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地球へ
第186話 たったひとつの希望にすてられ
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これは西暦9980年のはるか未来のお話し。
メディカルルームにて、ミサは迷う。
マインがアイを痛めつけすぎたからだ。
マインの疑念が晴れるならばと、放置してたのを後悔する。
アイからは、マインの納得いく答えが返ってこない事など、少し考えれば分かる事だった。
そんな後悔ばかりが先に立つが、ここがメディカルルームだったのは幸いだった。
アイの傷ついた身体を、サポートAI専用の修復装置に入れる。
これでアイは命を取り止めた。
しかしアイの完全修復の前に、寝かしつけたマインが起きてしまう。
今までずっと眠り続けてたマインに、更なる睡眠作用は効き目が薄かった。
早速マイに会いに行こうとするマイン。
今のマインを、ミサは止める事は出来ない。
仕方なく修復途中のアイをおぶって、ミサもマインと一緒に行く事にした。
マインとマイ。
このふたりを、このふたりだけで会わせるのは、何か危険だと、ミサは感じていた。
マイの性別を問うマイン。
「はあ?」
神妙な面持ちで問うのがそれかと、マイは拍子抜け。
「これは大事な事なのよ、答えなさい!」
パシん。
マインはマイの態度に苛立って、鞭を床に打ちつける。
マイは前回ソウルブレイドの武装を解除したが、マインはまだソウルブレイドの鞭を解除してはいない。
「そんなの、分からないよ。」
「分からない?自分自身の事でしょ、ちゃんと答えなさい!」
マイの答えは、アイが予見していた。
その通りの答えがきて、マインは少し苛立つ。
「だって分からないんだもん、仕方ないでしょ!」
とマイも怒鳴り返す。
「分からないって、どう言う事よ。」
マインはつぶやく。
マイの様子からして、すっとぼけてるとか、シラを切っているとか、その様には見えない。
マイは普通に分からないらしい。
「ねえ、今の僕を見てよ、今の僕を見て判断してよ!」
と逆にマイがマインに迫る。
「ぐ。」
マイの迫力に、マインは思わず後ずさる。
「この話しは、どうやらここまでの様だな。」
ここでふたりの間に、ミサがわってはいる。
ミサは眠るアイをおぶっていた。
「ちょっと、ベッドを出せるかな?」
とミサはマイに問う。
「わ、分かった。」
ミサの背中のアイに気がついたマイは、ミサに言われるがまま、アイのためのベッドを出す。
数話前にも書いたが、部屋のインテリアは、その部屋の主の思いによって、自由に創り出す事が出来る。
マイは、ミサが置きやすい様にと、腰の高さのベッドを創り出す。
しかし四隅にあるはずのベッドの足は無く、四隅の対角線の中央に一本の支柱があるだけだった。
「寝ている、だけだよね。」
動かないアイを見て、マイは不安になる。
「ええ、寝ているだけですわ。」
とマイの疑問に、アイツウが答える。
「良かったぁ。」
マイはその場にへたり込む。
「あら、これは何かしら。」
「おい、よせ。」
アイツウは、アイの身体の異変に気がつき、アイの簡易ドレスの袖をめくる。
その行為を止めようとするミサだが、少し遅かった。
「まあ。」
思わず驚嘆の声をあげるアイツウ。
「え、なに。」
へたり込んでたマイも立ち上がり、アイツウが見た物を見る。
アイの身体には、荒縄を擦り付けて出来た様なアザが無数にあった。
それは治りかけてはいるが、元は凄惨なモノだった事は、容易に想像がついた。
「これ、マインがやったの?」
アイの傷跡を見つめながら、マイは問う。
マインは丁度鞭を持っている。
その鞭でアイを傷つけたと、マイは直感する。
マインは答えにつまる。
「ねえ、答えてよ、マインがやったの?」
マイはマインに視線を向ける。
