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第7話 サーファはお姫様?
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サーファの双子の姉、アスカとの戦いの最中、気を失ってしまったユウト。
ユウトの使う刀は、物質精製魔法を使ったものだった。
この物質精製魔法は、高度な魔法技術であり、そう簡単に使えるものではない。
この魔法を使える者は、数えるくらいしか居なかった。
ユウトが刀を一振り精製するのに、そんなに魔力は消費しない。
一度精製して、精製し慣れている物なら、魔力の消費は少ない。
しかし、複数本精製するなら、消費魔力は比例的に跳ね上がる。
レベルが低いユウトに、それだけの魔力量は無かった。
ユウトは異世界ジュエガルドに来る前から、刀を具現化して魔石獣と戦っていたが、魔法とか魔力とか、そんな意識は無かった。
医務室のベットの上で目を覚ましたユウトは、上記の様な説明を、サーファとアスカから受ける。
「そっか、精製魔法か。
俺も魔法を使ってたんだな。」
ユウトは右手を見つめる。
魔法と言ったら、炎や氷を出して攻撃するものと、ユウトは思ってた。
それが自分には出来なくて、残念な気持ちになる。
物質精製魔法で炎や氷を精製する事も、不可能ではない。
しかし不定形物の精製は、そのイメージが難しい。
炎を精製しても、精製した瞬間にその姿が固まる。
つまり炎のオブジェでしかなく、燃焼させる酸素も取り込めず、一瞬で消え去る。
これは氷の精製でも同じだった。
炎を炎たらしめる為には、赤の炎系魔法の習得が必須。
氷についても、青の氷系魔法の習得が必須だった。
そして刀に炎を纏わせる火炎剣も、赤の炎系魔法を習得してないと無理だった。
「そ、そんなに落ち込まないでよ。
ユウトもレベルが上がれば、もっと色々出来る様になるわよ。」
落ち込むユウトを、サーファが励ます。
「変に希望を持たすなよ。」
サーファの後ろから、アスカが水をさす。
ユウトは思わずアスカを睨むが、その目に力は入らない。
アスカの言ってる事は、ユウトも本能的に理解しているからだ。
「おまえがフィーナを守ってくれてた事は、フィーナから聞いた。
姉として礼を言う。」
アスカはユウトに、軽く頭を下げる。
ユウトは、アスカが敵対感情しか持っていないと思ってたので、アスカのこの行動に、少し戸惑う。
そしてサーファは少しムッとする。
アスカに姉ヅラされて、妹扱いされるのが、嫌だった。
「フィーナ、さっき言った事、よく考えておけよ。」
「う、うん。」
アスカの言葉に、サーファはうなずく。
ユウトが寝ている間に、ふたりで話してたのだろう。
「それと、お父様にはちゃんと、顔を見せろよ。」
「げ。」
アスカはそのまま医務室を去る。
サーファはお父様と聞いて、嫌な顔をする。
「お父様って、そんなに嫌な人なの?」
ユウトは恐る恐る聞いてみる。
「あまり、言いたくないわね。」
サーファは目を閉じて、わなわな震える。
「そ、そうなんだ。」
ユウトは複雑な家庭事情でもあるのかなと、それ以上聞けなかった。
「そんな事より、今の現状を説明するわね。」
サーファは、今しがたアスカから聞いた内容を含め、ユウトに説明する。
ここジュエガルドは、マスタージュエルの加護を受けて存在する世界。
そのマスタージュエルが、何者かによって砕かれた。
それは、ジュエガルドの崩壊を意味している。
砕かれたマスタージュエルの欠けらを集め、またひとつにしなければ、ジュエガルドは滅ぶ。
欠けらは魔石となって世界中に散らばり、その魔石から魔素を集める事は、各国の王女にしか出来ない。
各国に伝わる浄化の宝玉。
魔石となったマスタージュエルの欠けらから、魔素を浄化錬成出来るのは、王族の血筋を引く王女だけであった。
そしてサーファが異世界に向かった後、青の国に異変が起きる。
