未来世界に戦争する為に召喚されました

あさぼらけex

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異次元からの侵略者

第166話 戦後処理はめんどくさい

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 これは西暦9980年のはるか未来のお話し。
 激戦を極めた北部戦線での戦闘も、あっけなく終わった。
 そう、あっけなかった。
 青いモヤに覆われた北部戦線。
 その青いモヤがはれた時、そこに敵の姿はなかった。
 一応、また現れるかもしれないので、見張り役は残しておいた。


 この北部戦線での真実を知るであろうマイとメドーラは、パートナーであるサポートAIのアイとアイツウとともに、事情聴取を受ける事になった。
 マイとメドーラは、過去から召喚された魂である。
 現在事情には疎いため、アイとアイツウによる、ちょっとした補助が必要だった。
 メドーラは、マイお姉さまが見た事が真実ですと、それ以上の明言をさけた。
 マイは、自分の知りうる全てを語った。

 千年に及ぶ、虐げられた者達の気持ち。
 それが神武七龍神のブルードラゴンの怒りに触れた事。
 最期は力尽きて、衛星基地ソゴムごと、自爆した。

 あれ?
 なんか違くない?
 マイも話してるうちに、なんか違ってきたと思ったが、だいたい合ってるだろうと、押し通した。
 ソゴムにいた者達は、どこかに逃げ延びた事、そしてケイの事。
 これは、あえて触れなかった。

 マイの記憶を覗く事の出来るアイも、おおむねそんな感じですと、マイの主張を支持した。

 このマイの言う事が真実だとすると、分からない事がひとつあった。
 神武七龍神を相手にして、なぜ戦えたのだろうか。
 神武七龍神の逆鱗にふれ、滅んだ文明は数知れない。
 北部戦線の終戦時に、青いモヤが戦場を覆った。
 最初からこれがきたら、戦闘になる事もなく、その周囲の宙域は滅んでいた。
 なぜそうしなかったのか。

 マイは、超高次元空間のブルードラゴンと、この次元のブルードラゴンは別物に近いと、説明したが、うまく伝えられなかった。
 アイも、そこら辺の記憶がよく読み取れないと、それ以上の説明を拒んだ。
 アイは、三身合身オメガクロスの存在を隠したかった。
 これを公にするには、まだ時期が早かった。

 さらにバイワンラァンの存在は、アイも知らない事だった。
 マイに、それを伝えた存在には、アイには心当たりはある。
 だけどマイは、その存在について、何を思うのだろう。
 マイはアイが知らない所で、どこまで知ってしまったのだろうか。
 それは、マイが北部戦線以上の激戦に巻き込まれる事を、意味していた。

 とりあえず北部戦線の出来事は、以下の様に説明された。
 衛星基地ソゴムのマザーコンピュータが壊れて暴走した。
 その際、多次元空間から、宙間物質アークスピリットが流れ込んだ。
 このアークスピリットを大量に使い、戦艦や戦闘機を無数に具現化出来た。
 そして、衛星基地ソゴムを爆破して、次元の裂け目を埋めた。

 その説明から、神武七龍神の名は伏せられた。
 その存在を知る者も少なく、この神武七龍神を説明すると、どうしてもぬぐえない疑問にぶち当たるからだ。
 なんでそんな奴相手に、まともに戦えたの?
 いや、知らんがな!


 そしてこの終戦を機に、リムがマイ達の元を去った。
 リムの身体はアバター体と言うよりも、生身の肉体に近くなっていた。
 普通に新陳代謝が認められたのである。
 こうなると、脱出用システム前提の戦闘は、無理になる。
 リムは今後、新人パイロット達に対する、教官任務に就く事になった。

 そしてメドーラも、マイの元を去る。
 自らの過去との決着をつけるため、ゴンゴル三姉妹のステーノとエアレーに会いに行くつもりだ。
 ステーノが消息を絶ったという、グリムア共和国を、まずは目指す。
 メドーラの乗るシリウスベータファイブの整備には、特殊な機材が必要だった。
 それはメカニックマンのジョーが使う、円柱形のロボット達だった。
 メドーラはそのロボットを、二体ほど借りた。
 円柱形であったロボットを、子猫形に変形させた。
 そしてこの二匹の猫に、ふーた、らいたと名前をつけた。

 そしてマインは、以前のままだった。
 メディカルルームにある、巨大なメスシリンダーみたいな装置の中で、薄緑色の液体に浸かっている。
 マインのパートナーであるミサは、壁に寄りかかって、マインを見つめている。
「笑った?」
 ミサは一瞬、マインが笑ったように見えた。
 しかし、ミサが今一度見直すと、マインは無表情のままだった。
 ミサが自らの記憶映像を見返しても、マインの表情に変化はなかった。

 そしてひとり残されたマイ。
 マイは悲しみのずんどこに、沈んでいた。
 ユアとの突然の別れ。
 そしてケイとの再会の後の別れ。
 マイはそれでも、気丈に振る舞っていた。
 しかし、予期していなかった、メドーラとリムとの別れは、マイの限界を越えさせた。
 マイは、暗い部屋のすみで、泣く事しか出来なかった。
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