ベビーケアズ ~最弱スキルが新米ママをサポートします~

冬花美優

文字の大きさ
15 / 15

15話 完結 (あとがき あり)

しおりを挟む

「リナ!姫様の呼吸が乱れている!どうすればいい?」

エリナの手を握りしめたソフィアが言う。

「大丈夫、大丈夫よ!もう子宮口も全開だから、あとは赤ちゃんが産まれるようにするだけだから」

「姫様から赤ちゃんの頭が見えました!」

「リナさん!熱いお湯とタオルの準備ができました!」

「リナ!母様を助けて!」

従者やエレノアから様々な声を聞く。

「赤ちゃんの頭が出てきたら母親の身体の負担を減らすために呼吸を変えた方がいいと私は言われました、やってみますか?リナさん」

年配の出産経験がある従者が冷静な対応を伝える

「はい!助かります!姫様、痛みがきたら同時に呼吸を整えていきんでください!」

「姫様、リナさんの言うとおりにすれば大丈夫ですよ…さぁゆっくりと焦らないで大丈夫、自分のペースでいいんだよ」

リナと従者がエリナの身体と赤ちゃんを懸命にサポートする、そしてソフィアやエレノアが手を握りしめて安心させる、さらに周りの従者が優しく声掛けをした。

「母様、大丈夫ですよ!あと少し!」

「そうだよ!あたしらもついてるから安心して!」

「姫様、頑張ってください!」

「自分のペースでゆっくりで大丈夫ですよ!」

皆の温かい声に安堵した表情と痛みの入り交じった表情でエリナは最後の力を振り絞る

「……どうか、この子だけは……絶対に無事に……たとえ、私が消えたとしても、この子だけは、絶対にエレノアと一緒で大切な子だから私に、何があっても産んでみせる!……く、うぅぅぅ!うぁぁぁ!ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

「姫様、もう少し!息を吐きながらヒー、ウン!と力を入れて!」

「姫様、赤ちゃんの頭が出てきましたよ!」

すると部屋中に小さな命の産声が元気に響き渡る

「んぎぁ!ふぇぁ!んぎぁ!」

エリナは涙を浮かべながら言う

「泣いてる……赤ちゃんが泣いてくれてる!」

「はい!元気な赤ちゃんですよ!もう少しです!」

「姫様!次は両手を胸に宛てて、ハッハッハッと呼吸してください!もし陣痛がきたら。ゆっくり、ゆっくりと鼻から吸って口からゆっくり吐いて余計な力を抜いてください!」

リナはエリナに指示をする。この赤ちゃんの肩が無事に出ればあとはスムーズに産まれる。


リナと年配の従者も最後の力を振り絞ってエリナと赤ちゃんを助けていた。

赤ちゃんの肩が無事に出た事をリナは確認した。

「姫様!あとは、全身の力を抜いてフーフーと、ゆっくり息を吐いて!」


そして小さな命が誕生した。

「姫様……よくぞ、よく頑張りましたね……おめでとうございます!元気な女の子ですよ!」

リナは汗まみれになって服中が濡れたが、小さな命を優しく抱いて赤ちゃんをエリナの傍に寝かせた。

「う、うぅぅぅ、よかった……元気に泣いてくれてる……お母さんよ、はじめまして……あと、ほらエレノア……見なさい、これが私達、女性にしかできないことです……だからあなたもいつか愛する人ができたら頑張るのよ」

