未来世界に戦争する為に召喚されました

あさぼらけex

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地球へ

第185話 あらすじで説明するのってあり?

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 これは西暦9980年のはるか未来のお話し。
 レドリア合衆国のゴンゴル三姉妹の長女ステーノは、復讐に燃えていた。
 三姉妹の三女メドーが死ぬきっかけを作った、グリムア共和国のダントッパに、復讐する事にした。
 しかしグリムア共和国では、この国の根幹をなすコアシステムを悪用しようとする者達がいた。
 ダントッパは、コイツらを相手にするのが手いっぱいで、ステーノの相手などしていられなかった。
 ダントッパにつきまとうステーノ。
 ステーノを華麗にスルーして敵と戦うダントッパ。
 そんな構図も、いつしか変わっていった。
 ステーノも、コアシステムを悪用する者達が、うざくなってきた。
 ダントッパとの決闘を邪魔する奴らが。
 奇妙な協力体制で、ふたりは快進撃を続ける。
 だが、相手も一筋縄ではいかなかった。
 そんな時、メドーラはステーノを見つける。
 ステーノは、メドーラがメドーである事に気づいてはいない。
 そしてこれは、本編とは関係ない物語。
 このお話しは、スピンオフ外伝として、オリジナルアニメビデオとして作られるかもしれない。



「へー、メドーラも楽しくやってんだね。」
 マイはアイツウからメドーラの近況の話しを聞いて、にこやかにほほえむ。
「あの頃が懐かしいや。」
 マイは部屋の中に目をやる。
 そこかしこに、メドーラとの思い出があった。

 メドーラも来て早々、まだ幼女のメドーの姿だった頃は、マイの事をマイと呼んでいた。
 メカニックマンのジョーの事を好きになったメドーは、マイを恋のライバルと思っていた。
 マイには、そんな気はさらさら無かったが。
 そしてメドーが23歳のメドーラになった時、メドーラはマイお姉さまと呼ぶようになった。
 そしてジョーに対する恋心も、消えたらしい。

「今度会う時は、お姉さまとは呼んでくれないのか。」
 マイは、どこか寂しげで、それでいて、どこか嬉しげな表情でつぶやく。
「ええ、それがメドーラの成長の証ですからね。」
 アイツウもにっこりほほえむ。
「僕も、しっかりしなくっちゃね。」
 マイの表情はひきしまる。
 それはここ数日、いじけ続けてたマイには、見せてくれた事のない表情だった。
「あら、ようやく立ち直ったみたいね。」
 アイツウもマイの変化を、嬉しく思う。
 しかしマイは首をふる。

「まだ立ち直るのは、難しいよ。
 ただ、僕も頑張らなくっちゃと思うだけで、何していいか分からないし。」
「そうね、まずは簡単な任務に就いて、少しずつ立ち直っていこ。」
 弱気なマイに、アイツウはそうアドバイスする。
 とは言え、北部戦線の激戦を終わらせてしまった今のマイに、そんな簡単な任務など無かった。
 そこそこ難易度のある任務しか、今のマイには回ってはこない。
 それが、マイを弱気にさせるひとつの原因でもあった。

「ねえ、今どんな任務があるの?」
 マイは試しに聴いてみる。
「そうね、」
 とアイツウは検索してみる。
 ソウルブレイド部門が、意外に多かった。
 絶対王者であるユアが居なくなり、次の王者を決める戦いが多く繰り広げられていた。
 当然マイに対してもオファーがある。
 あのユアとも互角に戦ったと言うマイは、次の王者の最有力候補だった。
 でもこれはマイには言えないと、アイツウは判断する。

「地域間紛争に、怪獣討伐。星間横断クイズ?
 あら密着取材なんかもあるわね。」
「相変わらずよく分からないラインナップね。」
 とマイも呆れた笑顔を浮かべる。

「とりあえず、マインに会ってくるよ。」
 と言ってマイは立ち上がる。
 北部戦線の激戦が終わって以降、マイはメディカルルームに入っていない。
 マインにもしもの事があったらと思うと、怖くて会えなかった。
 マインは唯ひとり、残されたマイの仲間だから。

「そうね。」
 と言ってアイツウは目を閉じる。
 マイをメディカルルームに行かせたくないと、少し前までは思ってた。
 しかしその心配の種は、すでに解消されていた。

 その時、部屋の扉が開く。
 扉の前に立っていたのは、マインだった。

「マイン?」
 突然のマインの登場に、マイは驚く。
 そんなマイをよそに、マインは無表情のまま、数歩部屋の中に入ってくる。
「マインー!」
 マイは感動に押されて駆け出す。
「ひ、近づくな!」
 パシん!
 マインはソウルブレイドで鞭を展開、その鞭を床に打ちつける!

 マイは反射的に後方展開で、いわゆるバク転でかわす。
 しゃがみ込むように着地すると同時に、マイもソウルブレイドで鞭を展開する。
 相手と同じ武器を展開する事は、急襲を受けた時の基本動作だった。
 ここから相手の動きを模倣し、即座に対抗策をねる。
 召喚者には臨機応変な戦術が求められる。
 決まりきった対処法など、求められていない。
 その場での最善策が、常に求められる。
 その意味では、マイのとったこの行動も、常にとり続けていい対処法とは言えなかった。

「へー、あなたがここまで成長してただなんて、驚きだわ。」
 マインは今のマイの対応を、とりあえずほめる。
「マイン、これは何の真似?」
 マイは緊張をゆるめない。
 右手に持つソウルブレイドの鞭を、小刻みに動かす。
 鞭は蛇の様に床をのたうつ。
 そして左手にもソウルブレイドのクダを握る。
 こちらはまだ、武器に展開させてはいない。

「私はね、あんたに確かめたい事があって、ここに来たの。」
 そう言うマインの表情は、どこか冷たい。
 以前マイと楽しく過ごしていたマインとは、明らかに違う。
 そして初対面の頃見せていた、無関心な表情とも、また違った。

「そう、僕はマインに何があったのかを、確かめたいよ。」
 マイも負けずに言い返す。
 マインの迫力に、呑まれては駄目だ。
 とマイの本能は告げている。
 どこか変わってしまったマインだけど、これからも対等でいたいなら、ここは譲れなかった。

「減らず口を。」
 マインの表情が歪む。
「で、僕に確かめたい事って、なんな訳?」
 マイはしゃがみ込んだ臨戦体勢を解いて、立ち上がる。
 と同時にソウルブレイドの鞭も、クダ状に戻す。
 二本のソウルブレイドのクダは、左右の太ももの脇の定位置に収まる。

 臨戦体勢を解いたマイを見て、マインも緊張をやわらげる。
 だが、完全に緊張が解ける事はない。
 それは、マインが納得いく答えが、マイから返って来た時だけだ。

 マインはマイに問う。
「マイ、あんたほんとは男でしょ。」
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