『白い結婚のはずでしたが、夫の“愛”が黒い。 限界突破はお手柔らかに!』

夢窓(ゆめまど)

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夫婦らしさ?

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タイロン、小さな花束をジュディに渡す

翌朝。
昨日の“夫婦の演技練習”でお互い意識してしまった二人は、
どこかいつもより静かだった。

ジュディはカレンの髪を結んでいる。
タイロンは落ち着かずソワソワして、
何度も廊下を行ったり来たりしていた。

サリー不在。
今日は完全に二人と一人(幼児)の空間。

カレン
「たいろん、あそぶ!!」

タイロン
「あ、ああ……ま、待っててくれ……」

ジュディ
「どうしたのよ。
 朝から歩数多すぎない? 健康診断なら合格よ」

タイロン
「いや……その……ちょっと考え事を……」

ジュディ
「あなたが“考え事”? 珍しいわね」

くすっと笑うジュディ。
タイロンは一瞬だけ目をそらす。

そして――ついに決心

タイロン
「……ジュディ」

ジュディ
「なに?」

タイロン
「その……これ……」

ぎこちない動作で、
まるでロボットのように固い腕の動きで、
胸元からそっと取り出したのは――

小さな花束。
野に咲く花を3本だけ選んで、
リボンで丁寧にまとめた“ささやかなブーケ”。
派手ではない。
けれど丁寧に束ねられた、可憐で優しい色合いの花。

ジュディ
「……え?」

タイロン
「……あの……
 昨日の練習で……
 “夫婦らしさ”って何か考えたんだ。
 で……その……」

言葉が続かない。

ジュディは一歩、近づく。

ジュディ
「……タイロン。これ、私に?」

タイロン
「……ああ。
 ほら、指輪とかプロポーズとか……
 デートもしてないって言ってただろ。
 だから……毎日……何か考えることにした。
 その第一歩……だ」

声は低くて不器用。
だけど一つ一つの言葉がまっすぐだった。

ジュディ、笑ってしまう
ジュディは、一瞬だけ驚いた顔になり――

次の瞬間、ふっと笑った。
とても柔らかく。

ジュディ
「……あなた、ほんとに真面目ね」

タイロン
「ま、真面目って……変か?」

ジュディ
「ううん。うれしいわ」

思わず花束に頬をすり寄せる。

タイロン
「っ……!」

ジュディ
「毎日なにか考える、ね。
 ――じゃあ明日は、お揃いのドレスを作るわ」

タイロン
「ド、ドレス!?
 俺が着るのか!?」

ジュディ
「違うわよ!
 あなたはホワイトタイの燕尾服。
 私のドレスの色に合わせるのよ」

タイロン
「あ……そういうことか……(真っ赤)」

ジュディ
「あなた、今日の動きロボットみたいだったわよ?」

タイロン
「し、仕方ないだろ……! 緊張したんだよ……!」

ジュディ
「ふふ……ありがとう、タイロン。
 これ、大事にするわ」

花束を胸に抱えたジュディの笑顔は、
初めて“奥様”の顔をしていた。

タイロンは、その笑顔に撃沈した。

カレンの一撃

カレン
「じゅでぃ、はな、きれー!!
 たいろん、あいしてるの~?」

タイロン
「愛しては……えっ!? あっ!? いや!? そのっ!!?」

ジュディ
「カ、カレン!? ちょっと!!」

カレン
「ちゅーするの~?」

ジュディ&タイロン
「「しない!!!」」

ジュディは顔を覆い、
タイロンは耳の先まで真っ赤。

でも、その距離は
――確実に昨日より近くなっていた。


翌日。
王宮レセプションに向け、ジュディはついに“夫婦仕様のドレス”を作る決意をした。

カレンは昼寝中。
サリーは家事で別室。
つまり――今日は完全に二人きり。

ジュディ「今日はあなたの“色”で作るわ」

ジュディは布見本を広げながら、ちらりとタイロンを見る。

ジュディ
「いつもは仕事用だから、黒や紺のドレスが多かったの。
 でも今回は違うわ。
 ……“夫婦で並ぶため”のドレスだから」

タイロン
「夫婦……(真っ赤)」

ジュディ
「あなたの髪の色、すごく綺麗よ。
 赤……少し深いワイン色ね。
 だから……今日はあなたの色で作りたいの」

タイロン
「っ…………!」

彼の胸に、何か熱いものが一気に込み上げる。

■仕立て屋登場

仕立て屋は老舗の敏腕おばあちゃん。
仕事に容赦なし。

「はい、奥様、腕を上げて。
そこ、胸元もう少し広げますね——」

ジュディ、素直に従い、自然と姿勢がよくなる。
華奢なのに、女性らしいラインがはっきり出てしまう。
タイロンの理性終了

横で見ていたタイロン、色々ダメ。

・なぜか呼吸が浅い
・書類より真剣な顔
・視線がどこに置けばいいかわからない
・仕立て屋に「旦那様、邪魔。下がってて」と押しやられる

仕立て屋「旦那様は隣の部屋で待っててください。
集中できません」

ジュディ(クスッ)「タイロン、どうしたの? 顔が赤いわ」

タイロン「……なんでもないッ!」

→ 内心:
(なんでもあるだろ……!なんだあれ……!
黒ばかり着ていたなんて……こんな綺麗なのに……!)

■採寸後

仕立て屋が帰ったあと、ジュディは軽く回って見せる。

「赤い色、似合うかしら?
あなたの色よ、タイロン」

タイロン、完全に停止。
ロボットのように固まる。

タイロン「…………似合う」

ジュディ「うふふ、嬉しい。
ねぇ、夫婦のふりだけど……少しだけ、本物っぽい方がいいわね」

タイロンの心の声:
(いや、それは……!本物になりたいのは……俺の方だ……!)
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