ぼっちな僕がデスゲームに強制参加させられたんだけど、逃げ回っているうちにハーレムがどんどん増えて夜の順番とか勝手に決められて困っています

Rain

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36 泥人形の愛

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「あたしが一生懸命作ったジュースがなんで飲めないの? もしかしてお腹が痛いの?」

「う、うん」

「だったら飲んで! これには101種類のハーブが入っているから腹痛なんて一発で治るよ」

「ハーブは苦手なんだ」

「大丈夫よ。ハーブの味はしないから」

 知っていますよ。
 それ、先日飲んだから。
 弁当男子のぼくは味覚だけは自信があります。
 それにはハーブなんて入っていませんでしたよ?
 
 とにかく難癖をつけて強引にジュースを渡そうとするレイカさん。
 それを断り続けるぼく。

 悠長にしている時間はないのです。


 仕方ないので、とっておきの隠し技をお見舞いしました。
「じゃぁ、ぼくとエッチしてくれたら飲むよ」


 本人の前だととても言えない台詞ですが、相手はレプリカ。

 偽レイカさんのパープルの瞳を正面から見つめて堂々と言いました。
 この泥人形、口では粘液を作り出せるようだけど、果たしておまんこでも本物のように愛液を作り出せるだろうか。
 本物の膣のように締め付けたり緩めたりできるだろうか。
 そしてぼくの精子が子宮に届いた時、セオリー通り覚醒できるだろうか。
 答えはNoだ。
 だからもしぼくとエッチをすると、君の正体が暴露してしまう。
 断るしかないはずだ。


 想像通り動揺している。


「え、そ、それは……
 あ!」


 
 しばらく目を泳がせていたレイカさんでしたが、切れ長の目でクスリと笑い、鋭くきり返してきました。


「あたしだって海斗さんとエッチしたくて仕方ないの。でも我慢して。
『リリアを助けるまでは、中出しは一人一回限り』
 この掟があるから無理なのよ」

「大丈夫だよ。膣内射精しないから。外出しする。約束する。
 それにね、いつもレイカさんに見られながら違う女の子とエッチをしていて辛かったんだ。ぼく、レイカさんとエッチしたいよ」


「うぅ……。あたしだって……。で、でも……」


 ふふ、言い逃れできなくなりましたか。


 ぼくは笑いながら、
「レイカさん。今、エッチな気分じゃないんでしょ? だから断っているんでしょ?」
「あ、え、ま、まぁ……」

「分かったでしょ? ぼくも今ジュースを飲みたくない気分なんだ。いくらフィアンセだって嫌な時は嫌なんだよ」


 ようやく納得してくれたのか、泥人形のレイカさんはジュースの入ったグラスを寂しそうに見つめています。
 やれやれです。
 さて、ばれないようにチクリチクリと術者(バック)のことを聞き出していきますか。


 この直後、ぼくはドキッとしました。
 泥人形の紫の瞳から一筋の涙がこぼれ落ちたのです。

 いったいどうしたんだ?
 ジュースを飲ませないと主人に叱られるってのか?
 けど、しょうがないだろ。
 毒ジュースなんて飲めないんだから。


「ごめんなさい。海斗さま。本当にごめんなさい」


 突然謝り出す泥人形に、ぼくは唖然。
 それでも泥人形は、まるで絞り出すように言葉を続けていく。


「あたし……。あたし……海斗さまの事を愛してしまいました。
 海斗さま、あたしが何を言っているか分からないでしょうね。
 あたしは二日前この世に生み出され、あなたの監視を命じられました。
 最初はたくさんの女の子とセックスをしているあなたを軽蔑していました。
 でも、違いました。
 あなたは大いなる宿命の為、敢えてこの困難に立ち向かっていることを知りました。
 女の子と触れ合うと瀕死の重傷を負う病を持ちながら、それでも彼女たちの体に触れ、己の分身を奮い立たせている。
 それだけではない。
 あんなにたくさんの女の子とセックスをしていくのです。30分おきの膣内射精です。かなり過酷だと思います。プレイが雑になるのが普通。だけどあなたは誰にでも優しい。
 どんな子にも、全力でセックスをしていました。
 必死に膣にペニスを入れて、「痛くない?」と気遣いながら丁寧にゆっくりと腰をふっていました。ほとんどが初めてセックスをする子ばかりです。みんなおまんこから血を流している。患部を愛撫して痛みをとってあげていた。50人以上の血まみれで精液愛液まみれのおまんこを、丁寧に愛撫してあげるなんて……
 あなただって辛くてしんどいはずです。
 そんな体で、連続クンニはあまりにも過酷。
 おっぱいと異なり、おまんこやクリトリスを舐めても母乳はでません。
 愛液を口にしても精力は回復しないのです。むしろ逆です。
 愛液のにおいを嗅ぐことにより、あなたの下半身は充血していました。精力エネルギーが無造作に消耗しているのです。
 あたしは見ていられなくなり、追い出すように『次の人』と発しました。
 早くあなたを楽にしてあげたかった。
 ――そんなあなたを見ているうちに、胸の奥が熱くなり……。
 あたしも……あなたとセックスがしてみたい。
 でも……
 でも……
 それをしちゃうと……あたし……
 このジュースを飲むと、あなたの聖なる力が抑制されます。
 ――ですが、あたしにとってそれは好都合なのです。
 だって、あたし、セックスができませんから。
 あなたを他の女に奪われずに済みます。
 そして終わりないセックスの輪廻から、あなたを解放できるのです。
 ――最後に……
 詳しくは言えませんが、本物のレイカ王女は、ご無事です。どうかご安心ください。あの方の目的が成就するまで、レイカ王女は殺されることはありません。
 実は、あたし、パペット――」


 そう言いながら、グラスから手を離しました。
 ジュースの入ったグラスは、重力にしたがうように床に落下していきます。


「あ、えーと」


 ぼくは急いでグラスを掴み取り、口に含みました。



 どうしてぼくは――?
 なんで力を奪うジュースを、自らの意志で口に――?


