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第18話 領主との語らい
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私達は城の広間に通された。
現代に例えると、中世以前の技術力くらいしかないので、当然LEDライトなどない。
窓はガラスなどではなく、木の扉がつけられていて、その扉を開けて夕暮れ近くになった日の光を室内に入れている。
それでも部屋の広さに比べて窓の数が少ないので室内は薄暗かった。だからといって見間違えるなんてことはない。領主の椅子に座っているのは、男の子だった。
予想外の状況に、私達はどうすればいいのかわからず立ち止まっていたけれど、ロビンが丁寧な動作で、領主の前まで導いてくれた。前と言っても10m近く離れているけど。
ロビンはひざまずき、口上を述べる。
「領主様、キハーノ殿から仰せ付かり、これなる二人を案内致しました。こちらに控えている者をノノ。あちらがアンナにございます」
ロビンの口調は先程よりも静かで、指先一つ動かさない緊張感漂うものだった。
先程は彼の取り繕った所作に笑いそうになったけれど、今回はそうならなかった。あまりにも室内の空気が重い。
なにせ、領主様だもんね…子供だけど。
「わざわざ来ていただいて、感謝します。ノノさん、アンナさん」
声は子供なのに、なんて大人びた喋りなの。
現代の子役タレントに似ている。大人よりしっかりしてて、こちらの考えが見透かされているような、そんな不気味さがある。
「おそれ多いお言葉、身に余る栄誉です。私達のような者を迎えて下さり、感謝をあらわす言葉が見つかりません」
これは、ノノさんが応えた言葉。ここまでの道すがらロビンに教わったものだ。
「丁寧な返事をありがとう。色々と話を伺いたいのだけれど、構わないだろうか?」
領主の頼みを農民が断るはずもない。私達が快諾すると領主はロビン以外の家来を退室させた。
「お前らも下がりなさい」
退室の命令後でも、当然のように残っていた教育係のような細身の紳士と、やや太り気味の神官に、改めて退室を命じる。
教育係は見た目通りの神経質な声で反論したが、人相が悪すぎて客人を向かえるのに不向きだと言われ、しぶしぶ従った。神父の方は、では、と一言だけ発して、教育係共々出ていった。
「名乗りが遅くなって申し訳ない。私はアイユーク・リーベリ・エイデン。楽にして欲しい」
そんな事を言われても、領主の前で楽になんてできないよ。
それを見たロビンが声を掛けてきた。
「本当に気楽にしていただいて大丈夫です」
私とノノさんは顔を見合わせた。ロビン、あなたが言うと嘘くさくなるんだよ。
「ロビン。こういう時にはお前が率先して手本を見せなきゃ」
「ごめん。改めて言われると、何だか意識しちゃって」
領主に言われてロビンは立ち上がり、背伸びを始めた。
「アーダルベルトが居ると肩がこるね」
「アーダルベルトというのは、表情があまりよろしくない細身の紳士様ですか?」
私はロビンのように背伸びをしながら聞いた。
「アンナさんは順応が早くて良いですね」
領主は嬉しそうにしている。
ノノさんは、珍しく判断に迷っているようだった。でもこれは、しかたがない。貴族に不敬な態度を取ってはならない、という教育をされてきたのだろうし、ましてや領主の前だ。どちらかといえば、私の行動の方がおかしい。
「ノノさんには、かえって緊張させてしまい申し訳ない」
「領主様、直に声掛けする無礼をお許し下さい」
ノノさんは、あくまで態度を緩ませない。領主の許しを得てから発言を続けた。
「先程お話をされていた、お伺いしたいこととは、どの様なものでしょうか」
領主は私の方を見た。
やっぱり私の力の事か。
「先程、あなた方の村からダスティンと名乗る騎士達ちが運ばれてきた。この者共の発言のなかに、アンナさんが魔法を使ったとの話があったのだが、間違いはございませんか」
ダスティンがこの事を話す時に、どういう心境だったのか想像すると、少しかわいそうになった。田舎に住む幼子が魔法を使い、自分たちを倒してしまった。そんな話を誰が信てくれるだろう。
つまり、私が本当に魔法が使えるのか見たい。と、領主は言っているんだね。
「お許しを頂けるなら、いまお見せいたします」
領主の目が輝きを増したのが分かった。
自分の顔の前に、右手の人差し指を持ってきて、もったいつけるように1、2秒の間をとる。
「いきます」
そう言うと、指先から5センチ程の【雷】を出した。もちろん最弱の出力で。
領主とロビンから驚の声が上がる。
「凄い、他にも見たい」
領主からおねだりが聞こえた。
このニュアンス、昨夜聞いたような…テオの「あれ凄かったな!」「もう一回見たい!」「俺にも教えてくれ!」の再来になるのではないだろうか?
