5 / 25
第一部 噂
第五章 留里神社
しおりを挟む
止栄町に滞在して四日目。
夜の舞を見てからまだ一日も経っていないというのに、
この町では時間が眠っているように思えた。
人の動きが遅いのではない。
空気そのものが、時計の針を鈍らせている。
宿を出ると、朝の霧がうすく漂っていた。
潮と湿気の混じった匂いが喉にからむ。
町を抜ける細い坂道を登ると、家屋はまばらになり、
田畑の境界線が曖昧になっていく。
人の気配はもうない。
霧のむこうで犬が吠え、音がすぐに吸い込まれた。
《フィールドメモ》
・気温一六度前後。湿度高。
・風向き=山から海。
・霧の発生は夜半から朝方。海霧ではなく地霧の性質。
途中、苔むした石塔を見つけた。
正面の文字は消えかけているが、「留」の字だけが残っている。
地名と同じ字だ。
止める、留める、鎮める。
この土地に宿る言葉は、いずれも「流れを止める」性質を持つ。
古い信仰の構造を考えると、
“流れぬこと”こそがこの町の祈りなのかもしれない。
坂を登り切ったところで、
霧が割れ、空が開けた。
そこにあったのは、社ではなく、
ぽつりと建つ一棟の舞台——神楽殿だった。
鳥居はない。注連縄も見えない。
屋根は銅板が錆び、柱には榊の痕が黒く残っている。
板間は光を反射し、濡れたように艶を帯びていた。
見上げると、梁の隙間に蜘蛛の巣がいくつもかかっている。
それでも、埃ひとつ落ちていない。
掃除の手が入っているのだ。
《記録》
・留里神社=社殿を欠く構造。
・神楽殿が信仰の中心。
・“祀る”よりも“演じる”構造。
→信仰行為=身体化された儀礼。
石段の下では老夫婦が掃除をしていた。
「おはようございます」と声をかけると、
老人がゆっくり顔を上げた。
「舞の準備ですか」と尋ねると、
「今日の夕方やで。うちの善利さんが上で仕度してはる」と言った。
言葉の端々に、古い方言が混じる。
舞が“行事”ではなく、“身内の仕事”として続いていることが分かる。
殿の裏手には、楽器や衣装を収めた木箱がいくつも積まれていた。
太鼓の皮は乾ききって硬く、表面にうっすらと染みがある。
拍子木は欠け、笛には息の跡が黒く残っていた。
それらがいずれも、使われるというより「保存されている」印象を与えた。
祈りの道具でありながら、記録媒体のようでもある。
昼を過ぎると、舞台に人が集まり始めた。
男たちが無言で板を拭き、縄を張り直す。
互いにほとんど言葉を交わさない。
その静けさは、労働ではなく儀式の始まりのようだった。
彼らの中央を、ひとりの老人が通り過ぎた。
背は高く、杖を持たずに歩いている。
誰も声をかけない。
ただ、その背を見送るだけだ。
海宮|《かいみや》善利——この神事を取り仕切る男。
八十四歳。
この町の“時間”を一身に背負っているように見えた。
《フィールドメモ》
・善利=留里神社神主。
・発声少なく、威圧よりも“存在感”による支配。
・共同体的ヒエラルキーの象徴。
午後、殿の中でひとりの少女が舞っていた。
白衣に薄桃の袴。
髪を結わず、素のまま背に垂らしている。
扇を持ち、静かに左右へと歩む。
音楽はない。
ただ衣擦れと、木の軋みが音になる。
その歩幅は寸分の狂いもない。
まるで誰かが背後で糸を引いているようだった。
舞台の脇では、中年の男たちが立っていた。
視線を少女に向けながら、焦点を合わせていない。
見ていないように見ている。
この町の人々は、見ることに慣れていないのだ。
見れば“何か”を呼ぶという、古い信仰の痕跡。
私はその沈黙の中に、冷たい意志のようなものを感じた。
《記録》
・舞手:少女(推定15歳前後)。
・舞の型が完全に身体化。
・観衆の視線制御。
・“見ること”自体が禁忌化されている可能性。
床下を覗くと、剥がれかけた紙片がいくつも貼られていた。
「返」「沈」「渡」——昨日、帳面で見た詞章と同じ文字。
指で触れると、墨が粉のように落ちた。
水ではなく、油で滲んでいる。
