『定年聖女ジェシカの第二の人生 〜冒険者はじめました〜』

夢窓(ゆめまど)

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側妃の怒り

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豪奢な離宮の一室。
敗戦の報が届くと、側妃は手元の杯を床に叩きつけた。
「ぐぬぬ……あの小僧……! どこまでも母の血にすがって!」

侍従が恐る恐る頭を下げる。
「お言葉ですが、殿下……正妃派が民の支持を集めております。このままでは……」

「黙れ! 私には“支援者”がいるのだ! 大軍を動かせば、あの小僧など一夜で潰せる!」



イルスの弱音

その脇で座っていた側妃の子――イルスが震える声を漏らす。
「こ、こんなの……負けてるじゃないか……!」

「イルス、何を言う!」

「ぼ、僕は王になりたいわけじゃない! 死ぬのは嫌だ!
ヨシュアは憎いけど……でも……戦場に出るなんて無理だ!」

イルスの必死の叫びに、側妃の瞳が冷たく光る。
「……黙れ。お前は“旗”であればいい。血筋さえあれば、玉座は我らのもの」



側妃の軍勢

報せが走る。
側妃の味方――辺境を治める有力貴族が、ついに私兵を動かした。
数千の兵が首都へ向けて進軍を開始したのだ。

「……やはり来たか」
王妃が小さく呟く。
「この軍勢は、国の兵ではなく“惻妃の家の兵”。止めるのは容易ではありません」



正妃派の覚悟

ヨシュアは青ざめながらも立ち上がった。
「……母上。援軍が来るまで、この大軍を相手に……僕たちだけで持ちこたえなければならないのですか」

ジェシカは静かに頷く。
「でも、あなたの旗を見て、民が動くかもしれない。私たちはもう“孤独な戦い”じゃないはず」

レンが唇を吊り上げる。
「んまぁ♡ 大軍だろうが何だろうが、派手に踊ってやればいいのよ!」

ハリスは瓶を揺らしてニヤリ。
「よし、謎汁をもっと仕込むか……!」
「やめろぉぉぉ!!」
騎士団員たちの悲鳴が響いた。


民衆の広場

城下の広場。
多くの民が集まり、不安げにざわめいていた。
「また戦が起きるのか……」
「側妃の軍が迫っているって……」
「俺たちは、ただ税を取られて苦しむだけか……」

その壇上に、ヨシュアが一人立った。
旗を掲げ、深く息を吸う。
(……逃げたくない。母上を、民を、守りたい)



ヨシュアの演説

「――皆、聞いてほしい!」
広場に声が響く。

「僕はヨシュア。王の正妃の子であり、ひとりの人間です。
いま、側妃の兄が大軍を率いて、この国を奪おうとしています。
その刃は、僕や母上だけではない。……民の皆さんに向けられている!」

人々がざわめく。
ヨシュアは拳を握りしめた。

「僕は玉座を欲しいのではない。ただ……もう誰も、税に苦しみ、病に倒れ、家族を奪われる国を見たくない!
だからどうか――僕に力を貸してほしい!」



民衆の反応

一瞬の沈黙。
しかし、群衆の中から声が上がった。

「あのとき……貧民街でスープを配ってくれたのは、正妃派の人たちだ!」
「病を癒してくれた聖女様の仲間だ!」
「騎士団を取り戻してくれたのも……ヨシュア様じゃないか!」

次々に声が広がり、ざわめきはやがて大きな波になった。
「……俺たちがついていく!」
「武器は持てなくても、手を貸す!」
「ヨシュア様を信じる!」



志願兵たち

騎士団の元団員や、傭兵に家族を奪われた者たちが前に進み出た。
「俺たちも戦わせてくれ!」

ヨシュアは目を潤ませながらうなずいた。
「ありがとう……皆の想いを、僕が旗にする!」

その横でレンが手を叩いて笑った。
「んまぁ♡ 泣かせるじゃない! 若い男が熱弁ふるうなんて素敵だわぁん!」
エリオは赤面しながら叫ぶ。
「レンさん、邪魔です!」



正妃の静かな支え

群衆の後ろで、王妃は静かに呟いた。
「……あの子はもう、“王の子”ではなく“民の旗”になったのね」

ジェシカは小さく笑って答えた。
「ええ。これで――戦えるわ」

大軍到来

翌日。
城下の丘に、無数の旗がはためいた。
鎧をまとった兵士、馬にまたがる騎兵――その数は数千。

「あれが……側妃の軍か」
ヨシュアは旗を握りしめる。
「民の軍ではなく、私兵だ。だが力は本物……」

城下に緊張が走った。志願兵たちも息を呑む。



前哨戦の始まり

偵察部隊が火矢を放ち、城門に襲いかかる。
騎士団長が叫ぶ。
「防げぇぇぇ!!」

騎士団と志願兵が一斉に盾を掲げる。
火矢が雨のように降り注ぎ、盾に突き刺さる音が響いた。

「ここからが……本当の戦だ!」
グラントが斧を構え、最前線に立つ。



仲間たちの戦い
•エリオ:必死に詠唱。
「フ、フレイムウォール!」
城門前に炎の壁を立て、敵の進軍を阻む。
「……っ、まだ燃えてる! 成功した!」

•ハリス:謎汁を混ぜた煙玉を投げる。
敵兵:「げほっ!? な、なんか力が抜け……お腹が……!」
味方:「おいまた副作用かよ!」

•レン:幻影で敵兵を翻弄。
「こっちよん♡ いやん♡」
敵兵たち:「な、なんだこいつ!? 本物はどこだ!」



王妃の決意

城壁から戦場を見下ろし、王妃が低く呟く。
「……側妃よ、ついに剣を向けるのね。
ならば、私ももう逃げはしない」

私は隣で祈る。
「この城は落とさせない。私たちが守ります」



前哨戦のクライマックス

敵軍の騎兵が一斉に突撃!
「――来るぞ!」
騎士団が盾を重ね、炎と矢で応戦する。

ヨシュアは旗を高く掲げた。
「怯むな! この旗は折れない!」

民衆が城壁の上から声を上げる。
「ヨシュア様ー!」「正妃様を守れー!」

城下は、まるで一つの鼓動のように熱を帯びていった。
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