王妃が起きる事なく眠り続けてしまう。
同時に、龍神山の洞窟に青い龍が出現する。
青の国では王妃の眠りは、青い龍の呪いではないかと囁かれる。
青い龍の住む洞窟の周りは、魔素の濃度が高く、誰も近づけなかった。
青い龍がひとたび暴れると、山の木々は悲鳴をあげ、動物達は逃げ惑った。
そして逃げ遅れた動物達は、魔石獣と化した。
魔石獣の魔石を浄化する事は、王女にしか出来ない。
つまり、青い龍を討伐する事は、王女に課せられた使命と言える。
「じゃあ、サーファが青い龍を倒しに行くの?」
サーファの長い説明を受けて、ユウトは問う。
龍討伐なんて、サーファに出来るとは思えない。
サーファは当然の様に首をふる。
「私は同行するだけでいいのよ、青い龍の討伐隊に。でも、」
サーファはユウトを見つめ、ニヤける。
「平和だったこの国に、龍と戦える人が居ると思う?」
そう、争いのないこの国に、騎士とか軍隊とかは無かった。
あっても動物を狩るハンターくらいだった。
「やっぱり、俺が行く訳ね。」
ユウトはため息をつく。
「そう言う事。頼りにしてるわよ、ユウト。」
サーファはこれまで見せた事のない、弾ける様な笑顔を見せる。
「うん。」
ユウトはそんなサーファを直視出来ず、思わず目をそらす。
「どうしたの、ユウト?」
そんなユウトの顔を、サーファは覗き込む。
「な、なんでもないって!」
ユウトは思わず目をそらす。
「でも、顔赤いよ?
まだ回復しきれてないんじゃないの?」
サーファはユウトの額に右手をあてる。
ユウトの顔も一気に赤くなるが、今度は視線をそらせなかった。
「熱はないみたいだけど、ほんとに大丈夫?」
「だ、大丈夫だから。」
ユウトはサーファを見つめ返す。
下手に視線をそらしたらやぶ蛇だと、ユウトは学んだ。
サーファは、ベットに上体を起こして座っているユウトの目線に合わせて腰を曲げていたが、その腰を伸ばす。
「じゃあ、とっとと行くわよ、お父様の所。」
「お父様?」
ユウトは聞き返す。
「そ、私のお父様。この国の国王よ。」
サーファは腰に手を当て、上体を仰け反らせながら答える。
ユウトにあわせた中腰状態が、よっぽどきつかったのだろう。
「ふーん、国王様か。
って、じゃあおまえ、この国のお姫様なの?」
ユウトは驚く。
上記の説明で、王女と言う単語は出ているが、サーファはその単語を使わなかった。
サーファは自分の事を、この浄化の腕輪を受け継ぐ者と説明した。
そして以前にもサーファは自分を王女と言ったが、ユウトは別の事に気を取られて、気にも留めなかった。
「な、何よ、そんなに驚く事?」
上体を後ろに反らせてたサーファは、上体を戻してユウトをにらむ。
「こ、こいつがお姫様?
こんなヤツが?
性格に難ありすぎるだろ。
この国大丈夫か?
いや、お姫様だからこそ、世間知らずで常識知らずなのかもしれない。」
「ちょっとユウト君。」
サーファは右拳を握りしめ、ヒキついている。
「わ。」
ユウトは思わず口を両手で押さえる。
思わず声に出ていた事に、ユウトは初めて気がつく。
「そう言う事は、口に出しちゃダメなんじゃない?」
サーファは怒りのわいた笑顔で、握りしめた右拳をみせつけながら、ユウトに迫る。
「わー、暴力ヒロインは、人気出ないんだぞー。」
ユウトは両手を目の前で左右にふり、サーファをなだめる。
「もう、何訳分かんない事言ってるのよー。」
ユウトに接近したサーファは、握りしめた右拳を振り上げる。
「ひー。」
ユウトは両手で頭をガードしながら、目を閉じる。
ぺちん。
サーファの右拳は、ユウトの左頬に優しく触れただけだった。
「え?」
ユウトが目を開けると、サーファは右手でユウトの左手首をつかむ。
「たくぅ、バカな事やってないで、とっとと行くわよ。」
サーファは握ったユウトの左手首を引っ張る。
「い、行くってどこ。」
サーファに引っ張られながら、ユウトはベットの脇にあった自分の靴をはく。