誰かの手で、幾度もなぞられた跡がある。
供物ではなく、封印に近い。
殿が祈りの場であると同時に、何かを“閉じ込める場”でもあるように思えた。
夕暮れが迫ると、風が急に変わった。
海からではなく、山の方から吹きつけてくる。
それが合図のように、太鼓が一度だけ鳴った。
少女が扇を広げる。
袖が光を掬い、影を撒く。
その動きは優雅でありながら、どこか機械的だった。
やがて、彼女は一度だけこちらを見た。
焦点のない目。
あの夜、面の女が見せた目と、同じ沈黙を宿していた。
——信仰とは、誰が誰を見ているのか分からなくなる構造なのかもしれない。
祈りの形が人を模倣し、人がその模倣に従う。
その輪の中では、もはや神も人も区別がない。
《フィールドノート/2015-0525》
・留里神社:社殿なし。神楽殿のみ。
・床下に封印的紙片「返」「沈」「渡」。
・舞手:少女。無音の舞。
・海宮善利の監督下、視線制御あり。
・信仰=行為としての継承。
帰り道、風はさらに冷たくなっていた。
霧が再び下り、海の音が遠くで響く。
この町では夜になると、潮の匂いが濃くなる。
空気が“沈む”のだ。
私はノートを閉じ、最後の一行を書き加えた。
——今日も、何も起こらなかった。
だが、それがいちばん気味が悪い。
夜の舞を見てからまだ一日も経っていないというのに、
この町では時間が眠っているように思えた。
人の動きが遅いのではない。
空気そのものが、時計の針を鈍らせている。
宿を出ると、朝の霧がうすく漂っていた。
潮と湿気の混じった匂いが喉にからむ。
町を抜ける細い坂道を登ると、家屋はまばらになり、
田畑の境界線が曖昧になっていく。
人の気配はもうない。
霧のむこうで犬が吠え、音がすぐに吸い込まれた。
《フィールドメモ》
・気温一六度前後。湿度高。
・風向き=山から海。
・霧の発生は夜半から朝方。海霧ではなく地霧の性質。
途中、苔むした石塔を見つけた。
正面の文字は消えかけているが、「留」の字だけが残っている。
地名と同じ字だ。
止める、留める、鎮める。
この土地に宿る言葉は、いずれも「流れを止める」性質を持つ。
古い信仰の構造を考えると、
“流れぬこと”こそがこの町の祈りなのかもしれない。
坂を登り切ったところで、
霧が割れ、空が開けた。
そこにあったのは、社ではなく、
ぽつりと建つ一棟の舞台——神楽殿だった。
鳥居はない。注連縄も見えない。
屋根は銅板が錆び、柱には榊の痕が黒く残っている。
板間は光を反射し、濡れたように艶を帯びていた。
見上げると、梁の隙間に蜘蛛の巣がいくつもかかっている。
それでも、埃ひとつ落ちていない。
掃除の手が入っているのだ。
《記録》
・留里神社=社殿を欠く構造。
・神楽殿が信仰の中心。
・“祀る”よりも“演じる”構造。
→信仰行為=身体化された儀礼。
石段の下では老夫婦が掃除をしていた。
「おはようございます」と声をかけると、
老人がゆっくり顔を上げた。
「舞の準備ですか」と尋ねると、
「今日の夕方やで。うちの善利さんが上で仕度してはる」と言った。
言葉の端々に、古い方言が混じる。
舞が“行事”ではなく、“身内の仕事”として続いていることが分かる。
殿の裏手には、楽器や衣装を収めた木箱がいくつも積まれていた。
太鼓の皮は乾ききって硬く、表面にうっすらと染みがある。
拍子木は欠け、笛には息の跡が黒く残っていた。
それらがいずれも、使われるというより「保存されている」印象を与えた。
祈りの道具でありながら、記録媒体のようでもある。
昼を過ぎると、舞台に人が集まり始めた。
男たちが無言で板を拭き、縄を張り直す。
互いにほとんど言葉を交わさない。
その静けさは、労働ではなく儀式の始まりのようだった。
彼らの中央を、ひとりの老人が通り過ぎた。
背は高く、杖を持たずに歩いている。
誰も声をかけない。
ただ、その背を見送るだけだ。
海宮|《かいみや》善利——この神事を取り仕切る男。
八十四歳。
