やってらんないので、聖女も悪役もヒロインも王太子から逃げました。あとは王家で頑張って

夢窓(ゆめまど)

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「空っぽの神殿」──王家最後の虚飾のはずだった。

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王家なき後の現実

王家と神殿が消えたあと。
残ったのは──豪奢な宮殿と、途方に暮れる人間たちだった。

「……あの、給料は?」
真っ先に声を上げたのは騎士団。
王家のために剣を振るってきた彼らだが、月末の俸給が消えたことに気づいた。

「待て。税金はどこから集めるんだ?」
文官たちが顔を見合わせる。
帳簿も、領収書も、すべて王家の名義。
そもそも王印がなければ公的文書は発行できない。

「……あれ? 滅ぼしてどうすんだ、俺たち」

誰かが呟いたその一言に、場の空気が重く沈んだ。



◾️城の侍女たちの混乱

「掃除は? 洗濯は? 食材は?」
侍女や下働きの者たちは右往左往した。
王家がいなければ、献立を決める人もいない。
賃金も払われない。
それでも館を放置すれば荒れる。

「でも帰ったら、うちに食べさせるお金がない……」
「結局、ここに来て仕事するしか……」

だが「誰のために?」という問いが、誰も答えられなかった。



◾️文官のジレンマ

「役所の窓口を閉じたら、庶民が困る」
「だが印章がなければ手続きできない」

国庫からの支出はすべて凍結。
病院への補助金、孤児院への援助、道路整備の予算──全てストップ。

「……王家いなくても生きていけるって思ってたが」
「書類がなきゃ、医者も働けねえし、孤児は路頭に迷うぞ」

机に書類の山を積み上げ、文官たちは頭を抱えた。



◾️騎士と庶民の気づき

庶民もまた、すぐに現実を悟った。
税を納めたくないと喜んでいた人々も、やがて気づく。

「税を払わないと、井戸の修繕もしてくれないのか」
「橋が壊れたまま……」
「盗賊退治、誰がやるの?」

やがて町は混乱し、騎士団も思い知る。

「俺たち……給料がなければ、剣を抜く意味もねえ」
「いや、民を守らなきゃ。けど、どうやって?」



◾️結末:忘れられた問い

「王家を滅ぼしたのはいい。だが、次をどうする?」

誰も答えられない。
王家を倒すことに夢中で、倒したあとの「日常」を、誰も想像していなかった。



その頃、森では。
聖女マロンと仲間たちが焚き火を囲み、ワイン片手に笑っていた。

「王都? あー……まだバタバタしてるんじゃない?」
「給料どうするんだっけ、あの人たち」
「知らなーい! ほら、肉焼けたわよ!」

森の笑い声と、王都のため息。
その対比が、国の“新しい物語”の始まりだった。

◾️森暮らしの利点
• 自給自足できるから お金がほぼ不要。
• 畑・狩り・釣り・ハーブ園・手作り石けん……生活コストは労力だけ。
• 治安リスクも低い(結界+仲間の魔法+小規模社会なので目が届く)。
• 人間関係も「信頼」で回っている。

だから、森の人たちは「王家も税金も不要。むしろ楽しい」になる。



◾️街暮らしの問題

街は森と違い、お金と制度がなければ回らない。
王家が消えてまず困るのはここ。
• 生活費が必要:農産物や肉は買わなきゃならない。
• 治安が崩れる:騎士団がいないと盗賊やごろつきが横行。
• 通関が崩壊:城門や検問がなくなれば、誰でも街に出入り自由。盗賊や怪しい商人まで紛れ込む。
• 流通が乱れる:通関管理がないから、税収も消え、商人は「払う理由がない」と税をボイコット → 道路や橋が壊れっぱなし。
• 公的サービスが消える:病院、孤児院、福祉への資金が途絶える → 庶民が一番打撃を受ける。

「王家がなくなれば楽園!」と思ったのは一瞬で、
実際は 秩序もお金もなくなって“無法地帯”化 する。



王家崩壊の副作用
• 騎士団「給料が出ないから街を守らない」
• 文官「印章がないから手続きできない」
• 商人「税金払わない、関税ないから密輸し放題」
• 庶民「井戸直らない、橋が落ちたまま」

結局、みんな「王家って必要だったんじゃ……?」と気づく。
ただし「元の王家」じゃなくてもいい。
秩序と行政を回せる組織=新しい形の統治が必要になる。

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