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スイーツは絶対絶縁、雪の下の花を求めて
第10話「この婚約指輪、カロリーゼロらしいですわよ?」
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会場の喧騒から少し離れた、白い天幕の中。
そこは王子妃リュティアの控室兼、関係者ラウンジ。
「ご挨拶に参りましたの。……お時間、少しだけ頂戴しても?」
「もちろんよ、シャルロッテ嬢」
目の前にいるのは、筋肉と気品を両立させた女性――
王子妃リュティア。
背筋はすっと伸びて、指先の所作まで美しい。
「あなたの姿、ずっと拝見していたの。えくぼが戻ったわね」
「……え?」
「がんばった証よ。あなたは今、“健康で丈夫な体”という宝物に向かってる」
リュティアの瞳は、どこまでも真剣だった。
「私はね、王子と共に、国民にこう伝えたいの。“少しの努力で、自分を守れる体は作れる”って」
「……」
「甘やかすだけの生活、スイーツ三昧……確かに幸せ。でもね、それが“後悔”に変わる日が、必ず来る」
「……はい」
「だから、伝えていくの。“努力は自分を裏切らない”って。王子妃として、そして一人の女としても」
リュティアはティーカップを置くと、シャルロッテに小さな箱を手渡した。
「……これを」
「これは……?」
そっと開けると、中には細いリングがひとつ。
ハートでも、花でもない。
リングのモチーフは、“小さなバーベル”だった。
「筋肉婚を祝福する、私からの贈り物。カロリーゼロで、愛はたっぷり」
シャルロッテの目に涙が浮かぶ。
「リュティア様……ありがとうございますっ……!」
そこへ、ルイスが控えめに入室してきた。
「お嬢様、そろそろ王宮の庭へ――」
「……ルイス様」
シャルロッテはルイスの手を取って、バーベルモチーフの指輪を見せた。
「これ、似合ってますわよね? わたくし、頑張りましたもの!」
「はい……とても、似合っています」
そしてその手に、彼は自分の手を重ねる。
まるで、それが“誓い”であるかのように。
そこは王子妃リュティアの控室兼、関係者ラウンジ。
「ご挨拶に参りましたの。……お時間、少しだけ頂戴しても?」
「もちろんよ、シャルロッテ嬢」
目の前にいるのは、筋肉と気品を両立させた女性――
王子妃リュティア。
背筋はすっと伸びて、指先の所作まで美しい。
「あなたの姿、ずっと拝見していたの。えくぼが戻ったわね」
「……え?」
「がんばった証よ。あなたは今、“健康で丈夫な体”という宝物に向かってる」
リュティアの瞳は、どこまでも真剣だった。
「私はね、王子と共に、国民にこう伝えたいの。“少しの努力で、自分を守れる体は作れる”って」
「……」
「甘やかすだけの生活、スイーツ三昧……確かに幸せ。でもね、それが“後悔”に変わる日が、必ず来る」
「……はい」
「だから、伝えていくの。“努力は自分を裏切らない”って。王子妃として、そして一人の女としても」
リュティアはティーカップを置くと、シャルロッテに小さな箱を手渡した。
「……これを」
「これは……?」
そっと開けると、中には細いリングがひとつ。
ハートでも、花でもない。
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まるで、それが“誓い”であるかのように。
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