八百屋王女、なんの冗談ですか?ーー行方不明のパパが国王でした!?

夢窓(ゆめまど)

文字の大きさ
36 / 37

ビクトリア本が発売されて――突然の婚約騒動

しおりを挟む
結婚の申し込み殺到
ビクトリアの料理本とブランド広告が大ヒットした。
その結果――
ビクトリアの結婚の申し込みが、殺到した。

国の重鎮たちが、あちこちから申し込んでくる。
王子も、富豪も、貴族も。
「ビクトリア王女との縁談を、ぜひ」
「我が息子と、いかがでしょうか」
「国同士の同盟も、兼ねて」

父ちゃんは、最初は涼しい顔で断っていた。
「当人が決めるデリケートな問題ですから」
バッサリ。
「国の付き合いとか、権力云々とか、関係ないし」
「好きな人と結婚したらいいんじゃない?」

だが――
料理本が第二弾、第三弾と続き、ブランド広告も増えた。
本気で申し込んでくる人が、激増した。

父ちゃんの爆弾発言
父ちゃんは、悩んだ末――
爆弾を落とした。
「ビクトリアは、ランディと婚約している」
「…………え?」
重鎮たちが、固まった。
「婚約……?」
「はい。幼馴染ですから」
「…………」
「では、失礼します」
父ちゃんは、涼しい顔でみんなの前から去っていった。

ビクトリアの反応
その夜、ビクトリアは父ちゃんから手紙をもらった。
『ビック。お前、ランディと婚約したことになってるから』
ビクトリアは、固まった。
「…………え?」
もう一度、読む。
『ランディと婚約したことになってるから』
「ラ、ラ、ランディと、婚約!?」
ビクトリアが、叫んだ。
「なんで!?」

手紙には、続きがあった。
『応急処置だ。仕方ない』
『嫌なら、別の男連れてこいよー』
ビクトリアは、頭を抱えた。
「父ちゃん……!」


ランディの反応
ランディも、同じ内容の手紙をもらっていた。
「…………婚約?」
ランディは、固まった。
手紙には、こう書いてあった。
『ランディ。お前、ビックと婚約したことになってるから』
『応急処置だ。仕方ない』
『嫌なら、別の男でもいいけど、連れてこいよー』
ランディは、ため息をついた。
「……国王様、無茶苦茶だな」

そして、追伸があった。
『ちなみに、お前、最近男にもモテてるらしいな』
『あのダンスのせいか?』
『まあ、頑張れ』
ランディは、顔を真っ赤にした。
「誰が、男にモテてるんですか!」

二人の会話
翌日、ビクトリアとランディが顔を合わせた。
「……ランディ」
「……殿下」
二人は、気まずそうに目を合わせた。
「手紙、来た?」
「はい」
「婚約って……」
「そうですね」
二人は、黙り込んだ。

ビクトリアが、ぼそりと言った。
「私たち、彼氏彼女じゃないのに……」
「婚約者同士、ですね」
「微妙」
「微妙ですね」
二人は、ため息をついた。

マリカとハリスの反応
マリカが、驚いた顔で尋ねた。
「殿下、本当に婚約されたんですか?」
「……仮婚約」
「仮婚約?」
「うん。応急処置らしい」
「…………」
マリカは、複雑な顔をした。

ハリスが、笑いながら言った。
「お前ら、婚約者かよ」
「うるさい」
ランディが、冷たく答えた。
「でも、面白いじゃないか」
「笑わないでください」
「無理だろ」
ハリスは、笑い転げていた。

ビクトリアの本音
ビクトリアが、ぼそりと呟いた。
「まぁ、今はこれでいいですけどね」
「え?」
マリカが、驚いた。
「だって、面倒じゃん」
「面倒?」
「うん。結婚の申し込み、断るの」
ビクトリアは、ため息をついた。
「大人になるって、ややこしいわ」

ランディも、頷いた。
「そうですね」
「ランディも、そう思う?」
「ええ」
「じゃあ、仕方ないね」
「そうですね」
二人は、静かに笑い合った。

噂の拡散
その後――
ビクトリアとランディが婚約したという噂が、あっという間に広がった。
アルデバインでも、大騒ぎになった。

令嬢たちが、サロンで泣いていた。
「ランディ様……!」
「婚約……!」
「ビクトリア様と……!」
セリーヌも、涙を流していた。
「……やっぱり、幼馴染には勝てないのね」

エドウィンの反応
エドウィンも、その噂を聞いた。
「……婚約、か」
側近が、尋ねる。
「殿下、いかがなさいますか?」
「別に」
「え?」
「まだ、決まったわけじゃない」
エドウィンは、静かに笑った。
「仮婚約だろ?」
「……はい」
「じゃあ、まだチャンスはある」
側近は、驚いた顔をした。
(殿下……本気ですか……!)

