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お茶会が済んで――クラス分けテストの狂乱
しおりを挟む冬休み前にテストがある。
クラス分けは、成績順。
上位クラスに入れば――同じクラスで、
ランディの髪の毛をハゲさせ、穴が開くまで眺められる。
だから、同じクラスでないと。
令嬢たちは、心の中で叫んだ。
(この前のビクトリア様のお茶会は、クラスメイトはみんな誘われて)
(それ以外は、抽選だった)
(高位貴族でない、クラスメイトでもない)
(時々眺めているだけの恋心は――)
(この際、自分ではないことを祈りつつ、勉強するのである)
質問禁止令
学校から、お達しが出た。
「分からないことを、生徒同士で勝手に質問してはいけない」
ビクトリアに――
ランディに――
エドウィンに――
質問する突撃女子は、規則で禁止されている。
でないと、大変なことになるからと。
令嬢たちは、泣きながら我慢していた。
「ランディ様に、質問したい……!」
「でも、禁止……!」
「どうしよう……!」
みんな必死
今回は、みんな必死である。
家庭教師を頼んだり――
教師に質問したり――
普段しないことに、頬がげっそり痩せている。
セリーヌも、必死で勉強していた。
「絶対に、上位クラスに入る……!」
「ランディ様と、同じクラスに……!」
頬は、げっそりと痩せていた。
エドウィンも必死
エドウィンも、必死である。
「上位5名は、動かない」
側近が、頷いた。
「はい。ビクトリア様、ランディ様、ハリス様、マリカ様、そして殿下」
「ああ」
「あと、20名」
エドウィンは、真剣な顔をした。
「狭き門を開きたい」
「はい」
「家門をかけて、頑張る」
側近が、続けた。
「20名の中には、男子もいます」
「ああ」
「殿下の護衛もいます」
「ああ」
「女子枠は、10名以下です。多分」
エドウィンは、頷いた。
「高位貴族の令息が、成績を落とすとは考えられない」
「はい」
「狭き門だ」
「はい」
「でも――みんな、血眼だな」
エドウィンは、笑った。
図書館、満員
図書館は、満員だった。
令嬢たちが、必死で勉強している。
「次は、経済学……!」
「その次は、歴史……!」
「数学も、やらなきゃ……!」
一人の令嬢が、呟いた。
「……ランディ様と、同じクラスになりたい」
「私も……」
「私も……」
全員が、同じ思いだった。
ビクトリアの反応
ビクトリアは、いつも通りに勉強していた。
「マリカ、この問題、どう思う?」
「そうですね……」
マリカも、真剣に考えている。
ランディが、呟いた。
「みんな、必死ですね」
「そうだね」
「なぜでしょう?」
「さあ?」
ビクトリアは、首を傾げた。
ハリスが、ツッコんだ。
「お前ら、自覚ないのか?」
「え?」
「みんな、お前らと同じクラスになりたいんだよ」
「……そうなの?」
ビクトリアは、驚いた顔をした。
エドウィンの観察
エドウィンは、図書館でビクトリアたちを見ていた。
「……相変わらず、自覚がないな」
側近が、頷いた。
「はい」
「面白い」
「はい」
エドウィンは、満足そうに笑った。
テスト前日。
令嬢たちは、限界だった。
「もう、ダメ……」
「頭に、入らない……」
「でも、頑張る……!」
頬は、げっそり。
目は、血走っている。
セリーヌも、限界だった。
「ランディ様……」
「同じクラスに……」
「なりたい……」
セリーヌは、机に突っ伏した。
クラス分けテストが、近づいた。
みんな、必死だった。
上位5名は、動かない。
あと20名の枠を、血眼で争う。
女子枠は、10名以下。
狭き門である。
ビクトリアとランディは――
自覚がない。普段通りだ。
エドウィンは――
いつになく頑張っている。
令嬢たちは――もう、限界だった。
テストが始まった――来年のために
テスト開始
これが済めば、冬休みである。
今回のテストは、来年のクラス分けがかかっているので、みんな本気である。
上級クラスの枠
上位25位までが、上級クラス。
5名は、動かない。
ビクトリア、ランディ、ハリス、マリカ、エドウィン。
あと、王子の護衛も動かないはず。
別のクラスになったら、お役に立てなくなる。
別のクラスになると護衛は、首である。
高位貴族の子息。この人らも、譲らない。
もともと頭のいい人以外は――
狭き門である。
令嬢たちの思い
令嬢たちは、心の中で叫んだ。
(ビクトリアとランディ、エドウィンと、一緒のクラスになりたい)
(いや、教室で、ランディを眺めていたい)
(それに、彼らが別の留学先へ行ったら――)
(追いかけるにしても、成績は大切)
(ましてや、卒業もある大切な時期)
(最後のダンスパーティ)
(最後の――)
(最後の――)
(うっ、泣きそうである)
テスト中の異様な空気
テスト中――
ため息が出たり――
ぶつぶつ独り言を言ったり――
異様である。
一人の令嬢が、小声で呟いた。
「ランディ様……」
「同じクラスに……」
「なりたい……」
別の令嬢が、ため息をついた。
「はぁ……」
「この問題、難しい……」
「でも、頑張る……」
1教科目終了
1教科目が終わって――
みんなが、それぞれうるさい!
「できた!」
「できなかった!」
「どうしよう!」
泣き出すものまで。
セリーヌが、泣きながら言った。
「最後の問題、分からなかった……!」
「大丈夫よ!」
「でも……!」
「気を取り直して、次、次!」
令嬢たちは、励まし合った。
5教科終了
5教科テストが終わった。
動かないものや、動けないもの、普段と変わらないもの――
ビクトリアとランディは、いつも通り。
「終わったね」
「そうですね」
試験発表は冬休み明け
来期の冬休み明けである。
ビクトリアが、みんなに言った。
「しばらく、お別れします」
ランディも、頭を下げた。
「冬休み、頑張ってください」
令嬢たちが、泣きながら手を振った。
「ビクトリア様……!」
「ランディ様……!」
「また、会いましょう……!」
冬休みである。
カールからの、次の指令書は届いている。
『冬休みは、忙しいぞ』
『次のテーマは、冬のドレスだ』
『撮影、よろしく』
ビクトリアは、ため息をついた。
「……にいちゃん、容赦ないね」
ランディも、頷いた。
「そうですね」
「冬休みは、忙しいね」
「はい」
ビクトリアの買い物
ビクトリアは、街で腹巻きをこっそり買った。
「これで、冬も安心だね」
マリカが、呆れた顔をした。
「殿下……腹巻きですか?」
「うん。暖かいよ」
「…………」
マリカは、ため息をついた。
ランディも、腹巻きを買っていた。
「これ、いいですね」
ハリスが、笑った。
「お前、腹巻きかよ」
「暖かいです」
「まあ、確かに」
ハリスも、腹巻きを買った。
冬休みの始まり
冬休みが始まった。
ビクトリアたちは、アルバートへ帰る。
カールの指令をこなすため――
忙しい冬休みが、待っている。
令嬢たちは、結果を待ちながら――
祈っていた。
「同じクラスになりますように……」
「ランディ様と……」
「お願い……」
冬休みが始まった。
ビクトリアたちは、アルバートへ帰る。
令嬢たちは、結果を祈っていた。
エドウィンは、満足していた。
そして、ビクトリアは――
腹巻きを買っていた。
ランディも――腹巻きを買っていた。
ハリスも――腹巻きを買っていた。
これが――のどかな
冬休み前だった。
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