この町の“時間”を一身に背負っているように見えた。
《フィールドメモ》
・善利=留里神社神主。
・発声少なく、威圧よりも“存在感”による支配。
・共同体的ヒエラルキーの象徴。
午後、殿の中でひとりの少女が舞っていた。
白衣に薄桃の袴。
髪を結わず、素のまま背に垂らしている。
扇を持ち、静かに左右へと歩む。
音楽はない。
ただ衣擦れと、木の軋みが音になる。
その歩幅は寸分の狂いもない。
まるで誰かが背後で糸を引いているようだった。
舞台の脇では、中年の男たちが立っていた。
視線を少女に向けながら、焦点を合わせていない。
見ていないように見ている。
この町の人々は、見ることに慣れていないのだ。
見れば“何か”を呼ぶという、古い信仰の痕跡。
私はその沈黙の中に、冷たい意志のようなものを感じた。
《記録》
・舞手:少女(推定15歳前後)。
・舞の型が完全に身体化。
・観衆の視線制御。
・“見ること”自体が禁忌化されている可能性。
床下を覗くと、剥がれかけた紙片がいくつも貼られていた。
「返」「沈」「渡」——昨日、帳面で見た詞章と同じ文字。
指で触れると、墨が粉のように落ちた。
水ではなく、油で滲んでいる。
誰かの手で、幾度もなぞられた跡がある。
供物ではなく、封印に近い。
殿が祈りの場であると同時に、何かを“閉じ込める場”でもあるように思えた。
夕暮れが迫ると、風が急に変わった。
海からではなく、山の方から吹きつけてくる。
それが合図のように、太鼓が一度だけ鳴った。
少女が扇を広げる。
袖が光を掬い、影を撒く。
その動きは優雅でありながら、どこか機械的だった。
やがて、彼女は一度だけこちらを見た。
焦点のない目。
あの夜、面の女が見せた目と、同じ沈黙を宿していた。
——信仰とは、誰が誰を見ているのか分からなくなる構造なのかもしれない。
祈りの形が人を模倣し、人がその模倣に従う。
その輪の中では、もはや神も人も区別がない。
《フィールドノート/2015-0525》
・留里神社:社殿なし。神楽殿のみ。
・床下に封印的紙片「返」「沈」「渡」。
・舞手:少女。無音の舞。
・海宮善利の監督下、視線制御あり。
・信仰=行為としての継承。
帰り道、風はさらに冷たくなっていた。
霧が再び下り、海の音が遠くで響く。
この町では夜になると、潮の匂いが濃くなる。
空気が“沈む”のだ。
私はノートを閉じ、最後の一行を書き加えた。
——今日も、何も起こらなかった。
だが、それがいちばん気味が悪い。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/24:『おおみそか』の章を追加。2025/12/31の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/23:『みこし』の章を追加。2025/12/30の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/22:『かれんだー』の章を追加。2025/12/29の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/21:『おつきさまがみている』の章を追加。2025/12/28の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/20:『にんぎょう』の章を追加。2025/12/27の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/19:『ひるさがり』の章を追加。2025/12/26の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/18:『いるみねーしょん』の章を追加。2025/12/25の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる