王太子に婚約破棄されたけど、私は皇女。幸せになるのは私です。

夢窓(ゆめまど)

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妖精姫は皇帝国の王女です。

次は、新婚旅行へ

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束の間の楽園

結婚式の翌日。
ギデオンに、公休が与えられた。

ハリスとリリベッタも、部屋に篭っている。

ギデオンは、部屋から、出なかった。
いや、出る必要が、なかった。
マルガリータと、ただ、まったりと——
それだけで、幸せな一日だった。

だが。
明日からは、大変かもしれない。

妻と、上司と、その婦人と。
合同新婚旅行である。

行き先は、海辺の街。
海鮮料理、海辺の散歩、
海への泳ぎ体験、
そして——新婚カップルのプライベートも、
さりげなく、すべて盛り込む。

ギデオンは笑いながら、
綿密な計画を立てていた。
美味しくて、ロマンティックなレストラン。
女性が喜びそうなお土産の吟味。
観光スケジュールの調整。
それを、新妻に気づかれず手配すること。

この所、オーバーワークで、
これから、王太子の結婚相手探しまで——
大変である。

海の見えるコテージ

窓の外に、海が広がっていた。
波の音が、静かに聞こえる。

マルガリータが、そっと、
ギデオンをお膝の上へ促した。
「ギデオン、ここでゆっくりしましょう。」

ギデオンは、静かに横になった。
あ、これは——
負けだ。完全に、負けだ。
でも、今日だけは、負けていい。

「……あなたは、天使か?」

マルガリータは、くすりと笑って、
「違うわ。あなたの妻よ。」
「あなたのこと、一番わかってるのは、わたし。」

「今は、ゆっくりして、休んで。」
少し間があって、
「愛してるわ、旦那様。」

ギデオンは、目を閉じたまま、
「あなただけが——」
「私こそ、守りたい。1番大切なもの」

マルガリータは、静かに微笑んで、
「いいから、寝て、旦那様。」

波の音が、続いていた。
 
剣も、任務も、計画も、
今夜だけは、遠くにある。
マルガリータの膝の上で、

甘い夜は、ギデオンへの、ご褒美だった。


夜の語らい

海辺のコテージ、
別の部屋では、
ハリスと、リリベッタが、
静かに語り合っていた。

「ギデオンって、優秀すぎて、
自分を追い詰めるタイプよね。」
リリベッタが、そっと言った。

ハリスは、少し考えて、
「そうだな。」
短く、でも、確かに、頷いた。

「そのギデオンを、
コントロールできるのが、
マルガリータなのよね。」

ハリスは、窓の外の海を見ながら、
「あいつが、あそこまで
誰かに委ねられるとは、
思わなかったがな。」

リリベッタは、微笑んで、
「完璧でなくとも、
そこそこで、いいのよ。」
「人間なんだから。」

「いいカップルだわ。」

ハリスは、静かに笑った。
「……ああ。」

優秀すぎる男には、
力を抜かせてくれる人が、要る。
ギデオンにとって、
マルガリータは、彼のすべて

波の音が、夜に、溶けていった。


旅の終わりに

新婚旅行は、楽しかった。
海の風、海鮮料理、
波の音、
4人の笑い声——
全部、よかった。

そして、ふと、思う。

ロレーヌが言っていた。
「同時期に、結婚しなさい。」

あの言葉が、なければ——
ギデオンは、いつまでも、
結婚できなかっただろう。
任務を理由に、
完璧な準備を言い訳に、
マルガリータを、待たせ続けたまま——
きっと、そうだった。

ロレーヌ様は、わかっていたのだ。
ギデオンという男を。

飴と鞭の使い分けが、一番上手いのは、
ロレーヌ様だと思う。

優しい時は、とことん優しく、
厳しい時は、有無を言わさず、
そして、大事な時には、
絶妙なひと押しを、躊躇わない。

ハリスも、
リリベッタも、
ギデオンも、
マルガリータも——
みんな、ロレーヌ様の手の中に、
あったのかもしれない。

賢い人は、命令しない。
気づいたら、
皆が動いている。
それが、ロレーヌ様のやり方だった。

新婚旅行は、楽しかった。
ロレーヌ様、ありがとうございます——
誰もが、心の中で、そう思った。

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