未来世界に戦争する為に召喚されました

あさぼらけex

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宇宙召喚編

第34話 すれ違いの予感

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 これは西暦9980年のはるか未来のお話。
 この時代に召喚されたマイは、同じように召喚されたマインと力をあわせ、強大な敵、ゴンゴル三姉妹を撃ち破った。
 ゴンゴル三姉妹のひとり、メドーは母国のレドリア合衆国に帰る事を拒む。
 メドーの身柄は、マイ達のブルレア連邦に連れ帰る事になった。


 メドーをブルレアに連れていく。
 これは、新たな争いの火種にしかならない。
 だから、メドーのブルレア入りは、秘密裏に行う必要がある。
 まずは、光線銃でメドーの機体のコックピットを撃ち抜く。
 メドーの機体にマインの機体が食い込んでいるため、普通に機体を爆破したら、マインの機体も誘爆してしまう。
 それをゴンゴル三姉妹の他のふたりも知っている。
 光線銃でコックピットを撃ち抜く時、同時に脱出用システムも破壊する。
 それから機体を爆破する。
 これなら、メドーの死を偽装出来る。
 この時代、ボイスレコーダーみたいな気の利いたものはない。
 脱出用システムがあるので、前時代的なボイスレコーダーは、必要なかった。

 基地の宇宙ステーションに帰還しても、メドーを秘密にするのは絶対だ。
 この宇宙ステーション内は、チームごとに区画が割り振られていた。
 基地内に着艦すれば、他にバレる事はない。ないはずである。

 基地に戻ったマイとマインは、機体を格納庫にしまい、機体を降りる。
 ヘルメットをかぶったままのメドーの手を引いて、ラウンジへと急ぐ。
 ラウンジでは、ジョーとケイが待っていた。
 他のふたりは任務中だった。
 ユアは、ソウルブレイドのエキシビションマッチに参戦中。
 リムは、他のチームのトライフォースの実習訓練に、コーチとして参加中。
 ケイだけが、暇を持て余していた。
 ラウンジに着くと、メドーがヘルメットを脱ぐ。
 美しい黒髪が、ふわりとなびく。
 腰くらいまであるその黒髪も美しかったが、メドーの顔は幼くてかわいかった。
「きゃー、かわいい。」
 ケイはメドーを抱きしめる。
 ケイの胸の谷間にメドーの顔が沈む。
「これがあのメドーだなんて、信じられないわ。」
 メドーは苦しそう。
「ちょっとケイ、嫌がってるでしょ。」
 マイがなんとかケイからメドーを助けだす。
「ごめんごめん、メドーがかわいかったから、つい。」
「あまりその名を呼ぶなよ。」
 ジョーが口を挟む。
 そんなジョーに、メドーは見とれている。
「この基地内には、メドーに堕とされたヤツが沢山いるんだ。知られたら、何されるかわからんぞ。」
「あ、あの、」
 ジョーの言葉に、メドーはジョーに話しかける。
「お兄さんが拷問するんなら、私は喜んで受けますわ。」
「いや、拷問なんてしないから」
 ジョーがそう応えると、メドーは俯き加減でもじる。
「拷問をしないだなんて、なんてお優しいお兄さんなの。」
「お、早速こますなんて、やりますな、色男。」
 そんなメドーを見て、ケイがニヤけながらジョーに声かける。
「そんなんじゃないだろ。」
 ジョーは咄嗟に否定する。そんなジョーを見て、マイは何故か苛立ちをおぼえた。
「そんな事より、これからどうするんですか?」
 ここでマインが口を挟む。
「何か考えがあって、連れてこさせたんですよね。」
 マインの言葉に、ジョーの目が泳ぐ。
「何も考えてなかったんですね。だから私は反対だったんですよ。」
 マインのその言葉に、メドーはマイの手を握る手に力をいれ、マイにしがみつく。
 マイはそっとメドーの頭をなでる。
「あの、なんとかならないんですか、しばらく僕の部屋にかくまうとか。」
 マイのその言葉に、メドーはマイのそばを離れる。そしてジョーに抱きつく。
「私、お兄さんと一緒の部屋がいい。」
「お、」
 この言葉にケイはニヤけた顔でジョーを見る。
 マイはびっくりした顔でメドーを見る。
 マインは苛立った顔でメドーを睨む。
「お前の部屋は後で作っておいてやるから、しばらくはマイの部屋でおとなしくしててくれ。」
 この区画内の増改築は、ジョーの権限で好きに出来た。
 しかしメドーの疑問は、そこじゃなかった。
「マイって、誰?」
「そっか、紹介がいるな。」
 ジョーはここにいるメンバーを、順に紹介していく。
「お前がさっきまで手ぇ握ってたのが、マイ。
 こっちのエロい顔のが、ケイ。
 あっちのおっかないのが、マイン。
 サポートAIは顔が一緒だから、髪の色で覚えろ。
 黒いのが、アイ。
 青いのが、ミイ。
 銀色なのが、ミサ。
 覚えたか?」
 ジョーのざっくり過ぎる紹介に、一同顔がヒキつく。
 そしてこの紹介で、メドーが疑問に思った事。
「サポートAIって、何?」
「そういや、サポートAI自体、特殊だったんだっけ。ここにいたら当たり前だから、忘れてたぜ。」
 ジョーがそう言い終わるや、マインは机をドンと叩く。
「いい加減にして下さい。」
 そして、メドーを睨む。
「あなたも、自分の立場くらい、分かってるでしょ?
 ここでは捕虜でしかないのよ。立場をわきまえなさい!」
「捕虜なんて、そんな言い方、」
 マインの言葉にマイはとっさに言い返すが、言葉が続かない。
 マインはマイを睨むが、その目には涙が滲む。
 それをマイに気づかれたと思うと、マインはすぐに目をそらす。
「私には関係ない事だから、これで失礼するわ。」
 マインは部屋を出て行く。
「ばか。」
 マイとすれ違う時、そう呟いた。
 マインの後を、ミサがついて行った。

「なんか、昔のマインに戻ったみたい。」
 マインの一連の行動に、ケイはそう感じた。
「昔の、マイン?」
 マイも、初めて会った頃のマインを思い出す。
 そう言えば、心を開いてくれる前は、あんな感じだった。
 ではなぜ、今再び、心を閉ざしてしまったのだろう?
 マイにはその理由が分からなかった。
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