やってらんないので、聖女も悪役もヒロインも王太子から逃げました。あとは王家で頑張って

夢窓(ゆめまど)

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番外編:王家ではなく、同じ目線でウエディング

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ウエディングセンターでは今日も式が行われる。
そしてそこに──かつての王子ジョルジュと、伯爵令嬢シンディの名が並んだ。

ふたりは真実の愛を捧げるために、民と同じ列に並び、申し込みを済ませた。



今や、王家は高みにあらず。
庶民と同じ場所に立ち、共に祝福を受ける者となった。

愛の誓いは、森から街へ、街から国へと広がっていく。
それは、かつて王家の力では決して築けなかった、新しい絆だった。

ウエディングセンターでは今日も式が行われる。
そしてそこに──かつての王子ジョルジュと、伯爵令嬢シンディの名が並んだ。

ふたりは真実の愛を捧げるために、民と同じ列に並び、申し込みを済ませた。


ウエディングセンターの受付

街で人気を集めている「ウエディングセンター」。
いつものようにスタッフが申込用紙を整理していたとき、見覚えのある人物が扉をくぐった。

「……っ!? あの方は……」

受付嬢の顔色が変わる。
そこに立っていたのは、かつて国を揺るがせた王子ジョルジュだった。
横には伯爵令嬢シンディが静かに寄り添っている。

「結婚の申し込みをお願いします」
王子の声は、かつての傲慢さを感じさせない、真摯な響きだった。



神官の判定

センターの特徴は「愛し合う二人しか、ここでは結ばれない」ということ。
必ず神官が面接をし、二人の心を見極める。

神官はしばらく黙ったまま、二人を見つめた。
過去の因縁が、重く空気を押しつぶす。

だがやがて、神官は小さくうなずいた。
「……真実の愛を誓う気持ちに、偽りはない。受理します」



人々の反応

会場のスタッフも、居合わせた人々もざわめいた。
「本当に……?」
「昔のことは、忘れた方がいいのかもしれないな」
「今の彼らを見てると……もう責める気になれない」

やがて、誰からともなく拍手が起こった。
かつて王家に恨みを抱いていた者も、いつの間にか笑顔で「おめでとう」と声をかけていた。




過去の失敗や傷は消えない。
けれど、人はやり直せる。
ジョルジュとシンディの結婚は、それを証明する出来事になった。

森から始まった祝福の輪は、今や街中へ広がり、
人々は皆「愛し合う二人を祝うこと」に迷いを持たなくなった。


小さな挙式

ウエディングセンターで受理されたあと、
ジョルジュとシンディの結婚式は「派手さ」を避けた、ごく小さな形で行われた。

白い布をかけただけの祭壇。
飾り気のない花束。
けれどその場を囲んだのは、街で暮らす人々のあたたかな眼差しだった。



街の人々の祝福

「おめでとうございます」
「今度は、幸せに」

拍手は大きくなかったが、真心がこもっていた。
パン屋の夫婦は焼きたての丸パンを差し入れ、
仕立屋は余った布でリボンを作り、
孤児院の子どもたちは小さな花を摘んで二人に手渡した。

それは祝福というより、感謝だった。
かつての王子が、自分の目で、街で、人と向き合おうとしている姿に、
「もう恨みを抱く必要はない」と誰もが感じたのだ。



王子と街の人の絆

誓いの言葉を口にしたあと、
ジョルジュは人々に向き直り、静かに頭を下げた。

「……今日の祝福を、一生忘れません。
この国をもう一度立て直すとき、
私は“上から命じる王子”ではなく、
皆さんと同じ場所に立つ人間でありたい」

その言葉に、人々はうなずいた。
もう「王子だから」ではなく、
一人の人間として受け入れられた瞬間だった。




小さな挙式。
街の人の拍手。
そして二人の誓い。

それは派手さはなかったが、
確かに心をつなぎ、
街と二人を結び直した。

――こうして、かつての王子と伯爵令嬢は、
新しい人生を「人々の祝福」とともに歩き始めた。


王家再生編

――民と共に、新たな絆を



1. 王家の再起動

玉座は、もうかつての威光を持たない。
「権威」で押さえつける時代は終わり、
「信頼」で支える時代が始まった。

ジョルジュとシンディの挙式は、その象徴となった。
祝福を受け取ったのは二人だけでなく、
「もう一度、王家と共に歩んでみよう」と思った街の人々だった。



2. 民の声を聞く王子

ジョルジュは王城ではなく、街の広場に執務机を置いた。
紙と羽ペンを前に、直接人々の声を受け止める。

「税の仕組みを見直してほしい」
「道の修繕を」
「孤児院への支援を」

かつてなら文官に押し付けていた要望を、彼は一つひとつ自分で聞き、メモを取り、
時には街の人々と一緒に現場を歩いた。

それは「王子」というより「新米役人」の姿に近かったが、
その誠実さが人々の心を動かしていった。



3. シンディの力

シンディは伯爵令嬢らしく礼儀正しく、
けれど街の子供たちには膝をついて目線を合わせた。

「ちゃんと食べてる? 学校は行けてる?」

彼女の細やかな気配りは、
民衆にとって「遠い王妃」ではなく「街のお姉さん」のような存在だった。

その姿はやがて、王家に「温かさ」を与えていく。



4. 民と王家の新しい絆

祭礼の日。
ウエディングセンターの庭で行われた「街と王家の集い」。

ジョルジュとシンディは壇上に立ち、
人々と同じ布服をまとい、肩を並べた。

「これからは、命じる王家ではなく、共に働く王家として」

その宣言に、街の人々は歓声をあげた。
かつては届かなかった「王家」との距離が、
いま、手を伸ばせば届くところまで近づいていた。



5. 結び

王家は、形を変えて存続した。
それは「支配者」としてではなく、
「共に生きる者」としての姿だった。

民は王家を支え、王家は民に寄り添う。

かつて失われた絆は、
今度こそ“信頼”という名の基盤の上で、静かに再生を果たしたのだった。


エピローグ

王家の権威が失われ、混乱の時代が訪れた。
だが、民は自らの力で秩序を立て直し、
新しい暮らしを選び始めた。

――森に集った人々の笑い声。
――ウエディングセンターから広がった祝福の輪。
――そして、街の広場で交わされた小さな約束。

その一つひとつが、
「王家と民が共に歩む」という、かつてなかった形を作り上げていった。

ジョルジュとシンディの結婚式は、
ただの挙式ではなく、王家再生の第一歩だった。
それは派手ではなく、温かい灯火のように、
人々の心をそっと照らした。

もはや“祈りを強制する国”はどこにもない。
ここにあるのは――
愛する者と共に、未来を築く国。

誰もが笑顔で立ち会ったその日を、人々はこう呼んだ。

「再生の祝福」

そして物語は、静かに幕を下ろす。

お読みいただきありがとうございます。

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