『定年聖女ジェシカの第二の人生 〜冒険者はじめました〜』

夢窓(ゆめまど)

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家族ごっこ

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家族ごっこの会話

騎士団の宿舎で休んでいると、ナカがトコトコとパンとスープを運んできた。
「ジェシカお姉さん、これ食べて!」
「ありがとう、ナカ。本当に助かるわ」

ナカがヨシュアを見て、ふと首を傾げる。
「……ねぇねぇ。なんでヨシュアは“父さん”“母さん”って呼んでるのに、あの方は“母上”なの?」

一瞬、部屋がしん……と静まり返った。
「……で、出たぁ……」
エリオがスプーンを落とし、
ハリスがわざと咳き込む。



笑いと気まずさ

私は苦笑いを浮かべながら答えた。
「だって、あの方は“正妃様”よ。立場が違うの。……私たちのことは家族ごっこみたいなもの」

グラントがニヤニヤしながら口を挟む。
「そうそう、俺たちは“寄せ集め家族”。けど血より濃い縁かもな!」

ヨシュアは少し考えて――ぱっと笑った。
「なるほど! じゃあ僕は“母上”と“母さん”の両方がいるんだ!」
「……あんた、うまいこと言ったつもりでしょ」
私はため息をつきつつも、どこか胸が温かくなった。



ナカの役割

ナカはヨシュアの膝にパンを置き、得意げに言う。
「じゃあ私は妹ね! ご飯係の妹!」

「よしよし」
グラントが頭をわしゃわしゃ撫でると、ナカは「むーっ」と膨れっ面。

でもスープを配るその姿に、疲れ切った騎士たちの顔も少し和んでいた。
(……この子、もう立派にパーティの一員だわね)


捕えられた傭兵

騎士団が牢へ叩き込んだ傭兵の一人。
頑強な体格だが、目つきは怯えきっている。
「くそっ……俺は何も知らねぇ!」

グラントが斧を肩に担ぎ、にやりと笑う。
「まぁまぁ、そう言うなよ。なぁ、ハリス」

「うむ、任せておけ!」
ハリスが懐から取り出したのは、怪しく光る小瓶だった。
「最新作、“真実を語るジュース”。味は……保証しない」



絶対まずい自白剤

小瓶の栓を抜いた瞬間、牢中に鼻を突く悪臭が広がる。
「うっ……何だこの臭い!」
エリオが青ざめて鼻を押さえ、
ナカは「おえっ」と顔を背ける。

傭兵は顔を真っ赤にして叫んだ。
「ぜ、絶対飲まねぇからな!!」

ハリスが笑みを浮かべる。
「安心しろ、飲んでも死にはしない。
……多分な」

「“多分”!? そんなもん飲ませるなぁぁ!」
ジェシカが思わずツッコむ。



自白の瞬間

しかしグラントと騎士団が力ずくで傭兵に瓶を押し当てる。
「ごくっ……!!」
飲んだ瞬間、傭兵は目を剥き、涙と鼻水を垂らしながら叫んだ。

「うえぇぇぇぇぇ! まずいぃぃぃぃぃ!!」
「質問に答えろ!」
「言うぅぅぅ! 何でも言うぅぅぅ!」

牢中に笑いと呆れ声が混ざる中、傭兵の口からぽろぽろと情報が溢れ出した。



掴んだ情報

「……宮廷内で側妃につくのは、大臣の三人! 軍の参謀の二人!
あと……侍女の一部はスパイだ! 全部言う、全部言うからもう水をくれぇぇぇ!」

レンが冷静に頷く。
「……なるほど。宮廷はすでに深く浸食されている」

ヨシュアは拳を握りしめた。
「……母上を閉じ込めただけじゃない。国の中枢を全部、あいつらの手に……!」




自白を終えた傭兵は地面に転がり、呻いていた。
「……口の中が……一生臭ぇ……」
ナカがスープを持ってきて差し出す。
「ほら、これで口直し」
「お、おう……ありがとう……」

グラントが大笑いする。
「お前、ナカに感謝しろよ! このままじゃ一週間は臭い地獄だったからな!」

ハリスは満足げに顎を撫でる。
「うむ、改良の余地ありだな!」
「いや改良しても飲ませないから!!」
私は即座にツッコんだ。
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