城好きのアンナ〜すべての城を制覇します〜

chui

文字の大きさ
14 / 28

第14話 夜の訪問者

しおりを挟む
 人の気配を感じて目が覚めた。
 「まだ朝じゃないでしょう…!?」
 自分で言うのも何だけど、寝起きははすこぶる機嫌が悪い。せっかく眠っていたのに、誰だ起こすのは。
 「アンナ様。申し訳ないのですが、騎士たちがやってまいりました」
 「アンナって誰?」
 自分で言うのも何だけど、寝起きはすこぶる頭の回転が遅い。
 言った後で、私のことだよねと、言って誤魔化した。ウォルフは、さぞかし不思議な顔をしていた事だろう。
 私は寝室を出ると、教会のベンチのある部屋、広間に行った。そこには三人の騎士が待っていた。
 「先程話していたのが、その子であるな」
 ウォルフは左様にございますと、頭を下げる。
 私はノノさんがやっていたことを思いだし、膝つき頭を下げて自己紹介をした。
 「利発な子であるな」
 「お褒めの言葉、恐れ多いことです」
 一連の言葉で、ダスティン達を偽物と暴いた経緯を聞いたんだなと理解した。
 それにしても、変な話し方。
私は、笑いをこらえた。こらえた瞬間に笑いのツボに入ってしまい、こらえきれず体が小刻みに揺れる。
 「震えずともよい。怖がらせてすまぬな」
 いや、そうじゃないんだけど。
 心の中でツッコミを入れた。でも、このオモシロ騎士さんは優しい。
 「おっ、そうであった。アンナ殿?」
 不意に名を呼ばれたので顔を上げると、目の前にいるオモシロ騎士さんが抜刀しつつ斬り掛かってきた。横一文字に私の右のこめかみを狙っている。
 私はとっさに右手で防御した。【防壁】を展開しているので手で防ぐ必要はないのだけれど、これは反射なので仕方がない。
 剣が【防壁】と接触して音叉の様な音が響く。
 「あなたも偽物の騎士なの?」
 私は【球雷】を五つ出して放電させた。それを見て他の騎士二人も剣を抜く。
 元の世界も含めて二十数年生きてきて、こんなに人と戦った一日はない。言っとくけど寝起きの私は機嫌が悪いからね。これは心の呟きだから、正確には言ってないけどっ!
 「お許しあれ、アンナ殿!」
 オモシロ騎士さんが大声で謝り、すすすっと後ろ歩きに下がって片膝をついた。他の騎士もそれに倣う。
 「ウォルフ!?」
 私は、今の状況の説明をウォルフに求めた。
 「どうやら私の話した内容を、信じてもらえなかったようですね。それとアンナちゃん、『神父さん』ですよ」
 「あっ!」
 いつか人前で呼び捨てにするとは思ったていたけど、予想よりも速かった。オモシロ騎士さんと他二名が、不思議そうに私を見ている。
 ウォルフが、能力があるせいで生意気なのですと、私の失言をフォローしている。
 でもそれ、私へのヘイト発言になってるよ。
 「さて、お話を伺えますか?騎士様」
 私は静かに問いかける。
 オモシロ騎士さんは、より身を低くして答えた。
 「アンナ殿の実力を、我が身をもって測りたかったのである」
 騎士はウォルフに向き直り続けた。
 「信じなかったのではなく、信じたからこそである」
 どちらにしても、騎士のような身分の高い者は、私達のような身分の低い者に対して、何をしてもいいのだと言う傲慢さがよく分かる。
 「騎士様。謝って頂かなくてもよろしいのです。騎士様のなさる事に、私のような下賤の者がどうこう言う権利はございません」
 私はオモシロ騎士さんよりも、低く頭を抱える下げた。
 「困るのである。顔を上げてほしいのである」
 オモシロ騎士さんの、うろたえ方に私の怒りが煽られた。
 「うるさいです。許してほしければ、まず名乗りなさいよっ!」
 私の咆哮に私以外の四人が、思考停止になったようだ。呆けたような顔になっている。
 「私の名は、アロンソ・キハーノである。名乗り遅れて、申し訳ない」
 「アロンソ・キハーノ!」
 私は仁王立ちになり、騎士を呼びつけた。
 「言っておくね。ここは教会。神の御前です。騎士であろうと、やんごとなき方であろうと、いきなり他人に斬り掛かってはならぬ場所。覚えておくように!」
 また、四人が呆けているようだ。
 「返事!」
 「仰せのこと、理解したのである」
 もう、本当に迷惑。人の安眠を邪魔するからこんな事になるんだ。
 「ウォルフ、私はもう少し休みたいのだけれど」
 「私は構わないのですが、騎士様が…」
 まだ、なにかあるの?
 私はキハーノを見た。正確に言えば、睨んた。
 「村人を守った今回のなりゆきであるが、ぜひ領主の前でもお話願いたい」
 え、面倒くさい。
 「そんなに嫌な顔をせずとも、良いではないか?お頼み申す。この通りである」
 ウォルフを見ると、私に任せる、といった仕草をしている。
 宮使いは大変だとの言葉もあるし、私はここでのんびりと…あっ!
 「ねえ、キハーノ様。領主様は城に住んでいるのかしら?」
 「もちろんであるな」
 私はニヤけるのを、我慢した。
 「では、条件があるのですが、構いませんか?」
 「お聞かせ願いたいな」
 「私の他に功績があるものが一名おります。この者と功績を分かち合うこと。それと、私達は領主の前でのマナーを知りません。無作法があった際の身の安全を保証して欲しいのだけれど」
 「それなら問題ないであるな。客人としてお招きいたそう」
 マジか!ついに城が見られる!
この世界に来てから一日。森の城なんて妄想ではない、本物のお城を見に行ける。自分でも興奮しているのがわかる。小学生の頃の遠足前夜のようだ。バナナはおやつに入るの?いやいや私はリンゴ派よ。だって潰れないしね。
 自分を落ち着かせるために、深呼吸を念入りに行った。
 「いつ、出発します?」
 「明日、部下に案内させるであるな」
 うはーっ。ウキウキランランであるな。
 ことの成り行きを、ノノさんにも話しておくようにウォルフに命じて、私は寝室に戻った。
 ベッドに横になり、暗くて良く見えない天井を見つめた。
 早く明日にならないかな~♪
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

異世界でまったり村づくり ~追放された錬金術師、薬草と動物たちに囲まれて再出発します。いつの間にか辺境の村が聖地になっていた件~

たまごころ
ファンタジー
王都で役立たずと追放された中年の錬金術師リオネル。 たどり着いたのは、魔物に怯える小さな辺境の村だった。 薬草で傷を癒し、料理で笑顔を生み、動物たちと畑を耕す日々。 仲間と絆を育むうちに、村は次第に「奇跡の地」と呼ばれていく――。 剣も魔法も最強じゃない。けれど、誰かを癒す力が世界を変えていく。 ゆるやかな時間の中で少しずつ花開く、スロー成長の異世界物語。

処理中です...