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第14話 夜の訪問者
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人の気配を感じて目が覚めた。
「まだ朝じゃないでしょう…!?」
自分で言うのも何だけど、寝起きははすこぶる機嫌が悪い。せっかく眠っていたのに、誰だ起こすのは。
「アンナ様。申し訳ないのですが、騎士たちがやってまいりました」
「アンナって誰?」
自分で言うのも何だけど、寝起きはすこぶる頭の回転が遅い。
言った後で、私のことだよねと、言って誤魔化した。ウォルフは、さぞかし不思議な顔をしていた事だろう。
私は寝室を出ると、教会のベンチのある部屋、広間に行った。そこには三人の騎士が待っていた。
「先程話していたのが、その子であるな」
ウォルフは左様にございますと、頭を下げる。
私はノノさんがやっていたことを思いだし、膝つき頭を下げて自己紹介をした。
「利発な子であるな」
「お褒めの言葉、恐れ多いことです」
一連の言葉で、ダスティン達を偽物と暴いた経緯を聞いたんだなと理解した。
それにしても、変な話し方。
私は、笑いをこらえた。こらえた瞬間に笑いのツボに入ってしまい、こらえきれず体が小刻みに揺れる。
「震えずともよい。怖がらせてすまぬな」
いや、そうじゃないんだけど。
心の中でツッコミを入れた。でも、このオモシロ騎士さんは優しい。
「おっ、そうであった。アンナ殿?」
不意に名を呼ばれたので顔を上げると、目の前にいるオモシロ騎士さんが抜刀しつつ斬り掛かってきた。横一文字に私の右のこめかみを狙っている。
私はとっさに右手で防御した。【防壁】を展開しているので手で防ぐ必要はないのだけれど、これは反射なので仕方がない。
剣が【防壁】と接触して音叉の様な音が響く。
「あなたも偽物の騎士なの?」
私は【球雷】を五つ出して放電させた。それを見て他の騎士二人も剣を抜く。
元の世界も含めて二十数年生きてきて、こんなに人と戦った一日はない。言っとくけど寝起きの私は機嫌が悪いからね。これは心の呟きだから、正確には言ってないけどっ!
「お許しあれ、アンナ殿!」
オモシロ騎士さんが大声で謝り、すすすっと後ろ歩きに下がって片膝をついた。他の騎士もそれに倣う。
「ウォルフ!?」
私は、今の状況の説明をウォルフに求めた。
「どうやら私の話した内容を、信じてもらえなかったようですね。それとアンナちゃん、『神父さん』ですよ」
「あっ!」
いつか人前で呼び捨てにするとは思ったていたけど、予想よりも速かった。オモシロ騎士さんと他二名が、不思議そうに私を見ている。
ウォルフが、能力があるせいで生意気なのですと、私の失言をフォローしている。
でもそれ、私へのヘイト発言になってるよ。
「さて、お話を伺えますか?騎士様」
私は静かに問いかける。
オモシロ騎士さんは、より身を低くして答えた。
「アンナ殿の実力を、我が身をもって測りたかったのである」
騎士はウォルフに向き直り続けた。
「信じなかったのではなく、信じたからこそである」
どちらにしても、騎士のような身分の高い者は、私達のような身分の低い者に対して、何をしてもいいのだと言う傲慢さがよく分かる。
「騎士様。謝って頂かなくてもよろしいのです。騎士様のなさる事に、私のような下賤の者がどうこう言う権利はございません」
私はオモシロ騎士さんよりも、低く頭を抱える下げた。
「困るのである。顔を上げてほしいのである」
オモシロ騎士さんの、うろたえ方に私の怒りが煽られた。
「うるさいです。許してほしければ、まず名乗りなさいよっ!」
私の咆哮に私以外の四人が、思考停止になったようだ。呆けたような顔になっている。
「私の名は、アロンソ・キハーノである。名乗り遅れて、申し訳ない」
「アロンソ・キハーノ!」
私は仁王立ちになり、騎士を呼びつけた。
「言っておくね。ここは教会。神の御前です。騎士であろうと、やんごとなき方であろうと、いきなり他人に斬り掛かってはならぬ場所。覚えておくように!」
また、四人が呆けているようだ。
「返事!」
「仰せのこと、理解したのである」
もう、本当に迷惑。人の安眠を邪魔するからこんな事になるんだ。
「ウォルフ、私はもう少し休みたいのだけれど」
「私は構わないのですが、騎士様が…」
まだ、なにかあるの?
