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王子からの呼び出し――ランディの受難、再び
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応接間にて
エドウィンの自室応接間。
「いろいろ忙しくしてるみたいだね!」
エドウィンが、笑顔で言った。
ランディは、警戒しながら頷いた。
「……まあ」
「あっ、りんご本、サインしてくれるかな」
エドウィンが、本を差し出した。
「サインですか? いいですけど……なんで俺?」
「君が載ってるからだろ?」
「…………」
ランディは、仕方なくサインをした。
王妃の希望
エドウィンが、さらりと続けた。
「ところで、うちの母――王妃だけど」
「はい」
「この前のパーティは学園だったけど、秋の園遊会で僕たちのダンス、観たいらしい」
「はっ!?」
ランディが、叫んだ。
「王妃様が!?」
「ああ」
すでに手配済み
エドウィンは、涼しい顔で続けた。
「衣装屋も、呼んである」
「え?」
「ダンス講師も、母が手配してくれた」
「え!?」
「ちなみに、衣装は――俺が君の瞳の紺色、君が俺の瞳のブルーでいいか?」
「はっ!? なんで、殿下色!?」
ランディが、驚いた。
エドウィンは、にっこりと笑った。
「ビクトリア嬢の色でもあるよ、ブルーは」
「…………」
ランディは、少し考えてから――
「なら、いいですけど」
「まっ、ビクトリア嬢とは君、婚約してるから、いいよな、その色で」
「…………そうですね」
エドウィンが、満足そうに頷いた。
「なら、任せてくれ」
練習開始
「今日から、ダンス講師が振り付けするから、練習しよう」
「なんで、ダンス講師まで!?」
「母の決めたことだ。王命になるかもな」
「…………わかりました。園遊会の催しですね」
ランディは、諦めた顔をした。
(とほほ……なんで、こんなことに)
練習中
練習が始まった。
ダンス講師が、厳しく指導する。
「はい、もう一度!」
「はい」
エドウィンとランディが、踊る。
ランディが、小声で言った。
「なんか、やけに絡みませんか?」
「そうかな?」
エドウィンが、涼しい顔で答えた。
「そういうスタイルが、王妃のお好みかもしれん」
「…………」
「気にするから、気になるんだよ」
エドウィンは、続けた。
「サラッとしたら、そういうのは分からないから」
「そういうもんですか?」
「意識すると、そういう風になるかもしれないけどな」
「…………」
エドウィンが、真顔で言った。
「母親だから、息子の私に、そういう感情はないよ」
「…………」
「安心してくれ」
「…………はい」
ランディは、微妙な顔をした。
衣装完成
練習を重ね、ついに本番の日が近づいた。
衣装が届いた。
ランディが、箱を開けると――
殿下と完璧な、お揃い。
襟から、腕のカフス部分、ズボンまで――
お揃いの白。
襷も、完璧なお揃い。
お互いの色。
宝石も、お揃い。
ランディは、呆然とした。
「なんで、ここまでするのか、わからない」
ビクトリアの反応
ビクトリアが、ランディの衣装を見た。
「ランディ、気合い入ってるね」
「…………そうですか」
「うん。素敵だよ」
「ありがとうございます」
ランディは、少しだけ嬉しそうにした。
園遊会、開始
園遊会が始まった。
王宮の舞踏会は、華やかで豪華だった。
そして――
なぜか、令嬢や奥様が観劇用望遠鏡を持っている。
ランディが、不思議そうに尋ねた。
「園遊会なのに、望遠鏡……?」
「ああ、そういうもんだ」
エドウィンが、あっさりと答えた。
「そういうもんですか?」
「ああ」
令嬢たちが、望遠鏡を構えている。
「ランディ様……!」
「エドウィン殿下……!」
「お揃いの衣装……!」
「素敵……!」
ダンス開始
音楽が流れ始めた。
エドウィンとランディが、フロアに立つ。
完璧なお揃いの衣装。
完璧な振り付け。
完璧な演出。
ダンスが始まった。
令嬢たちが、望遠鏡で凝視している。
「美しい……!」
「お揃い……!」
「素敵……!」
王妃も、満足そうに見ていた。
「ふふふ……素晴らしいわ」
ランディの心の叫び
ランディは、心の中で叫んでいた。
(なんで、俺がこんなことに……!)
(しかも、殿下と……!)
(お揃いの衣装で……!)
(園遊会で……!)
(望遠鏡で見られながら……!)
