを着ているリディアの姿を違和感なく見る事が出来るようになったはいつからだろうか。
 俺の中では出会った頃の黒ずくめの姿が印象深いだけに、よけいなのかもしれないが。
 ちなみに、俺の着ている緑色のレザープレートを見てもわかるように、森の多いこの国ではこの色が軍の正式採用色のようだった。
 他国との戦争の時に森の中で戦う事が多いからかもしれない。所謂、保護色というものだろうか。

「聞きたいのなら何度でも言ってやろう。先日リディアと共に南の遺跡に向かう際、途中の獣人の里に立ち寄った所、全ての獣人が消えていた。しかし、住居の中を見てみても生活感に溢れ、住処を変えるために移動したとは考えにくい状況だった」

 やはり不機嫌そうにそう俺に言い返してきたアスラの言葉に、俺は言葉を続ける事が出来ない。
 獣人消失。
 それは3年前にキリスティアで起こっていた事であり、俺達がレアンドロが原因と考え追いかけていた事件だった。
 結局はレアンドロの足取りが途絶えた事で諦めてしまったが、この現象はまだ続いており、それどころか、ここサイレントでも起こってしまったという事なのだ。

「以前お前達の向かったキリスティアでも同様の現象が起こっていたと聞く。何か心当たりは無いか?」

 アスラの問いに答えるだけの根拠が俺には無い。
 しかし、俺はその現象の一番初め。レイラの部族がさらわれる所を見ているだけにその犯人をレアンドロと決めつけてきた。
 しかし、アスラの話を聞く限り里に争った形跡は無かったという。
 あの時俺とレイラが獣人達がさらわれる現場に飛び込んだ時は、レアンドロの魔術により里の建物は破壊されていたはずだ。
 そう考えると、どうにも手口が違うように感じる。

「いえ……。犯人だと思い追っていた相手はいたのですが、そいつはこんな神隠しみたいな事が出来る男ではなかった筈なので……」
「犯人は別にいる……と?」
「断言はできませんが」

 俺の言葉にアスラはフムと言って組んでいた腕を解いて右手で自身の顎を撫でる。
 俺よりも1つ歳が上というだけなのに、既にある種の貫禄が出てきていた。

「分からない事をこれ以上議論していても仕方ないか。お前達が追っていたという男は改めて警戒するとして、早急に事件の対処はしていこう。最も、今回の事でキリスティアとサイレント両国から殆どの獣人がいなくなってしまったわけだが」
「お兄様」

 そう言ってアスラが締めようとした時、俺の隣に座っていたドリスが初めて声を出した。
 今までであればアスラの部屋まで付いてくるような事はなかった人だが、今回の俺の仕事の期間が約一ヶ月と長かった事、今までであれば報告は帰って来た次の日だったのに当日に呼ばれた事などから心配して着いて来てくれていたのだ。

「先ほど『先日』と言われましたね? ならば、この事はずいぶん前からわかっていた事なのですか? 私も初めてお聞きする話でしたが」

 多分に非難も混じっている妹の言葉に、アスラは少しだけ渋い顔をしたが、素直に話しだした。

「お前の傍には常にあの娘がいただろう。あの娘の前で同族の話をするのも忍びないと思っただけだ」
「左様でございますか」

 全く納得していないという妹の言葉に、アスラは苦笑する。
 最も、自分でも納得させようとしてわけではないようで、それ以上は何も口にはしなかったが。
 とはいえ、俺の方はというと2人のやり取りを聞いてアスラの気使いに不思議な気分を味わっていた。

 レイラは獣人だ。
 それは間違いない。
 しかし、俺は未だに彼女自身がその自覚をあまり持っていないのではないかと思っているのだ。

 サイレントに来てから受けた教育で、レイラは随分と知能が上がった。
 こちらの言うことはしっかりと理解するし、自分の事もちゃんと話す。
 物事を考えた上で会話できるようにうなった事で、小さな頃の事を聞き出すことにも成功している。
 それで分かった事は、レイラの部族はもう随分と長い時間、人間族との接触の無い忘れられた存在だったという事だ。
 生活環境は古くからのしきたりに従っていたことから人間に近い部分もあったが、その生態はどちらかというと獣のそれに近かったらしい。
 だから、レイラも自分の両親の事も分かっていない。
 いや、正確に言えば部族の中の誰が自分の両親なのかわからない状態らしい。
 レイラの部族は子供が生まれると部族全体でその面倒を見るらしく、言ってみれば部族の人間全てが母親であり父親だった。
 しかし、それは裏を返せば愛情が分散されているという事だ。
 特にレイラは小さかったし、部族のみんなが居なくなって直ぐに俺が面倒を見るようになった。
 その時点で、レイラの中では保護者の対象が部族の同族から俺へと変わってしまったと思われる。
 その証拠に、レイラに故郷の仲間の事を話してどうしたいか訊ねた時、「助けられるなら助けたい」程度の言葉しか聞くことは出来なかった。
 口には出さなかったが、助けられないなら別にそれでも構わないとも取れる表情をしていたのを思い出す。
 やはり、子供にとって最も大事な時期にレイラの両親を見つける事が出来なかったのは、俺にとって最も大きな失敗だった。
 恐らく、今のレイラは自分が獣人だろうが人間だろうがどうでもよく、ただ、俺と家族でいられればいいのだろう。
 何しろ俺は一人だ。
 分散されない愛情は、レイラにとって非常に心地が良いものだろうから。

