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宇宙召喚編
第35話 同居人は敵なのか?
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これは西暦9980年のはるか未来のお話。
この時代に召喚されたマイは、敵であったメドーを基地へと連れ帰る。
対ゴンゴル三姉妹戦は、色々名場面が浮かんだのだが、それを線で繋ぐ事が出来なかった。
そう、やりたかった構想と、大分違ってしまった。
基地に連れ帰るのも、三姉妹全員のつもりだったのだが、なぜかメドーひとりになってしまった。
そしてメドーだけを連れ帰った事が、仲の良かったマインとの間に不協和音を生む。
捕虜とは、マイン達の時代とこの時代とでは、意味が違った。
その事にマインもマイも、気付いてはいない。
「マイン、どうしちゃったのかな?」
マインの変貌に、驚くマイ。
「ほんと、どうしちゃったんだろね?」
ケイもそう言葉を続けるが、そのニヤけた表情は、そんな事も分からないの?って言ってるようなものだった。
マイは気づかないが。
「サポートAIか。部屋をどうするかより、こっちが問題だったなぁ。」
メドーのサポートAIに対する問いかけ。
それが事の重大さをジョーに、再認識させるきっかけになった。
召喚者にはサポートAIがつく。
そう、この区画は召喚者達の区画なのだ。
この区画で暮らすなら、当然メドーにも必要となる。
捕虜として扱うなら、その限りではないが。
「部屋をどうするかは、大問題でしょ?」
考え事をするジョーに、マイが言う。
「まさか、ジョーと一緒なの?それは危険すぎるわ。」
「おいおい、何が危険なんだよ。」
「ねえ、」
マイとジョーの会話に、メドーがわりこむ。
「なんでお兄さんの事、呼び捨てなの?
マイってお兄さんの恋人なの?」
メドーの瞳は、恐ろしいまでに冷えきっている。
これだけで、人が殺せそうなほどだった。
「うーん、どうなんだろ?」
考えこむジョー。
「ちょっとジョー、違うでしょ。私達はなんでもないのよ、メドー。」
否定するマイ。
「でも、ジョーから告白してるのよね。」
深刻な表情のケイ。
「ああ、それな、キモいって言われて、盛大に振られたんだっけ。」
ジョーはニカっと笑いながら言う。
「なーんだ、そうだったんだ。」
ケイも笑い顔で続く。
「い、今はそんな事どうでもいいでしょ!」
マイは顔を赤らめてどなる。
「お兄さん、こういうのが好みなの?
ならチャンスだわ。
マイと同じ部屋なら、マイをずっと観察出来るわ。
お兄さんの好みもよく研究出来るし、私がそれよりいい女になればいいのよ。
お兄さんのハートはいちころよ。
お兄さんは私のものよ。
マイ、これからよろしくね。」
メドーはマイににっこり微笑む。
「あのね、心の中で思った事は、口に出さないでいいのよ。」
マイは苦笑いで応えた。
「サポートAIの事なんだが、」
メドーの部屋の問題が解決した?ところで、ジョーは次の問題をきりだす。
「やっぱりアイにパートナーのふりをしてもらうのが、一番だと思う。」
「え、私がですか?マイひとりでも手がかかるんですが。」
アイはやんわり否定するが、ジョーには通じない。
「だって黒髪のサポートAIはお前だけだし、新しくサポートAIを作るには、戦闘機の機体から作らなくちゃいけないのは、お前も分かってるだろ?」
つまり、メドー専用のサポートAIは、事実上不可能。
可能だとしても、時間がかかる。
「仕方ないですね。ではメドー、この鉢巻をして下さい。」