だが、表情は完璧に保っていた。
プロである。
ビクトリアの感想
ビクトリアが、遠くから見ていた。
「ランディ、すごいね」
マリカが、頷いた。
「はい。完璧です」
「でも、ランディ、困ってそう」
「そうですか?」
「うん。顔が、引きつってる」
ビクトリアは、笑った。
園遊会で
ランディは――
なぜかエドウィンとダンスを踊った。
お揃いの衣装で。
園遊会で。
望遠鏡で見られながら。
王妃の希望で。
ランディは――
もう、諦めた。
これが、運命なのだろう。
エドウィンの自室応接間。
「いろいろ忙しくしてるみたいだね!」
エドウィンが、笑顔で言った。
ランディは、警戒しながら頷いた。
「……まあ」
「あっ、りんご本、サインしてくれるかな」
エドウィンが、本を差し出した。
「サインですか? いいですけど……なんで俺?」
「君が載ってるからだろ?」
「…………」
ランディは、仕方なくサインをした。
王妃の希望
エドウィンが、さらりと続けた。
「ところで、うちの母――王妃だけど」
「はい」
「この前のパーティは学園だったけど、秋の園遊会で僕たちのダンス、観たいらしい」
「はっ!?」
ランディが、叫んだ。
「王妃様が!?」
「ああ」
すでに手配済み
エドウィンは、涼しい顔で続けた。
「衣装屋も、呼んである」
「え?」
「ダンス講師も、母が手配してくれた」
「え!?」
「ちなみに、衣装は――俺が君の瞳の紺色、君が俺の瞳のブルーでいいか?」
「はっ!? なんで、殿下色!?」
ランディが、驚いた。
エドウィンは、にっこりと笑った。
「ビクトリア嬢の色でもあるよ、ブルーは」
「…………」
ランディは、少し考えてから――
「なら、いいですけど」
「まっ、ビクトリア嬢とは君、婚約してるから、いいよな、その色で」
「…………そうですね」
エドウィンが、満足そうに頷いた。
「なら、任せてくれ」
練習開始
「今日から、ダンス講師が振り付けするから、練習しよう」
「なんで、ダンス講師まで!?」
「母の決めたことだ。王命になるかもな」
「…………わかりました。園遊会の催しですね」
ランディは、諦めた顔をした。
(とほほ……なんで、こんなことに)
練習中
練習が始まった。
ダンス講師が、厳しく指導する。
「はい、もう一度!」
「はい」
エドウィンとランディが、踊る。
ランディが、小声で言った。
「なんか、やけに絡みませんか?」
「そうかな?」
エドウィンが、涼しい顔で答えた。
「そういうスタイルが、王妃のお好みかもしれん」
「…………」
「気にするから、気になるんだよ」
エドウィンは、続けた。
「サラッとしたら、そういうのは分からないから」
「そういうもんですか?」
「意識すると、そういう風になるかもしれないけどな」
「…………」
エドウィンが、真顔で言った。
「母親だから、息子の私に、そういう感情はないよ」
「…………」
「安心してくれ」
「…………はい」
ランディは、微妙な顔をした。
衣装完成
練習を重ね、ついに本番の日が近づいた。
衣装が届いた。
ランディが、箱を開けると――
殿下と完璧な、お揃い。
襟から、腕のカフス部分、ズボンまで――
お揃いの白。
襷も、完璧なお揃い。
お互いの色。
宝石も、お揃い。
ランディは、呆然とした。
「なんで、ここまでするのか、わからない」
ビクトリアの反応
ビクトリアが、ランディの衣装を見た。
「ランディ、気合い入ってるね」
「…………そうですか」
「うん。素敵だよ」
「ありがとうございます」
ランディは、少しだけ嬉しそうにした。
園遊会、開始
園遊会が始まった。
王宮の舞踏会は、華やかで豪華だった。
そして――
なぜか、令嬢や奥様が観劇用望遠鏡を持っている。
ランディが、不思議そうに尋ねた。
「園遊会なのに、望遠鏡……?」
「ああ、そういうもんだ」
エドウィンが、あっさりと答えた。
「そういうもんですか?」
「ああ」
令嬢たちが、望遠鏡を構えている。
「ランディ様……!」
「エドウィン殿下……!」
「お揃いの衣装……!」
「素敵……!」
ダンス開始
音楽が流れ始めた。
エドウィンとランディが、フロアに立つ。
完璧なお揃いの衣装。
完璧な振り付け。
完璧な演出。
ダンスが始まった。
令嬢たちが、望遠鏡で凝視している。
「美しい……!」
「お揃い……!」
「素敵……!」
王妃も、満足そうに見ていた。
「ふふふ……素晴らしいわ」
ランディの心の叫び
ランディは、心の中で叫んでいた。
(なんで、俺がこんなことに……!)
(しかも、殿下と……!)
(お揃いの衣装で……!)
(園遊会で……!)
(望遠鏡で見られながら……!)
だが、表情は完璧に保っていた。
プロである。
ビクトリアの感想
ビクトリアが、遠くから見ていた。
「ランディ、すごいね」
マリカが、頷いた。
「はい。完璧です」
「でも、ランディ、困ってそう」
「そうですか?」
「うん。顔が、引きつってる」
ビクトリアは、笑った。
園遊会で
ランディは――
なぜかエドウィンとダンスを踊った。
お揃いの衣装で。
園遊会で。
望遠鏡で見られながら。
王妃の希望で。
ランディは――
もう、諦めた。
これが、運命なのだろう。
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駆逐艦雪風さま
感想ありがとうございます!
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駆逐艦雪風さま
感想ありがとうございます!
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