 
 ぼく達のやり取りを、人形使いギヌヴァスはどこかで見ているに違いありません。
 暴露してグラスを叩き割ったことを知ると、きっと奴は容赦なく泥人形を潰すでしょう。
 だから、ぼくは……
 それが呪われたジュースを口にした理由でした。
 ――いや。
 そんな計算された回答なんて後付けです。こじつけ。
 彼女は本物のレイカさんのことを心配している。
 そしてぼくのことも。
 確かにこの人は、泥で作られたレプリカなのかもしれない。
 だけど誰よりも純粋な心を持っている。



 だから――死んでほしくないと思った。
 


 ぼくは無意識のまま、何も気づいていないフリをするために泥人形を弁護するような台詞を口走っていた。


「レイカさん。何を言っているの?
 聖なる力って何???
 とにかくレイカさんはレイカさんだよ。
 ごめん、セックスができない理由は、きっと今日、生理なんだよね?
 無茶苦茶な理由でごまかすなんてレイカさんらしいや。
 ジュースおいしかったよ。お腹が痛かったから冷たい物はやめとこうと思ったけど、お薬が入っているんだよね、コレ」


「か、海斗さま。駄目です。吐いてください」



 それと同時に、乱暴に戸が蹴り開けられた。


 ぼくの瞳孔には、頬骨が浮き出た妖魔の男が映る。
 フードの中の冷たい視線が不気味に笑っている。
 それは奴。
 宿敵。
 レナちゃんを追い詰めた悪党。
 人形使いギヌヴァス。
 


「ククク。やっと飲んだか。小僧」
「あぁ、飲んでしまったよ。だからどうした?」

「そのジュースにはレイカ姫に分からないように、ちょいと細工をしておいた」
「ふん、そうかい。いかなる小細工をしようが、ぼくは負けない。お前だけは絶対に許さない!」


「許さないか。面白い。さぁ、レイカ姫とセックスをして俺に挑んで来い。さぁ! さぁ! セックスソードマン、海斗ぉぉ!」


 野郎。
 ぼくのことをセックスソードマンと呼んだ。
 確かにこの国の上層部なら、その名を知っているだろう。
 でも、まるでぼくの素性まで知っているかのような振る舞いだ。
 技まで指名してくるなんて。まるで5大将軍と戦っているかのような、そんな気分だ。
 だけど今はそんなことに構っていられない。



 レイカさんに視線を流した。
 緊迫したこの状況下。固唾を呑んだまま固まっている。

 このレイカさんは泥人形。
 セックスをしても何も起きない。
 強力な異能を発動できない。
 ど、どうすればいい!?
 答えは一つだ。
 肉弾戦しかない。


「レイカさん。シミターを借りるよ」


 ぼくはレイカさんの腰からシミターを奪い取り、鞘を投げ捨てた。
 剣先をギヌヴァスにジャラリと向ける。
 奴は術者(パペットマスター)だ。
 強力な術を持つ反面、守りにおいては無防備。装備だってただの布。鋼鉄ではない。今のぼくならいける。
 念じる前に、一気に討つ。


 ざっと踏み込み、鋭く剣先を叩き落とす。
 奴の黒い布が斬れ、ふわりと舞った。
 フードで隠れていた顔があらわになった。
 外見は20代そこら。
 黒い長髪が揺れている。
 鋭い口角で、笑みを飛ばしている。

 
 紙一重で、よけられたのか。
 だけど次は外さない。
 大きくシミターを振り上げた。
 だがギヌヴァスは、構えようとしない。


 奴は口角を吊り上げて淡々と話し出した。


「さっきも言ったが、そのジュースには細工してある。それは、てめぇの精力を抑える薬だけじゃねぇ。能力を抑える秘薬も入っている。
 てめぇのレベルを三分の一にする効果だ。
 剣じゃぁ俺に勝てんぞ。早くセックスをして力を解放しろよ! 急がないとスペルマが出なくなっちまうぞ」
 
 
 ギヌヴァスは両手を天井に掲げ、術を念じる。
 床が粘土のように盛り上がったかと思うと、甲冑をまとった兵士の姿へと変わっていく。その数はどんどんと増え続ける。
 5、6、7……12体の甲冑兵士が、ギヌヴァスの前にずらりと並ぶ。


「この戦士の材質は石。てめぇが持っているチンケなシミターでどこまで戦えるかな? 早く覚醒することをお勧めするが」


 執拗までにバトルセックスをするよう挑発してきやがる。
 泥人形とセックスをしても無駄だ。結果なんて見え見え。
 奴はぼくの無残な結末を楽しみにしているのか。
 なんて悪趣味な野郎だ。


 12体の甲冑兵士は、腰の剣を抜き、一斉に襲いかかってくる。
 さすがに防ぎきれない。
 一貫の終わりなのか。
 
 こんなところで、ぼくは――



 その時だった。



「こいつらはあたしに任せて、早く逃げてください!」
 その声は、奴が作ったレプリカのレイカさんだった。
 部屋の隅に置いてあった大槍で、敵二人を横殴りに切り裂いた。


「て、てめぇ、心を持たない泥人形の分際でよくも裏切ってくれたな!」


「あたしにだって心はあります。もう、あなたのおもちゃなんかではない!」
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