私はキハーノを見た。正確に言えば、睨んた。
「村人を守った今回のなりゆきであるが、ぜひ領主の前でもお話願いたい」
え、面倒くさい。
「そんなに嫌な顔をせずとも、良いではないか?お頼み申す。この通りである」
ウォルフを見ると、私に任せる、といった仕草をしている。
宮使いは大変だとの言葉もあるし、私はここでのんびりと…あっ!
「ねえ、キハーノ様。領主様は城に住んでいるのかしら?」
「もちろんであるな」
私はニヤけるのを、我慢した。
「では、条件があるのですが、構いませんか?」
「お聞かせ願いたいな」
「私の他に功績があるものが一名おります。この者と功績を分かち合うこと。それと、私達は領主の前でのマナーを知りません。無作法があった際の身の安全を保証して欲しいのだけれど」
「それなら問題ないであるな。客人としてお招きいたそう」
マジか!ついに城が見られる!
この世界に来てから一日。森の城なんて妄想ではない、本物のお城を見に行ける。自分でも興奮しているのがわかる。小学生の頃の遠足前夜のようだ。バナナはおやつに入るの?いやいや私はリンゴ派よ。だって潰れないしね。
自分を落ち着かせるために、深呼吸を念入りに行った。
「いつ、出発します?」
「明日、部下に案内させるであるな」
うはーっ。ウキウキランランであるな。
ことの成り行きを、ノノさんにも話しておくようにウォルフに命じて、私は寝室に戻った。
ベッドに横になり、暗くて良く見えない天井を見つめた。
早く明日にならないかな~♪
「まだ朝じゃないでしょう…!?」
自分で言うのも何だけど、寝起きははすこぶる機嫌が悪い。せっかく眠っていたのに、誰だ起こすのは。
「アンナ様。申し訳ないのですが、騎士たちがやってまいりました」
「アンナって誰?」
自分で言うのも何だけど、寝起きはすこぶる頭の回転が遅い。
言った後で、私のことだよねと、言って誤魔化した。ウォルフは、さぞかし不思議な顔をしていた事だろう。
私は寝室を出ると、教会のベンチのある部屋、広間に行った。そこには三人の騎士が待っていた。
「先程話していたのが、その子であるな」
ウォルフは左様にございますと、頭を下げる。
私はノノさんがやっていたことを思いだし、膝つき頭を下げて自己紹介をした。
「利発な子であるな」
「お褒めの言葉、恐れ多いことです」
一連の言葉で、ダスティン達を偽物と暴いた経緯を聞いたんだなと理解した。
それにしても、変な話し方。
私は、笑いをこらえた。こらえた瞬間に笑いのツボに入ってしまい、こらえきれず体が小刻みに揺れる。
「震えずともよい。怖がらせてすまぬな」
いや、そうじゃないんだけど。
心の中でツッコミを入れた。でも、このオモシロ騎士さんは優しい。
「おっ、そうであった。アンナ殿?」
不意に名を呼ばれたので顔を上げると、目の前にいるオモシロ騎士さんが抜刀しつつ斬り掛かってきた。横一文字に私の右のこめかみを狙っている。
私はとっさに右手で防御した。【防壁】を展開しているので手で防ぐ必要はないのだけれど、これは反射なので仕方がない。
剣が【防壁】と接触して音叉の様な音が響く。
「あなたも偽物の騎士なの?」
私は【球雷】を五つ出して放電させた。それを見て他の騎士二人も剣を抜く。
元の世界も含めて二十数年生きてきて、こんなに人と戦った一日はない。言っとくけど寝起きの私は機嫌が悪いからね。これは心の呟きだから、正確には言ってないけどっ!