アイはどこからともなく取り出した鉢巻を、メドーに渡す。
しかし、メドーは受け取ろうとはしない。
「あの、メドーさん?これしめてくれないと、困るんですが。」
アイはメドーにうながすが、メドーは拒否する。
「えー、私もあんなダサい格好するんですか?」
メドーはマイとケイを指差す。
「これって、ダサいのかな?」
マイはケイに聞いてみる。
「私は気に入ってるんだけどなー。」
ケイはちょっと苦笑い。
「いや、絶対似合うと思うんだけどな。」
ジョーは、メドーに言う。
「え、そうかしら。お兄さんがそう言うなら。」
メドーは鉢巻をしめる。
「どう、似合うかしら。」
鉢巻をしめたメドーは、ジョーに聞いてみる。
「ああ、すげー似合ってる。かわいさが倍増したよ。」
ジョーはメドーの鉢巻姿を褒める。
そしてその裏で。
「ぐっ。」
メドーが鉢巻をしめたその瞬間、アイは苦悶の表情を浮かべる。
「どうしたの、アイ。」
マイは言葉にせず、心の中からアイに呼びかける。
こうした方がいいと、とっさに思ったからだ。
「メドーがハッキングしてきたわ。緩衝地帯を設けて、なんとか防いだわ。」
「それって、メドーのスパイ活動?」
「多分違う。無意識の行動だったから。」
「でも、用心した方がよさそうね。」
かわいそうな、かわいい美少女。
そんなメドーも、レドリアの最強の一角、ゴンゴル三姉妹のひとり。
マイは、改めてその事を実感する。そんな事、すっかり忘れていたが。
メドーをここに置く問題点として、メドーの呼び名をどうするのかが、問題だった。
この基地には、メドーに堕とされた被害者も多い。
だが、あのゴンゴル三姉妹のメドーが、こんな幼い美少女だとは、誰も思わんだろうと言う事で、そのままメドー呼びで行く事にした。
そしてメドーは、戦闘用のゴツいヘルメットを、あまり脱いだ事がないようだった。
四六時中戦場を飛び回り、休息は専用のメディカルカプセルで急速睡眠だった。
つまり、基地内にいるレドリアの捕虜達も、メドーの素顔は知らない。
こうしてメドーは、マイの部屋でやっかいになる事になった。
この時代に召喚されたマイは、敵であったメドーを基地へと連れ帰る。
対ゴンゴル三姉妹戦は、色々名場面が浮かんだのだが、それを線で繋ぐ事が出来なかった。
そう、やりたかった構想と、大分違ってしまった。
基地に連れ帰るのも、三姉妹全員のつもりだったのだが、なぜかメドーひとりになってしまった。
そしてメドーだけを連れ帰った事が、仲の良かったマインとの間に不協和音を生む。
捕虜とは、マイン達の時代とこの時代とでは、意味が違った。
その事にマインもマイも、気付いてはいない。
「マイン、どうしちゃったのかな?」
マインの変貌に、驚くマイ。
「ほんと、どうしちゃったんだろね?」
ケイもそう言葉を続けるが、そのニヤけた表情は、そんな事も分からないの?って言ってるようなものだった。
マイは気づかないが。
「サポートAIか。部屋をどうするかより、こっちが問題だったなぁ。」
メドーのサポートAIに対する問いかけ。
それが事の重大さをジョーに、再認識させるきっかけになった。
召喚者にはサポートAIがつく。
そう、この区画は召喚者達の区画なのだ。
この区画で暮らすなら、当然メドーにも必要となる。
捕虜として扱うなら、その限りではないが。
「部屋をどうするかは、大問題でしょ?」
考え事をするジョーに、マイが言う。
「まさか、ジョーと一緒なの?それは危険すぎるわ。」
「おいおい、何が危険なんだよ。」
「ねえ、」
マイとジョーの会話に、メドーがわりこむ。
「なんでお兄さんの事、呼び捨てなの?
