城好きのアンナ〜すべての城を制覇します〜

chui

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第16話 ポルテ

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 「はじめまして。わたしはノノ。よろしくね」
 アンナがウォルフと話している時、ノノは馬と話していた。
 「顔をなでていい?…ありがとう。私とアンナちゃんがお世話になります」
 よほどノノさんの事が気に入ったのだろう。馬の方から顔や鼻を擦り付けてくる。出会って間もないにも関わらす、馬がこの様な行動を取るのは珍しい。
 ノノは、アンナの大好きな笑顔で返した。
 「気に入ってくれて、ありがとう。名前を考えなきゃね」
 そう言うと馬の顔をじっと見る。馬の方も逸らそうとはしなかった。
 「ポルテ」
 ふと出たこの言葉に馬が反応を示す。
 舌をペロペロと出しだした。
 「あなたの名前はポルテにしましょう」
 ポルテは尻尾を立てて、自分の左側をノノさんに向けた。
 「じゃ、乗るわよ」
 ノノは左足をアブミに乗せると、スポーツタイプの自転車に乗る要領で、右足を後ろに振り上げてポルテにまたがった。
 「よ~しよし」
 乗る際に動かなかった事を褒めてから、足と手綱を使い歩き出しの合図をだした。
 ポルテは軽快な反応を見せ、これなら二人乗りでも大丈夫だとノノさんは確信したみたい。
 「じゃ、アンナちゃん。乗ってみようか」
 「うん」
 私はとびきりの笑顔を見せたけど、ノノさんから自己紹介をするように言われ、ポルテとにらめっこをする羽目になった。
 だって自己紹介をしても、特に反応を見せてくれないし、これからどうすればいいの?
 とりあえず、握手かな?
 手を差し出した。
 馬はしばらく私の手を見ていたが、ひょいと、その手を噛んだ。
 「痛っ」
 馬自身は甘噛のつもりだろうが、思いのほか噛む力が強い。【防壁】を展開していればよかったと後悔した。
 「アンナちゃん、怖がり過ぎだよ?ポルテ噛まないであげて」
 そんなことを言われても、これ以上無いくらい大きく見える馬に対して、怖がるなというのが無理な話だよ。ポルテと呼ばれた馬も、噛んだ事を詫びる様子もない。
 現代にいるとき、馬は頭が良いと聞いたことがあったけど、とてもそう思えない。だって、私を怒らせると雷が降るんだよ?私に優しくした方がいいんじゃない?
 「とにかく、乗ってみようか」
 ノノさんは、私とポルテの関係性を見限った。私は仲良くしたいのに、こいつが意地悪するんだからね。
 私は馬の左側面に移動した。
 ノノさんの座っている鞍の後ろに、子供用の物が取りつけられているので、座席に問題はない。しかし背が高くて、私の手足では短くて乗れない。
 見かねたノノさんが手を伸ばしてくれたので、それを掴みノノさんの足を踏むような形で登った。
 毎回こんな大変な思いをしながら馬に乗るの?しかも、ノノさんの足を踏まないといけないなんて…。
 ノノさんは、私の憂鬱な雰囲気を察したようで、明るい声をかけてくれる。
 「大丈夫。次からは、おんぶをして乗るから」
 えー、それじゃ子供みたいじゃない。
 「なに恥ずかしがってるの?」
 ホントにこの人はお見通しなんだね。
 「じゃ、アンナちゃんは歩きでいいかな?」
 「ひどい!」
 ノノさんの笑い声が聞こえる。でもこの状態だと、表情がまったく見えないので、なんだか寂しい。
 「歩かせるから、私に掴まって」
 どこに掴まればいいのか考えていると、私の体にしがみついてと言われた。
 抱きしめるの?ノノさんを?照れちゃう。
 そう思ったときには、ポルテが歩き出した。
 私は慌ててノノさんお腹の辺りを抱きしめた。
 「ポルテ、ありがとうね」
 ノノさんが、馬を人と同じ様に扱っている、いや、接しているんだということに、今更ながら気付いた。
 これが、ペットは家族ということなのか。現代で生き物に接してきていない私には、新鮮というより衝撃だった。
 しばらく歩いたり走ったりなどの動作を確認したあと、休憩を取った。
 ノノさんはポルテを連れて、教会の脇にある井戸に移動し、石でできた臼みたいな物に水を注いだ。
 その水をポルテが飲んでいる。
 この変なテーブルは、このためにあったんだ。
 「私にもやらせて」
 ノノさんと水汲みを変わってもらった。
 「ポルテ、付き合ってくれて、ありがとね」
 私の中で馬に対する気持ちが若干変わったように思う。
 ポルテはノノさんの大切な友達。
 その友達に、おんぶしてもらっていると思うと、労ってやらねばと自然に思えた。
 「これからもよろしくね」
 私の声に応えたのか、はーい、と言うようにポルテは息を震わせた
 「ねえ~、そろそろ~出発しようか~」
 出発する気になったロビンが、遠くから声をかけてきた。
 「出発していい?」
 ノノさんがポルテに声を掛けると、いいよ、というようにノノさんの体に顔をこすりつけた。
 「また、お願いね」
 私が声を掛けると、ついて来いよ、と言うように踵を返す。
 おっ!いま、私とあなた、つながったよね?ね?
 ポルテは、うるさいと言いたげに尻尾で応えた。
 「アンナ樣、これをお持ち下さい」
 そう言ってウォルフは、小さいリュックのような物を私に持たせた。
 「バンと、干し肉と、ゆで玉子が入ってます。ノノ様と召し上がって下さい」
 「ありがとう。これね、私の大好物なの」
 ウォルフが笑顔になる。
 私は、この笑顔も好きになってきた。
 「では、ノノ樣。アンナ様をよろしくお願いします」
 「神父様に『様』と呼ばれるのは、慣れませんね」
 ノノさんは苦笑いをしている。
 「それに、頼まれなくても…ですよ」
 ウォルフは目で頷いた。
 「お土産を楽しみにしていてね」
 私はそう言うとノノさんに、おんぶしてもらう。ノノさんは、そのまま乗馬した。
 「大丈夫?」
 「ノノさんは?」
 にこやかな笑顔が返ってきた。
 ポルテに揺られ私達2人は、はしゃぎ、笑いあった。ポルテが軽くいななく。
 うるさくしてごめんね。
 私は後の鞍に座ると、アブミに足を通した。
 「行ってきます」
 私の声に合わせるように、ポルテは歩き出した。
 「道中気を付けて」
 ウォルフが手を振っている。
 私はできるだけ手を振って応えた。
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