『定年聖女ジェシカの第二の人生 〜冒険者はじめました〜』

夢窓(ゆめまど)

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禁術発動 謎汁大活躍

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謎汁で混乱していた刺客たちだったが――その奥から、フードを被った魔道士が進み出た。
「……小細工は通じぬ。我らに残された切り札を見せてやろう」

魔道士の手に黒い魔法陣が浮かび、空気がずしりと重くなる。
「――禁術《腐蝕の鎖》」

館全体を覆うように黒い鎖が伸び、ジェシカが張ったバリアに食い込んできた。
「っ……揺れてる!?」
私の全身から冷や汗が流れる。



バリアの危機

「やばい……このままじゃバリアが持たない!」
外からグラントの怒声が響く。
レンが幻影を飛ばしながら叫ぶ。
「あれは本物よ! 術者を潰さなきゃ!」

騎士団が突撃を試みるが、黒い鎖に阻まれて近づけない。
「ぐっ……身体が痺れる!」

部屋の中で王妃も立ち上がる。
「……聖女様、持ちこたえられる?」
「っ……できるだけは!」



ナカの機転

その時、ナカが小さな手を挙げた。
「ねぇジェシカ! あの人に、ハリスの“謎汁”ぶつけたらどうかな!?」

「えっ、ぶつける!?」

ナカは持ってきた水差しに、こっそり瓶の中身を混ぜていた。
「だって、あれすごいでしょ? 飲んだらみんな弱っちゃった!」

私は思わず固まる。
「……あの子、いつの間に!?」

王妃は真顔のまま言った。
「やってごらんなさい。今は手段を選んでいられないわ」

私は、飲まなくても、謎汁がかかれば、効果が出るように、聖力をこめる。



禁術撃破

ナカが窓から身を乗り出し、水差しをえいっと投げた。
「おなかピーピーになぁれー!」

魔道士の頭に直撃!
黒い鎖が一瞬揺らぎ、術者がよろめいた。
「な、なんだこの味は……ぐぅぅぅ!! 胃がぁぁぁ!」

バリアに絡んでいた鎖が一気に消滅する。
私は膝をつきながら叫んだ。
「……消えた! バリアが戻った!」

騎士団が雄叫びを上げ、一斉に反撃へと転じる。
「今だぁぁぁ!!」



コミカルな後味

「……ナカ、よくやった!」
私が頭を撫でると、ナカはえっへんと胸を張る。
「でしょー? だって“お母さん”の手伝いだもん!」

王妃も微笑む。
「……いい娘ね。本当に」

外ではハリスが「だから副作用なんかないって言ったろう!」と胸を張り、
騎士団員たちが一斉に「あるだろ!」と叫んでいた。



これで籠城戦の山場は突破!
• 禁術の大ピンチ
• ナカの機転で逆転
• 騎士団の反撃開始


戦場の惨状

黒い禁術が消えたあとも、敵はまだ残っていた。
だが――

「お、お腹が……! 走れねぇぇぇ!」
「くそっ……トイレ! トイレはどこだぁ!」
「ズボンがぁぁぁ!」

敵陣は混乱に次ぐ混乱。
騎士団の誰かが呟いた。
「……なんだこれ、地味に一番効いてるんじゃねぇか……」

その通りだった。派手な傷ではなく、兵士たちを無力化していく“ピーピー攻撃”が、士気を根こそぎ削いでいたのだ。



勝利の鐘

「敵が退いていく! 勝ったぞ!」
騎士団が一斉に歓声を上げる。
ヨシュアは旗を掲げ、高らかに叫んだ。
「この館は無事だ! 母上もご健在だ!」

民衆も遠巻きに見ており、その声が次第に「正妃派」への支持へと変わっていった。



代償

しかし――勝利の代償は小さくない。
騎士団には多くの負傷者が出ており、疲労困憊。
聖女の力で手当てはできても、心までは癒せない。

私は治療の合間に小さく呟いた。
「……戦えなくなった敵も、苦しんでる顔は……正直、見てて辛いわね」

王妃は静かに答える。
「それでも、血を流すよりは良いでしょう。あなたが選んだ道は……慈悲の力よ」




そこへ、ハリスがドヤ顔でやってきた。
「見たか! あの“謎汁”の力! 副作用なんか――」

騎士団員たち:「あるだろ!!!」

レンが腰に手を当てて笑った。
「んまぁ♡ でも結果オーライよねん♪」

エリオは真っ赤になって叫ぶ。
「いやいや! あんなの魔法戦術にカウントしたくないですから!」

ナカはパンをかじりながらにっこり。
「でも勝ったからいいじゃん!」

……笑い声が、戦場に少しだけ平和を取り戻していた。
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