「決まってるでしょ、私のお父様、この国の国王様の所よ。」
サーファはユウトの手を引き、医務室を後にした。
ユウトの使う刀は、物質精製魔法を使ったものだった。
この物質精製魔法は、高度な魔法技術であり、そう簡単に使えるものではない。
この魔法を使える者は、数えるくらいしか居なかった。
ユウトが刀を一振り精製するのに、そんなに魔力は消費しない。
一度精製して、精製し慣れている物なら、魔力の消費は少ない。
しかし、複数本精製するなら、消費魔力は比例的に跳ね上がる。
レベルが低いユウトに、それだけの魔力量は無かった。
ユウトは異世界ジュエガルドに来る前から、刀を具現化して魔石獣と戦っていたが、魔法とか魔力とか、そんな意識は無かった。
医務室のベットの上で目を覚ましたユウトは、上記の様な説明を、サーファとアスカから受ける。
「そっか、精製魔法か。
俺も魔法を使ってたんだな。」
ユウトは右手を見つめる。
魔法と言ったら、炎や氷を出して攻撃するものと、ユウトは思ってた。
それが自分には出来なくて、残念な気持ちになる。
物質精製魔法で炎や氷を精製する事も、不可能ではない。
しかし不定形物の精製は、そのイメージが難しい。
炎を精製しても、精製した瞬間にその姿が固まる。
つまり炎のオブジェでしかなく、燃焼させる酸素も取り込めず、一瞬で消え去る。
これは氷の精製でも同じだった。
炎を炎たらしめる為には、赤の炎系魔法の習得が必須。
氷についても、青の氷系魔法の習得が必須だった。
そして刀に炎を纏わせる火炎剣も、赤の炎系魔法を習得してないと無理だった。
「そ、そんなに落ち込まないでよ。
ユウトもレベルが上がれば、もっと色々出来る様になるわよ。」
落ち込むユウトを、サーファが励ます。
「変に希望を持たすなよ。」
サーファの後ろから、アスカが水をさす。
ユウトは思わずアスカを睨むが、その目に力は入らない。
アスカの言ってる事は、ユウトも本能的に理解しているからだ。
「おまえがフィーナを守ってくれてた事は、フィーナから聞いた。
姉として礼を言う。」
アスカはユウトに、軽く頭を下げる。
ユウトは、アスカが敵対感情しか持っていないと思ってたので、アスカのこの行動に、少し戸惑う。
そしてサーファは少しムッとする。
アスカに姉ヅラされて、妹扱いされるのが、嫌だった。
「フィーナ、さっき言った事、よく考えておけよ。」
「う、うん。」
アスカの言葉に、サーファはうなずく。
ユウトが寝ている間に、ふたりで話してたのだろう。
「それと、お父様にはちゃんと、顔を見せろよ。」
「げ。」
アスカはそのまま医務室を去る。
サーファはお父様と聞いて、嫌な顔をする。
「お父様って、そんなに嫌な人なの?」
ユウトは恐る恐る聞いてみる。
「あまり、言いたくないわね。」
サーファは目を閉じて、わなわな震える。
「そ、そうなんだ。」
ユウトは複雑な家庭事情でもあるのかなと、それ以上聞けなかった。
「そんな事より、今の現状を説明するわね。」
サーファは、今しがたアスカから聞いた内容を含め、ユウトに説明する。
ここジュエガルドは、マスタージュエルの加護を受けて存在する世界。
そのマスタージュエルが、何者かによって砕かれた。
それは、ジュエガルドの崩壊を意味している。
砕かれたマスタージュエルの欠けらを集め、またひとつにしなければ、ジュエガルドは滅ぶ。
欠けらは魔石となって世界中に散らばり、その魔石から魔素を集める事は、各国の王女にしか出来ない。
各国に伝わる浄化の宝玉。
魔石となったマスタージュエルの欠けらから、魔素を浄化錬成出来るのは、王族の血筋を引く王女だけであった。
そしてサーファが異世界に向かった後、青の国に異変が起きる。
王妃が起きる事なく眠り続けてしまう。
同時に、龍神山の洞窟に青い龍が出現する。
青の国では王妃の眠りは、青い龍の呪いではないかと囁かれる。
青い龍の住む洞窟の周りは、魔素の濃度が高く、誰も近づけなかった。