マイってお兄さんの恋人なの?」
メドーの瞳は、恐ろしいまでに冷えきっている。
これだけで、人が殺せそうなほどだった。
「うーん、どうなんだろ?」
考えこむジョー。
「ちょっとジョー、違うでしょ。私達はなんでもないのよ、メドー。」
否定するマイ。
「でも、ジョーから告白してるのよね。」
深刻な表情のケイ。
「ああ、それな、キモいって言われて、盛大に振られたんだっけ。」
ジョーはニカっと笑いながら言う。
「なーんだ、そうだったんだ。」
ケイも笑い顔で続く。
「い、今はそんな事どうでもいいでしょ!」
マイは顔を赤らめてどなる。
「お兄さん、こういうのが好みなの?
ならチャンスだわ。
マイと同じ部屋なら、マイをずっと観察出来るわ。
お兄さんの好みもよく研究出来るし、私がそれよりいい女になればいいのよ。
お兄さんのハートはいちころよ。
お兄さんは私のものよ。
マイ、これからよろしくね。」
メドーはマイににっこり微笑む。
「あのね、心の中で思った事は、口に出さないでいいのよ。」
マイは苦笑いで応えた。
「サポートAIの事なんだが、」
メドーの部屋の問題が解決した?ところで、ジョーは次の問題をきりだす。
「やっぱりアイにパートナーのふりをしてもらうのが、一番だと思う。」
「え、私がですか?マイひとりでも手がかかるんですが。」
アイはやんわり否定するが、ジョーには通じない。
「だって黒髪のサポートAIはお前だけだし、新しくサポートAIを作るには、戦闘機の機体から作らなくちゃいけないのは、お前も分かってるだろ?」
つまり、メドー専用のサポートAIは、事実上不可能。
可能だとしても、時間がかかる。
「仕方ないですね。ではメドー、この鉢巻をして下さい。」
アイはどこからともなく取り出した鉢巻を、メドーに渡す。
しかし、メドーは受け取ろうとはしない。
「あの、メドーさん?これしめてくれないと、困るんですが。」
アイはメドーにうながすが、メドーは拒否する。
「えー、私もあんなダサい格好するんですか?」
メドーはマイとケイを指差す。
「これって、ダサいのかな?」
マイはケイに聞いてみる。
「私は気に入ってるんだけどなー。」
ケイはちょっと苦笑い。
「いや、絶対似合うと思うんだけどな。」
ジョーは、メドーに言う。
「え、そうかしら。お兄さんがそう言うなら。」
メドーは鉢巻をしめる。
「どう、似合うかしら。」
鉢巻をしめたメドーは、ジョーに聞いてみる。
「ああ、すげー似合ってる。かわいさが倍増したよ。」
ジョーはメドーの鉢巻姿を褒める。
そしてその裏で。
「ぐっ。」
メドーが鉢巻をしめたその瞬間、アイは苦悶の表情を浮かべる。
「どうしたの、アイ。」
マイは言葉にせず、心の中からアイに呼びかける。
こうした方がいいと、とっさに思ったからだ。
「メドーがハッキングしてきたわ。緩衝地帯を設けて、なんとか防いだわ。」
「それって、メドーのスパイ活動?」
「多分違う。無意識の行動だったから。」
「でも、用心した方がよさそうね。」
かわいそうな、かわいい美少女。
そんなメドーも、レドリアの最強の一角、ゴンゴル三姉妹のひとり。
マイは、改めてその事を実感する。そんな事、すっかり忘れていたが。
メドーをここに置く問題点として、メドーの呼び名をどうするのかが、問題だった。
この基地には、メドーに堕とされた被害者も多い。
だが、あのゴンゴル三姉妹のメドーが、こんな幼い美少女だとは、誰も思わんだろうと言う事で、そのままメドー呼びで行く事にした。
そしてメドーは、戦闘用のゴツいヘルメットを、あまり脱いだ事がないようだった。
四六時中戦場を飛び回り、休息は専用のメディカルカプセルで急速睡眠だった。
つまり、基地内にいるレドリアの捕虜達も、メドーの素顔は知らない。
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