やってらんないので、聖女も悪役もヒロインも王太子から逃げました。あとは王家で頑張って

夢窓(ゆめまど)

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番外編:ウエディング•センター開催

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ウエディングセンター爆誕! ――「愛し合う人だけが結婚できる」王都の新名所

設立の背景

マロンとアデル、マルグリットとバロンの幸せな結婚をきっかけに、
ロジェ公爵が「これからは、形式ではなく愛し合う者同士の結婚を」と宣言。

そのバックアップで誕生したのが 《王都ウエディングセンター》。
ここでは、従来の「政略結婚」ではなく「心から結ばれたい二人」が、面接と祝福を経て婚姻を認められる仕組みになった。

司祭が厳しい面接を行い、
「お互いに心から愛し合っているか」
「本当に一緒に生きたいと願っているか」
を確認する。
その場で マロンとアデルが祝福を与えることもあり、成功すれば街中に花びらが舞い、虹がかかる。

王都の新たな文化へ

この制度は貴族だけでなく庶民にも解放。
土日を中心に結婚式が執り行われるため、王都の広場はまるでお祭りのようなにぎわいに。
• 屋台が並び、焼き菓子や串焼き、甘い蜜酒まで。
• 音楽隊が演奏し、舞踏の広場も設けられる。
• 孤児院の子どもたちが花かごを持って走り回り、花道を彩る。

「結婚式の日は王都全体が祝祭日!」
という空気が定着していった。

信頼と信用の象徴

形式や権力ではなく、
「信用第一」「愛があること」が条件。
だからこそ、このウエディングセンターは庶民からも大人気になり、王都の結婚のスタンダードとなる。

「王家が沈み、神殿が崩れても――
ここには、本物の祝福がある」

と噂されるようになり、むしろ王国の新しい希望として広まっていく。

ウエディングセンター初開催の日

その日は王都の広場全体が、まるで大祭りのような賑わいだった。
新しく建てられた《ウエディングセンター》の前には、すでに人だかり。

「今日、最初の結婚式があるらしいぞ!」
「聖女さまと魔法使いさまが祝福をくださるんだって!」

子どもたちのはしゃぐ声、商人たちが張り上げる屋台の呼び声、音楽隊の演奏――
その全てが、これまでの王家や神殿主導の「堅苦しい儀式」とは真逆の、明るく開かれた空気をつくり出していた。



愛し合う二人の誓い

新郎は靴職人の青年。
新婦はパン屋の娘。

「私たちは……政略でも名誉でもなく、ただ一緒に生きたいからここに来ました」

司祭の問いかけに、二人は顔を見合わせて笑う。
その笑顔は緊張よりも幸せに満ちていた。

マロンが静かに前へ進み、手をかざす。
「……あなたたちの愛が、どうか末永く続きますように」

その瞬間――
花びらが街中に舞い、空には七色の虹がかかった。

群衆から歓声があがる。
「おお……! これが、本物の祝福……!」

アデルも手を掲げ、結界のような光を展開する。
「これで、この誓いは決して壊されない」

光がふたりを包み、温かな拍手が広がっていった。



お祭り騒ぎと庶民の喜び

式が終わると同時に、屋台の行列が一斉に動き出した。
甘い焼き菓子に、肉の串焼き、樽から汲む蜂蜜酒。
楽師たちの奏でる音楽に合わせて、子どもたちが花道を駆け回り、
孤児院の子どもたちも笑顔でお手伝いをしている。

「ねえねえ、次の式は誰?!」
「次は仕立屋の娘さんと、大工の旦那だって!」

王都は、政略や義務から解放された「愛の結婚ラッシュ」に突入していった。



信用と信用の広がり

「信用第一」――それがこのセンターの信条。
偽りのない愛を確かめ合ってから結婚するため、離縁や争いも激減。
庶民からも、貴族からも、圧倒的な支持を集めるようになった。

やがて人々はこう語るようになる。

「王家の結婚は冷たい政治。
でも、ウエディングセンターの結婚は温かい奇跡だ」

王都に、新しい時代の風が吹いていた。

ララの舞いのはじまり

結婚の誓いを交わした新郎新婦を前に、司祭が静かに合図を送る。
すると、ララ(元・神殿舞姫、今は森暮らし組の一員)が、舞台の中央に進み出た。

アッパッパを基調にした白いドレス。裾には野花の刺繍が揺れている。
彼女は深呼吸ひとつ、両手を掲げ、柔らかく舞い始めた。

最初は小さな動き。
指先で光をすくい、足取りで大地を叩く。

その度に、淡い光が弧を描き、空に舞い上がっていった。



庶民の初体験「虹の祝福」

「……な、なんだ……?」
「空が……光って……!」

ざわめく群衆。

ララの舞いが進むにつれて、光の弧はどんどん鮮やかになり、
やがて七色の虹となって、王都の空いっぱいに広がった。

太陽に照らされた水滴の粒が、街路をきらめかせる。
パン屋の娘が「あっ」と声をあげ、肩に乗った花びらを見つめる。

「花……舞ってる……!」

次の瞬間。
結婚を祝うように、虹色の花びらが空から降り注いだ。

「うわあああ!」「きれい……!」「これが……祝福……!」

子どもたちは手を伸ばし、
年老いた夫婦は涙を拭いながら抱き合う。

庶民が、初めて体験した“本物の祝福”。
それは、神殿の冷たい儀式では絶対に与えられなかった光景だった。



ララの舞とマロンの力

ララの足が止まると、マロンがそっと前へ進み出た。
彼女はララの背に手を添え、静かに呟く。

「ありがとう、ララ。あなたの舞、最高よ」

ふたりの力が共鳴する。
マロンの“聖女の祝福”と、ララの“舞の力”が重なり、虹はさらに濃く輝きを増した。

アデルが横で苦笑する。
「……これ、王都史上初の“庶民が泣いた結婚式”じゃないか?」



信仰が塗り替わる瞬間

その場にいた人々は皆、悟った。

「祈りとは、塔にこもることじゃない。
 人の幸せを願い、共に祝うことなんだ」

ララの舞いは、ただの余興ではなかった。
庶民にとって「信仰のかたち」をまるごと塗り替える出来事だったのだ。

虹の下で、新郎新婦はしっかりと手を握り合い、涙を浮かべていた。
それを見て、群衆もまた、盛大な拍手で応えた。

──王都に、新しい伝説が生まれた瞬間だった。

まとめエピローグ風に

王家がどうあがこうと関係なく、
森から始まった小さな暮らしと祝福の輪は、やがて街へ広がり、
庶民も貴族も“愛し合う人同士”で結ばれる世界ができていった。

誰もが自分の幸せを選べる。
誰もが胸を張って、愛を誓える。

虹の下で笑いあう人々を見て、マロンはぽつりとつぶやいた。

「……みんなが幸せになるがいい」

そしてアデルが隣で笑う。

「もう王家なんて要らないな」

――こうして。
“祈りを強制される国”は終わり、
“祝福で笑う国”が生まれた。

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