やってらんないので、聖女も悪役もヒロインも王太子から逃げました。あとは王家で頑張って

夢窓(ゆめまど)

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王都、聖女不在で聖女祭り!?

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王城会議室にて。

側近A「……では、例年通り“聖女祭”の準備を進めております」

側近B「聖女様のご登場時間は午後三刻からとし、祈祷の儀、神託の朗読、奉納の舞──」

王太子(ふんぞり返って)
「……で、あの聖女は、どこにいるんだ?」

側近たち(しれっと)
「……ご静養中にございます」

「塔にいらっしゃる……はずでございます」

「きっと、当日には現れるかと……」

──その頃、森では。

ララ(爆笑)
「えっ!? まだやる気なの? 聖女祭り?」

ジニー「ほんっと懲りない王家ね……。あたしなんか、奉仕作業で今ハーブ園で泥まみれだっつーの」

マルグリット「誰が出るのかしら、儀式で。まさか、王太子自ら?」

アデル「王都に“影武者派遣”の依頼でも来たら、どうしましょうか?」

ジニー「影武者は断るけど、屋台の焼き肉なら行ってもいいかも」

マロン(苦笑しながら)
「王家、マジで……気づいてないのか……」

場所は、王都を一望できる“風見の丘”。

マロン(フィーネ)・ジニー・マルグリット・アデル・アルファル、全員でピクニック中。

──王都の中央広場では、「第108回・聖女祭」が始まっていた。

マロン(望遠鏡片手に)
「……出たわね。白いローブ。あれ、誰?」

ジニー(串焼きかじりながら)
「背、低っ。動きギクシャク。あれ影武者じゃない?」

マルグリット(シフォンケーキつまみながら)
「というか、一般人じゃない? あんなに神聖さのない聖女、初めて見たわ」

アデル(渋く紅茶を飲んで)
「背格好合わせただけの代役ですね。魔力のない“偽の祈り”は、あれでは通じませんよ」

アルファル(手製のピクルスを配りながら)
「ていうか、あの広場……民が全然いない。スカスカですね?」

マロン「ふふ……王家、まったく信用されてない証拠よ」

ジニー「……私たちいないと、あの国、ほんっと何もできないのね」

マルグリット「けど、戻る気もないけどね。私は今の暮らしがいいわ」

アデル「森で石けん作りながら平和に暮らすほうが、よほど尊いです」

アルファル「“森の男石けん”の予約が今週だけで60件来てますし、稼げますよ」

ジニー「聖女の名より、石けんブランドの方が今、影響力あるってすごいわね」

マロン(にっこり)
「聖女って、信仰じゃなくて、信頼から始まるものよ。……王家にはそれがなかった」

全員「乾杯~!」

(グラス代わりの木のコップで、麦茶とどぶろくが混在)

──王都では“聖女不在の聖女祭”が、しらけた空気のまま終了したという。

焚き火を囲む、森の夜。

マロン(元・聖女)、マルグリット(元・悪役令嬢)、ジニー(元・ヒロイン)、アルファルがそれぞれ湯気の立つスープを片手にまったりしている。


帰ってからの、宴会

マロン
「そういえばさ……王子の名前って、私、忘れたわ」

マルグリット
「……名前、ありましたっけ?」

ジニー
「あー……忘れられたんだ」

マロン
「忘れたっていうより、最初から覚えてないのよね。
ほら、顔はドヤ顔で印象的だけど、名前って特に言う必要なかったし」

マルグリット
「……今さら聞けないから、ゴニョゴニョって呼んでたんですか?」

マロン
「そうそう。『あー、その……殿下』とか『あなた』とか。名前は無理に呼ばないスタイル」

マルグリット(くすっと笑って)
「それ、幸せなことですよね。忘れられるくらい、距離を置けたってこと」

ジニー
「……じゃあ、私も上書きしよ。アルファルって言い続けて、全部消す」

アルファル
「おい、なんで俺が“上書きデータ”なんだよ」

ジニー
「だって、その方が後味いいでしょ? パンダ以下とか記憶に残しても仕方ないし」

マロン
「ほらね、この森は“記憶のゴミ捨て場”としても優秀なのよ」

焚き火がぱちりと爆ぜて、笑い声が夜に溶けていく。

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