マインはその視線から逃れる様に、視線をそらす。
「そんな、なんで。」
マインの態度から、マイは確信した。
「なんで、なんでアイを!」
マインを睨む眼に力が入り、マイの瞳から涙がこぼれる。
そしてそのまま、マイは泣き崩れる。
「うわーん。」
「え?」
マイは怒りのあまり、襲いかかってくると思ってたマインは、少し拍子抜け。
「仕方ありませんわ。
マイにとってマイン、あなたが最後の希望でしたから。」
とここで、アイツウがマイの心情を説明する。
「私が、希望?」
「ええ。」
自分が希望と言われても、当然マインには意味が分からない。
「北部戦線の激戦は終わりましたが、ケイとユアには会えなくなりました。」
「うそ、北部戦線の戦いって終わったの?」
順を追って説明するアイツウだったが、マインには初耳な事が出てきて、マインは思わずミサを見る。
「悪い、説明する暇が無かった。」
とミサは弁明する。
「マイの活躍があっての事だが、後で本人に聞いてみてくれ。」
とミサは続ける。
ミサもサポートAI同士のネットワークで、事の一部始終を知っている。
その情報をマインにダウンロードする事も出来るのだが、ここはあえて、そうしなかった。
「あのマイが。」
マインの目の前にいる、泣きじゃくるマイ。
とてもそんな活躍したとは思えなかった。
「って、ケイもユアも死んじゃったの?」
マインはもう一つの事実にも驚く。
「ええ。」
アイツウはうなずく。
「脱出用システムも、機能しませんでした。」
「そんな、あのふたりが。」
マインにとっと、どちらかと言うと、マイの方が死亡確率が高いと思ってた。
ふたりとも、マイよりも実戦経験は豊富なのだから。
「その事で、マイはひどく落ち込みました。」
「そうでしょうね。」
今のマイを見れば、その想像はすぐにつく。
「そして、リムがタモトを分かちました。」
「え、リムに何があったの。」
リムにあった事。
これは超重要機密事項ゆえ、あえてぼかす。
「だからマイン、マイにとってあなたは、最後の希望だった。」
とアイツウはまとめる。
メディカルルームにて、ミサは迷う。
マインがアイを痛めつけすぎたからだ。
マインの疑念が晴れるならばと、放置してたのを後悔する。
アイからは、マインの納得いく答えが返ってこない事など、少し考えれば分かる事だった。
そんな後悔ばかりが先に立つが、ここがメディカルルームだったのは幸いだった。
アイの傷ついた身体を、サポートAI専用の修復装置に入れる。
これでアイは命を取り止めた。
しかしアイの完全修復の前に、寝かしつけたマインが起きてしまう。
今までずっと眠り続けてたマインに、更なる睡眠作用は効き目が薄かった。
早速マイに会いに行こうとするマイン。
今のマインを、ミサは止める事は出来ない。
仕方なく修復途中のアイをおぶって、ミサもマインと一緒に行く事にした。
マインとマイ。
このふたりを、このふたりだけで会わせるのは、何か危険だと、ミサは感じていた。
マイの性別を問うマイン。
「はあ?」
神妙な面持ちで問うのがそれかと、マイは拍子抜け。
「これは大事な事なのよ、答えなさい!」
パシん。
マインはマイの態度に苛立って、鞭を床に打ちつける。
マイは前回ソウルブレイドの武装を解除したが、マインはまだソウルブレイドの鞭を解除してはいない。
「そんなの、分からないよ。」
「分からない?自分自身の事でしょ、ちゃんと答えなさい!」
マイの答えは、アイが予見していた。
その通りの答えがきて、マインは少し苛立つ。
「だって分からないんだもん、仕方ないでしょ!」
とマイも怒鳴り返す。
「分からないって、どう言う事よ。」
マインはつぶやく。
マイの様子からして、すっとぼけてるとか、シラを切っているとか、その様には見えない。
マイは普通に分からないらしい。
「ねえ、今の僕を見てよ、今の僕を見て判断してよ!」
と逆にマイがマインに迫る。