青い龍がひとたび暴れると、山の木々は悲鳴をあげ、動物達は逃げ惑った。
そして逃げ遅れた動物達は、魔石獣と化した。
魔石獣の魔石を浄化する事は、王女にしか出来ない。
つまり、青い龍を討伐する事は、王女に課せられた使命と言える。
「じゃあ、サーファが青い龍を倒しに行くの?」
サーファの長い説明を受けて、ユウトは問う。
龍討伐なんて、サーファに出来るとは思えない。
サーファは当然の様に首をふる。
「私は同行するだけでいいのよ、青い龍の討伐隊に。でも、」
サーファはユウトを見つめ、ニヤける。
「平和だったこの国に、龍と戦える人が居ると思う?」
そう、争いのないこの国に、騎士とか軍隊とかは無かった。
あっても動物を狩るハンターくらいだった。
「やっぱり、俺が行く訳ね。」
ユウトはため息をつく。
「そう言う事。頼りにしてるわよ、ユウト。」
サーファはこれまで見せた事のない、弾ける様な笑顔を見せる。
「うん。」
ユウトはそんなサーファを直視出来ず、思わず目をそらす。
「どうしたの、ユウト?」
そんなユウトの顔を、サーファは覗き込む。
「な、なんでもないって!」
ユウトは思わず目をそらす。
「でも、顔赤いよ?
まだ回復しきれてないんじゃないの?」
サーファはユウトの額に右手をあてる。
ユウトの顔も一気に赤くなるが、今度は視線をそらせなかった。
「熱はないみたいだけど、ほんとに大丈夫?」
「だ、大丈夫だから。」
ユウトはサーファを見つめ返す。
下手に視線をそらしたらやぶ蛇だと、ユウトは学んだ。
サーファは、ベットに上体を起こして座っているユウトの目線に合わせて腰を曲げていたが、その腰を伸ばす。
「じゃあ、とっとと行くわよ、お父様の所。」
「お父様?」
ユウトは聞き返す。
「そ、私のお父様。この国の国王よ。」
サーファは腰に手を当て、上体を仰け反らせながら答える。
ユウトにあわせた中腰状態が、よっぽどきつかったのだろう。
「ふーん、国王様か。
って、じゃあおまえ、この国のお姫様なの?」
ユウトは驚く。
上記の説明で、王女と言う単語は出ているが、サーファはその単語を使わなかった。
サーファは自分の事を、この浄化の腕輪を受け継ぐ者と説明した。
そして以前にもサーファは自分を王女と言ったが、ユウトは別の事に気を取られて、気にも留めなかった。
「な、何よ、そんなに驚く事?」
上体を後ろに反らせてたサーファは、上体を戻してユウトをにらむ。
「こ、こいつがお姫様?
こんなヤツが?
性格に難ありすぎるだろ。
この国大丈夫か?
いや、お姫様だからこそ、世間知らずで常識知らずなのかもしれない。」
「ちょっとユウト君。」
サーファは右拳を握りしめ、ヒキついている。
「わ。」
ユウトは思わず口を両手で押さえる。
思わず声に出ていた事に、ユウトは初めて気がつく。
「そう言う事は、口に出しちゃダメなんじゃない?」
サーファは怒りのわいた笑顔で、握りしめた右拳をみせつけながら、ユウトに迫る。
「わー、暴力ヒロインは、人気出ないんだぞー。」
ユウトは両手を目の前で左右にふり、サーファをなだめる。
「もう、何訳分かんない事言ってるのよー。」
ユウトに接近したサーファは、握りしめた右拳を振り上げる。
「ひー。」
ユウトは両手で頭をガードしながら、目を閉じる。
ぺちん。
サーファの右拳は、ユウトの左頬に優しく触れただけだった。
「え?」
ユウトが目を開けると、サーファは右手でユウトの左手首をつかむ。
「たくぅ、バカな事やってないで、とっとと行くわよ。」
サーファは握ったユウトの左手首を引っ張る。
「い、行くってどこ。」
サーファに引っ張られながら、ユウトはベットの脇にあった自分の靴をはく。
「決まってるでしょ、私のお父様、この国の国王様の所よ。」
サーファはユウトの手を引き、医務室を後にした。
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