「……はい、母様!すごくご立派です!母様ぁぁぁ!おめでとうございます!」

「……ふふふ、ほらエレノアも抱きなさいよ、あなたの妹よ」

エレノアは優しく小さな命を抱く

「……温かいですわ、それに可愛い…愛おしいですわ」

「そうだな、良かった……本当に……」

エレノアが小さな妹を抱く姿にエリナとソフィアは号泣する。

そしてリナは報告した。

「姫様……おめでとうございます、元気な女の子です!子育てマスターで赤ちゃんを調べたら、どこも異常ありません、あと姫様にも異常はありません……」

「じゃ……」

「もしかして……」

エレノアとソフィアはリナを見つめて言う

「皆さん……お疲れ様でした、あとご出産おめでとうございます、ですよ」

リナは汗まみれで濡れた服を着たまま、満面の笑みで答えた

すると部屋中の従者達が歓喜し涙を流し喜ぶ。

さらに窓からは姫騎士レッドローズの女性達が笑顔で歓喜した。


こうしてリナとソフィアとエレノアの3人は無事に王妃の出産を成功させて、ベビーケアズは非戦闘パーティで初めて子育て支援専門パーティから英雄パーティとなった。

後日、ベビーケアズは王から謁見を受けた。

「貴殿らベビーケアズに、本当に感謝をする……本当にありがとう……エレノア、本当に良き友人と出会えたな」

「……はい、わたしの大切な存在です」

「では、此度の我が妻の出産を無事に成功させた功績を称えてベビーケアズを我が国の女性初である、英雄パーティとして認定し宣言する!」

その後、ベビーケアズは街中の様々な育児クエストの依頼を受けて、変わらない日々を送っていた。


「ギルドマスター、彼女達がまさかAランクパーティから英雄パーティになるなんて…私は驚きです」

「……俺もだよ、だけど最近になってベビーケアズの活躍があって女性の立場が良くなってきた」

「はい……これもリナさんのおかげです」

最弱で役に立たないとバカにされたリナは、エレノアとソフィアのおかげで子育てマスターというスキルが、実は人の役に立つスキルだったと証明した。


そして、これからもベビーケアズの育児支援専門パーティとしての活躍は続いて物語は続いてゆく

~完~


あとがき

最後まで、読んでくださってありがとうございました。 

この作品は、妊娠や出産、育児などでの、悩みや不安な気持ちや命の尊さを、ファンタジー世界に取り入れてみました。

あまり知られていない妊娠から出産という大変さ、育児という大変さを、ファンタジー世界のスキルやギルドという設定を通じて、少しだけでも伝わって、「命の尊さ」を感じてもらえたら幸いです。

私の書いた文章だと、誤字や脱字、そして文章の組み立てが分かりにくい部分も、あったと思います。

それでも、やんわりと雰囲気だけでも伝わってくれるだけで十分です。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

追放令嬢と【神の農地】スキル持ちの俺、辺境の痩せ地を世界一の穀倉地帯に変えたら、いつの間にか建国してました。

黒崎隼人
ファンタジー
日本の農学研究者だった俺は、過労死の末、剣と魔法の異世界へ転生した。貧しい農家の三男アキトとして目覚めた俺には、前世の知識と、触れた土地を瞬時に世界一肥沃にするチートスキル【神の農地】が与えられていた! 「この力があれば、家族を、この村を救える!」 俺が奇跡の作物を育て始めた矢先、村に一人の少女がやってくる。彼女は王太子に婚約破棄され、「悪役令嬢」の汚名を着せられて追放された公爵令嬢セレスティーナ。全てを失い、絶望の淵に立つ彼女だったが、その瞳にはまだ気高い光が宿っていた。 「俺が、この土地を生まれ変わらせてみせます。あなたと共に」 孤独な元・悪役令嬢と、最強スキルを持つ転生農民。 二人の出会いが、辺境の痩せた土地を黄金の穀倉地帯へと変え、やがて一つの国を産み落とす奇跡の物語。 優しくて壮大な、逆転建国ファンタジー、ここに開幕!

【短編】子猫をもふもふしませんか?〜転生したら、子猫でした。私が国を救う!

碧井 汐桜香
ファンタジー
子猫の私は、おかあさんと兄弟たちと“かいぬし”に怯えながら、過ごしている。ところが、「柄が悪い」という理由で捨てられ、絶体絶命の大ピンチ。そんなときに、陛下と呼ばれる人間たちに助けられた。連れていかれた先は、王城だった!? 「伝わって! よく見てこれ! 後ろから攻められたら終わるでしょ!?」前世の知識を使って、私は国を救う。 そんなとき、“かいぬし”が猫グッズを売りにきた。絶対に許さないにゃ! 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。 国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。 でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。 これってもしかして【動物スキル?】 笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【読切短編】転生したら辺境伯家の三男でした ~のんびり暮らしたいのに、なぜか領地が発展していく~

Lihito
ファンタジー
過労死したシステムエンジニアは、異世界の辺境伯家に転生した。 三男。継承権は遠い。期待もされない。 ——最高じゃないか。 「今度こそ、のんびり生きよう」 兄たちの継承争いに巻き込まれないよう、誰も欲しがらない荒れ地を引き受けた。 静かに暮らすつもりだった。 だが、彼には「構造把握」という能力があった。 物事の問題点が、図解のように見える力。 井戸が枯れた。見て見ぬふりができなかった。 作物が育たない。見て見ぬふりができなかった。 気づけば——領地が勝手に発展していた。 「俺ののんびりライフ、どこ行った……」 これは、静かに暮らしたかった男が、なぜか成り上がっていく物語。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

処理中です...