結論
ビクトリアとランディは――
仮婚約した。
彼氏彼女じゃないのに、婚約者同士。
微妙である。
だが――
今は、これでいい。
大人になるって、ややこしい。
で、二人は――
静かに笑い合っていた。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

聖女の座を追われた私は田舎で畑を耕すつもりが、辺境伯様に「君は畑担当ね」と強引に任命されました

さら
恋愛
 王都で“聖女”として人々を癒やし続けてきたリーネ。だが「加護が弱まった」と政争の口実にされ、無慈悲に追放されてしまう。行き場を失った彼女が選んだのは、幼い頃からの夢――のんびり畑を耕す暮らしだった。  ところが辺境の村にたどり着いた途端、無骨で豪胆な領主・辺境伯に「君は畑担当だ」と強引に任命されてしまう。荒れ果てた土地、困窮する領民たち、そして王都から伸びる陰謀の影。追放されたはずの聖女は、鍬を握り、祈りを土に注ぐことで再び人々に希望を芽吹かせていく。  「畑担当の聖女さま」と呼ばれながら笑顔を取り戻していくリーネ。そして彼女を真っ直ぐに支える辺境伯との距離も、少しずつ近づいて……?  畑から始まるスローライフと、不器用な辺境伯との恋。追放された聖女が見つけた本当の居場所は、王都の玉座ではなく、土と緑と温かな人々に囲まれた辺境の畑だった――。

悪女の最後の手紙

新川 さとし
恋愛
王国を揺るがす地震が続く中、王子の隣に立っていたのは、婚約者ではなかった。 人々から「悪女」と呼ばれた、ひとりの少女。 彼女は笑い、奪い、好き勝手に振る舞っているように見えた。 婚約者である令嬢は、ただ黙って、その光景を見つめるしかなかった。 理由も知らされないまま、少しずつ立場を奪われ、周囲の視線と噂に耐えながら。 やがて地震は収まり、王国には安堵が訪れる。 ――その直後、一通の手紙が届く。 それは、世界の見え方を、静かに反転させる手紙だった。 悪女と呼ばれた少女が、誰にも知られぬまま選び取った「最後の選択」を描いた物語。 表紙の作成と、文章の校正にAIを利用しています。

月が隠れるとき

いちい千冬
恋愛
ヒュイス王国のお城で、夜会が始まります。 その最中にどうやら王子様が婚約破棄を宣言するようです。悪役に仕立て上げられると分かっているので帰りますね。 という感じで始まる、婚約破棄話とその顛末。全8話。⇒9話になりました。 小説家になろう様で上げていた「月が隠れるとき」シリーズの短編を加筆修正し、連載っぽく仕立て直したものです。

精霊姫の追放

あんど もあ
ファンタジー
栄華を極める国の国王が亡くなり、国王が溺愛していた幼い少女の姿の精霊姫を離宮から追放する事に。だが、その精霊姫の正体は……。 「優しい世界」と「ざまあ」の2バージョン。

【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。

BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。 父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した! メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!

夫が私にそっくりな下の娘ばかりをかわいがるのですけど!

山科ひさき
恋愛
「子供達をお願い」 そう言い残して、私はこの世を去った。愛する夫が子供達に私の分も愛情を注いでくれると信じていたから、不安はなかった。けれど死後の世界から見ている夫は下の娘ばかりをかわいがり、上の娘をないがしろにしている。許せない。そんな時、私に不思議な声が呼びかけてきて……。

夫が大変和やかに俺の事嫌い?と聞いてきた件について〜成金一族の娘が公爵家に嫁いで愛される話

はくまいキャベツ
恋愛
父親の事業が成功し、一気に貴族の仲間入りとなったローズマリー。 父親は地位を更に確固たるものにするため、長女のローズマリーを歴史ある貴族と政略結婚させようとしていた。 成金一族と揶揄されながらも社交界に出向き、公爵家の次男、マイケルと出会ったが、本物の貴族の血というものを見せつけられ、ローズマリーは怯んでしまう。 しかも相手も値踏みする様な目で見てきて苦手意識を持ったが、ローズマリーの思いも虚しくその家に嫁ぐ事となった。 それでも妻としての役目は果たそうと無難な日々を過ごしていたある日、「君、もしかして俺の事嫌い?」と、まるで食べ物の好き嫌いを聞く様に夫に尋ねられた。 (……なぜ、分かったの) 格差婚に悩む、素直になれない妻と、何を考えているのか掴みにくい不思議な夫が育む恋愛ストーリー。

メリザンドの幸福

下菊みこと
恋愛
ドアマット系ヒロインが避難先で甘やかされるだけ。 メリザンドはとある公爵家に嫁入りする。そのメリザンドのあまりの様子に、悪女だとの噂を聞いて警戒していた使用人たちは大慌てでパン粥を作って食べさせる。なんか聞いてたのと違うと思っていたら、当主でありメリザンドの旦那である公爵から事の次第を聞いてちゃんと保護しないとと庇護欲剥き出しになる使用人たち。 メリザンドは公爵家で幸せになれるのか? 小説家になろう様でも投稿しています。 蛇足かもしれませんが追加シナリオ投稿しました。よろしければお付き合いください。

処理中です...