「ここまで話した所で……だ」

 既にレイラの事で思考の大部分を奪われていた俺の頭上から、ここからが本題とばかりにアスラが真剣な顔で声をかけてきた。

「帰ってきた早々申し訳ないが、お前とリディアの2人にはこれから僕と行動を共にしてもらいたい。隣国でもそうだろうが、ここまで大規模な住民の消失は放っておくことは出来ないのでね。特に獣人は絶滅危惧種だ。これ以上数を減らすわけにはいかない」
「共は私たち2人だけですか? 他の親衛隊やレイラはどうするのです?」
「ここから先は何があるかわからない以上足出まといはいらぬ。レイラに関しては戦力以前に獣人族という事が問題だ。消失の可能性がある以上この城で保護するしかあるまい」

 俺の疑問にアスラは当然とでも言うように答えていく。
 確かにその判断は正しいのだろうが、個人の力を第一とする考え方に、相変わらずだと言いたくなる。
 思えば初めて会った時もたった一人でシグルズを相手にしていたし、他国との戦争の時も単騎で突っ込むことが多いらしい。

「命令には従います。ですが、いざという時は勝手にさせてもらいますよ」
「構わん。それが私とお前の契約だからな」

 俺の返答にアスラは満足そうに頷いて立ち上がると、リディアもそれに続く。
 俺も隣のドリスと頷きあって立ち上がる。
 どうやら、この後暫くの間は俺とアスラとリディアの3人で行動する事になりそうだった。
 純粋にこの3人で行動するなどあの時シグルズと対峙した時以来ではないだろうか。
 まあ、あの時は直ぐに気絶してしまったとはいえレイラもいたから純粋にそうだとは言えないが。

 とはいえ、行動は明日以降だろう。
 俺達はアスラの部屋から退出するために出口に向かって歩を進める。
 ドアにたどり着く頃にはリディアがすぐ隣に移動してきたからリディアも一緒に退出するつもりなのだろう。
 ならば、リディアに会うのも久しぶりだし、今日は一緒に夕飯でも取りながら詳しい話でも聞くのもいいかもしれない。
 俺はノブに手を伸ばしながらそうリディアに切り出そうとした所で、突然のノックに動きを止めた。

「何事だ!」

 その叩き方が乱暴だったからだろう。
 俺達の後ろにいたアスラがドアに向かって大きめの声で呼びかける。
 すると、ドアの向こうにいるであろう──声から察するに同僚でもあるアスラの親衛隊の一人だが──兵士の声が聞こえてきた。

「はっ! 隣国キリスティアからの使者と名乗る方が、至急お伝えしたい事があると殿下への謁見を申し出ております!」
「使者……だと?」

 兵士の言葉にアスラは眉をひそめて少し考えたが、取り敢えず話を聞く事にしたのかもしれない。
 テーブルを迂回するようにドアに近づくと、外の兵士に向かって声をかける。

「よかろう。会わせて頂く」
「はっ!」

 アスラの言葉に俺とリディアはちょうどドアを挟んで左右に別れる。
 ドアの正面にアスラが立ち、その両側を俺たち2人が控え、更にドリスが俺に控えるというよくわからない陣形になってしまったが、この際仕方がないだろう。
 
 やがて、正面のドアが開き、親衛隊の兵士一人と、白いローブに身を纏った一人の少女が現れた。
 兵士の方は見慣れた緑色のレザーアーマーに兜を外した状態で少女の右側に控えるように立ち止まる。
 しかし、俺はその少女を目にして息を呑むことになる。

「お初にお目にかかります。アズラエル・ウィズ・サイレント殿下」

 その顔は見慣れているはずの親衛隊の兵士よりも見知っており、尚且つひどく懐かしいものだったから。

「私の名はフィリス・アルバディア。キリスティア王国の宮廷魔術師アレックス・アルバディアの門弟にして娘です。この度はキリスティア国王陛下の使者として、殿下にサイレント国内の活動の許可と協力のお願いに伺いました」

 絹糸のような銀髪は首元で短く切り揃えられて、最後に見た時よりもずっと活発そうに見えるが、その瞳は職務を全うするためにきた使者としてのものだった。

「協力か。詳細を伺ってもよろしいか?」
「はい」

 銀髪の少女は頷くと、ローブの中に手を入れる。
 やがて、その中から一枚の紙を取り出すと、それをアスラに見せながらその内容を告げた。

「私たちの目的はこの国に逃げ込んだ凶悪犯罪者の捕縛。犯罪者の名前はレアンドロ。数十の人間と、数百の獣人を“殺害”した、最悪の殺人犯です」

 嘗て俺が最も会いたいと願った少女の口から出た名前は、あの絶望の日から現在まで、ある意味では最も会いたいと願っていた男の名前だった。
 それも、俺達の復讐にとっても十分すぎる理由付けと共に。

 
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