「お許しあれ、アンナ殿!」
オモシロ騎士さんが大声で謝り、すすすっと後ろ歩きに下がって片膝をついた。他の騎士もそれに倣う。
「ウォルフ!?」
私は、今の状況の説明をウォルフに求めた。
「どうやら私の話した内容を、信じてもらえなかったようですね。それとアンナちゃん、『神父さん』ですよ」
「あっ!」
いつか人前で呼び捨てにするとは思ったていたけど、予想よりも速かった。オモシロ騎士さんと他二名が、不思議そうに私を見ている。
ウォルフが、能力があるせいで生意気なのですと、私の失言をフォローしている。
でもそれ、私へのヘイト発言になってるよ。
「さて、お話を伺えますか?騎士様」
私は静かに問いかける。
オモシロ騎士さんは、より身を低くして答えた。
「アンナ殿の実力を、我が身をもって測りたかったのである」
騎士はウォルフに向き直り続けた。
「信じなかったのではなく、信じたからこそである」
どちらにしても、騎士のような身分の高い者は、私達のような身分の低い者に対して、何をしてもいいのだと言う傲慢さがよく分かる。
「騎士様。謝って頂かなくてもよろしいのです。騎士様のなさる事に、私のような下賤の者がどうこう言う権利はございません」
私はオモシロ騎士さんよりも、低く頭を抱える下げた。
「困るのである。顔を上げてほしいのである」
オモシロ騎士さんの、うろたえ方に私の怒りが煽られた。
「うるさいです。許してほしければ、まず名乗りなさいよっ!」
私の咆哮に私以外の四人が、思考停止になったようだ。呆けたような顔になっている。
「私の名は、アロンソ・キハーノである。名乗り遅れて、申し訳ない」
「アロンソ・キハーノ!」
私は仁王立ちになり、騎士を呼びつけた。
「言っておくね。ここは教会。神の御前です。騎士であろうと、やんごとなき方であろうと、いきなり他人に斬り掛かってはならぬ場所。覚えておくように!」
また、四人が呆けているようだ。
「返事!」
「仰せのこと、理解したのである」
もう、本当に迷惑。人の安眠を邪魔するからこんな事になるんだ。
「ウォルフ、私はもう少し休みたいのだけれど」
「私は構わないのですが、騎士様が…」
まだ、なにかあるの?
私はキハーノを見た。正確に言えば、睨んた。
「村人を守った今回のなりゆきであるが、ぜひ領主の前でもお話願いたい」
え、面倒くさい。
「そんなに嫌な顔をせずとも、良いではないか?お頼み申す。この通りである」
ウォルフを見ると、私に任せる、といった仕草をしている。
宮使いは大変だとの言葉もあるし、私はここでのんびりと…あっ!
「ねえ、キハーノ様。領主様は城に住んでいるのかしら?」
「もちろんであるな」
私はニヤけるのを、我慢した。
「では、条件があるのですが、構いませんか?」
「お聞かせ願いたいな」
「私の他に功績があるものが一名おります。この者と功績を分かち合うこと。それと、私達は領主の前でのマナーを知りません。無作法があった際の身の安全を保証して欲しいのだけれど」
「それなら問題ないであるな。客人としてお招きいたそう」
マジか!ついに城が見られる!
この世界に来てから一日。森の城なんて妄想ではない、本物のお城を見に行ける。自分でも興奮しているのがわかる。小学生の頃の遠足前夜のようだ。バナナはおやつに入るの?いやいや私はリンゴ派よ。だって潰れないしね。
自分を落ち着かせるために、深呼吸を念入りに行った。
「いつ、出発します?」
「明日、部下に案内させるであるな」
うはーっ。ウキウキランランであるな。
ことの成り行きを、ノノさんにも話しておくようにウォルフに命じて、私は寝室に戻った。
ベッドに横になり、暗くて良く見えない天井を見つめた。
早く明日にならないかな~♪
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