領主がそうなっては面倒なので、回復と防御の魔法については、口頭で済ませようとしたんだけど…そうはいかないよね。
どうらや、この思いは領主に届いてしまったようだった。
「【防壁】だけでもお願いできないだろうか」
思ったことがそのまま態度に出てしまうのは、今後のためにも改めた方がいいなと思いながら、領主の変化に少し楽しみを覚えた。
これまで、神秘的な雰囲気すら漂っていた領主は、ただの子供になっていたからだ。
そんなに喜んで貰えるなら、やりがいがあると言うもの。是非とも要望に応えてあげよう。
でも、【防壁】で大丈夫だとは言え、人が斬り掛かって来るのは怖いんだよね。なにかマネキンの様な物があれば助かるんだけど…あるじゃない!
私が見つけたのは、領主の斜め後ろに置かれている鎧のオブジェだ。鎧を着て突っ立てるヤツ。あれに【防壁】を展開しているところに、ロビンに撃ち込んでもらおう。
この事をお願いすると、領主は快諾してくれた。
よしよし、これなら怖くないからね。思いっきり打ち込んで貰おう。
今回は球体の【防壁】ではなく、スキンタイプの【防壁】を展開することにした。
ウォルフに聞いたところによると、球体の【防壁】は私以外に使った話を聞いたことがないらしい。あまり特異なモノは見せない方がいい。対策を取られてしまうからと言っていた。
さておき、私は鎧人形の後ろに隠れて、ガッツリと【防壁】をかけた。
「ロビン様、どうぞ」
ロビンは返事をすると、一つ息を吸い打ち込んできた。それは想像していたものより早く彼が本気なのが分かった。
剣が兜に接触する。と同時に【防壁】特有の音叉の様な音が響いた。
だけど、ダスティンやウォルフの時と比べて音叉の音が軽い気がする。【防壁】に接触したときの、圧力や面積に関係あるのかもしれない。
「これが【防壁】か」
打ち込み終えたロビンが、ぽつりと漏らす。
「兜を見せてくれ」
領主は、ロビンに兜を持ってこさせて剣が当たったと思われる部分を探した。けれど、そのような跡が見つからず、感嘆の声を上げる。
私は複雑な気持ちだった。嬉しいのには間違いないけど、自分の努力によるものじゃないからね。ドングリ食べただけだし。
領主を見ていると、彼と目が合った。慌てて視線をそらす。
「アンナさん」
やばい。こんなときに目を合わせると、ろくなことがない。テオの三段活用が炸裂するのは面倒なのでやめて欲しい。
そう思ったけど、私の想像ははずれた。
「これらの魔法は、どこで身につけたのでしょうか」
「これは、信じてもらえないと思うのですが、夢を見たのです」
これに関しては、即座に嘘をついた。
だってドングリの森は私が気付いたときには、消えていたんだもん。そんな話を信じてもらえるなんてとても思えない。だったら、まだ信じてもらえそうな夢の話にした。
「そこで、神秘的な存在から、力を授かったのです。そして、その力のことはダスティン達が襲ってくるまで、忘れていたのです」
「それは、神ですか」
「おそれ多い事ではありますが、それ以外に考えられません」
私はウォルフからもらったネックレスの飾り部分(シンボル)を握り、祈りのポーズをした。食事の時にした、あれだ。
「アンナさん、ありがとう。貴女は神に選ばれた聖人なのですね」
いやいや、転生者です。
そんな事を言うわけにはいかず、憂いげな表情で頷いた。
「もう少し落ち着く所でお話をしましょう」
そう言うと、領主の後ろ右手奥にある階段を登った先の部屋に案内された。
ここも質素だ。
窓は先程よりも小さい物になっているけれど、驚いた事にガラス窓になっている。
