記憶のない彼女と運命の恋

冬花美優

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第1章 帝国編

11話 譲れない意地のぶつかり合い

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澄んだ空の下の花咲く庭園にある模擬戦ができるような円形の広場にはケインとルシアが互いに対峙していた。それをエリスはミヤノやマリンナと一緒に遠くから見届けている。

ケインとルシアは木刀を持って構えた。

「ほう、それが帝国流派の構え方か。隙がないな素晴らしい」

「ルシア殿こそ、珍しいですね。あなたのは古のドラゴン族が使う構えですね」

「俺の師匠がドラゴン族でね。しかし古のドラゴン族を知ってるとは博識だな」

「色々な世界を知るのが皇帝としての嗜みですから」

するとケインは飛び出した

「ルシア殿、参りますよ!」

「……来い!」

2人の木刀が重なり合うと2人から衝撃波が起きた

ミヤノはすかさず身を引く体勢にしてエリスやマリンナを守った

「おふたりとも身を伏せて私の後ろから離れないでください!」


ケインは木刀で交えながら言った

「なかなか、つよいですね……くっ、さすが東国の皇帝……いや、漆黒の翼と呼ばれる異名は伊達じゃないですね!」

ルシアも答えた

「……ふっ、あなたもこれだけの剣術と体術を兼ね備えてるなら世界統一も夢ではないぞ」

するとケインは即答した

「おあいにくさま、私は世界統一には興味無い!」

「ならば、何故そこまでして強くなろうとしてる?」

ケインはルシアの木刀を払い除けて答えた

「……くっ、決まってるじゃないか!私が愛してる人を守るため!ただそれだけだ!」

「いい顔つきといい立ち振る舞いだ、ケインよ!」

ケインの真っ直ぐで素直な気持ちがルシアの心にも響いたのかルシアも徐々にケインを認め始めていた

模擬戦をして時間が過ぎた頃、ルシアはケインにアドバイスをするようになっていて、それに応えるようにケインはルシアに向かっていく

「隙が見えてるぞ!」

「っく!まだだ!」

次の瞬間にルシアの木刀がケインの懐に一撃が入ってケインは体勢を崩して地に足をつけた。

「俺の一撃を受けても足をついて立ってるとは……この男…」

ケインは口から赤い液体を吐き捨てて言った

「私にも意地がある…過去の過ちを変えることはできないし、取り返しがつかないのかもしれない……だけど」

ルシアは黙ってケインの言葉を聞いていた



「ずっと裏切らずに味方でいてくれた……そんな事をしてくれた私が愛してる人に、自分が変わって前に進められる姿を見せないようじゃ……男じゃないだろー!」


再びケインは満身創痍の身体でも飛び出してルシアに立ち向かっていく

「こんな熱い戦いは久しぶりだ、先の大戦でもこんな気持ちにはならなかった。ケイン、お前は私の良きライバル……いや盟友になれる器だ!こい!」


そして、立ちはだかるルシアの前でケインはなんとか木刀を支えに身を起こすのに精一杯だった。

「……っ、ま、だ、だ!まだ……まだ。」

ルシアはケインに言った。

「ケインよ、これ以上やると互いに生死に関わる。もはや模擬戦でなくなってしまう。」

「まだ死なない!私はまだ、立てる!」


そしてケインの身体が倒れる瞬間にエリスが飛び出してケインに抱きついた。

「ケイン様……もう、充分です。あなたは、もう昔のケイン様じゃない…新しく生まれ変わったように見違えた立派な皇帝です。だから自分の命を大切にしてください……」

「エリス……、私は……エリスが……」

ケインの目に涙が溢れていた。

そしてエリスも涙を浮かべていた。


こうして、2人の模擬戦はルシアの勝利で幕を閉じた。
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