『定年聖女ジェシカの第二の人生 〜冒険者はじめました〜』

夢窓(ゆめまど)

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三人目の尋問ーー反逆者がわかる。

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捕えられた三人目の傭兵が、牢の隅で震えていた。
「やめろ……あの液体だけはやめろ……! 死んでも飲まん!」

グラントがにやり。
「“死んでも”か。じゃあ死なずに飲め」
「いやぁぁぁぁ!!」

ずるずると押さえつけられ、結局はゴクリ……。
「ぎゃぁぁぁぁぁ! 舌が死ぬぅぅぅ!」

その瞬間、目がぎょろりと見開かれ、口が勝手に動き出す。



側妃派の名簿

「言う! 全部言う!!」
「宮廷にて側妃につくのは――財務卿、侍従長、近衛の副団長!
それから……外交を牛耳る男も! ぜ、全部だぁぁぁ!」

レンが手早く紙に書き記す。
「……これで確定だな。側妃の影響は、財務・軍・宮廷運営の三本柱すべてに及んでいる」

騎士団長が呻く。
「まさかここまで腐っていようとは……」



仲間の反応

「……味悪くても、効くわね」
私は肩をすくめた。
「まぁ、絶対飲みたくないけどな」

エリオがうなずきまくる。
「ぼ、僕も! 命がけで拒否しますから!」

ハリスは鼻を鳴らす。
「ふん、薬は効けばいいのだ。味など些末な問題だ」

その横でナカが小声で呟く。
「……でも、ほんとに臭いんだもん」
「ナカまで!?」
ハリスが机を叩いて真っ赤になる。



情報の収穫

こうして、側妃派の主要なメンツが明らかになった。
•財務卿(税を吊り上げて民を苦しめる張本人)
•侍従長(王の寝所を牛耳り、薬を運び込む役)
•近衛副団長(騎士団を弾圧し、傭兵を導入した首謀者)
•外交官(移民傭兵の流入を推し進めた男)

「これで、誰が敵かはっきりしたわね」
私は深く息をついた。
「あとは、どう叩くか――」

潜入前のやりとり

月明かりに照らされた宮廷の外壁。
レンが低く告げた。
「いいか、魔法で忍び込む。気配を消し、壁を抜ける術だ。覚えたか?」

エリオは緊張で汗をかきながらも、こくりと頷いた。
「う、うん……た、多分」

レンがため息をつく。
「仕方ないわね。手を繋いであげる」

「えええええー!? お、お、お、男同士だよ!?」
「男同士もいいもんよね」
「ど、どういう意味!?」

背後で見ていたジェシカが吹き出す。
「あんたたち、漫才やってる暇ないわよ」



魔法潜入

レンがエリオの手を握り、魔力を流す。
途端に二人の姿は薄くなり、壁の影に溶けていく。

「……わぁ……! 僕、透けてる!」
「声も抑えろ」
レンがぴしゃりと釘を刺す。

壁に近づくと、石造りの壁面がふわりと消え、通路へとすり抜けた。
「うわ、くすぐったい……!」
「慣れなさい。これから何度もやることになる」



宮廷内の調査

ふたりは宮廷の奥へと足を踏み入れる。
廊下の角ごとに兵士の姿があるが、幻影魔法で視線を逸らし、するりと通過していく。

書庫の奥、鍵のかかった部屋。
レンが指先をかざすと、魔法陣が浮かび上がり――
「……ほら、ここに帳簿がある」

エリオが慌てて中を覗き込む。
「これ……税の記録? ええと……こんなに民から取り立てて……!」

レンの声が低く響く。
「財務卿が民を食い物にしている証拠だな。持ち帰ろう」



コミカルなオチ

部屋を出る直前。
兵士が近づく音がして、二人は慌てて物陰に隠れた。
エリオは緊張で手をぎゅっと握りしめる。

「……っ、レンさん!」
「痛い! 握りすぎ!」
「だ、だって怖いんだもん!」

兵士が去っていくと、レンはため息をつき、
「まったく……。でも、まぁ……可愛い弟子だわね」
「な、ななななに言ってんのさ!?」



次の布石

こうしてレンとエリオは、**宮廷の帳簿(財務卿の横暴の証拠)**を手に入れた。
残るは――侍従長、近衛副団長、外交官の証拠。


再び潜入の決意

帳簿を持ち帰った夜。
レンとエリオは、次の標的を話し合っていた。
「次は侍従長だな。王へ薬を運び込む現場を押さえられれば、決定的だ」
「う、うん。……また一緒にやろうね、レンさん」
エリオがぎゅっと手を差し出す。

その時。
「待って、僕も行く!」
ヨシュアが立ち上がった。

「えっ、ヨシュア!?」
「母上だけじゃない。父上だって救いたい。……あの薬漬けのまま放ってはおけない」



揺れる空気

レンはしばし黙り込み、深くため息をついた。
「……殿下、これは危険すぎます。潜入は遊びではありません」

ヨシュアは真剣な眼差しで返す。
「僕は“旗”だろう? でも、ただ掲げられるだけじゃなく……民に示さなきゃいけない。
父を救うために、僕自身が動かなくちゃ」

エリオが小声でつぶやいた。
「……ぼ、僕より勇気あるよね……」



潜入開始

結局、三人で潜入することになった。
レンが二人の手を取り、魔力を流す。
「……仕方ない。三人で息を合わせるのよ」

「う、うわ……! ヨシュアの手、冷たい」
エリオが赤くなって言う。
「僕だって緊張してるんだ!」

レンは呆れたように微笑み、
「……ほんと、男同士って騒がしいわね」
ぼそりと漏らした。



薬の証拠

宮廷の奥。
月光の差す廊下を抜け、三人は侍従長の部屋をのぞき込む。

「……やっぱり」
部屋には棚いっぱいに瓶が並んでいた。
中には濁った液体が詰められている。

侍従長が密かに帳簿を書き込み、薬瓶を箱に詰めている。
「“次の投薬は明朝。王は抵抗せぬ”……」

ヨシュアは息を呑み、拳を震わせた。
「……父上……」

レンが低く囁く。
「これで十分な証拠になる。引き上げるぞ」



コミカルなヤツら

部屋を離れる途中、エリオがまた手をぎゅっと握った。
「こ、怖かったぁ……」
「ちょ、痛い! 握力強すぎ!」
ヨシュアが呻く。

レンは小さく笑って、
「……やっぱり、男同士も悪くないでしょう?」
「「よくない!!」」
二人の声が見事にハモった。
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