「ぐ。」
マイの迫力に、マインは思わず後ずさる。
「この話しは、どうやらここまでの様だな。」
ここでふたりの間に、ミサがわってはいる。
ミサは眠るアイをおぶっていた。
「ちょっと、ベッドを出せるかな?」
とミサはマイに問う。
「わ、分かった。」
ミサの背中のアイに気がついたマイは、ミサに言われるがまま、アイのためのベッドを出す。
数話前にも書いたが、部屋のインテリアは、その部屋の主の思いによって、自由に創り出す事が出来る。
マイは、ミサが置きやすい様にと、腰の高さのベッドを創り出す。
しかし四隅にあるはずのベッドの足は無く、四隅の対角線の中央に一本の支柱があるだけだった。
「寝ている、だけだよね。」
動かないアイを見て、マイは不安になる。
「ええ、寝ているだけですわ。」
とマイの疑問に、アイツウが答える。
「良かったぁ。」
マイはその場にへたり込む。
「あら、これは何かしら。」
「おい、よせ。」
アイツウは、アイの身体の異変に気がつき、アイの簡易ドレスの袖をめくる。
その行為を止めようとするミサだが、少し遅かった。
「まあ。」
思わず驚嘆の声をあげるアイツウ。
「え、なに。」
へたり込んでたマイも立ち上がり、アイツウが見た物を見る。
アイの身体には、荒縄を擦り付けて出来た様なアザが無数にあった。
それは治りかけてはいるが、元は凄惨なモノだった事は、容易に想像がついた。
「これ、マインがやったの?」
アイの傷跡を見つめながら、マイは問う。
マインは丁度鞭を持っている。
その鞭でアイを傷つけたと、マイは直感する。
マインは答えにつまる。
「ねえ、答えてよ、マインがやったの?」
マイはマインに視線を向ける。
マインはその視線から逃れる様に、視線をそらす。
「そんな、なんで。」
マインの態度から、マイは確信した。
「なんで、なんでアイを!」
マインを睨む眼に力が入り、マイの瞳から涙がこぼれる。
そしてそのまま、マイは泣き崩れる。
「うわーん。」
「え?」
マイは怒りのあまり、襲いかかってくると思ってたマインは、少し拍子抜け。
「仕方ありませんわ。
マイにとってマイン、あなたが最後の希望でしたから。」
とここで、アイツウがマイの心情を説明する。
「私が、希望?」
「ええ。」
自分が希望と言われても、当然マインには意味が分からない。
「北部戦線の激戦は終わりましたが、ケイとユアには会えなくなりました。」
「うそ、北部戦線の戦いって終わったの?」
順を追って説明するアイツウだったが、マインには初耳な事が出てきて、マインは思わずミサを見る。
「悪い、説明する暇が無かった。」
とミサは弁明する。
「マイの活躍があっての事だが、後で本人に聞いてみてくれ。」
とミサは続ける。
ミサもサポートAI同士のネットワークで、事の一部始終を知っている。
その情報をマインにダウンロードする事も出来るのだが、ここはあえて、そうしなかった。
「あのマイが。」
マインの目の前にいる、泣きじゃくるマイ。
とてもそんな活躍したとは思えなかった。
「って、ケイもユアも死んじゃったの?」
マインはもう一つの事実にも驚く。
「ええ。」
アイツウはうなずく。
「脱出用システムも、機能しませんでした。」
「そんな、あのふたりが。」
マインにとっと、どちらかと言うと、マイの方が死亡確率が高いと思ってた。
ふたりとも、マイよりも実戦経験は豊富なのだから。
「その事で、マイはひどく落ち込みました。」
「そうでしょうね。」
今のマイを見れば、その想像はすぐにつく。
「そして、リムがタモトを分かちました。」
「え、リムに何があったの。」
リムにあった事。
これは超重要機密事項ゆえ、あえてぼかす。
「だからマイン、マイにとってあなたは、最後の希望だった。」
とアイツウはまとめる。
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