領主はランブを持つと指先から火を出し明かりを灯す。
この人は火の魔法が使えるのか。【雷】より便利そうで羨ましい。
領主は私とノノさんに椅子を勧めてから自身も座り、ダスティン達を偽物と見破った話や、私達の興味のあるものについて尋ねてきたので、蘇生に関すること以外については正直に話した。領主はその一つ一つに感激したり驚いたりしていたけど、ノノさんの天文の話には、少し面食らっていたみたい。
自分たちの話ばかりしていても、聞き手がつまらないだろうと思い、領主様の興味のあるものを聞いてみた。
「領地が豊かになることかな」
なんてお手本通りの言葉。子供だからこその発言なんだろうな。30年後にも同じことが言えるかは分からないけど。
けれど、この気持ちは大切だ。
私は無礼を承知で奴隷についての話をした。
「悔しいと思っています」
他の領地に比べてリーベリは貧しい土地なのだそうだ。
カスタリアには首都ヴェイスの他に、ザイスト、ムスカド、リーベリの合計4つの領地があり、リーベリ以外の領地は暖流のお陰で気候が穏やかで、麦の成長などが良い。さらに、それらの領地には交易を行う港があり、経済的にも豊かな土地となっている。
リーベリはこれらの領地に比べて北の土地で、しかも寒流のせいで気温が低く降水量も少ない。お陰でリーベリ北部などは乾燥地帯となっているそう。
穀物の収穫が少なく税を収めることが厳しため、奴隷として売られてしまう子供が、とくに成長期になり食べる量の増える子供が売られてしまう。
リーベリの特産品は奴隷。などと揶揄される事もあるそうだ。
聞いているだけでも、怒りが湧いてくる。
ノノさんが声を潜めて聞いた。
「領主様、奴隷には誘拐された人が含まれていますか?」
領主とロビンは息を呑んだ。
現代に例えると、中世以前の技術力くらいしかないので、当然LEDライトなどない。
窓はガラスなどではなく、木の扉がつけられていて、その扉を開けて夕暮れ近くになった日の光を室内に入れている。
それでも部屋の広さに比べて窓の数が少ないので室内は薄暗かった。だからといって見間違えるなんてことはない。領主の椅子に座っているのは、男の子だった。
予想外の状況に、私達はどうすればいいのかわからず立ち止まっていたけれど、ロビンが丁寧な動作で、領主の前まで導いてくれた。前と言っても10m近く離れているけど。
ロビンはひざまずき、口上を述べる。
「領主様、キハーノ殿から仰せ付かり、これなる二人を案内致しました。こちらに控えている者をノノ。あちらがアンナにございます」
ロビンの口調は先程よりも静かで、指先一つ動かさない緊張感漂うものだった。
先程は彼の取り繕った所作に笑いそうになったけれど、今回はそうならなかった。あまりにも室内の空気が重い。
なにせ、領主様だもんね…子供だけど。
「わざわざ来ていただいて、感謝します。ノノさん、アンナさん」
声は子供なのに、なんて大人びた喋りなの。
現代の子役タレントに似ている。大人よりしっかりしてて、こちらの考えが見透かされているような、そんな不気味さがある。
「おそれ多いお言葉、身に余る栄誉です。私達のような者を迎えて下さり、感謝をあらわす言葉が見つかりません」
これは、ノノさんが応えた言葉。ここまでの道すがらロビンに教わったものだ。
「丁寧な返事をありがとう。色々と話を伺いたいのだけれど、構わないだろうか?」
領主の頼みを農民が断るはずもない。私達が快諾すると領主はロビン以外の家来を退室させた。
「お前らも下がりなさい」
退室の命令後でも、当然のように残っていた教育係のような細身の紳士と、やや太り気味の神官に、改めて退室を命じる。
教育係は見た目通りの神経質な声で反論したが、人相が悪すぎて客人を向かえるのに不向きだと言われ、しぶしぶ従った。神父の方は、では、と一言だけ発して、教育係共々出ていった。
「名乗りが遅くなって申し訳ない。私はアイユーク・リーベリ・エイデン。楽にして欲しい」
そんな事を言われても、領主の前で楽になんてできないよ。
それを見たロビンが声を掛けてきた。
「本当に気楽にしていただいて大丈夫です」
私とノノさんは顔を見合わせた。ロビン、あなたが言うと嘘くさくなるんだよ。
「ロビン。こういう時にはお前が率先して手本を見せなきゃ」
「ごめん。改めて言われると、何だか意識しちゃって」
領主に言われてロビンは立ち上がり、背伸びを始めた。
「アーダルベルトが居ると肩がこるね」
「アーダルベルトというのは、表情があまりよろしくない細身の紳士様ですか?」
私はロビンのように背伸びをしながら聞いた。
「アンナさんは順応が早くて良いですね」
領主は嬉しそうにしている。
ノノさんは、珍しく判断に迷っているようだった。でもこれは、しかたがない。貴族に不敬な態度を取ってはならない、という教育をされてきたのだろうし、ましてや領主の前だ。どちらかといえば、私の行動の方がおかしい。
「ノノさんには、かえって緊張させてしまい申し訳ない」
「領主様、直に声掛けする無礼をお許し下さい」
ノノさんは、あくまで態度を緩ませない。領主の許しを得てから発言を続けた。
「先程お話をされていた、お伺いしたいこととは、どの様なものでしょうか」
領主は私の方を見た。
やっぱり私の力の事か。
「先程、あなた方の村からダスティンと名乗る騎士達ちが運ばれてきた。この者共の発言のなかに、アンナさんが魔法を使ったとの話があったのだが、間違いはございませんか」
ダスティンがこの事を話す時に、どういう心境だったのか想像すると、少しかわいそうになった。田舎に住む幼子が魔法を使い、自分たちを倒してしまった。そんな話を誰が信てくれるだろう。
つまり、私が本当に魔法が使えるのか見たい。と、領主は言っているんだね。
「お許しを頂けるなら、いまお見せいたします」
領主の目が輝きを増したのが分かった。
自分の顔の前に、右手の人差し指を持ってきて、もったいつけるように1、2秒の間をとる。
「いきます」
そう言うと、指先から5センチ程の【雷】を出した。もちろん最弱の出力で。
領主とロビンから驚の声が上がる。
「凄い、他にも見たい」
領主からおねだりが聞こえた。
このニュアンス、昨夜聞いたような…テオの「あれ凄かったな!」「もう一回見たい!」「俺にも教えてくれ!」の再来になるのではないだろうか?
領主がそうなっては面倒なので、回復と防御の魔法については、口頭で済ませようとしたんだけど…そうはいかないよね。
どうらや、この思いは領主に届いてしまったようだった。
「【防壁】だけでもお願いできないだろうか」
思ったことがそのまま態度に出てしまうのは、今後のためにも改めた方がいいなと思いながら、領主の変化に少し楽しみを覚えた。
これまで、神秘的な雰囲気すら漂っていた領主は、ただの子供になっていたからだ。
そんなに喜んで貰えるなら、やりがいがあると言うもの。是非とも要望に応えてあげよう。
でも、【防壁】で大丈夫だとは言え、人が斬り掛かって来るのは怖いんだよね。なにかマネキンの様な物があれば助かるんだけど…あるじゃない!
私が見つけたのは、領主の斜め後ろに置かれている鎧のオブジェだ。鎧を着て突っ立てるヤツ。あれに【防壁】を展開しているところに、ロビンに撃ち込んでもらおう。
この事をお願いすると、領主は快諾してくれた。
よしよし、これなら怖くないからね。思いっきり打ち込んで貰おう。
今回は球体の【防壁】ではなく、スキンタイプの【防壁】を展開することにした。
ウォルフに聞いたところによると、球体の【防壁】は私以外に使った話を聞いたことがないらしい。あまり特異なモノは見せない方がいい。対策を取られてしまうからと言っていた。
さておき、私は鎧人形の後ろに隠れて、ガッツリと【防壁】をかけた。
「ロビン様、どうぞ」
ロビンは返事をすると、一つ息を吸い打ち込んできた。それは想像していたものより早く彼が本気なのが分かった。
剣が兜に接触する。と同時に【防壁】特有の音叉の様な音が響いた。
だけど、ダスティンやウォルフの時と比べて音叉の音が軽い気がする。【防壁】に接触したときの、圧力や面積に関係あるのかもしれない。
「これが【防壁】か」
打ち込み終えたロビンが、ぽつりと漏らす。
「兜を見せてくれ」
領主は、ロビンに兜を持ってこさせて剣が当たったと思われる部分を探した。けれど、そのような跡が見つからず、感嘆の声を上げる。
私は複雑な気持ちだった。嬉しいのには間違いないけど、自分の努力によるものじゃないからね。ドングリ食べただけだし。
領主を見ていると、彼と目が合った。慌てて視線をそらす。
「アンナさん」
やばい。こんなときに目を合わせると、ろくなことがない。テオの三段活用が炸裂するのは面倒なのでやめて欲しい。
そう思ったけど、私の想像ははずれた。
「これらの魔法は、どこで身につけたのでしょうか」
「これは、信じてもらえないと思うのですが、夢を見たのです」
これに関しては、即座に嘘をついた。
だってドングリの森は私が気付いたときには、消えていたんだもん。そんな話を信じてもらえるなんてとても思えない。だったら、まだ信じてもらえそうな夢の話にした。
「そこで、神秘的な存在から、力を授かったのです。そして、その力のことはダスティン達が襲ってくるまで、忘れていたのです」
「それは、神ですか」
「おそれ多い事ではありますが、それ以外に考えられません」
私はウォルフからもらったネックレスの飾り部分(シンボル)を握り、祈りのポーズをした。食事の時にした、あれだ。
「アンナさん、ありがとう。貴女は神に選ばれた聖人なのですね」
いやいや、転生者です。
そんな事を言うわけにはいかず、憂いげな表情で頷いた。
「もう少し落ち着く所でお話をしましょう」
そう言うと、領主の後ろ右手奥にある階段を登った先の部屋に案内された。
ここも質素だ。
窓は先程よりも小さい物になっているけれど、驚いた事にガラス窓になっている。
領主はランブを持つと指先から火を出し明かりを灯す。
この人は火の魔法が使えるのか。【雷】より便利そうで羨ましい。
領主は私とノノさんに椅子を勧めてから自身も座り、ダスティン達を偽物と見破った話や、私達の興味のあるものについて尋ねてきたので、蘇生に関すること以外については正直に話した。領主はその一つ一つに感激したり驚いたりしていたけど、ノノさんの天文の話には、少し面食らっていたみたい。
自分たちの話ばかりしていても、聞き手がつまらないだろうと思い、領主様の興味のあるものを聞いてみた。
「領地が豊かになることかな」
なんてお手本通りの言葉。子供だからこその発言なんだろうな。30年後にも同じことが言えるかは分からないけど。
けれど、この気持ちは大切だ。
私は無礼を承知で奴隷についての話をした。
「悔しいと思っています」
他の領地に比べてリーベリは貧しい土地なのだそうだ。
カスタリアには首都ヴェイスの他に、ザイスト、ムスカド、リーベリの合計4つの領地があり、リーベリ以外の領地は暖流のお陰で気候が穏やかで、麦の成長などが良い。さらに、それらの領地には交易を行う港があり、経済的にも豊かな土地となっている。
リーベリはこれらの領地に比べて北の土地で、しかも寒流のせいで気温が低く降水量も少ない。お陰でリーベリ北部などは乾燥地帯となっているそう。
穀物の収穫が少なく税を収めることが厳しため、奴隷として売られてしまう子供が、とくに成長期になり食べる量の増える子供が売られてしまう。
リーベリの特産品は奴隷。などと揶揄される事もあるそうだ。
聞いているだけでも、怒りが湧いてくる。
ノノさんが声を潜めて聞いた。
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